天邪鬼な乙女の恋心・5 LastStory

仕事中、カレンダーを見て金曜日を指でなぞる・・・もうそれは明日なんだけど。
類になんて言葉をかけたらいいのか・・・答えなんてわかってるんだけど今更それを言う勇気が出るんだろうか。
なんて事を考えながら、適当に仕事を終わらせてしまった。

そして帰り道はあの喫茶店の前を通る・・・今日はそれだけでもドキドキしてしまう。

窓の外から店内を覗いたらマスターが私に気がついて手を振ってくれた。
私もつられて手を振り返す・・・この前類と座った席には違う2人が座っていて幸せそうに笑っていた。

「あんなふうに笑えるかしら・・・私」


******


そして金曜日の勤務終了後・・・気分とは裏腹に更衣室の鏡の前で何故か念入りに化粧直しをしている私・・・。
いつもよりワンランク上のワンピースと靴・・・自分でも嫌になってしまう!やけにお洒落してるじゃない?

心なしか早歩きであの喫茶店に行くと、店の外から類の姿が見えた。
店内の雑誌でも見てるのかしら・・・それとも仕事の書類?真剣に何かを読んでる類はとても大人の男性だった。
それなのに私はいまでもこんなに子供っぽいんだけど・・・また少しブレーキがかかっちゃう・・・。


カラン・・・って音をたててドアを開けた。

「いらっしゃい・・・つくしちゃん。お待ちかねだよ?」

マスターがそう言うと類が私の方に向かって手を上げた。
今日は他にもお客様がいた。他の席の女性は窓際の類を見てヒソヒソと話をしている。
私がこの隣に座るのをみて驚いていた・・・いつもの事だわ。

席に座って類を見るといつもと同じ優しい笑顔・・・やっぱり読んでいたのはフランス語の雑誌みたい。
それを見たら類がフランスに戻るって言うのが事実なんだなって・・・ちょっと胸が苦しくなった。


マスターがコーヒーと、今日も同じようにチョコレートケーキとチーズケーキを置いてくれる。
類が頼んでくれたらしい・・・悪戯っぽく笑っていた。


「予定どおりフランスに戻るよ。明日の午後・・・今回、牧野は俺に何て言ってくれるの?」

「類は卑怯だよ・・・私にだけ言わせるなんて!類だって私には何にも・・・」
「俺は牧野のことを愛してるよ?もうずっと前から・・・牧野はどうなの?」

いきなりの類の言葉に、コーヒーを口に運んでいた手が止まってしまったじゃない・・・!
なんだか、この3年間・・・悩んでいたのがバカみたい。
1人で勘違いして、1人で泣いて、1人で暮らし続けて・・・隣にいない類のことを想い続けたのに。

そんな自分が恥ずかしくて顔を上げられない・・・
下を向いて言葉を探してたら、また私の前にチョコレートケーキがヌッと差し出された。

「はい・・・どうぞ!俺が安心するから食べてよ」

あの日と同じように笑いながらフォークを口の前に伸ばした。
ホントに憎たらしい人・・・そんなに笑わなくてもいいでしょう?
でも・・・この時の類の笑顔に少し勇気をもらったような気がする・・・だから、思い切って言ってみた。

「そのケーキ・・・先に類が食べてよ」

「え?なんでさ・・・」

「いいから!でね・・・そ、その後にもう一回私にくれない?」

そう言ったら類は吹き出して笑い始めた。わかっちゃったかな・・・でも、この前は出来なかったんだもの。
類はそのケーキを自分で食べて、もう一度フォークにケーキを差して私の前に差しだした。
今日はそのケーキを・・・パクンと食べてしまった!

「・・・美味しい」

「でしょ?・・・特別な味でしょ?」


なんだろう・・・この時間の間に自分の中で何かがゆっくりと解けていくような感じがする。
張り詰めていたものがなくなって・・・ほんわかとあったかくなっていくような。幸せってこんな感じ?
今なら・・・言えるかもしれない。


「類・・・フランスに一緒に行きたい・・・」


類はその後に再開してから一番の笑顔を見せてくれた。

「やっと素直に言ってくれたんだね!本当に意地っ張りで天邪鬼なんだから・・・!」

だって自信がなかったんだもん・・・3年前は。
怖くて怖くて聞けなかったんだもん!類があまりにも素敵だから・・・!
好きすぎて言えなくなるって気持ち・・・男にはわかんないのよ!もの凄いエネルギーが必要なのよ?


マスターに傘のお礼を言って店を出ようとドアを開けたら・・・また雨が降り出していた。

「うそ・・・さっきまで降ってなかったのに・・・」

マスターはまた返した傘を持ってきて笑っていた。

「この傘を使えってことじゃないかな?また一つしかないから2人でお帰り・・・そういう事だね」


類の手がまた肩に乗ってるんだけど、今日はそのまま類にくっついて歩いた。
今度はくっつきすぎて歩きにくいなんて類は言うけど、その顔はすごく嬉しそうよ?私もだけどね・・・。
そして今日もあのアパートに向かって歩いていた。

「牧野・・・もうアパート引き払っておいでよ。会社もせっかく頑張ってるけど・・・辞められる?
俺が一週間フランスに帰るのを伸ばすからさ・・・一緒に行こうよ。もう手を振られるの嫌なんだよね」

「・・・相変わらず自分勝手で我儘なのね。でも・・・そんな類が大好きだよ?」

「言葉が違うでしょ?・・・もう一度ちゃんと言ってよ」




「愛してる・・・類」

やっと言えた5つの文字!・・・照れまくっている私に類は傘の中でキスをくれた。
道路の真ん中なのに・・・!って怒ったら誰も見てないからって・・・今度は思いっきり抱き締められた。

そしてこの日・・・類は私のアパートに泊まっていった。
いつでも彼氏と暮らせるようになんていいながら・・・この部屋に泊まったのはもちろん類が初めてだった。
同じベッドで同時に眼が覚めて・・・少し照れ笑いをしながら類は私の頬にキスをする。

「おはよ・・・牧野」

おはよう・・・なんて誰かに寝起きに言うなんて初めて・・・!
半分シーツに顔を隠して眼だけ出して返事をした。

「おはよう・・・類」

素直になるって・・・こんなにも嬉しくて楽しくて・・・恥ずかしいものなのね!


********


一週間後・・・ドタバタの手続きを終えて類と一緒にフランスに行く日、空港で懐かしい3人に会った。
類が私に会わせるために連絡したんだろうな・・・3人とも全然変わってなくて空港でも目立つってもんじゃない!

「牧野!お前が3年前に俺の言うこと聞かねぇから!3歳も年を取ってから鉄パン卒業になっちまっただろ?
もったいねぇことしやがって・・・素直じゃねぇから損したんだぞ?」

「なんて事言うのよ!空港でしょっ!・・・信じられないわっ!」

西門さんは笑いながらとんでもない事を言うんだから・・・!類は知らん顔してるけど、後の2人も笑ってない?

「牧野は知らないんだろうけど、類は日本に戻ってからお前の素行調査してるから、多分全部知ってたはずだぞ?
住んでるところも、男関係も・・・多分再会劇も類の芝居だと思うぞ?」

美作さんの内緒話に思わず類の方を振り向いた!
やっぱり・・・知らん顔してるわ。素直じゃないのは類も同じってこと?

「お前はどう転んだって俺たちには見た目では負けてんだから、開き直って素直になりゃあいいんだよ!
どうせなら笑っとけ!その方が牧野らしいぜ!」

最後にそう言った道明寺の言葉は、苦笑いだけど嬉しかった。


「うん・・・そうするよ。これからは・・・ちゃんと言葉にするから!」


手を振って見送ってくれる3人に今回は私が両手を振って応えた。
行かないで・・・って叫んだ3年前とは違う。


「行ってきます」・・・って大きな声で叫んで何度も手を振った。


類が差しだした手を今日は何の躊躇いもなく掴むことが出来る!

「ふーん・・・素直なんだね」
「これからも天邪鬼は続けるわ。退屈しなくていいでしょ?」


ただし・・・5つの文字だけは言葉にするけどね!


fin

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久しぶりのSS・・・やっぱり駆け足で終わってしまった!このお話はですね・・・plumeriaの実話が半分なんです!
えへへ・・・。私の昔話を2人にハピエンで演じていただきましたっ!つまり・・・私はハピエンではなかったんですよ。
えぇ!知りたくもないでしょうけど、このお話と比べてみましょうか?

plumeriaの大昔の彼氏が突然日本のとある大都市に仕事で行くことになりまして・・・。
ついていくって言えなくて迷ったんですね。そしてその大都市には彼氏が
その前にお付き合いしていたAさんがいたのでちょっと噂が広まりまして・・・。

<空港で手を振って別れた>
plumeriaはJRの駅で同じ事をしましたよ。お付き合いはここで一度終わったんですね。
<3年間想い続けた>
はい!これも同じ・・・昔は可愛かったのね。結局この彼は片思い期間を含めると10年以上好きだったから。
<喫茶店で雨の日に再会>
はい!これも同じ・・・ただし私は振られた訳ではなく確かスパゲッティ食べてたと思う。
<チョコレートケーキ事件>
これもありました・・・彼のフォークがあの時はねぇ・・・いいものに見えたんですよ。
今だったら人のはごめんですけど。
<相合い傘>
これもありました・・・でも優しいマスターが貸してくれた訳じゃなくて自分で持っていたか、彼が持っていたか・・・
思い出せなかったんですけど傘を差してスッゴい至近距離にドキドキした記憶があります!
でもplumeriaは165㎝・・・ヒールをはいたら170越え。その時の彼が163㎝くらいで低かったんです。
だから傘は私が持ったんですよ。笑える・・・。
<嘘の住所>
これが一番最悪・・・plumeriaは実家に住んでたんですが見栄張って1人暮らしだと言ったんですよ。
彼が家に来たいって言うかどうか・・・もしかしたらやり直せるんじゃないかって期待したんですね・・・。
来たいって言われたら断るつもりだったんだけど言われなかったから・・・今更嘘だって言えなくて。
ホントに全然家と違うバスに乗る羽目になってしまって!手を振られてここで別れました!完全に!!
引き留めて抱き締めてはもらえず・・・。バスを降りてから真っ暗な道を1人で走って帰ったような・・・。

ここまでがこのお話の実話?部分です。とんでもない昔の思い出です。
喫茶店で類みたいな思わせぶりなセリフも少しはあったような記憶があるんだけど・・・忘れちゃった!
ここからが私の悲しい恋物語?をハピエンに変えてもらうためのお話しに変わるんですよ!
あの日の続きがこれだったらなぁ・・・。


Aさんと結婚でもしたのかなぁ・・・時々思い出します。雨が降るとね・・・。
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6 Comments

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2017/07/05 (Wed) 12:09 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

凪子様、こんにちは🎵( *´艸`)

ごめんなさいね!私事で!公開すんなって感じ?
フランスのダンサーじゃなくて残念っ!(結構ウケた!)

そうなんですよ。小学生の時から好きだった人なの~❗
高校卒業ぐらいでおつきあいして、最後があれ!
笑ってください。もうバカでしょ?

今度、娘がオディールで、娘が好きな人がジークフリードなんですよ?もう、毎日王子様の話ばかりです。
出来ればオデットで恋が叶うといいなぁ。なんて!
娘にはいい恋をしていただきたいわ(笑)

2017/07/05 (Wed) 12:44 | EDIT | REPLY |   

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2017/07/05 (Wed) 12:57 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: 天邪鬼は続けるのね クスッ

星樹さま、こんにちは🎵

若いときはいろいろありますよね~✴
つらい恋も、切ない恋も、危険な恋も❤
私もたくさんありまして、今がありますね!

だからって暴露すんなって感じだし、なおさら二人に演技させるなってことですよね!

たまたま梅雨時は思い出すので書いてみました🎵

あほな話ばかりで申し訳ありませんね!( *´艸`)

これからも宜しくお願い致します🎵

2017/07/05 (Wed) 16:42 | EDIT | REPLY |   

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2017/07/10 (Mon) 11:11 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは‼

あはは❗(笑)😁
恥ずかしいなぁ。

でも、ホントに好きだったんですよ。
隠し撮りしたり、偶然すれちがったらドキドキしたり。
高校のときに夏祭りに誘われた時は嬉しかったなぁ🎵

そんな昔話ですよ。

つくしちゃんは幸せになったんで、もうスッキリしましたよ!

さとぴょん様にはありませんか?
ほろ苦い恋😌🌸💕

今日もありがとうございました🎵( *´艸`)

2017/07/10 (Mon) 16:29 | EDIT | REPLY |   

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