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夕食の時間になって花沢類とダイニングに向かったけど、諭吉50人にショックを受けて立ち直れなかった。
いや、それよりももっと他にショックを受けてると思うんだけど・・・それが何故だか良く判らない。

本当なら花沢類がキチンと食べてるか見ないといけないんだけど、胸が痛くて彼を真面に見ることが出来ない。そんながっくりきてる私を加代さんが今日も気にしてる。
千枚通しの時よりも不思議そうな顔・・・シャンとしないといけないって思いながら、加代さんの視線に気が付いても気分はどん底から這い上がれなかった。


「どうかしたの?また何か捜し物?」
「・・・いえ、そうじゃないんですけど・・・私、本当はここにバイトに来ちゃいけなかったんじゃないかって」

「あら、もう大学で問題が起きたの?バレてしまったとか?」
「いえ、バレてはないです・・・多分」

「言ってご覧なさい。私はここの使用人頭です。悩み事の解決も私の仕事ですから。向こうに行きましょう」
「・・・・・・加代さん」


離れているとは言え同じダイニング。
そこで話す訳にはいかないと、加代さんは私に廊下に出るように手で合図をした。その様子をチラッと彼が見たのは判ったけど、軽く頭を下げて私は加代さんの後についてダイニングを出た。

そこで「お話しなさい」と優しく言ってくれたから、今日大学で聞いたことを話した。

花沢類には仙道明奈さんと言う婚約者が居て、もう新婚旅行はモルディブに決めてること。婦人科検診とか積極的に受けてて出産準備も完璧、仕事に就くなら花沢物産で副社長の奥様のお手伝いと決まっている。
結婚式には道明寺さん達も出席して超豪華・・・自分でもう1回言葉に出したらもっとどんよりした。


「・・・・・・・・・・・・まぁ」

「お誕生日もイニシャル入りのブレゲの腕時計、500万円ぐらいのものを贈られたんですって。私、実はそれを踏んでしまったんです。だから類様が怒って・・・」

「え?類様が怒った?」

「多分、ご機嫌が悪くなったと思います。修理代金、立て替えてくれって頼んだからかもしれませんけど・・・」


ここまで話したらもう完全に腑抜け・・・私の首は90度折れ曲がっていた。

だってこれが事実なら、私なんてバイトに来なくて良かったじゃない?確かまだ4月はあのオンボロアパートの解約をしてない・・・もうここを引き払ってあの部屋に帰るしかないのかも。
貯金したかった480万円はやっぱり夢だった・・・また職業安定所に行かなきゃ。

今度はそこで加代さんに会っても知らん顔しよう・・・そう思って涙が溢れたのを手の甲で拭った。


「結論から申し上げますと・・・」
「・・・はい。もう判ってます。私、ここを出て行きます。私の役目は明奈さんに・・・」

「類様はどなたとも婚約しておりませんが?」
「やっぱりそうです・・・・・・はっ?!

「誰からそのようなお話しを聞かれたのか知りませんが、花沢家では類様に恋人1号が出来たことも把握しておりません。そこをすっ飛ばして婚約はまず有り得ないと思います。
それに仙道明奈様が婦人科検診を受けられるのは大変結構なことですが、真意の方は判りませんよ?もしかしたら逆の可能性もあります。大きな声では言えませんが」

「は?逆って?」

「・・・・・・お遊びが派手な方は何かとトラブルが起きるものです」

「・・・・・・・・・そっち?」

「だから判りませんよ?まぁ、類様がご結婚されるのであれば道明寺様、西門様、美作様はお揃いでしょう。これはお相手の方が誰であっても言える事です。そして花沢物産への入社は婚約者の方の能力次第です。語学に堪能か経済に堪能かエンジニアとしての才能に秀でているなど様々な理由が考えられます」


・・・って事はもしかしたらブレゲの時計も?!
イニシャル入り500万円はガセネタ?!それなのに花沢類、私に何も言ってくれなかったの?!

加代さんの話を聞いてブチッ!と何かがキレた。
そしてキッ!と振り向いて、ダイニングのドアをバン!と開けた!!

「牧野さん?!」って言う加代さんの声も無視!
ご飯食べてる花沢類にカツカツと足音響かせて近寄ったら、彼はフォークを口に咥えたままキョトンとしてる・・・そんな顔に騙されないわよ!


「本当は諭吉50人じゃないでしょーっ!!
類様の嘘つきーっ!!💢」


「・・・・・・・・・は?」


いや、つくし・・・そうじゃないってーーっ!!




**********************




夕食が終わっても凄く怒った顔で黙々とやり残した掃除をする牧野・・・そして何もしてないのに怒られてソファーで胡座かいてる俺。

ガラガラ、バンバン💢
ガチャガチャ、ドスドス💢💢
ドンドンドン、キュキュキュ💢💢💢

掃除するのにそんなに力入れていたら筋肉痛になりそうだけど?
そう思って牧野の動きを見ていたけど、夕食前の死にかけた魚みたいな動きとは全然違う。ものすごいオーバーリアクションで見ていて飽きなかった。

そしてゴミ箱の中身を捨てようとしてゴミ箱を自分で蹴っ飛ばしムッとしてる。それが可笑しくて「クス」と笑っただけでジロッと睨まれた。


「笑わないでくださいよ・・・そんなに可笑しかったですか?」
「いや、あんたの顔が可笑しくて」

「・・・そりゃ類様に比べたら可笑しいでしょうよ。ちょっと自分がイケメンだからって人の顔で遊ばないでください」
「どうしてそこまで怒るかな・・・あんたの勘違いでしょ?」


そう言うと持っていたゴミ箱を抱えたまま俺の前に突進してきて、すっごい眉を吊り上げて頬を真っ赤にさせた。そして右手でゴミ箱を脇に抱え込み、左では腰、両足は肩幅に広げて前のめり。
この体勢で何を言うんだろ?


「勘違いじゃないんですって!仙道明奈さん、自分でそんな事言ったらしいんですよ?!そんなの2人で話し合ったって思うじゃないですか!この前のパーティーのピアノ伴奏だって類様が依頼したんでしょ?」

「そんな訳無いじゃん。あれは母さんが頼んだんだけど?知らない人間と協奏するのは嫌だから2曲目は母さんに頼んだんだ。そもそもあんた、俺にそんな雰囲気あったと思うの?」

「なかったから腹が立ったんですよっ!」

「どうしてあんたが腹立てるの?」


「・・・・・・・・・えっ?!」


自分でもさっきは腹を立てたのに、今度はそんな質問をする・・・その答えが凄く気になるような、ならないような・・・自分で聞いておきながらほんの少しドキドキした。
今まで吊り上げていた眉はいきなり下降気味、使用人とも思えない暴言吐いてた口は鯉みたいに開けたまま。

俺はそんな牧野を膝の上に頬杖ついた姿勢で見上げていた。


「確かにブレゲの時計、修理代金は諭吉5人ぐらいだろうけど、あれが本当に仙道って子のプレゼントでも使う気は無いから修理なんて出さない。そして金額も多分80万ぐらいだと思うけど?」

「そ、それでも80万円?!」


「どうして腹が立ったの?」
「バ・・・バイト先が無くなると思ったからですよっ!またあのアパート暮らしに戻ると思ったら悔しくて!」


・・・ドキドキしていた俺の心臓が止まった。




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2019/08/01 (Thu) 07:28 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/01 (Thu) 09:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

2人とも子供みたいで可愛いでしょう?(笑)
そろそろこんな話数になったんですね・・・それなのにこの状況💦

読者様は焦れったくて仕方ないのでしょうかね?(笑)
私としては最終回までこの調子で行きたいけど、それだと怒られそう💦

明奈嬢ですか?ははは!
根性悪そうですもんね~!楽しくはないでしょうけど、お楽しみに♥

2019/08/01 (Thu) 12:58 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは!

えっ!心臓マッサージで良くない?
変な所をマッサージする気でしょ?

マジ、想像してしまった💦
あんな所やこんな所や・・・最後にはあそこ?

2019/08/01 (Thu) 13:00 | EDIT | REPLY |   

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