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陽の1歳の誕生日パーティーと、私達の披露宴はパリのホテルで盛大に行われることになった。


今度こそ類と一緒に海外旅行ってことでウキウキしていたけど、これまでの事があるから私に対する信用はまるで無い。
出発1週間前からお手伝いさん達による監視体制が強化された。

何処に行くのにも「どちらまで?」と尋ねられるし、廊下を歩いてると後ろから視線を感じる・・・クルッ!と向きを変えたらササッと隠れる制服・・・。
お庭で陽と桃太郎達と遊ぼうと思ったら警備員が何処からか現れて芝生を取り囲むから、逆に何も出来なくてしょんぼり犬舎に帰ることもあった。

今は会社にも行ってないし、誰とも会わないから連れ去られるなんて考えられないんだけどなって思うけど、類はこれまで以上に神経質になって、もはや「守って」じゃなくて「見張って」になってるし。


「ははは!仕方ないよ、つくしちゃん。これまでの自分の行動を振り返ってみな?」
「川本のお爺ちゃんまで・・・なんかこうも見張られてると息苦しいのよね」

「旦那があの人だから諦めることだ。いっその事秘書になったらどうだ?」
「必要以上に優秀な人が居るからいいよ。出来たらまた何処かで働きたいけどなぁ~」


ヨチヨチ歩きの陽が芝生に伏せてる桃太郎に乗ろうとしてる。
それを見てケラケラ笑っていたら反対側に落っこちて「うわあああぁーーん!!」って泣き出した!

「如何されましたか!つくし様、陽様!!」
「あっ、いや、その・・・陽が桃太郎から落ちました・・・」

「それはいけません!すぐに救護班をお呼びします!」
「えっ!そんな・・・っ!驚いて泣いただけなので!あ、ちょっと・・・あのっ!!」


・・・おでこにほんの少し傷が付いただけなのに、この後加代さんに叱られ、お義母様に叱られ、夜には類に叱られた。



**



渡仏3日前になって宮崎から連絡があった。
それは信じられない内容で私達は唖然とした・・・お爺様はじめ、両親も進もパスポートを持って無いですって?!


「どーしてそうなるの?!フランスって海外なのよ?1番始めに考えるでしょうっ!!」

『そ、そうなんだけど毎日ドタバタしてたら頭から抜けちゃって・・・飛行機も向こうのホテルも全部花沢様が手配くださるって言うから安心してたのよ・・・』

「パスポートまで準備出来ないわよっ!そんなの判りきってるじゃない!!」
『怒鳴らないでよ、つくし~』


これが怒らずにいられようか!!
いくら花沢が何でも揃えられるって言っても偽造パスポートなんて作らないわよっ!
鼻息荒くしてスマホを睨んでいたら、呆れ顔の類が陽を抱っこしてこっちを見てる。お義父様もお義母様も困った顔してたけど、もうどうしようもないからって事で急遽東京に来てもらうことにした。

こうなったら宮崎4人とは花沢邸で陽の誕生日をお祝いするしかない・・・急いでお屋敷内でもパーティーの準備が進められた。


そして次の日、申し訳なさそうに顔を揃えたお爺様達・・・みんなで「謝りなさいよ!」の押し付け合いでみっともないったらありゃしない!
それでも伝い歩きが出来るようになった陽を見て、お爺様もお父様もお母様もデレデレ。進は威張って「叔父さんだぞ!」って言ってたけど、本当におじさんっぽくなってた。

まぁ、それも毎日類を見てるから仕方ない・・・日に焼けて浅黒くなって、どことなく窶れてるし。もしかしたらこの子、お爺様に似てるのかしら?そう思ったら可哀想に思えてきた。

そんなお爺様は陽の前に行って、シワシワの顔で「いないいないばあ~!」なんてやっちゃったから大泣き。
妖怪でも見たかのように泣きながら類に助けを求めていた。


「止めてくれるかな、そんな顔でいないいないばあとか怖いじゃん!」
「なんじゃと?何処が怖いんじゃ!」

「鏡見てみたら?子泣き爺も真っ青だよ!」
「だから陽が泣いたというのか!」

「意味が違うでしょ!兎に角離れてってば!」
「嫌じゃ!陽には儂の血も流れておるんじゃ!」

「それは禁句!!認めない!」
「そうは言ってもそっくりじゃろう?」

「何処がだよっ!!」


・・・・・・また始まった。類とお爺様の喧嘩は遊びのようなもの、だからもう誰も止めなかった。


その後で顔を出してくれたのは笹本さん。手には豆柴用の遊び道具を持って、ニコニコしたまま犬舎の方に向かって行った。
琥珀と梅三郎の子供達の誕生日も陽と同じだから、この人には犬用のプレゼントしか頭になかったんだろう。類は「別に気にしてない!」って言いながら眉間の縦皺が凄かった・・・。

笹本さんの姿を見たら、奥から琥珀が嬉しそうに走って来た。そして両手で抱き上げて「元気か?琥珀!幸せか?」なんて聞いて、その後に付いてきた琥太朗、葵、瑠璃も全部纏めて抱き上げていた。
梅三郎は私の腕に抱っこされて、自分の家族を目で追ってる。

「普段は梅三郎が琥珀を独り占めしてるでしょ?たまには実家のお父さんに抱っこさせてあげようね~」
「ワン!」

「うふふ、梅三郎はイイコだね!」



最後に来たのは藤本さん親子。
フランスへの同行をお願いしてみたけど、類の居ない間の仕事が溜まると自分の残業が増えるから嫌なんだそうだ。
だから日本に残る組みとして今日のパーティーには麗ちゃんも連れて来てくれた。

藤本さんの奥様は・・・うん、逞しそうな人だった。
藤本さんがいつもよりもっと小さく見えた・・・。


「社長、副社長、専務。本日はお招きいただきまして有り難うございます。家内でございます」

「おぉ!藤本君、よく来てくれたねぇ!類の居ない間は迷惑掛けるが宜しくな」
「おほほ!奥様も本日は楽しんで下さいませね。で、こちらがお嬢様ですの?うちの陽より1時間程先にお生まれになったんですって?可愛らしい・・・わねぇ!!パパにそっくりで!」


お義母様・・・そこ、1回言葉を止めちゃいけないところですよ・・・。


藤本さんの麗ちゃんもほんの少しだけど歩けるって事で陽が居る所に連れて行った。
そうしたら陽がニコッと麗ちゃんに笑いかけて、麗ちゃんもニコッと♡
陽が手を伸ばしたら麗ちゃんも伸ばして2人がギュッ!って手を握った。

それを見て大慌てだったのが類。藤本さんも慌ててたけど、類の勢いの方が凄かった!


「陽?いきなりギュッってするのはレディに対して失礼だろ?離してあげなさい」
「麗?パパが抱っこしてあげるから陽君の手を離しなさい!陽君のパパ、怖いんだよ~」

「・・・どう言う意味だよ!陽、いいからこっちにおいで。女性に触るにはまだ早いって!」
「・・・ほら!怒ってるよ?麗、パパみたいに怒られるの嫌だろう?陽君の手をポイッってしようね~」

「藤本・・・今、うちの息子をゴミみたいに言ったよね?」
「小さな子供に分かり易く話しただけじゃないですか!専務こそうちの麗ちゃんを触ったらいけないものみたいに言うの、やめてくれません?」


「もういいから、2人とも!陽と麗ちゃんは一緒に遊んでていいでしょ?!ほら、なんか歌にもあったじゃない?2人の名前が入ってるヤツ!『は~るの~、うらぁらぁの~、す~み~だ~がわ~』って、あれ教えようか?」

「教えなくていい!藤本と親戚になりたいの?!」
「陽の麗とか止めてくださいっ!麗は私のものですっ!」

やれやれ、馬鹿馬鹿しいって、これには笹本さんや瀧野瀬のお爺様達もクスクス笑っていた。
それでもまだ部屋の隅っこで「まだ早い!」「普通の家庭に嫁がせます!」とかって話で言い争ってる。その時に陽が麗ちゃんに抱きついていたけど、五月蠅くなりそうだから類には言わなかった。


ただ、この日・・・私は何となく身体の調子が悪かった。
少し熱っぽいというか、だるいと言うか・・・フランスに行く前だから緊張してるんだろうと思うけど、並べられてるお料理もあんまり欲しくない。
でもお客様にそれを感じさせちゃいけないと思って頑張って笑顔を作っていた。


「つくし?どうかしたの?顔色が悪いんじゃない?」
「え?あぁ・・・ううん、多分パリで披露宴なんて想像出来ないから緊張してるのよ。それに陽にも初めての飛行機だから心配だし」

「そうなの?ごめんね、私達のせいで行く前にこんな予定外の事させて・・・」
「あはは!それはもういいのよ。お母様、ここのシェフは腕がいいから色々食べてみてね。こんな機会、滅多にないでしょ?」

「えぇ、ありがとう。本当に美味しそう!」



お母様にはそう言ったけど、やっぱり気分が悪い・・・綺麗に盛り付けられてる料理を見るとムカムカしてきて思わず眉根が寄っちゃう。それを見られないように隅っこで大人しくしていたけど、急に陽の泣き声が聞こえた。


「うわあぁーーん!ああーーんっ!」
「ふえぇええーーっ!」

同時に麗ちゃんまで・・・!それに驚いて子供達の所に行こうと向きを変えた時・・・突然目の前が真っ暗になった。



「きゃああぁーっ!陽ーっ!」
「どうした、つくし?!」
「麗ちゃん、何があったの?」
「誰か、誰か来てぇ!つくしちゃんが倒れたわーっ!」


・・・・・・誰かが何かを言ってるのは判るけど、気持ちが悪くて動けない。
そのうち類に抱きかかえられて何処かに運ばれたのは判った・・・でも、身体がスーッと冷めていくみたいで上手く喋れない。


ピ~ポ~ピ~ポ~ ピ~ポ~ピ~ポ~・・・


・・・あれは救急車の音かしら。
誰が運ばれるんだろう・・・そう思った時、完全に意識を失った。






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明日が最終話です♥
ラストも楽しんでくださいね♡
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2019/06/19 (Wed) 06:58 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/19 (Wed) 08:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

ははは!流石瀧野瀬一家♡何か抜けてる所がお似合いでしょ?

ほのぼの花沢家(笑)
確かにほのぼのしてましたね💦これは類ママと類パパのおかげだと思いますが。

そうなんです、明日が最終回・・・これは続編なので本当は長いくらいですね💦
最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。

いつも応援コメントありがとうございます。

2019/06/19 (Wed) 08:38 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/19 (Wed) 14:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんにちは!

はい、もうラストです~!
ははは!確かに産まれてからの1年間は早かったですね💦
ダラダラ書いたら事件が増えるだけなので(笑)

類と瀧野瀬の爺ちゃんの喧嘩をもう少し書きたかったですが・・・まぁ、ここらで止めておきましょう。
類君のキャラ崩壊がこれ以上進むとクレームが来そうです(笑)


総ちゃん・・・ははは!でもやっとここまで来たって感じで嬉しいかも💦
最初は山小屋で監禁して縄でグルグル巻きにする・・・なんて考えたんですが、それはいかんだろー!って思いまして。

童話作家なので子供には優しくしないと・・・(笑)

これから美作家、西門家含めてラストの第4章に移っていきます。
梅雨が明けるのが早いか、この話が終わるのが早いか!?って感じです。

さて・・・次の総ちゃんの話を考えなきゃ!(笑)



2019/06/19 (Wed) 18:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは!

えっ!もうラストって言ってたでしょ?(笑)
瑠那と颯太にももう会えませんからね?

続編の番外編とかないから💦

あら♡癒やされました?ふふふ、Rなしのお話しだったのに?
仕方ないよね~、つくしちゃん妊婦だったもんね♡


花沢麗・・・なかなかいい名前だと思うんだけど。藤本と親戚でもいいじゃんねぇ♡
藤本にそっくりな類君の孫(笑)・・・爆笑!!

ラストもほんわかと行きますので応援宜しくお願いします~!
いつもありがとうございます~!

2019/06/19 (Wed) 18:32 | EDIT | REPLY |   

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