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リビングを出たのはもうすぐ日付が変わる頃・・・離れに戻ったら留守番をしてくれた小夜につくしは何度も頭を下げていた。
「起きてこなかったよ」と聞いて一安心、俺達は小夜にもう1度礼を言ってドアに鍵を掛けた。

そのままつくしの肩を抱いて寝室に向かい、中に入るとこいつは照れながらパジャマを手に持った。今更なのに「向こう向いて!」の言葉に苦笑い・・・「はいはい」と言いながらしっかり着替えは見せてもらった。

でもその時に目に入った背中の痣・・・思わず手が伸びてつくしを抱き締めた。

「・・・総?」
「綺麗な肌なのにこんなにしやがって・・・俺が居ないと無茶するから」

「そんなに酷い?自分じゃ見えないもん・・・」
「見なくていい。すぐに消えるから」

そう言って背中にキスしたら「ひゃあっ!」って色気もない声を出し、それが子供部屋に聞こえたら不味いと慌てて口を押さえていた。流石に脳震盪直後で全身打ち身だらけのつくしに無茶は出来ない。だから「今日はこのまま大人しく寝るか」って言うと、疑いの眼差しで見られた。

まぁ・・・当たり前か。


「ホントだって!でも、少しだけこの先の話をしねぇか?横になったままでいいからさ」
「・・・この先?うん、そうだね・・・」


差し出した手を今度は疑うこと無く取ったが・・・「隙あり!」って事で引き寄せてキスをした。

それは全身が蕩けそうな甘いヤツ。
不意をつかれたつくしがジタバタするのを押さえ込んで、その唇を塞いでやった。
そして少し離したら「・・・馬鹿!」って涙目になってやがる。それをクスクス笑いながらベッドに傾れ込んだ。


でも本当に今日はここまで。
紫との話は終わったが、離婚時期や発表をどうするかは何も決まっていなかった。口煩い後援会や地方支部への連絡、ここまで準備しておきながらの披露宴の中止・・・西門としては問題だらけだ。
そんな時、急につくしを連れて帰る訳にはいかない。

この事態が落ち着いて、紫の次の生活が安定してからじゃないと次の段階に進めない。


「・・・・・・だからまだ時間が掛かると思うんだ。宝生も納得済みだから離婚に問題はないと思うけど、今度はつくし・・・お前を受け入れるための準備をしないといけない。意味、判るか?」

「私、本当に西門に受け入れられるの?」

「今のままじゃ無理だ。取り敢えず茶道を思い出さねぇとな・・・その為の稽古をつけてやる。
どうせ離婚が成立しても最低半年は再婚なんて認めないと思う。だが紫音たちの事があるから籍を入れるのが後になっても先ずは西門に住まわせたいってのが俺の希望だ。
それにあいつらを幼稚舎に入れるなら1年後、その時には西門紫音、西門花音として通わせたい。今からそれに向けて動いて行こうと思う」

「西門紫音かぁ・・・ふふっ、素敵だね」
「あぁ、楽しみだ」


この後、夢子おばさんの前では言わなかったがお袋が病院に来たことを教えた。
俺があきらからの電話で慌てて屋敷を飛び出たから、何かが起きたと思ってあの病院に足を運んだと言えばつくしは驚いていた。

何故そんな事をしたか・・・


「お袋、正月明けに美作に出向いた時に紫音たちを見たんだそうだ。それで俺に似てるって思ったけど、その考えを自分の中で封印したんだってさ」

「じゃあ4年前のあの時、やっぱり私のつわりに気が付いてたの?」

「あぁ、そうじゃないかって一瞬思ったらしい。でも忘れてたんじゃないか?紫音と花音を見た時にそれを思い出したって言ってた。それで計算が合うんじゃないかってな。病院に急いだのは運ばれたのが子供だと思ったらしい。そしたらつくしだったから余計驚いていたけどな」

「私の事、家元夫人にバレたのね?お家元には・・・」

「親父にはまだ話していない。紫の事が全部終わらないと今の俺の状況じゃ不味いだろ?お袋はそれもあるから自分の胸の中だけに留めてるようだ。
お袋も先代や親父の言う事は絶対だという教えの中で生きてきた人だ。だから俺の気持ちを知っていても、お前に対して非情なことをしたと判っていても優先したのはそっちなんだろうな。俺はそういう部分も変えていきたいんだ。それにはやっぱりつくし・・・お前が適任だと思ってる」


俺の言葉を聞いてつくしがギュッと服を掴んだ。
そんな事したらヤバいんだけど・・・って、熱くなる身体の中心を抑えながらこいつを抱き締めた。


「・・・総、ありがと・・・」
「ばーか、これからのが大変だ。苦労すると思う・・・でも一緒に居るから」


デッカい山は越えた・・・久しぶりに身体の力が抜けた気がした。
隣で眠るつくしの寝息を聞きながら、あと僅かで夢が現実になると感じていた。



**



「くすくす、そうちゃんパパがいる」
「・・・よく寝てるね。もうこんなに明るいのに」

「・・・・・・・・・ん・・・」

「あっ、起きるんじゃない?」
「ママに言ってくる!きっとコーヒーのじゅんび、するんだよ!」


擽ったい声が耳元で聞こえたかと思ったら、パタパタと可愛らしい足音も響いた。
何気に手を伸ばしたら隣には誰もいなかったけど、その代わり何かが俺の上によじ登ってきた。
くくっ・・・『幸せの塊』だな、とすぐに判ったけど目が開けられなかった。マジ、こんなに爆睡したのは久しぶり・・・もう少し寝かせてくれよ、なんて親父臭い台詞が出そうだった。

でもそれを許さないって感じで俺の顔を突くヤツ・・・ガバッ!と両手で抱き締めて腕の中に丸め込んだら、そいつは花音だった。

「きゃはははははは!やめてぇ!そうちゃんパパ!くるしぃ~~!」
「・・・ダメ!悪戯したろ?」

「してない、してない!起こしてきてってママに言われたんだもん!きゃははっ!」
「・・・そっか、じゃあ・・・起きるか」

「うん、おはよう、そうちゃんパパ!」
「おはよ、花音」

「そうちゃんパパ、抱っこしたまま向こうにつれてって?」
「・・・・・・・・・」


不味い・・・すげぇ可愛い。
俺、この先花音が男連れて来たら殴るかもししれない・・・ニコニコ笑って俺にしがみつく花音を抱き締めてそんな事を考えた。


花音を抱き上げたままダイニングに行くと、こっちは紫音がつくしの手伝いをしていた。
と言ってもどうやらこの3人は朝飯を済ませたらしく、テーブルの上には1人分の食事しかなかった。それを花音に聞くと「食べたよ!」と元気よく言われ、こいつを下に降ろして1人淋しく椅子に座った。


「おはよう、総。よく寝てたねぇ~」
「・・・久しぶりに爆睡した。つくしは何処もおかしくないか?頭は?痛いところはないのか?」

「う~ん、身体中が痛いかな。昨日より今日の方が痛い気がする・・・特に足がね」
「そうか、痣だらけだもんな。まぁ、ゆっくりしとけ」


もう左手の包帯は外して絆創膏だけになってる。
それでもあちこちに内出血が見えるから痛々しい・・・本人はそれも勲章の1つだと笑ってたけど。


珈琲を飲んでいたら横から紫音が俺を覗き込んでる・・・どうしたのかと思ったら、朝早くにあきらが来たことを伝えられた。

「あきらパパはもう会社に行ったの。でね、そうちゃんパパが起きてるかって。ママに何か聞いてたよ?」
「あっ!紫音、それは言わない約束で・・・あっ!」

「・・・紫音、あきら、何だって?」
「えっとね~、ママにおちゃ、じゃなくてむちゃ?されなかったかって」

「・・・・・・へぇ、そんな事確かめるのか、あいつ」
「いや、それはほら・・・怪我の後だからだって!ふ、深い意味はないのよ!」


そう言うお節介は止められないのか、あきら・・・。


暫くしたらお袋から連絡が入った。
これから披露宴中止に関しての話合いをするから戻るようにと。

恐らく後援会幹部達が呼ばれて説明をするんだろう。一揉めあるかもしれねぇな、と急に気分が悪くなったが仕方がない。
つくしが不安そうな顔をするから「大丈夫だ」と言って朝飯を食ったら離れを出た。


「暫くは仕事が忙しいからここに泊まることは出来ないと思うけど、ママの言う事を聞いて喧嘩なんかするなよ?」
「「うん!判った!」」

「つくし、何処かの部屋を稽古場にするから片付けておいてくれ。近いうちにお前の茶道具一式持って来るから」
「・・・うん、判った・・・」

「そんなに心配そうな顔をするな。絶対に迎えてやるから」
「いや、お稽古が不安で・・・」

「そっちか!!」


苦笑いのつくしの両側に紫音と花音。
3人が離れの前で手を振って見送ってくれた。

この光景がいつか西門の門前で見られる・・・それを想い描きながら車を本邸に向けた。





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2019/08/01 (Thu) 14:57 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/01 (Thu) 14:59 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

あはは!それは・・・💦そりゃやばいですね・・・家元激怒かもしれません(笑)

でも本来の総ちゃんなら可能性大!です。
私の総ちゃん、なかなか避妊しないので(笑)💦今も既に危ない状況ですよね・・・。

いやいや、今はダメ!(笑)我慢しろ!総ちゃんっ!


とうとう明日の朝から始まります・・・それなのに突然の猛暑。
インコの置き場がないので玄関にしようかなぁ~なんて考えています。はぁ、憂鬱~・・・。

2019/08/01 (Thu) 23:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

うふふ、家族っぽくなってきました?
花音と総ちゃん、可愛いでしょ?

この辺りは私の希望が詰まっているので書いてて楽しいです~♥
小さい子の動きや仕草を表現するのは苦手ですが、娘の幼い頃を思い出して書いてます。

いつか花音も大きくなって彼氏を連れて来るのよ・・・ふふふ、総ちゃんよりいい男じゃないとダメですね!
そんなヤツが居るのかどうかわかりませんが。


多分誰も乗せないですよ(笑)
昔からそんな人です。なんかね~、1人が好きなんですよ、きっと。
そうじゃないとここから富士山見るために1人で走らないでしょ?(笑)

馬鹿か?って思いましたもん。

流石に船は誰かと行くみたい。
これは事故防止だそうです。真夏は行かないので、秋になったらバンバン沖に向かって行くんだろうと思います。

やれやれですよ・・・ほんと。

2019/08/01 (Thu) 23:25 | EDIT | REPLY |   

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