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掃除用カートを引き摺りながら全速力で花沢類の部屋を出て、廊下で脱力して座り込んだ。

「はぁはぁ・・・でも、無かったような気がする・・・ピアスホール」

どうしよう・・・折角、大好きな諭吉3人とお別れして買ったピアスなのに、本人に肝心の「穴」が空いてないなんて!
もう他の物にも変えられないし、誕生日はすぐそこまで来てるし!!


「どうして開けてないのよっ!こんな家に住んでいながら男らしくないっ!ドッカンと開けなさいってのよ!!」
「何を開けるの?牧野さん」

「そりゃあ耳に・・・はっ?!」


真後ろから声が聞こえたから振り向いたら・・・そこには奥様がニコニコして立っていた!
私が廊下に這い蹲ってるのに、そんな私を覗き込むように・・・そして「何を開けるの?」ってもう1回聞かれた。


「あはははは!何でもないですっ!わ、忘れて下さい!」
「あら、そうなの?男らしくないってなに?類の事?」

「ととととと、とんでもございませんっ!類様の事ではございませんっ!」
「そお?類が言うこと聞かなかったら私に相談してね?立場的にはあなたは使用人だけど、類の生活パターン改善係でもあるんだから、バンバン意見していいのよ?」

「いえ、そんな!バンバン意見したらガンガン言い返されますから!」

「あら、そんな会話が出来るの?」

「・・・はい?」


ヤバい・・・もしかして今、言っちゃいけない事を言った?
この奥様の表情からして怒ってる訳じゃなさそうだけど・・・いや、それよりも使用人なんだから廊下で寝てちゃいけないよね?

私は急いで立ち上がって制服をパンパン叩き、「失礼しましたぁ!」と叫んで掃除用カートと一緒に自分の部屋に戻った。
そしてまだ勤務中だけど、そこにあるパソコンを起ち上げて慣れない手つきで調べてみた。


「えっと・・・ピアスホールの開け方はっと・・・・・・へぇ?ピアッサーかニードル・・・ニードルってあの針みたいなの?それだと自宅でも簡単に・・・あら!自宅でも開けられるの?!知らなかった!」


ピアッサーなんて知らないけど、ニードルなら知ってるわ。
このお屋敷の何処かにないかしら・・・いや、見付けてどーすんのよ!

ニードル差し出して「これでピアスホールを開けて下さい!」・・・そんな事言えるのかしら?でも、そうしないと諭吉・・・いや、ピアスが無駄になる!
困ったなぁ~、と頭を抱えて、花沢類をダイニングに連れて行くために再び部屋に向かった。


そしてダイニングに行っても彼の耳が気になって仕方ない。
今日は彼の向かい側に奥様も居るのに私の視線は花沢類の耳朶・・・あの耳朶にどうにかして穴を、そればっかり考えていたら加代さんにも気が付かれた。


「・・・どうかしたの?牧野さん。類様のお顔に見惚れる気持ちも判りますが、ここは食事をきちんとされるかどうかを確認ですよ?」
「はい、判ってます!判ってますが・・・はぁ・・・」

「どうしたの?言ってご覧なさい?」
「・・・あのですね?このお屋敷にニードル、もしくはそれに似たものってありますか?」

「ニードル?」
「先の尖った、穴開けるヤツです・・・持ってませんよね?」

「・・・千枚通しならあるわよ?貸しましょうか?」
「あっ、ホントですか?すみません、お願いします!」


いや、別に深い意味はないのよ・・・穴が開くのかなぁ、って思うだけよ?
まさかそれで花沢類に頼まない・・・わよ。




**************************




さっきの至近距離での牧野の顔が頭から離れない・・・そう思ってベッドで倒れていたらあいつが入って来て「夕食です」なんてシレッと言ってきた。
牧野は別に何とも無さそうなのに、どうして俺だけがこんなに悩むんだ?と馬鹿馬鹿しくなってきた。


でもやっぱり気になる・・・何で2回も俺に近づいたんだ?


で、ダイニングで夕食を食べていたら、今度は加代とヒソヒソ話・・・いったい加代に何を言ってるんだろう。
それが気になって目の前の料理に集中出来ない。気が付いたらステーキを超細かく切り刻んでいて、母さんに「何やってるの?」って聞かれた。
「・・・別に。口内炎が出来てるから小さく切ってるだけ」、そう言うとすぐにビタミン剤が出された。


「あぁ、それとさっきの件だけど」
「・・・出来そう?」

「えぇ、2曲目だけでいいのね?私もあの曲好きなのよ。それとチャルダッシュは仙道家の明奈ちゃんに頼むことにしたわ」
「仙道家・・・・・・?ふぅん・・・」

「いやぁね!覚えてないの?あなたが幼稚舎の時にお嫁さんにしてあげるって言った明奈ちゃんよ!」
「・・・は?」


幼稚舎の時の記憶なんてある訳無いじゃん。
大体自分達だって俺が幼稚舎の時には殆ど日本に居なかったクセに・・・仙道家がどんな家で何処にあるかも知らないけど?
だから母さんが言っても知らん顔して、小さくなったステーキを口に運んだ。

因みにその仙道明奈って子は、この春から英徳大学らしい。
牧野の同級生・・・どうでもいいことだけど。


「・・・あれ?」

母さんと話をしている間に牧野と加代がいない。少し気になって2人が立っていた場所を見ていたら、母さんがまた余計な事を言いだした。


「・・・そんなに気になるの?牧野さんの事」
「・・・は?」

「類が女性を目で追うなんて初めて見るんだもの。なかなか元気があって良い子よね?」
「・・・何言ってんの?そんなの関係ないし」

「お宝弁慶草もくれたし」
「子宝弁慶草だよ」

「あなたの部屋にそんなものがあるなんて何年ぶりに見たかしら・・・ねぇ?類」
「・・・ご馳走様」


馬鹿馬鹿しい・・・別に目で追ってた訳じゃない。そこに居るはずの使用人が勤務中にいなくなったから確認しただけだって。
元々この歳で食事の見張りなんて要らないんだから、監視するみたいに立つのは気に入らなかったんだ。いっその事もう来なけりゃいいのに!

そうブツブツ言いながら自分の部屋に戻ったら、さっきと同じようにベッドに寝転んだ。
どうせ牧野は勤務中・・・9時までの仕事を聞きにもう1回来るはずだから、ついでにそう言ってやろうか・・・。


・・・ヤバい、また眠くなった。

・・・・・・いや、寝たら不味い・・・また変な夢を見るかもしれない。

・・・・・・・・・・・・くぅ。




「・・・・・・ん?」
「・・・・・・・・・・・・」

また至近距離で空気があったかい感じがして、俺はパチッと目を開けた。
そうしたら俺の顔の真上に牧野の顔が・・・いや、それよりも牧野が手に何か持ってる・・・?!

鋭く光るドデカい針みたいなもの?!それを俺に向けてる牧野の目が光った!!


「うわあああぁーーっ!!」
「きゃああぁぁーーっ!!やっぱり出来ないーっ!!」






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2019/07/10 (Wed) 00:15 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/10 (Wed) 07:03 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/10 (Wed) 07:07 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

あっはは!いやいや、真相はこれからって事で💦
いくら何でもそこまでは!

ただ、どうしても無駄にしたくないって言う貧乏根性だと思う(笑)
諭吉3人分ですから!

確かに傷害罪ですよね~。
しかも千枚通し・・・(笑)画鋲じゃなくて良かったのかも?

サスペンスにするつもりはないので安心して下さい❤

2019/07/10 (Wed) 14:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

そうなんです。
実は開けてないのです(笑)珍しいでしょ?
このシーンを書くためにピアスホールがない類君にしました~!

・・・って事はこれから?ははは!どうなるかはお待ち下さいね!

清水寺の下は固い岩盤だったようです・・・つくしちゃん、残念っ!!(笑)

2019/07/10 (Wed) 14:58 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは!

あっはは!申し訳ないっ💦こんな展開で💦
つくしちゃんの方が変態になりそうですよね~!

無許可で人の身体に・・・いやいや、いくら何でもですよ!
ちゃんと「出来ないーっ!」って言ってるので許してやって下さい💦

類君、怖かったでしょうね(笑)
刃物持ってるつくしちゃんの目が光るんですから。

今までにない2人・・・ははは!どうなることやら💦

2019/07/10 (Wed) 15:02 | EDIT | REPLY |   

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