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一晩思いっきり落ち込んで、考えても仕方ないと諦めた。

牧野つくし、立ち直りの速さは天下一品!
今日はもうすっかり元通り、雑草根性で元気いっぱい!って自分に言い聞かせた。

「やるしかないのよ!家庭教師を頼むお金なんてないんだから自力で猛勉強して何とか特待を維持したらいいんでしょ?それに万が一成績落としたら大学辞めればいいんだし!」


あれ?大学を辞める=就職をする。
・・・って事はこのお屋敷でのバイトは終わり?それって最初に考えてたことだったような?


「・・・・・・・・・・・・」

いや、勉強が始まってないうちから悩むのは止めよう。

とにかく今はバイトに集中しなくっちゃ!
今日から花沢類を時間通りに大学に送り出さなきゃいけないんだからって気分を入れ替え、身支度を整えて6時丁度に彼の部屋に向かった。


コンコンコン♪

「おはようございま・・・・・・あれ?」
「・・・おはよ」

どうしたんだろう・・・目の前の光景は幻?とうとう幻覚見ちゃった?
私が花沢類を起こしに行ったら、既に目の前のソファーに座ってる彼を発見・・・しかも寝癖はついてるけど服は着替えてる。
おまけにカーテンが開いてる(リモコンのスイッチ押すだけだけど)。


「どうしたんですか?類様・・・自分で起きたんですか?」
「・・・目が覚めただけ。助かるだろ?揺すらなくて済むんだから」

「確かに。やれば出来るんなら普段からしましょうよ!さっ、早めに寝癖を直しましょ?本日の荷物は揃えてますか?」
「・・・多分、何処かに・・・」

「はぁ?遅刻はダメですからね?それにしても、新学期からそんな真っ黒クロスケで大学に行くんですか?」
「真っ黒クロスケ?」


だって黒のシャツにブラックジーンスなんだもん。
新学期なのに滅茶苦茶どんよりしそうじゃない?それならせめて上のシャツを白に変えたらいいのに・・・そう思って白いシャツをチラッと見せたら逆にジロッと睨まれた。

はいはい、そこは立ち入りませんよーだ!


いつもより手間の省けた朝の仕事、子宝弁慶草の様子もまずまず良さそうだし。これならドタバタせずに大学に行けそうだと、花沢類を連れてダイニングに向かった。


「類様、今日からお勉強が始まりますからきちんと食べて下さいよ?えーっと、今日のパンのジャムは・・・」

はっ!ジャム・・・そう言えば私が初めてここに来た時に花沢類はフランス語のジャムの瓶を読んでくれたっけ?
もしかして、この人・・・フランス語が出来るとか?

今日も新しいジャムがテーブルに置いてあって、私はそのジャムを持ったままラベルを睨んでいた。これもフランス語・・・なんて書いてあるのか全然判らない。
それを無言で花沢類に見せたら、ひょいっと覗いて・・・

「それはChristine Ferber(クリスティーヌ・フェルベール)のジャムでグリーントマトとオレンジアメールってヤツ」
「類様、もしかしたらフランス語が出来るんですか?」


「まっ、牧野さん!何という事を!!」

いきなり壁際から聞こえてきた怒声は加代さん?!私の質問を聞いて慌てて駆け寄って来た。
そして私の腕を取って花沢類から引き離し、たまーに見せる怖い顔と低めの声で説明された。


「初めにお話したと思うのですが、花沢物産は日本とフランスを拠点に世界中で事業展開している企業です。
類様はそこのご子息、フランス語は幼少の頃より身に付けられておられるので英語共々日常会話程度は総てマスターしておいでですよ?それなのに『出来るんですか?』とは何事ですか!」

「・・・つまり、ペラペラって事ですか?」

「勿論です!フランス語だけではありません。イタリア語、スペイン語、ドイツ語も・・・」
「ドイツ語も?!」

「・・・は?えぇ!そうですわ。中国語もロシア語も方言などの特殊なものでない限りお話しになれます!」


クルッと振り向いたら、何気に得意気に見える花沢類の顔。
これって凄くラッキーじゃないの?!こんな所に超暇人の家庭教師発見っ!


「類様、それではこちらのジャムを塗りますから召し上がって下さいね♥」
「・・・やめてよ、♥マーク付けて話すの.」

「そう仰らずに♥ヨーグルトに新鮮バナナも入れて差し上げますから」
「・・・だからいいって!」

「実は特待生、再来週早速試験なんですって。類様、可哀想な牧野をお助け下さいませっ!」
「・・・・・・・・・」



**



朝の仕事が終わったら、大至急着替えてお屋敷を出ないと1番初めの講義に間に合わない!
だから8時になったら速効着替えてダッシュで裏口から出ていった。

その前に特別手当の対象、(とは本人に言えないけど)花沢類には絶対に大学に行くように伝え、学内では絶対に話さないようにと念押ししておいた。
それを聞く時も知らん顔・・・でも黒いシャツを白いシャツに変えていたのには少し驚いた。

なんだ・・・案外素直じゃない?なんて。



そして大学に着いたら早速外国語学科のガイダンスが行われる教室に向かった。
この時は学生証を受け取る都合から、学生番号順に席が指定されていた。

英徳大学の外国語学科は145人が定数、そして私の学生番号は「110」。受験番号の「49」といい、嫌がらせか?と思ったけど・・・まぁ、覚えやすい。
その110番の席に座っていたら、後ろの席から女の子達の話し声が聞こえた。


「昨日さ、新入生の挨拶した仙道さんっているじゃない?あの方、花沢類様の婚約者なんですって!今朝、すっごく嬉しそうにそんな事言いながら登校してきたって国文科の子が言ってたわ」
「うっそーー!類様の?聞いたことないわよ?」

「先月の類様のお誕生日、バイオリン演奏のピアノ伴奏をご本人から直接依頼されたらしいわ。ご両親公認ですってよ?」
「うわぁっ、ショック~!類様と恋なんて出来るとは思わなかったけど、1回ぐらいはお話ししたかったのになぁ~」

「止めた方が良いわ、仙道さんって嫉妬深そうだし」
「そうそう!通ってた高校から取り巻き2人連れてこの大学に来たじゃない?その高校に通ってる子に聞いたけど、かなり気が強いらしいわ」

「え!類様、そんな人が好きなの?」
「もしかしたら引っ張って欲しいタイプの甘えん坊?いやん、それも可愛いけど~!」


・・・・・・あの人が花沢類の婚約者?
うそっ・・・そんなの聞いたことないけど。

それに私が働き始めて1ヶ月経つけど彼は殆ど出掛けてないわよ?あのモノトーンの部屋で1日中寝転んでいたはず・・・そんな甘い空気も雰囲気も全然無かったけど?
引っ張ってくれるタイプが好き・・・えっ?!私、布団なら引っ張りまくってるけどそれはダメなの?!


この後すぐに説明会が始まったけど、私の頭の中は今の話でいっぱい・・・教授達の言葉は頭になんて入らなかった。


午前中の説明会が終わってお昼休みに入った時、経済学部がある校舎に向かった。
どうしてそんな事をしたのかは判らないけど、兎に角足が勝手に・・・勝手にそっちに向かっていた。
外国語学科からすごく離れてて真反対の場所なのに、勿論初めて行くから近道も知らないのに・・・何故か喉の奥が締め付けられるように痛くて、ゴミでも入ったのか目だってウルウルしちゃって。

お昼だからバラバラと人が彷徨き始めた通路を、人の流れに逆走しながら経済学部を目指した。


その時に私の前方から歩いてきた2人組・・・花沢類と美作さんだ。


でも話し掛けられない。ここでは私と花沢類は知り合いじゃない。
今朝もそれを念押ししておきながら私が会いに行ってどうするの?

向こうも私に気が付いたけど同じ事を考えてるから無視して素通り・・・美作さんもチラッと見ただけで声も掛けてくれなかった。
ぼーっと立ってる私の横を、フワッといい香りだけを残して通り過ぎていった。


花沢類、本当にあの人と婚約してるの?


何だろう・・・私、どうしちゃったんだろう。

胸が・・・・・・胸がすごく痛い。





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Comments 4

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2019/07/29 (Mon) 06:48 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/29 (Mon) 09:13 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

何気にご機嫌な類君♡早起きまでしちゃいました(笑)
これはもう同じお部屋でお勉強が始まりそうですねっ!

問題は明奈さん・・・ははは!痛い人なのかも知れませんね~💦
ご自分に相当自信があるんだろうと思います。

ただし、相手が類君なのでナイスバディだろうがバッチリメイクだろうがジャガイモに変わりはないんですけどね(笑)


でもこのぐらいでつくしちゃんと類君がお互いに気付くかどうか(笑)
鈍感と天然には困ったもんですね!

2019/07/29 (Mon) 11:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

英徳大学がどんな広さか判んないけど・・・大学内の端から端ってめっちゃ離れてるケースがありますよね(笑)
京都でアパート探した時に京大の広さにビビった記憶があります。

私が住んでる地域の大学って小さいのよ💦
それに高校みたいに校舎が3棟、4棟とかじゃないですもんね!

つくしちゃん、よく判ったなぁ(笑)
そしてよく出会ったなぁ(笑)


さて、出会っても無視した類君・・・どうする?

2019/07/29 (Mon) 11:59 | EDIT | REPLY |   

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