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plumeria

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その日の夜遅くまで掛かって花沢類宛に来たプレゼントの仕分けをした。
当然彼は手伝う訳もなく(自分の事なのに)、部屋の真ん中でゴソゴソ動き回る私を見ても知らん顔・・・むしろ「早く終わらせたら」って目で睨んでいた。

そうは言っても半端ない数。嵩張る原因の花は取り敢えず全部私の部屋に運んだ。
そうしたら残りは箱に入ったものばかりだから、彼に許可を貰ってリボンを解き、箱の中身を出してそれぞれ片付けられるものは片付けていった。

洋服類はクローゼットへ。
しかも色つきは目に触れないように奥のカーテン付きの場所に引っ掛けて隠す徹底ぶり。いっその事田村さんにあげたらどうかと思うけど、スタイルの違いから難しい。
それなら友達にでもあげたらいいのに・・・って言う友達が少ないんだっけ?はぁ・・・困った人だなぁ。


「これはなに?えっと・・・ブレゲって腕時計?うわ、高そう・・・あっ!」

ツルツルした箱だったから持ち上げた時にスルッと手から落ちた!
でもそれが落ちた場所が、丁度他のプレゼントの硝子ケースの角っこ。そこに当たって嫌な音と共に床に落ち、時計が転がり出てしまった!
バッと振り向いて花沢類を確認・・・気が付いてないから急いで拾い上げようとした瞬間、体勢を崩して思わず出した足が何かを踏んだ・・・!

「はっ、この感じはまさか・・・?!」

ヒョイと足を上げたらその下にはブレゲの腕時計・・・慌ててそれを拾ったら・・・


うわーーっ!!真ん中に傷が入ったーっ!!


で、でもこんなにあるんだもの。
それにあの人の無関心な様子から、奥の方に入れてしまえば判らないかも?
時計には「ごめんね!痛かったね!」なんて変な言葉を掛けて、クローゼット隅の専用保管庫の奥の奥の奥の方に入れることにした。

どうか見付かりませんように・・・。


・・・と言うか、他の物もここに入れなきゃいけないのにもう隙間が無い!
今の出来事は忘れる事にして花沢類に助けを求めた。


「類様ーー!入りませーーーん!」
「だから言ったじゃん。処分しろって」

「ってか、去年とか一昨年のものが袋ごと入ってるんですけどーーー?!」
「へぇ・・・そうなんだ」

「誰の部屋ですかっ!」
「俺の部屋」


だめだ、こりゃ。
話したら腹が立つ・・・それならって事でこれまでのプレゼントまで片付ける羽目になった。

とうとう収納庫の前で私が座り込んでこれまでのものを引っ張りだし、中身を出して最小限に小さくして入れ直す・・・実に面倒臭くてイライラする作業に2時間近く掛かった!勿論ブレゲの時計は一番奥に突っ込んだけど。

それが終わって部屋に戻っても花沢類の移動は1ミリもない・・・これが進だったら蹴り飛ばしてぶん殴ってる!
両手の拳がワナワナと震えるのをエプロンで隠しながらゴミを集めていった。

そして全部の片付けが終わって午後11時・・・今日は特別手当が出るって言うからムカつく気分もそれでチャラにしようと目を瞑った。


「それでは類様、おやすみなさいませ」
「・・・ん、ご苦労様」

「・・・少しは自分で貰ったものを確認して下さいね?」
「気が向いたらね」

「・・・明日で何歳でしたっけ?」
「19・・・あ、10代最後だ」


良かったわ、自分の歳は覚えてるんだ。
それを確認したら自分の部屋に戻った。


でも、自分の部屋に戻ったら花に埋め尽くされてて自分のベッドが見えなかった!

「なんなのよっ、この花の匂いはっ!寝られないじゃないのーっ!」・・・そんな叫び声をあの男は聞いてるのかどうなのか!


それでも何とかベッドまで辿り着いたら、さっき花沢類宛のプレゼントを飾っていた沢山のリボンをエプロンのポケットから取り出した。昔、ママが沢山揃えてくれたリボン・・・それを思い出して捨てられなかった。
だからこの部屋にあった裁縫道具を取り出して、真っ赤なリボンに針を刺した。


「これだけは得意だったのよね・・・少しでも可愛くしたかったからさ」

作ったのは髪を纏めるシュシュ、それに髪留めのリボンアクセサリー、それと「これ」は花沢類に渡そう、そう思って遅くまでベッドの上でリボンと格闘していた。

それが終わったのは午前3時半・・・もう頭はクラクラで目はショボショボ・・・。
それでも自分の部屋を見回せば花・・・薔薇にガーベラにチューリップにかすみ草、大きなものだと胡蝶蘭。
これもさっさと捨てられてしまうのかと思うと少し残念。だからどうにかして彼の部屋に飾りたかった。


「この花だって捨てられるために頑張って咲いた訳じゃないもんね。よし!綺麗なうちに・・・作るか!」

真夜中・・・と言うより明け方近いのに再び慣れないパソコンの登場だ。
そこで初めて「インターネットショッピング」というものをやってみた。作るために必要な材料と道具がこの付近には売られてないという事と、それが重たいから運べない。
色んなサイトを見ながら一番安く買えるところを見付けた。

それなのに・・・


「はっ!なんて事なの?メールアドレスを持ってないと注文できないなんて!仕方ない・・・明日お屋敷のお電話借りて注文しよっと!」

そこのサイトの電話番号をメモってパソコンを落とした。
その前に金額を計算したら諭吉1人・・・くそーっ!と思ったけど仕方ない。この花たちを少しでも残したい・・・その気持ちの方が強かったから。



**



30日、花沢類の誕生日の朝。
私は定刻に彼を起こしに行った。

勿論昨日は作業と花の匂いと注文未遂で殆ど寝ていない・・・クラクラする頭を抱えて、それでもポケットには昨日の夜に作ったものを隠し持っていた。


「おはようございます、類様。朝ですよーー!」
「・・・・・・・・・」

「起きて下さいませ、本日はお誕生日ですよーっ!おめでとうございまーす!」
「・・・・・・・・・」

「お誕生日の朝でも私に布団を引っ剥がされたいですかぁ?!本当にやりますよ?!」
「・・・五月蠅い・・・っ!」


19歳第1日目の朝もいつもと変わらず、花沢類は超不機嫌に自分でバサッと布団を退かした。
そして出てきた麗しいはずの顔・・・今日も同じくムスッとして、起きた早々眉に縦皺入れて口がひん曲がってる。綺麗な髪なのに寝癖だらけでピンピン跳ねてるし、見慣れたから大声は出さないけどバスローブが半分肌蹴てる。

そりゃまぁ、多少は赤くなるけどなんたってこの膨れっ面だもん・・・ドキドキは初めに比べれば半減した。


「はい、おはようございます!着替えて朝食に向かいましょう?今日は忙しいみたいだからいつもより5倍ぐらい速く動きましょうね!」
「・・・・・・なんなの、あんた。なんで朝からそんなに元気なの、毎日毎日・・・」

「元気なんてないですよ、殆ど寝てないんだから。それでもこれが仕事だからやってるんです!はい、ベッドから降りて!」
「怒鳴るな!・・・耳が痛い」

怒鳴るなって言われて怒鳴らなかったらもう1回布団に潜り込むのは判りきってる。
だから花沢類がベッドから降りた瞬間、その布団は丸めて足元に置いた。それを横目で見てブスッとして、私が洗面所を指さしたらトボトボと歩いて行った。


「・・・顔を洗いに行ったわね?」

ジャバジャバと音がするのを確認・・・そこで私は赤いサテンリボンの巻き薔薇で作ったブートニアを子宝弁慶草の置いてあるキャビネットの上に並べて置いた。

太めのサテンリボンで大きな巻き薔薇を作って、その周りに臙脂色のリボンで小さめのを重ねてみた。
それに一番細いサテンリボンを幾重にも輪っかにしてアクセントにして、プレゼントにくっついていたビーズのフラワーピックを少しだけ付け足して、最後には全部を形良く纏めて裏側を縫い止める、そんな簡単なアクセサリー。


これは使わなくていいの。

ただプレゼントについてたリボンぐらい、この部屋にあったって良いじゃない?それにこんなに小さいんだもの、このぐらいの色は許してくれるでしょ!
それを置いたら今日もリモコンでカーテンを開けて、朝の日差しをこの部屋に入れた。


「うーん!今日もいい天気!良いことありそう~!!」





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2019/07/15 (Mon) 07:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

いいお値段でしたでしょ?(笑)
1000万以上の物もあるんですよね~。

そんなの腕に付けていたら怖くて外出出来ません💦
つくしちゃんじゃないけど傷付けたらと思うと・・・ねぇ(笑)

で、サテンリボンの巻き薔薇も実は意外と面倒です。
こちらは私の専門分野なので作れますが、慣れるまでは綺麗に出来ませんでした。
ブートニアは作りませんが、衣装の頭飾りでよく使います。

と、言う事で本日もミシンとの闘いです(笑)頑張らないとっ!!(納期が迫っている💦)

2019/07/15 (Mon) 09:24 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/15 (Mon) 11:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

時計に謝る(笑)
これ、逆パターンで私がよく言うヤツ💦

テーブルの角とか椅子の脚とかにぶつかった時に

「何するん、あんた!!💢」

って、それに向かって言う(笑)ぶつかったの私やねん!って思うけど💦可愛いでしょ?♡


ほほほ、その時計は後ほど正体が判ります。お待ち下さいませ。
うんうん、2人じゃないよ(笑)

さてさて、パーティーが始まりまーす!誰が来るかな?

2019/07/15 (Mon) 20:06 | EDIT | REPLY |   

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