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花沢類のチャルダッシュ・・・何処かで聞いたことがある曲だったけど、こんな風に生演奏で、しかもバイオリンで聴いたのは初めてだったからすごく感動した。
そもそも楽器と言えばカスタネットとリコーダー、よくてハーモニカぐらいの世界で育った私だもの、ピアノ伴奏つきバイオリン演奏だなんて格好良すぎて震えが来た。

チクッとするのはピアノのお嬢様が彼の横から動かないこと。もう拍手も貰ったんだからその横を離れたら良いのに!
・・・なんて思っていたら、逆に花沢類の腕を掴んだ?!


「ええっ?!あ、あれは何?!どうすんの?」

ハッと口を手で覆ったけど近くに居た人が私を見た!慌てて大柄な道明寺さんの後ろに隠れたら、この人も驚いて「何すんだ!」って怒鳴るし。
でも隠れたはずの道明寺さんの腕を持ち上げて脇からひょいっと覗いたら、お嬢様は彼から離れて会場に戻るところだった。
その時にちょっと怒ったような顔してたけどどうしたんだろう?まさかこんな所で喧嘩?


「てめぇ、何しやがる!俺を何だと思ってんだよ!」
「あっ、ごめんなさい・・・ねぇ、道明寺様、何かあったの?どうしてお嬢さま、ご機嫌悪そうにしてるんですか?」

「は?あぁ・・・普通こう言う場では、この後あの女をエスコートして戻ってくるんだ。でも類はそう言う事が嫌いだから毎年無視すんだ。で、最後には女が怒るんじゃね?俺も全然興味ねぇから知らねぇけど」

「へぇ・・・難しいのねぇ、こう言う世界って」
「その前に俺の腕を離せ!」

「あっ!申し訳ございません!」


道明寺さんの声も大きいから周りの人がまた見てる。
それに何故かみんな真っ青になってる。その理由はさっぱり判らなかったけど道明寺さんの腕を離して横に立ち、フッと見上げたら・・・この人は真っ赤だった。

変なの・・・みんなで青くなったり赤くなったり。



「つくしちゃん、司と聴いてたのか?」
「恐ろしくて音なんて聞こえなかったんじゃね?」

道明寺さんと一緒に居たから目立ったのか、会場の奥から2人組もやってきた。この2人が動いても色んな所からザワザワと声が聞こえるし、お嬢様達の目の色が変わる。
さっきまで花沢類を見て真っ赤になってたクセに今度はこっち?それも無理ないほど格好いい事は認めるけど。


「あっ、西門様、美作様」

「うわっ、気持ちわる・・・俺達は普通に呼んでいいけど?」
「そうそう、俺達は花沢の人間じゃねぇし」

「仕事中は類様のお友達ですからそういう訳にはいきません!・・・勤務外だったら普通にします」


使用人服の私の回りには背の高いイケメンが3人・・・気のせいか綺麗なジャガイモ達の視線がグサグサ刺さるんだけど。
あら?あれはさっき玄関で見掛けた何処かの和泉ちゃん。あれだけ花沢類を探していたのに、今度はこの3人にうっとりしてお父様に何か言ってる。誰でもいいって事なのかしら?

そして当然先輩達が血相変えて私を呼びにやってくる。
その時にまた道明寺さんが「こいつは俺が使用中だ!」・・・いや、そんな馬鹿な!って思ったけど、それで先輩達はみんな消えて行った。

でも、こんな所を旦那様や奥様に見られたらヤバい・・・だから仕事場に戻ろうとしたら、また旦那様の声が響いた。


「如何でしたでしょうか?ピアノ伴奏の仙道明奈さん、本当にありがとう。おかげで類のバイオリンもいつも以上に良かったように思います。それではもう1曲・・・実は初めてだと思うのですが妻、麗華と類の協奏です」

その発表と共に会場では「おおーっ!」、と歓声があがった。
そしてまた花沢類がバイオリンを持ってステージ中央に・・・そして奥様が類の横でにこやかに挨拶をしてピアノに向かった。

奥様が伴奏・・・やっぱり弾けるんだ!って事にも感動したけど、こうしてみると美男美女の親子。お客様達からも「素敵なご家族ねぇ・・・」との声が。
うちのママ、何か出来るんだっけ?って考え込んでしまった。
頭に浮かんだのは鍋の蓋でシンバル・・・いや、これから演奏だから想像するのはやめよう。


「2曲目、これも誕生日っぽくはないのですが、実は本人の希望なのです。曲は日本のピアニストであり作曲家でもある加古隆さんの『黄昏のワルツ』・・・ご存じの方も多いと思います。この曲には『明日への希望』の想いが込められているそうです。
是非、皆様にもそのように感じていただけたらと思います」

黄昏のワルツ?・・・聴けば判るのだろうかと思ったけど、名前だけじゃピンと来なかった。
そして花沢類はここでも奥様と軽く打ち合わせしてるみたいで、やがて2人が姿勢を正すとさっきのように会場がシーンと静まった。


花沢類の合図で奥様の腕が動いた。

こっちも出だしはピアノ・・・ただ、さっきのお嬢様の音とは全然違う。
音楽を知らない私でも一瞬で背中がゾクッとした。そして流れるような音が続いたら、花沢類がバイオリンを構えた。

そして美しいメロディーが・・・私はそれを聴いた10秒後、既に涙が出そうだった。


何故か、なんて判らない。
すごく綺麗な音で、すごく優しい音で、すごくすごく胸に響いた。
こんな音が世の中にあるんだって、素直に感動してさっきよりも足がガクガクしてる。

ステージで弾いてる彼以外が私の視界から消えて行くみたい・・・ここがお屋敷の大広間じゃなくて、大自然の中で夕焼けに包まれてるみたい。
私はそんな光景を頭の中で描いてるんだ・・・そんな風に思わせることが出来る人って居るんだ。


奥様のピアノも、花沢類のバイオリンもまるで楽器が生きてるみたい・・・気が付いたら私は自分の顔に両手を当てて泣いていた。


そして終わったらさっきよりもすごい拍手だったけど、私は逆に手が動かなかった。
拍手したいのに、大声で何かを叫びたいぐらい興奮してるのに、弾き終わった花沢類を見ていたら何も出来なかった。




**********************




黄昏のワルツ・・・この伸びやかで美しい旋律が好きだった。
全然バースデーパーティーには相応しくないんだけど、華やかでもないし楽しい曲調でもないけどこれを弾きたかった。
勿論母さんとも合わせてないけど、知らない人間の伴奏でこの曲を弾きたくなかった。

そしてこれを聞かせたかったのは牧野。
理由はピアスのお礼・・・ってことにしておく。


そして弾き終わったら・・・すぐに1番後ろの牧野に視線を移した。



あれ?・・・拍手なしってどういう事?!
これだけ頑張って気持ち込めて弾いて、自分で言うのも変だけど練習よりかなり上手く弾けたんだけど?!

拍手もせずにボーッと立ったままあの3人に囲まれて、そのうち凄い勢いで向きを変えて出ていった・・・!

母さんは俺よりも感動したのか、ピアノから離れると自分から俺に抱きついてきて号泣・・・でも、俺はそんな母さんに言葉を掛けることも出来なくて牧野が出ていったドアを睨んでいた。



パーティーは後半になり、俺は自分のバイオリンが終わったらする事もない。
だから司達が居るテーブルに向かった。その途中に色んな奴等から「素晴らしかった」の声は貰うけど、それには軽く礼を言って通り過ぎ、立ち止まることはない。
そして彼奴らの前に行ったら、「なに怒ってんだよ!」って言われた。


「別に怒ってなんかない。怒るような出来事もなかったし」

「だったらもう少しニコッとしろよ!目出度い日なんだろ?」
「ほら、周りをよく見てみろ?すげぇ美人がいるぞ?一緒に行ってやろうか?」

「何回も言うけど総二郎が1人で行けばいいだろ。俺、興味ないし」

「いやいや、興味とかの問題じゃないって!健康的な19歳になろうって話だよ」
「そうそう、19歳にもなって女の1人も居ないってのは情けないって!取り敢えず誰かと過ごしてみ?色んな発見があるかもよ?」


誰かと過ごしてみろ?
朝から晩まで横に居るけど?世にも珍しい生き物が。

色んな発見?
あぁ、もう何回か発見というか事件は見た。それがなに?・・・って言うか、司の様子がおかしかった。

毎度の事で恐ろしい顔してるけど、ドアの外・・・牧野が走り去った方をやたらと気にして何度も振り返ってる。
それを見て総二郎もあきらも笑ってるけど俺には何が起きたのかさっぱり・・・。

そんな司を見ていたら、あきらがボソッと耳元で囁いた。


「司、あの子の事が気になるんじゃないのか?」
「・・・あの子って・・・牧野?」

「さっきもな、お前の所の使用人がつくしちゃんを呼びに来たんだけど追い払ってさ。司がそう言ったからつくしちゃん、類のバイオリンが最後まで聴けたんだぜ?」
「・・・司が追い払った?」

「んで、つくしちゃんがお前のバイオリンに感動して泣いちゃってさ、そうしたらすごく慌ててオロオロしてたし!」
「牧野が・・・泣いた?」

「ボロ泣きだったぜ?2曲目なんて震えてたもんな~!多分、こんな形で音楽聴くのなんて初めてだったんじゃねぇの?
今時演奏聴いて泣くなんて純情な子が居るとは思わなかったわ。殆どの女が類の姿しか見てねぇしな」

「・・・・・・泣いたんだ」


・・・じゃあ、さっき走って出ていったのは泣いてたから?

そう思ったら、俺も司と同じ顔してドアの外を眺めていた。



夕方になってパーティーは終わり、招待客達を両親と一緒に見送った。
その時に使用人達も俺達の後ろで並んで頭を下げているのに牧野はその中にいない・・・何度か振り向いて確認する俺を母さんは不思議そうに見ていた。

最後まで残っていた幼馴染み達が「飲みに行くか?」なんて言うけどそれには答えずにいたら、どうやら3人で行くみたい。
それでも別に取り残された気分にもならないから、肩を組んで出ていく悪友を見送った。


「じゃあな!今度は大学だな!」
「まさか一緒に来るのか?そんな事したらつくしちゃん、マジでヤバいぞ?」

「まさか。あいつは1人で行くって決まってるから。そんな事をお前等が気にしなくていいよ。司は・・・アメリカに戻るの?」


「あぁ、俺は4月にはニューヨークに行く。もう大学なんて通ってる暇はねぇな」

「・・・そう。じゃ、またいつかね」


司がアメリカに戻る・・・それを確認したら何故かホッとしてる自分が居た。





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黄昏のワルツです。よかったら聞いてみてください♡

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2019/07/22 (Mon) 02:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、おはようございます。

素敵な曲でしょう♪
本当はピアノ曲なのでどうしようかと思ったんですが、どうしてもこれにしたかったんです♡
映像の中でピアノを弾いてる方が作曲された加古隆さんです♡

ふふふ、もう1曲ありますから待ってて下さいね~!
それも多分ご存じじゃないかと思うのですが。

そうですねぇ(笑)
いつ頃そんな仲になるんでしょうか、この2人。
でも随分近づいた感じはありますけどね♡

恋人にになってもこんな感じだと思いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです♥

2019/07/22 (Mon) 07:53 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/22 (Mon) 11:09 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/22 (Mon) 12:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは🎵

了解で~す♥️

2019/07/22 (Mon) 12:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

この曲はホントはピアノ曲ですからバイオリンの為の曲じゃないんだけど、私が好きなんですよ(笑)
綺麗な曲でしょう~♥

で、後半がつくしには爆笑しました!
確かにね!言えてるっ!いや、よく思い付くよね~!(笑)
ついこのコメントの後に聞いてしまいました。

「あぁ、ここつくしちゃんね!うんうん、成る程~!」


麗華ってそうだったっけ?(笑)
あの将棋の駒みたいな顔の人でしょ?総ちゃんのお見合い相手のね?
なんか麗の字は使った気がする(笑)

後で見てみよう💦

私、類君のお母さんはいつも「はるかさん」に決めていたと思うんだけど、何故か変えたかったんですよ(笑)
因みに総ちゃんのお母さんはずっと「美和子さん」です♥

仙道明奈ちゃんはね・・・本当に適当💦
何話も同時進行だとオリキャラさんの名前にはホント、苦労します。
ゴチャゴチャになるからね~💦


このままいい感じでお誕生日が終わればいいんだけど・・ふふふ、最後の曲はこの後で♥

2019/07/22 (Mon) 22:52 | EDIT | REPLY |   

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