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plumeria

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心臓が止まるかと思うぐらい驚いた!
今回も牧野は俺から飛び退いてクローゼットの方に向かったけど、そこからこっちを見て怯えてるクセに手には鋭い刃物を持っていた。

事と次第によっては殺人・・・いや、傷害罪だよね?
これには流石の俺も心臓がバクバク言ってる・・・すぐには牧野に声も掛けられなかった。

一体この俺に何をしようとしたんだ?
さっきから顔を覗き込んでいたけど、まさかそいつで顔面一突き・・・?!

俺、そこまでされなきゃいけないほどあの子に何かした?!全く身に覚えがないんだけど?!


「・・・牧野、落ち着け・・・先ずはその手に持ってるものを何処かに置いて!」
「はっ!す、すみません!!」

「で、一応聞くけどそれは何?」
「これ?加代さんからお借りした千枚通し・・・です」

「せんまいどおし?何それ」
「えーと・・・穴、開けるもの?」

牧野の説明じゃさっぱり・・・って言うか俺に穴を開けるつもりだったって言うの?
モジモジしてる牧野はコトンとそいつをテーブルの上に置いた。俺は聞くより読んだ方が早いとスマホで千枚通しを調べた。


「・・・錐(きり)の一種。何枚も重ねた紙などを刺し通して穴を開けるのに用いる・・・なんでこれをあんたが持って俺に向けたの?」
「そ、それは・・・何となく?」

「何となくでそんなものを寝てる人間に向ける?しかもグーで握って自分の目の高さで構えてたんだけど?」
「いや!その・・・開けられるのかな?って考えていただけで、気が付いたら手が勝手に・・・」

「全然判んない。いいや、とにかくこんな事するような人間を雇う訳にはいかない。丁度母さんがいるから訳を説明してあんたの雇用契約解除を・・・」
「あああああーっ!それだけは勘弁して下さいっ!正直に言いますから!!」


・・・正直に言ってなかったんだ?
いや、そもそも正直に言われたことが「俺に穴を開ける」だったら本気で許さないけど?

牧野が床に座り込んで拝み倒すから、仕方なくベッド脇に座って彼女の説明を聞くことにした。牧野も覚悟を決めたのか、そこに正座して膝の上の手は握り拳。
顔は硬直して眉根に縦皺5本ぐらい入っていた。そしてへの字の口が開いたのはその後すぐだった。


「実は類様の耳に・・・」
「俺の耳?」

「はい。類様の耳朶にピアスホールがあるのかな、と思ったんですが無いようだったので・・・」
「ピアスホール?うん、まだ開けてない。興味ないし」

「やっぱりないですよね?だから開けようかなって・・・」
「ちょっと待て!俺の耳に千枚通してピアスホールを?」

「だってニードル持って無いんですもの」
「・・・・・・・・・・・・」


そう言う問題?ニードルとか千枚通しで俺の耳を、あんたが突き刺そうっての?
その発想がおかしいって思わないのか?!

クラッと目眩がして額を抱え込んだ・・・でも、そうしたい理由はなんだ?どうして俺のピアスホールを牧野が気にする?
別にピアスをしたいって思った事がないから開けてないだけで、今もその気は全然無いけど?!


「・・・なんでそこまでして開けたいの?開けたいなら自分で開ければ?あんただってピアスしてないだろ?他人で試してみたかったとか言うなよ?」
「あっ、そうじゃなくて・・・」

「なに?どうしたのさ・・・俺の耳なんてあんたに関係ないよね?そんなの仕事でもなんでも無いだろ?」
「勿論仕事じゃ無くて・・・えっと、買ってしまったの・・・です」

「何を?」
「・・・知りたい?でもまだ早いんだけど・・・」

「判った。やっぱり雇用契約解除を・・・」
「あああーっ!!判った!持って来ますっ!!」


そう言うと牧野は脱兎の如く俺の部屋を出ていって、すぐに小さな袋を手に持って戻って来た。
ゼイゼイ言いながらそれを俺の前に差し出して「これを類様に・・・」って。
それを受け取って中を見ると小さな小箱があって可愛らしく包装されてる。しかも目に入ったのは「HappyBirthday」の文字。

まさかと思ってそれを袋から出したら、牧野は真っ赤になって俺を見ていた。


「・・・・・・・・・」
「あの!これも何かの縁だと思うし、折角だからと思って・・・まだ先だけど」

「・・・開けてもいい?」
「ど、どうぞ・・・」


本当に小さな箱・・・そこに掛けてあるリボンを解いて小箱を開けた。
中に入っていたのはアクアマリンのピアス・・・男でもつけられるスタッドタイプで空の色をしたピアスだった。

素直に綺麗だと感じた・・・何故かは知らないけど。


「これを俺に?」
「・・・はい。何がいいのかよく判らなくて、悩んだ結果・・・誕生石かなって」

「あんた、お金なかったんじゃないの?」
「あっ!それはですね、奥様から入学式のスーツと鞄をいただいて、大学で使うパソコンもお部屋のを使っていいって言って下さったのでちょっとだけお金が浮いたんです!でも心配しないで下さい、これを買っても教材費はちゃんと持ってますから!」

「誰もそこまで聞いてないし」
「あはは!そうですよね~!このアクアマリンってコミュニケーション能力をアップさせる石なんですって!
別名『天使の石』と呼ばれていて、幸せな喜びの象徴・・・だったかな?それに身につけていると不慮の事故や災害から身を守ってくれるんですって!」

「たった今、その不慮の事故に遭いそうだったけど?」

「・・・・・・すみません」


それで俺の顔を・・・耳を覗き込んでたんだ?
自分の生活でカツカツなのに俺にこれを買ったんだ・・・会ってまだ数日しか経ってない俺の為に?

くすっ・・・まさかそれで千枚通しに考えがぶっ飛ぶなんて信じられない。


「これ・・・もう貰ってもいいの?」
「はい!どうせ見ちゃったし。そうだなぁ・・・いつかピアスホールを開ける気になったらつけてください!それじゃ、おやすみなさいませ、類様」

「・・・ん、お疲れ」


全部話したからなのか、牧野は安心したように千枚通しを俺の部屋に置いたまま出ていった。
俺はそのピアスを小箱にしまってローテーブルの上に置いた。


変なの・・・眠くない。いつもならこの時間、もう眠くなってるのに・・・。
それならってある事を思い付き、あきらに電話を掛けた。


「あっ、あきら、今何してる?・・・今から行ってもいい?・・・・・・じゃ、行くね」



**



「・・・本当にそれでやるの?」

「勿論!怖がるな、俺達はいつもこれでやってるぜ?ホントは1人でやるもんだけどな」
「総二郎、もう少し下じゃないか?」

あきらが自宅に居るって言うから訪ねてみたら総二郎まで来ていた。そして俺の頼みを快く引き受けてくれたけど、出されたのはピアッサーって言うピアスホールを開ける道具。
「見といてやるから開けてみな」って言われて、回れ右して帰ろうかとしたら捕まった。


「んじゃ、開けてやる」・・・それを嬉しそうに言いながらピアッサーを持つ総二郎がマジで怖い。
千枚通し持つ牧野よりはいいけど。

あきらは定規まで出して耳に印付けるし、総二郎はフンフン鼻歌歌ってるし。
俺は椅子に座って真正面から狙いを定める総二郎を見て硬直・・・あきらは事故防止だと言って後ろから俺を羽交い締めにした!


「ねぇ、ホントに大丈夫?痛いんじゃないの?」
「そんなに痛くねぇぞ?俺、こう言うの得意だし」
「・・・それは個人差かな?俺は右は死にそうだったけど左は平気だった」

「待って!やっぱり麻酔かなんか・・・」
「馬鹿か!氷で麻痺させてもいいけど後が余計痛いぞ?このまま行こう・・・さ、大人しくしろ!類」
「まぁ、ブスッ!と1秒だ。運が良ければ痛くない!」

「や、やっぱりいい!なんか嫌な予感がする!」
「お前、折角その気になったんだから覚悟しろって。このぐらい当たり前だぜ?外国じゃ子供だって開けてるだろ?」
「痛くないって念じとけ。総二郎、早いとこ終わらせようぜ?」

「よし、行くぞ!!」


どうして笑いながら近づくの?総二郎・・・!
何故捕まえてる手が震えるのさ、あきら!!

そして・・・その瞬間が・・・来た!!


「痛ーーーーーーっ!!!」








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2019/07/11 (Thu) 01:40 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/11 (Thu) 06:41 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/11 (Thu) 08:16 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/11 (Thu) 13:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは!

そうですね💦
でもちゃんと開けることが出来たらあんまり血は出ないと思います。
あっ、正しいやり方ね!千枚通しだと血は出るかも💦

今の所、つくしちゃんと言うより類君がなにやら複雑な心境になってるみたいですよね♡
これがちゃんと恋になるには・・・つくしちゃんが乙女にならないと💦

いやいや、そんな雰囲気になるのはいつの事やらですね!

今のつくしちゃんだったら類君より「諭吉」のほうが魅力的なのかも知れません(笑)
気長に待ってやって下さいね!

2019/07/11 (Thu) 15:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

きっとつくしちゃんも本気で刺そうとはしてないと思いますよ?(笑)
こんなもので?って感じで試していたら類君が起きたんでしょうね!

でも類君からしてみたら寝惚けてるときに刃物が見えたら・・・ねぇ💦恐ろしかったと思います(笑)


あらら!病院でもそうなるんですか?

私の前の会社でピアスは1つまで、って規定があったんですけどね。
最近の子は沢山開けてる子が多かったので「どうしてですか!」って怒るのを沢山見ました(笑)
接客業だからだよって言っても「理解出来ません!」って。

片耳5個が最高だったかな?懐かしいなぁ(笑)

反抗して付けてくる子も居て悩みのタネでしたねぇ・・・(笑)

2019/07/11 (Thu) 15:17 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: やっぱり好き

ふじ様、こんにちは。

ご訪問&コメントありがとうございます。
そう言っていただけて嬉しいです♡

あはは!いつもよりパワフルでしょう?つくしちゃん♡
ちょっとぶっ飛び過ぎていますが、許してやって下さいね!

他のお話しも読んで下さっているのですね?ありがとうございます。
そっちが暗いので余計に類君のこのお話しが明るいのですよ💦(ストレス発散!)

ドキドキさせちゃってごめんなさいね♡
本人は花沢城みたいな惚けたヤツです💦テキトー万歳!です。


ふじ様もこれからの暑い時期、充分に気を付けてお過ごし下さいませ。
お気遣いいただき、ありがとうございます♡

2019/07/11 (Thu) 15:25 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは!

そこかーーーーーいっ!!(爆)

と、思わず叫びました。
いやいやいや、反応するとは思ったんですけどね💦


やっぱりそこかーーーーーいっ!!(笑)

2019/07/11 (Thu) 15:27 | EDIT | REPLY |   

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