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「・・・おめでとうございます。妊娠ですね」

「・・・は?」
「・・・・・・うそっ?!」

「ははは、陽様の時もそんな反応でしたねぇ、でも本当ですから!」


運ばれたのは私で、病院で調べられたのは妊娠・・・そして私はなんと推定で妊娠8週目だそうだ。自分の事なのに凄く驚いて目をまん丸くさせるものだから、お医者様に「もう少しご自分の身体に興味を持ちましょうね」って言われた。
そうは言っても陽を産んだ後に生理周期がイマイチ定まらなくて判んなかったんだもん!

チラっと類を見たら完全に固まってる。もしかして、まだ2人目は欲しくなかったのかな?って思ったから涙が出そうだった。


「・・・類、あのさ・・・」
「・・・・・・」

「うん、判るよ・・・まだ3人が良かったよね?うん、判る・・・また私が妊婦になったら類、淋しいもんね」
「つくし・・・」

「でも、せっかく授かったんだからさ・・・産み、ぎゃあああぁーっ!!
「つくしーーっ!!」

産みたいんだけど・・・そう言いかけた次の瞬間、類に凄い力で抱き締められて・・・その彼の手が震えていた。
そして耳元で「もう最高!」って・・・。


「類、本当に嬉しいの?あの、また・・・お腹が大きくなるんだよ?色々お出掛けできないよ?」
「そんなのどうにかなるって!遠い所に行かなくてもいくらでも楽しめるよ!」

「でも、またフランス行きが・・・明後日行くんでしょ?どうするのかな・・・」
「フランスは逃げないし、披露宴なんてもういいよ。あんたの方が大事だよ」

「・・・お母様、ドレス作ったよ?」
「母さんに着せときゃいいじゃん!ね、今度は女の子ね!」

「はぁ?!そんなの選べないよ!」



私が倒れたのは妊娠初期の貧血だった。
だから大事をとって今日だけ入院・・・車椅子に乗せられて類と一緒に特別室に戻ったら、そこには花沢の両親と宮崎の全員、藤本一家に加代さん、笹本さんまで来ていた。
そして私達の姿を見て全員が無言・・・何故なら類がめっちゃ笑ってるから。


「おい!どうしてお前さんはつくしが具合悪いのに笑っとるんじゃ!医者は何と言ったのじゃ!?」
「・・・止めてくれるかな、俺を非情な夫みたいな言い方すんの。笑ってないよ、喜んでるんだよ」

「なんで病院に来て喜ぶんじゃ!この戯け者!」
「ねぇ、その言い方って・・・類、まさか?」


「ん、つくしに子供が出来たんだって。もうすぐ3ヶ月になるらしいんだ」
「・・・ははは、またいいタイミングでスミマセン・・・」


類の報告のあと、特別室からフロア中に響く歓声が上がった。

お爺様は心臓が痛くなるほど興奮して私のベッドに寝かされるし、お義父様は速効会社に電話を入れて花沢物産に速報が流されるし、お義母様と加代さんは抱き合って喜んだけど、すぐにフランス行きの中止の手配で大慌て。
藤本さんは何故か奥さんに「君は?」なんて聞いてるし、笹本さんは「それでもまだ2人・・・琥珀の勝ちですね!」って訳の判んないこと言ってるし。

宮崎の両親は私に駆け寄ってきて「おめでとう!」って泣いてくれた。進は「またおじさんになったのかよ!」って、笑いながら怒ってた。

陽は何も知らずにこの部屋のベビーベッドで、麗ちゃんと並んでスゥスゥ寝ていた。





結局フランスでの披露宴はキャンセルになり、私は2回目の妊婦生活に入った。
予定日は3月3日のひな祭り。それだけで女の子と決めつけた類達は早くも女の子用のベビー用品を揃えだした。

驚いたのは陽の時には殆ど無かったつわりが思いの外酷かったこと。
一日中起き上がれないほど気持ち悪かったり、一日中ご飯が食べられないほどだったりで、体重は逆に妊娠前より5㎏も減ってしまった。

類は毎日心配して私から離れないし、陽は判らないから纏わり付くしでとうとう初期のうちに入院した。

そうしたら今度は類が陽を連れて引っ越しするみたいに病院に荷物持って来て「意味ないじゃないの!」って、お義母様に怒鳴られる始末・・・。
私は貧血もすごかったけどガリガリに痩せたから、それを見ても怒る事も笑う事も出来なかった。


体調が戻ったのは安定期に入った秋だった。
何とか通常の体重に戻って赤ちゃんも問題なかったから退院して、今度はご飯が美味しかったのでバンバン食べてた。

「陽~!琥太朗達と遊ぼうか?」
「ワンワン♪」

「そうそう、ワンワンね!おいで、お庭に行こう♡」


梅三郎夫婦の子供達は3匹とも凄く元気。
陽も随分しっかり歩けるようになったから琥太朗達の後をついて行くけど、犬の速さには勿論ついて行けない。だから何度も転けては泣いて、また立ち上がっては転けてを繰り返して、それでも最後には嬉しそうに笑って戻って来た。

桃太郎と菊次郎も相変わらず元気で、私が暫く居なかったから傍から離れない。
私の背凭れになってくれる菊次郎と、真横に寝そべって頭を乗っけてくる桃太郎・・・2匹の毛を撫でながらの日向ぼっこは私の日課だった。


クリスマスの頃になると1枚の手紙が届いた。

それはアルフレッドさん・・・緑川聡さんのお母様からだった。
短い文章の中にはあの時のお詫びが書いてあり、それ以外は聡さんが起業したという知らせだった。


「・・・くすっ、受託システム開発企業だって。大丈夫なのかな・・・あいつ」
「でもさ、このネーミングセンスってないよね?『Greenriver Corporation』・・・緑川株式会社で良くない?」

「・・・・・・つくしに言われたくないでしょ、ネーミングセンス」
「あっ、また意地悪・・・」


その会社は彼がエバンスの力を借りずに起ち上げたらしく、完全に吹っ切れたみたいに書いてあった。
同封された写真の聡さんはあの頃よりも痩せてて色が黒く、ちょっとだけ逞しく見える・・・そう言うと「何処が!!」って怒って写真を取り上げた類は凄く子供っぽかった。


お正月も大事をとって宮崎には帰らずに東京で過ごし、お義父様達は仕方なくフランスでNEWYEARパーティー。
久しぶりに家族3人でのんびりと年越しをした。


こうして2回目の妊婦生活は穏やかに終盤に入って行った。




******************




「マ~マ!マ~マ!」
「ん?どうしたのかな、陽。もう少し待っててね?まだ赤ちゃんが出てくるのは早いからね・・・」

2月になってつくしのお腹はやっと大きくなったけど、今度は大きくなったために胃が圧迫されてまた食欲がない。
今回の方が辛そうで、俺も自宅のパソコンで仕事をしながら常に彼女の様子を見ていた。

今は陽がつくしのお腹に手を当てたり耳を当てたりしてる。
それを椅子に座ったまま愛おしそうに見てるけど、たまに大きな息を吐いてお腹を摩ってるから張ってるのかもしれない・・・俺も2回目の経験だから何となく「身体の状態」は判る。ただ、痛みが判らないだけで。


「大丈夫なの?つくし。気になるなら今回は早めに入院した方が良くない?初期だって大変だったから・・・」
「うん・・・まだ大丈夫だと思うけど、今回の方が体力がない感じ?やだなぁ・・・」

「仕方ないよ。陽の面倒だって毎日見てるんだから。陽の時は自分の事だけで良かったけど、今回はそうじゃないから辛いのは当たり前だって。だから無理するなよ?」

「うん、ありがとう」

「パ~パ、あっこ・・・」
「ん、抱っこしてあげるからおいで、陽」

つくしに抱っこしてもらいたいんだろうけど無理だと判ったら俺の所に来る陽。
そして抱っこしても振り向いてつくしを見てる・・・余程あの腕に抱かれたいんだろうけど仕方なく俺で我慢してる感じ?それは俺も同じだからね、なんて陽の頬に顔をくっつけたら「だーめ!」って怒られた。

くすっ、その怒った顔も可愛いんだけどね。



そして2月14日・・・その日、つくしは朝からバレンタインのケーキを焼くって言ってキッチンに籠もりきり。
俺はたまたま前の週の休日出勤の代休だった。

何でも触りたがって活発に動き回る陽は危ないからキッチンには立ち入り禁止だし、珍しく小雪が舞っていたから外でも遊べないしでご機嫌ナナメ・・・いくら俺が抱っこしてやってもぐずってばかりで泣き止まなかった。


「あ~ん!マ~マ!あぁ~ん!」
「陽、パパが居るじゃん?ほら、見てご覧、雪が降ってるよ?あっ、梅三郎に会いに行く?」

「やぁ!パ~パ、やぁ!マ~マ、マ~マ!!」
「だって仕方ないだろ?ママは今、忙しいんだから。コート着て散歩に行く?」

「うわあぁぁぁーん!!」
「・・・俺も泣きたい」


何をしても、どう宥めても、子守唄歌っても、肩車しても、お馬さんになってもダメみたいだから、仕方なく陽を抱っこしてキッチンに向かった。
そうしたらつくしがチョコでコーテイングしたケーキにフルーツを飾りつけていた。


「あら、どうしたの、陽?」
「ママが良いんだって。どうしても顔が見たいって言うからさ、ここでケーキ作り見ててもいい?」

「あはは、良いわよ。もう終わったから丁度片付けようと・・・・・・・・・あれ?」


「・・・つくし、どうした?」
「・・・マ~マ?」

「・・・・・・あっ、痛いっ・・・!類、ごめ・・・病院っ・・・!」


「ええええっーーっ?!!」
「ママァ?!!」



**


急に産気付いたつくしはすぐに花沢総合医療センターに運ばれて、俺は出産に立ち会ってつくしを励まし続けた。
泣き叫ぶ陽は加代に預けて、父さんや母さん、宮崎への連絡も全部加代に任せた。

「類・・・はぁはぁ、類・・・!」
「いるよ、ここにちゃんといるよ。大丈夫・・・無事に産まれるまであんたの傍に居るから」

「うん、類・・・手を持っててね?ううっーっ!」
「ん、判ってる!頑張れ、つくし!」


それでも2回目だったからお互いに少しは余裕がある。
陣痛が落ち着いた時には「もう少しだね!」「うん、頑張る!」って声を掛け合った。
陽の時は看護師に任せた額の汗拭きも俺がしてやって、苦しい中でも時々笑顔を見せ合った。


そしてその日の夕方、俺達の2番目の子供が産まれた。
陽よりも少し小さくて軽い・・・今度は俺にそっくりな女の子だった。


やっぱり産まれたらつくしはわんわん泣いて、俺は力が抜けて・・・でもちゃんと産まれたばかりの子供にキスをした。
陽の時と同じ、初めましてのキスをした。




今日、また新しい家族・・・光莉(ひかり)が増えた。
幸せな夢がまた1つ始まった。


ねぇ、つくし・・・これからどのくらい沢山の夢を2人で見るんだろう。
小さな蕾が花を咲かせて、色とりどりの光を放つのを見ることが出来るんだろう。

それをあんたと一緒に見られる事を幸せだと思ってる・・・あんたに出会えて本当に良かったって思ってる。


ねぇ、つくし・・・どうかこれからも宜しく。
毎年あんたにプロポーズの言葉を贈りたいくらい愛してる。



「つくし・・・本当にありがとう。あんたも子供達も俺の宝物だからね」
「・・・うん。類、今日も傍に居てくれてありがとう・・・」






fin。



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最後までお付き合い頂き、ありがとうございました♡
明日から新しいお話しのスタートです。

本日の11時に後書きと今後の予定をお知らせします。
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Comments 8

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2019/06/20 (Thu) 01:42 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/20 (Thu) 07:50 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/20 (Thu) 08:25 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/20 (Thu) 12:37 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは。

いつも応援ありがとうございます。
真っ直ぐで明るくて、太陽みたいなつくしちゃんと、それに押されてボケボケになった類君(笑)

毎度おかしいなぁ、と思うのは私は格好いい類君が好きなんです💦
それなのに書けば書くほど類君が三枚目になっていく💦

クールでツンデレな類君・・・私には無理みたいです(笑)


そしてここまでお茶目な類君の両親にもなかなか会えないでしょ?(笑)
是非いつか、暇が出来たらこのファミリーに会いに来て下さいね♥

温かいコメント、ありがとうございました。

2019/06/20 (Thu) 15:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

あっはは!パリは・・・いつか行くんじゃないですか?
もう披露宴は諦めたみたいなので転勤かバカンスですね!そして計画立てる度に妊娠して中止(笑)

数年後には何人子供が居るんでしょうねぇ💦
そしてきっと梅三郎にもまた子供が増えてるような気もします!

心残りなのは桃太郎と菊次郎・・・お嫁さんを作ってあげたかった・・・。


また新しいお話しも始まりますが、今度はここまで巫山戯ていないかも(笑)
またお時間あったら読みに来てくださいね~!

2019/06/20 (Thu) 15:32 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます🎵

meimei様 こんにちは!

いつも応援ありがとうございます。
はい、何とか終わることが出来ました(笑)

思ったより短かったですか?続編と言う事もあり、陽君が産まれるまでのほんわかとした日常を書くつもりだったんですよ。
そうしたら変な方向に話が進んでしまったんですが・・・💦

ホント、何が書きたかったんですかね?(笑)
まぁ、余り深く考えないように💦

それではまた新しいお話し、宜しくお願いいたします♥

2019/06/20 (Thu) 15:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

そうそう!陽=ハルなんです(笑)

光莉ちゃんは花沢城とは関係ないけど、実は全然違うところでもう1匹登場しています(笑)
でも、これは多分誰も気が付かないと思う・・・私1人のお遊びです♥

花沢城のハルはボストンテリアです。
パグは司君の小司郎、フレンチブルドッグが大司郎です(笑)

ややこしいですね~!書いてる私達もこんがらがるんで読者さんは当然だと思います♥


それでは新しいお話しも宜しくです♥
(アレは相当先になると思うけど)

2019/06/20 (Thu) 19:51 | EDIT | REPLY |   

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