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次の日、大学に着いたら自分の教室に行かず、国文科がある第二東棟に向かった。
目的は仙道明奈への忠告・・・いい加減な噂をこれ以上口にしないように話すためだった。

ズンズン歩いて行ったけど目の前の廊下がすごく空いてる・・・って言うかみんなが避けていく。どうしてだろうとそこら辺に居る学生をチラッと見たら全員ビクッ!と肩を竦める。

国文科の学生は変わってるな、と足を進めたら前方で総二郎がキョトンとした顔で立ってた。


「・・・どうしたんだ、類」
「なにが?ちょうどいいや、教えてもらいたいんだけど」

「いや、だからどうしてそんな恐ろしい顔して歩いてるんだ?誰かが俺に言いに来たんだよ、お前がめっちゃ恐ろしい顔して国文科の廊下に出没したから理由聞いてくれって」

「・・・は?恐ろしい顔?」


出没・・・人を熊みたいに。

・・・まさかそれで学生達が道を空けてたのか?
驚いて廊下の窓硝子に映った自分の顔を見たら・・・確かに恐ろしかった。いつの間にこんなに眉間に縦皺入れてたんだろうって自分でも驚いた・・・で、全然気が付かなかった。


「それで?何が知りたいんだ?」
「昨日言ってたあの子に文句を言いたい。何処の教室に居るか判る?」

「あぁ、仙道明奈?それならこっち!なんだ、つくしちゃんと喧嘩になったのか?怒ったらグーで殴りそうだよな~!」
「殴られてはないけど泣いたり怒鳴ったり大変・・・・・・どうでもいいだろ、そんな事」

「泣かしたのか!可哀想に・・・俺が慰めてやろうか?」
「余計なお世話」


総二郎の慰め方が通用するとは思えない。
・・・と言うか総二郎の方が自信を無くすと思うけど?
顔傾けて流し目したって、簡単にその視線をひょいっと避けちゃうよね。『抱き締めてもいい?』なんて言ったって『暑苦しくないですか?』とか言いそうだし。

いや、そんな事より今は片付けなきゃいけない問題があるんだった。


総二郎に連れられてとある教室に行くと、そこで彼女を呼んでもらった。
当然と言えばそうなのかもしれないけど教室中から奇声があがる。総二郎がそれに軽く応えるから余計にエスカレートして、俺達の前にはカジュアルなジャガイモ達がズラリ。

その中から少しだけ覚えがある仙道明奈が頬を赤くして現れた。
・・・あぁ、チャルダッシュの時の子・・・こんな顔だったかもって、その程度の記憶しかなかった。


「類様、おはようございます。ここまで会いに来てくださったんですか?明奈、嬉しいです!」
「・・・会いに来たんじゃなくて忠告しに来たんだけど」

「あらっ、もしかして噂のことかしら・・・いやだわ、明奈、そんなに広めるつもりはなかったのにちょっとだけお友達に話したら大袈裟に伝わっちゃって・・・。恥ずかしかったですか?ごめんなさい、類様・・・怒らないで?」

「恥ずかしいとかじゃなくて迷・・・」
ああーっ!!明奈ちゃんだっけ?まだ全然決まってもないのにって事だろ?そう言う話はあんまり早くから広げると逆に纏まらないから止めた方がいいぜ?なっ、類、そう言う事だよな!」


・・・・・・ここで騒ぐなってこと?
総二郎が脇腹をドスッ!と小突いて「いいから学内で揉ますな!」の囁き・・・でも、この明奈って子の照れ笑いに反省の「は」の字も感じないんだけど。
それが許せなくてジロッと睨んだら、流石にションボリした顔になった。


「あ、あの時計は気に入っていただけました?特注で急がせましたの。RとA・・・気が付いていただけましたかしら?私たちのイニシャルを入れていますのよ?」
「・・・悪いけど時計は自分で選んだものじゃないと嫌なんだ。気持ちだけ(収納庫の中に)もらっとく」

「では来年は一緒にお買い物に行きませんか?明奈、類様のお好みを全部知りたいんですもの・・・」
「好みがなくて困ってるぐらいだから教える事なんて出来ない。それよりもう何も送らないでくれる?」

「えっ・・・でも来年のパーティーでも私にピアノをお任せくださいますよね?」
「今後のピアノ伴奏は全曲母に頼む事に決めた。あの人の伴奏が1番合わせやすいから」

「そんな、類様っ!」


本当はこんな優しい言葉じゃなくてもっと怒鳴りたかったけど、確かに揉め事は面倒臭くてキライ。
いつもの俺なら何を言われても多分無視したはず・・・そう思うと今の状況も自分では不思議だった。総二郎もこんな俺の態度を可笑しく思ったのか、この後ザワついた教室の後始末をしてくれた。


「類~、女の子にそんな言い方するかぁ?ごめんな、明奈ちゃん。こいつ、マジで変わってるからあんたには無理かもよ?そう言う事で今日からその口は閉じときな?その方があんたの為だから」

「・・・えっ?でも類様は小さい頃に私の事を好きだって・・・」
「残念だったな~!類は日常の些細な出来事なんてせいぜい3日分しか記憶出来ねぇんだよ。それにガキの頃なんてそこら辺の犬にも告ってたぜ?」

「それ、どう言う意味で・・・」
「判らない?はっきり言った方がいい?」


総二郎もさり気なく明奈に釘を刺してニコッ・・・と笑ったけどその目が俺よりも怖かった。
明奈はそれに気が付いたのかもしれない。ビクッと身体を震わせたらクルリと向きを変え、教室の奥の方に逃げていった。

ギャラリーのジャガイモ達は何が起きたのかさっぱりって感じで、「婚約の話は?」なんて言うヤツも居る。其奴らにもジロッと視線を向けたら怯えて背中を向けられた。


このぐらい脅しておけば大丈夫か・・・と、俺も自分の学部に戻った。




***********************




1時間目が終わって、次の講義の準備をしていた。
今度の教室は・・・なんてブツブツ言いながら鞄に道具を片付けてたら横を通り過ぎた学生達の話を聞いてしまった。

聞こえてきた名前が「仙道明奈さん」・・・それにビクッとして顔をあげると、どうやら国文科の学生みたいだった。


「そうなのよ・・・まさかだよね~!」
「おかしいと思ったわ。だって類様でしょ?今まで噂になった人なんていないのよ?もしかしたら女性がダメなんじゃないかって噂が出たぐらいだもん」
「そうそう!いつも傍に居るのはあの3人だったもの」

「大体どんな人なの?誰か仙道さんの事知ってる?ホントに類様のお知り合いなの?」
「あの人外部から来てるから情報無いのよ」
「それにしてもよ!私なんて昨日ショックでご飯食べられなかったのよ?」


「・・・・・・・・・」

花沢類の婚約の噂が出鱈目だってもう知られちゃったのかしら。
この人はショックでご飯食べられなかったの?私もショックだったけど・・・夕食は残さず食べたわ。

それに女性はダメ・・・?
あら、じゃあお仕事以外でも部屋に入ってる私はやっぱり女性扱いじゃ無いって事?


「まぁいいや!(花沢類に)教えてもらったところをもう1回覚えよっと!」


大学でこれ以上間違った噂を聞かないのならいい。
彼に恋人1号がまだ出来てないのは知ってるもん!大学卒業までお屋敷に居るって言ったもん!


たったそれだけの事で鼻歌まで出ちゃう私は、元気よく次の教室に向かった。




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2019/08/03 (Sat) 08:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

まずひと言・・・大丈夫じゃありません(笑)
全部の窓を塞がれて蒸し風呂の中です(笑)

衣装をおいている部屋が2階なのですが、そこには行くことすら出来ません。エアコンも効かない状態です。
自分の作業部屋に閉じ籠もっていますが、昨日工事中にどうやら何かが起きたらしく我が家だけが停電しました。エアコンが付かないのも大変でしたが、ネットが切断されてどーしようかと思いました。

えぇ、地獄でした。もうお話しどころじゃありません(笑)

今は復旧して生きています。


お話し・・・明日も更新出来たらいいけど・・・根性が出るかどうか(笑)

2019/08/03 (Sat) 12:49 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/03 (Sat) 14:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

あっはは!恐ろしい顔の類君・・・どんだけ怖かったんでしょうね!
でもきっと格好いいのよ(笑)

怒った類様も素敵♥って感じで。

で、総ちゃんは笑いながら怒る・・・これはこれで超怖い。
でもやっぱり格好いいのよ~!

要するになんでもいいのよ、F4は。


えっ?!・・・・・・・・彼女1号が居ないので・・・まだじゃない?
だからきっと初めて同士で超ソフトな感じ?(楽な道を選ぶ私)

2019/08/03 (Sat) 21:52 | EDIT | REPLY |   

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