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花沢類がピアスを開けた日から1週間が過ぎて、明日が彼の誕生日。
そしてこのお屋敷でパーティーが行われる為、私達使用人は前日からその準備で大忙しだった。

信じられないほどの花が届けられて置く場所すらないし、既にプレゼントも届いてて私はそれを彼の部屋に持って行くために何度往復したやら!
少しは手伝ってくれても良さそうなものなのに今日も彼はベッドの上で転た寝・・・耳朶の痛みだって取れてるはずなのに!


「類様ー!これどうするんですか?部屋のド真ん中に置いてたら片付けてくれるんですか?」
「・・・・・・すると思う?」

「思わないから聞いてるんです!どうするんですか?まだ下に沢山あるんですけど持って来ていいんですか?」
「・・・好きにしたら?あんたの仕事が大変になるだけだけど」

「誰の誕生日なのよ・・・もうっ!」
「勝手に送って来たんだろ?俺が頼んだ訳じゃないし」


いやいやいや、誕生日のプレゼントに「勝手」って事はないでしょうよ。相手はお祝いの意味があって、あなたのために一生懸命選んだんだって思わないのかな?!
何を言っても1ミリも動く気が無さそうだったから、また私は腕まくりして荷物を取りに行った。

それを繰り返していたら玄関前には真っ白な車と真っ黒な車が運ばれて来た。
どうやらそれも外国の企業家からの誕生日プレゼントだとか・・・明日のパーティーで披露するため、すぐにガレージに持って行かれるらしい。

プレゼントに外車2台・・・本人1人なんだから1台で良くない?って思うのは私だけ?
しかも白と黒が好きって聞いてるのかもしれないけど、意表を突いて赤と青とかにしたらいいのに。


「牧野さん・・・って言うんだっけ?」
「・・・はい?」

急に後ろから声を掛けてきたのは比較的若いここのお手伝いさん3人。ヤケにニコニコして、3人とも両手に薔薇の巨大な花束を抱えていた。
それもやっぱり何処かのお屋敷からの贈り物で、明日の為に玄関から大広間までの廊下をこれで飾るらしい。

「ねぇ、類様付きで入ってるんでしょ?」
「どう?少しは会話出来る?」
「今は何されてるの?やっぱり寝てるの?」

「・・・えーと、類様は今、お昼寝中ですよ。会話は・・・普通に出来ますけど?」

「えっ!!出来るの?どんな会話?まさか着替えとかも見てるの?」
「うそっ!!類様の寝顔見たことあるの?」
「そんなの信じられないっ!どのぐらいまで近寄れるの?」

「・・・えーと、着替えは見ていません(着ていないところなら見ました)。寝顔は・・・朝起こしますからチラッと?(本当は覗き込んで見たことあります)近寄れるのは・・・1メートルぐらい?(本当は10センチぐらいまでですけど)」


なんなの?この人達!
いきなり花沢類の事を聞き出しておきながら自分達の顔が真っ赤・・・?
いやいや、同じ屋根の下に居るんだからそこまで興奮しなくても良くない?それにそこまでウルウルする程「王子さま」じゃないわよ?
5歳児がそのまま大きくなった感じ・・・それにすこーし意地悪よ?

「いいなぁ!類様のお部屋に入れるなんて!私、あの部屋でお仕事なんて出来ないわ~!」
「うんうん、普通は出来ないよね?緊張しちゃって何も話せないかも!」
「類様のシーツだと思ったらドキドキして触れないわ!」

「儚げな孤高の王子様って感じだもんね」
「あの髪の毛1本でいいから拾いたい・・・出来たら使ったタオルでも・・・」
「1度でいいから目の前でバイオリン弾いていただきたいわぁ・・・そんなの夢だけどさぁ」


「・・・・・・・・・はは」


この人達の夢を壊しちゃいけない。
私に布団を剥ぎ取られてベッドから落とされたとか、私の引っ越し荷物を運ばされたとか、コンビニのご飯食べさせたとか。
しかもピアスホール開けて泣きそうになったとか口が裂けても言えない。

それよりも私が目の前でバイオリン弾いて貰ったって事がバレたら酷い目に遭いそう・・・。
でも髪の毛1本、諭吉と交換してくれたら毎日届けるけど?タオルなら諭吉3人ってところかしら?


素敵な夢に酔い痴れながら薔薇を運んでいく3人からそーーーっと離れて、再び花沢類の部屋にプレゼントを運んだ。



**



「類様、取り敢えず本日届いたプレゼントはこれだけです!さぁ、どうします?片付けるなら手伝いますよ?」
「・・・・・・本当に持って来たの?」

こういう時には何にもない部屋って言うのは助かる。
花沢類の部屋は真ん中のテーブルに置けないほどプレゼントの箱があったから、その周りもソファーの上も、ラグなんて全然見えないほどカラフルな箱と花とリボンで埋め尽くされた。

高級腕時計に男性用アクセサリー、高級フレグランスに新作のメンズバッグや化粧品、スーツにコートに下着まで!
まるでこのまま店が開けそうな品数に溜息しか出ないし、これだけあったら嬉しいと言うより迷惑・・・ウンザリする花沢類の表情も少しは納得出来た。

それでも放っておけないから指示を仰げば「適当に処分して」・・・・・・処分?!!


「処分ってなんですか?プレゼントでしょう?」
「・・・さっきも言っただろ?勝手に送って来たんだ。そんなものに興味ないし」

「興味って言う問題じゃなくて人の心なんじゃないですか?それにお礼も言わなきゃダメでしょ!」
「・・・お礼は受け取った控えがあるからそれを見てメールで済ませる。相手だって送って終わらせたんだから」

「直接自分の言葉で言わなくていいんですか?それが普通じゃないんですか?」

「普通・・・普通ってなに?」


花沢類は急に怖い顔を私に見せた。
それまでは面倒臭そうに寝転んでプレゼントだって見もしなかったのに、身体を起こして私を睨みつけたから驚いて足が竦んだ。

そしてベッドから降りてテーブルの前、プレゼントの箱の前に立って、その中からいくつかのプレゼントを手に持った。


「・・・このフレグランスのメーカーは俺の嫌いな所。そしてこの腕時計・・・同じく俺が好きじゃないヤツ。で、こっちのアクセサリーも俺が指輪なんて付けないって知らないんだ」

「・・・・・・そ、それは・・・確かに気に入らないものもあるかもだけど・・・」

「ん、そうだろうね・・・なんでそうなると思う?」

「なんでって・・・えーと、それは・・・」

「それは相手が俺の事を考えずに選ぶから、そう言う事なんだよ。俺の為って言う意味じゃなく、送ったって言う証拠を残したいんだ。だから宅配業者を使って送ってくる・・・自分達の手では持って来ないんだ。
俺が子供の時からそう・・・此奴ら、俺の好みも何も知ろうとしないで、高価な物を送ってくるんだ。中にはマンションひと部屋くれた人もいたっけ・・・そう言うの、本当にキライなんだ」


彼は手に持っていた可愛らしい箱をテーブルに戻した。
そして指でコツンと突いて倒し、またベッドに戻った。


「そっか・・・でも、遠方の人は手渡し出来ないし・・・だからじゃないんですか?」
「うん、そうかもね・・・でも、そう言う人は会ったこともない人達ばっかりだよ」

「会ったこともない人・・・えーと、それは・・・」
「判った?俺の誕生日なんてそんなもの。俺の存在そのものが会社の為にあるようなもんだから」


目を閉じたままサラッと自分の存在を「会社の為」って言った花沢類・・・そこに感情は見えなかったけど、本当は心の奥の方で爆発しそうな何かを抱えてるような気がした。
そしていつもそれを自分で不発弾にしてる・・・吐き出さずに自分で片付けてるんじゃないかと思って私の胸がズキッと痛んだ。

だからって訳じゃないけど、彼の寝ている横まで行って、寝転んでる彼に言葉を掛けた。


「・・・私はそのピアス、類様のために選びました。だから今年のお誕生日は1つだけでもあなたの事を考えて選ばれたプレゼントがあるって思っていただけませんか?」


「いや、金が浮いたからでしょ?」
「確かにそうだけどっ!💢」




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2019/07/14 (Sun) 05:15 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/14 (Sun) 06:32 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは!

うふふ!つくしちゃんの真面目なひと言も類君バッサリです(笑)
まぁ、何を言われても千枚通し向けられた恐怖の方が残ってるんでしょうね💦

随分フレンドリーなお手伝いさんですが、つくしちゃん頑張っております!
ここまで書いてもまだ大学生活が出てないことが問題のような気もしてきました💦

また長くなるのかしら・・・ははは!


で、類君と2人でコンビ組んでデビューさせましょうか?
コンビ名は・・・何がいいかしら?(笑)

2019/07/14 (Sun) 14:19 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/14 (Sun) 14:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

多分余裕がなかったらチューリップ1本とか(笑)
それでも恋人なら嬉しいでしょうが、今のところご主人様と使用人ですから。

私ならさっさと諭吉に交換して自分の好きなものを買いたいですが(笑)
類君には欲しいものが無さそうですもんね💦
お金で買えないものが欲しいんでしょうね・・・うんうん。

それが目の前にあるんだけど、今はまだ興味の域を超えてないようですね。

この2人・・・仲良くなる日が来るんでしょうか💦

2019/07/14 (Sun) 14:38 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは!

あっはは!

「今日契約してくれたらこの子の永久使用権もついて来ますぜ?お兄さん」みたいな?(笑)
怖いわーーっ!!💦
そして契約しなかったらその子、可哀想やわーーっ💦

うんうん、まだ自覚はないですよね(笑)
まだ「見て見ぬ振り」のムッツリ類君ですから。

そこに手が出るのは果たして何話目か?!(もしかしたら・・・ないのか?!)

2019/07/14 (Sun) 14:53 | EDIT | REPLY |   

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