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plumeria

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騒音並みの起こされ方に全然慣れない・・・。
清々しいどころか毎朝ムカついて目覚めるって精神的に凄いストレスなんだけど。

顔を洗ってタオルでゴシゴシ拭いた後の自分の顔・・・俺、こんなに顰めっ面で毎朝起きてるんだろうか。鏡で自分と向き合ったら驚くほど怖かった。

そして洗面所から出てきたら牧野がニコニコして「後でお迎えに来まーす!着替えてて下さいね」、そう言って1度出ていった。


バタンと閉められたドア・・・それを一睨みしてバスローブをバサッとベッドに投げた。
クローゼットに入って選んだ服はいつも通り手前から。それでいくと今日はグレーのセーターにブラックジーンズ、いつもの組み合わせだった。

手に取ったそれをバサッと着て部屋に戻り、ソファーでひと休みして牧野の迎えを待とうとしたら・・・目に入ったのは真っ赤な薔薇の飾り物?

ただでさえ緑色が目立つこの部屋に、今度は真っ赤な薔薇の花?
それに驚いて近くまで行ってよく見たらリボンで作られた造花・・・しかもブートニアの形に纏められていた。
こんなものを置くとしたら牧野しかいない。また勝手な事をして!と、そのブートニアを近くのゴミ箱に投げ捨てようとして振り上げた。

・・・でも、出来なくて元の位置に戻した。


「殆ど寝てないって・・・まさかこんなものを作るために・・・馬鹿じゃないの?」


自分では持たないけどこんなものは今までだって沢山目にしてきた。
それはどれも生花で作られたものか、そうじゃなければ上品で艶やかな造花で作られ宝石が鏤められていた。こんな安っぽいものじゃなくて人目を惹く派手なものばかり・・・殆どが有名デザイナーの作品、そう言って持って来られた。


それなのにどうしてこんなに胸がザワザワするんだろう。
こんなもの、絶対に人前で付けたり出来ないと思うほど手作り感満載なのに・・・。


子宝弁慶草の鉢の横で、こんな真っ赤なものが朝日を受けて輝いてる。
それをジッと見ていたらノック音が聞こえた。


「類様、お食事の時間ですよ~!」
「・・・・・・今行く」

何がそんなに楽しいのか、まるで自分の誕生日みたいに笑っちゃって。
チラッともう1回ブートニアに目を向けて小さく息を吐いたら、牧野の待ってるドアに向かった。


そして見付けてしまった・・・牧野の髪の毛にも同じリボンで作られた、小さなヘアアクセサリーがあった。



********************



「類、今日のパーティーは午後3時からだけど覚えてるわね?」
「それまでには私も戻って来ないといけないな」

「・・・ちゃんと覚えてるよ。昼寝しなかったらいいんでしょ」


本当に不思議。
まだ誰も花沢類に「お誕生日おめでとう」って言ってない。
普通、その日の朝1番に言わない?私の家はご飯も普通でプレゼントも文房具だったけど、必ず朝1番にみんなから「お誕生日おめでとう!」って言われたけどな。

彼が言うように誕生日も会社の為の行事なのかしら・・・今日のパーティーの話はするけど肝心のひと言がなかった。

旦那様も時間ギリギリまで仕事に行くらしいし、奥様は彼に着るものや挨拶についてクドクド説明してる。それを返事もせずに珈琲を口に運んで頷くだけの花沢類。
他人・・・いや、使用人の私がこんな事言うのも変だけど、ひと言文句言ってやろうかと思うぐらい腹が立ってきた。


「牧野さん、顔に出てますよ」
「だって、加代さん・・・今日は・・・」

「色々思う事はあるでしょうが親子の間に私達が入ることは出来ません。冷めてるように見えるでしょうけどご両親様は類様の事をとても大事に思っていらっしゃるんです。それは本当なんですよ?」
「・・・・・・はぁ、そうなんですね」

「うふふ、あなたの気持ちは判りますよ。言葉にしないとねぇ・・・それは同感ですが、このような世界でお育ちの皆様には庶民にとって簡単な事が難しい時もあるみたいです」

「・・・成る程」

さっぱり判んないけど、要するに素直に笑って「おめでとー!」って言うのが恥ずかしいって事なのね?
それでもやっぱり・・・黙っとけって言われてもどうしても気になる!!

加代さんに言われて大人しく控えていたけど、どうしても旦那様と奥様にその言葉を言わせたくて、気が付いたら花沢類の横に向かって歩いていた。
当然彼は「は?」って顔して私を見てるし、ご両親も突然テーブルに近寄った私を見て「え?」って驚いてる。
加代さんは「牧野さん!」って慌ててるし、田村さんはクスクス笑ってる。そんな中でいきなりパンをトングで掴んで彼のお皿にボスッ!と置いた。


「・・・・・・なに?食べないけど」
「類様!今日はお誕生日ですから特別大サービスで私がパンにジャム塗ります!どれがいいですか?!」

「は?だから要らないって・・・」
えっ?!!いちごジャムでいいですか?それにフルーツヨーグルトも作ります!どれがいいですか?お誕生日ですから!」

「あのさ、何言ってんの?だから・・・」
はい!判りました!全部のフルーツで作ります!おめでとうございます、類様!」

「「・・・・・・・・・」」

花沢類の横でこれでもか!ってぐらいジャムを塗ったパンをお皿に置いて、次はカットフルーツをガラス製のフルーツ皿に乗せてプレーンヨーグルトをたっぷり!仕上げにサクランボを乗せて可愛くしてみた。
それをもう1回「おめでとうございます!」と言って彼の前に差し出すと、向かいのご両親が呆然・・・いや、呆然としてる場合じゃないのよ!
あなた達の息子がこれでも19歳になったんだからお祝いの言葉を言わなきゃ!

目は口ほどにモノをいう(いや、思いっきり口を出したけど)・・・私の目を見た奥様が気が付いたみたい。


「あっ、そう・・・そうよね!先ずはそれよね!類、お誕生日おめでとう!」
「おぉっ、そうだな、つい忘れてしまって・・・類、おめでとう。今日から・・・・・・」

「・・・類様は19回目のお誕生日です」
「そうそう!19歳だったな!おめでとう、類。頼もしくなったもんだ!はは・・・ははは!」

「・・・・・・ありがと」


よっしゃーーーっ!!!



**



「あの、加代さん、少しいいですか?」
「どうしたの?今日は忙しいから手短にね?」

朝食が終わった後、深夜調べた事とその理由を加代さんに伝えた。そしてそれを注文したいからお屋敷の住所と電話番号を借りたいと言えば笑いながら許してくれた。


「ほほほ、あなたは面白いわねぇ!さっきも驚いたわ」
「ははっ・・・申し訳ありません。出過ぎた事とは思ったんですが、気が付いたらあんなことを・・・」

「でも奥様も旦那様も嬉しそうだったわ。会社行事のように考えてしまってることを少しは不味いと思われたのかもね。類様も少し赤くなっていらっしゃったわ」
「やっぱり年に1度の記念日ですから!」


そして田村さんのお部屋で調べたサイトに電話して注文したら、在庫有りって事で明日には届くらしい。

「代引きでお願いします」と言って電話を切った後、振り向いたら加代さんと田村さんがニコニコしていた。


あれ?私何か変だったかな?


「上手く出来上がればいいですねぇ、牧野さん」
「ほほほ、類様も驚きますね。楽しみですわ」

「はい!頑張ります!」





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2019/07/16 (Tue) 06:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

うふふ、このご両親の設定はそんなに悪くないんですけどね(笑)
類君との距離は少しあるようです。

つくしちゃんが間に入って頑張ってくれるかな?(笑)


洋裁は得意というわけではないです。
衣装を作るのは家庭科的ではなく、工作的ですね(笑)
洋服はキチンと型紙通りに作りますが、衣装はその人の身体の変化にも対応させるのでサイズは適当なんです。

その人のその日のサイズに合わせる為にチュチュはボタンやファスナーでは止めません。
ガキホックを付けて、止める側は糸でループ(ムシ、と呼びます)を幾つもつくり一番フィットするところで止めるんです。

たまにはいきなり本番前に長さをカットしたり(笑)リボンを追加したりと大変。
踊り手さんがダイエットに励むと私たちも悲鳴をあげます💦

「また痩せたの?!!」「・・・もしかして太った?」なんて会話もあります。


男性の着替えは・・・ある意味拷問です(笑)想像にお任せします💦

2019/07/16 (Tue) 11:05 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/16 (Tue) 12:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは!

あはは!つくしちゃん、変なスイッチ入りましたね💦
良く解雇にならず働いてますな(笑)

何を買ったか・・・実は判るのは随分先です💦
少し待っててね!

2019/07/16 (Tue) 22:50 | EDIT | REPLY |   

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