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「花沢類、秋桜見たくない?」
「・・・え?」

見たくない?って言われるとそうでもない・・・だけどそんなに大きな目で見上げられたら頷くしかなかった。


あんたの作戦その1・・・「猫なで声のお強請り」。

まるで俺の返事なんてお見通しみたいに自信ありげに、小さな声で「エヘン!」とまで聞こえてきそうだった。
その角度で見上げるの、ホントに反則・・・あんた、判ってやってるよね?

だから「うん、見たい」って、心とは裏腹の返事になった。


でもここからがあんたの卑怯なところ。
なんたってその計画を全部俺にさせるんだから。
場所に時間にお昼のお店、お土産のリストに着ていく服・・・そして当然運転手は俺。

おかげで毎日探したよ。秋桜の綺麗な場所・・・しかも秘密の場所。
あんたの最大の我儘だよね。「誰も知らない秋桜畑がいいなぁ!」、だなんて。

そして見付けたって報告したら「よし!行こう!」って目を輝かせる・・・・・・ホント、可愛くて憎たらしいんだから。



「うわぁ!綺麗だねぇ、花沢類・・・こんなに沢山咲いてるのに観客が私たちだけって贅沢~!」
「よく言うよ、あんたが言ったんじゃん」

「あはは!確かに~。1回こう言うの、してみたかったんだもん!」
「秋桜の独り占め?」

「そうそう!独り占め!」


満開の秋桜畑の真ん中で、クルクル廻りながらスカートを翻して俺をドキドキさせる。
そして時々立ち止まって細い指が秋桜を引き寄せキスをする・・・情けない俺はコスモスにヤキモチなんか妬いたりして。

牧野が次の秋桜に移動したら「そいつ」を睨んで通り過ぎた。

その後も何本の秋桜にキスしていったの?
腰まで屈めてキスしなくてもいいんじゃないの?
俺ぐらいの高さの秋桜には背伸びまでして・・・あんた、そうやって俺にキスしてくれた事ないじゃん?


そして少し離れていじけてる俺に凄い眩しい笑顔を向けて・・・その艶やかな唇で言うんだ。


「花沢類、お腹空いた!ご飯食べにいこう!」

「・・・はいはい」


今日もそれで締めくくり?
そう言いながら差し出された手を握ったら、秋桜畑を2人で駆け足。

風に揺れてる色鮮やかなギャラリーに『頑張れ!』って言われた気分がした。





「花沢類、紅葉狩りに行きたい!」
「・・・は?」

ねぇ、行きたい~!って言われたら行くしかない。
俺が無視して歩き出しても上着の背中を掴む指がどんどん強くなるだけだから。


あんたの作戦その2・・・「ちょっと強引なお誘い」。

こうすれば俺が何でも「はいはい」って言うと思って・・・その通りなんだけど。
まるで幼稚園児が駄々こねるみたいに声だって周りに響いてるし、通り過ぎる人が俺が悪いみたいに思うじゃん!
だから立ち止まって「判ったから手を離して」、そう言うと隣に来て嬉しそうに笑うんだ。

今回も計画は全部俺。
あんたのリクエストは「どうせ見るなら銀杏もね!」・・・どれだけネットと闘ったか判ってる?
この俺が何日間も調べて見付けたんだからね?人か来なくて紅葉と銀杏があって見頃で・・・ホントに疲れた。

そして見付けたって報告したら「やったぁ!」って目を輝かせる。
・・・・・・お気楽だよね。でも何故かその言葉で疲れは取れるんだ。



「うわぁ、花沢類、見てぇ!青空と重なって綺麗だよ~!ほら、ここなんて真っ赤!」
「うん、でも上ばっかり見てないで?そんな事してたら転けちゃうよ?」

「大丈夫だよ~!なんだかこんなに紅い世界に居るとドキドキしちゃうね!」
「だから危ないって!後ろに岩があるから!」

「あはは!心配性だなぁ!」


両手を広げて空を仰いで、ヒラヒラと落ちてくる紅葉の葉を受け止めてる。
それが手の中に入ったら嬉しそうにキスして何故かハンカチで包んだりして。また落ちてきたら小走りで受け止めに行くんだ。

俺にはそうやって走って飛び付いてくれた事なんてないクセに。
その紅葉は別にあんたを目指して落ちてきたわけじゃないよ?あんただけを見てるのは他にいると思うよ?

そんな言葉は山の木々達の大合唱で打ち消されてしまうんだけど。


「ねぇねぇ、向こうの銀杏の木の下に行こ・・・うわっ!!」
「危ない!!」

少し濡れてる山道なのに余所見して走ろうとするからズルッと滑って、危うく尻餅つくところだった。
それを慌てて背中から抱き留めたら、首を後ろに傾けて上目遣いの「ごめんなさ~い!」。ホントにもうっ・・・!

この手を離したくないって思った次の瞬間・・・スルリと腕の中から出ていって、俺より銀杏をとるんだ。

そうしたら俺の後ろの紅葉達が『残念だったね!』って笑うんだ。





「花沢類・・・公園に行きたくなった」
「どうした?何かあったの?」

「何でもない・・・ただ広いところに行きたいだけ」

そんな悲しそうな言い方されたら行くしか無い。しかも速効連れて行かなきゃ!って思うから、あんたの手を引っ張ってご希望のだだっ広い公園に向かった。


あんたの作戦その3・・・「悲しそうな声のお強請り」。

今日のあんたは芝生の上に寝転んで、ぼんやりと流れる雲を目で追っていた。
何を話すわけでもなく、何を食べるわけでもなく・・・俺はそんなあんたの隣で同じように寝転んでた。

落ち葉が落っこちてきても、小さな虫が鳴いてても気にもしない。
ただ黙って大きな目を空に向けていた。


「ねぇ・・・花沢類。どうしてつまんないんだろう・・・何だか心が風邪引いたみたい」
「何かあったの?」

「ううん・・・何にもないの。でも淋しいような悲しいような・・・何かが足りないの」
「それ、空に答えがあるの?」

「判んない・・・何となくこうして寝転びたかったの」
「いつまでもこうしてたらホントに風邪引くよ?」

「・・・もう引いてるのかな・・・ちょっと寒いかも」
「そお?じゃあ・・・薬あげようか?」

「持ってるの?」
「うん、いつも持ってるよ・・・はい、薬」



今日は無防備だった唇・・・いつも俺以外にキスをあげてるあんたにとっておきの薬をあげる。


ほら、ね?
世界が楽しくなったでしょ?







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Comments 2

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2019/09/30 (Mon) 07:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

あら♡可愛かったですか?えへへ・・・本当に1話読み切りは苦手でして💦
これだけ書くにも3日間ぐらい掛かるんですよ(笑)

事件は得意なんですけどね~・・・。

だからお友達作家様に贈ることが出来ないのです・・・ホント、情けない💦
いつももらってばっかり(笑)


でも、少しだけ書いてるんでまたアップしますね♡
ほんわかした気分になっていただけたら嬉しいです♡

2019/09/30 (Mon) 10:59 | EDIT | REPLY |   

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