私の帰る場所・248
3月になってすぐの日曜日、今日は道明寺と花沢類がここに来る。
数年ぶりの再会だし、これまでの事もあるしで凄く緊張してるけど、子供達の前で騒動も起こさないだろう・・・と、思いながらも道明寺の怒声と花沢類の所構わずのハグが来たらどうしよう・・・。
それを子供達に聞かれたり見られたりしたら・・・それが心配で落ち着かなかった。
『多分、司の車で類と一緒に来るはずだから俺はその前にそっちに行くわ。じゃないと不安だろ?あきらも居るけどあいつだけじゃ何かあっても止められないと思うし』
「何かあるって・・・やだ、そんな事言わないでよ!早く来て?お願い、総!」
『午前中に茶会1件抱えてんだ。それを終わらせてからになるけど司達にもその時間は伝えてあるから大丈夫・・・だと思う』
「なるべく早く来てね?絶対だよ?!」
『そこまで怯えなくてもお前には何もしねぇって!』
そうじゃないわよ!あの恐ろしい道明寺の顔と、何するか予測不可能な花沢類なのよ?
しかも総そっくりの双子を見たらどうするのか・・・考えただけでも恐ろしかった。それに暴れん坊の花音がもしも道明寺に反抗したらどうしたらいいの?って悩んだ時に部屋が静かなことに気が付いた。
「あれ?あの子達、何してんのかしら」
リビングに2人の遊び道具はあるけど本人達が居ない。
慌てて玄関に向かったら靴がない・・・それなら庭の芝生で遊んでるのかな?
「ひと言言って欲しいわ」なんてブツブツ言いながら、それでも敷地から出ることはないから気にせずに掃除機を掛けていた。
*********************
<side類>
「・・・ねぇ、良かったの?総二郎の言う事聞かずにこんなに早くにあきらんちに向かって。しかもあきらにも何も言ってないでしょ?」
「別に問題ねぇだろ。総二郎が居たらあいつが自分に都合よく話すだろうからこの方がいいんだよ!」
「・・・・・・うん、俺はいいけどさ。牧野が困らないかなって思うだけで」
「なんで困るんだ?気にすんな!」
司の運転であきらの家に向かう途中、言葉とは裏腹にワクワクしていた。
・・・何年ぶりだろう。
俺達の中で総二郎を選んだことは正直ショックだったけど、牧野が笑ってるんならそれでいい。もう1度あの笑顔が見られるんなら・・・って思ってた。
懐かしい風景を窓の外に見ながら、もうすぐあきらの屋敷だって所でふと気が付いた。
「ねぇ、何か持って行かなくていいの?」
「は?何をだ?」
「あきらの子供。総二郎が言ってたじゃん、3歳の双子が居るって。子供ってさ、手土産好きなんでしょ?」
「・・・・・・何を買うんだよ」
「定番はケーキだけど、おばさんが作るからなぁ・・・プリンとか?」
「プリン・・・」
ケーキを作る人はプリンも作れるなんて思いもせずに車をケーキ屋に向かわせて、そこで1番豪華なプリンアラモードを全部買った。
勿論店に入ったのは俺・・・司は店にも入ってないのに真っ赤な顔して運転席から降りなかった。
そして気を取り直して美作に向かい、インターホンで名前を告げたら門はすぐに開けられた。
出迎えてくれた執事に聞くとあきらも午前中は用があって出掛けてるとかで、牧野は離れにいるからどうぞ、なんて笑顔で言われた。
執事の態度からも伝わってくる。
あんたはここで平和に暮らしてるんだね・・・そんな事を思いながらケーキ屋の箱を抱えて離れに向かっていた。
「しおーん!!ボールがあそこにひっかかったぁ!」
「どこ?かのん、どこに蹴ったの?」
「あそこぉ!木のえだのとこ!」
俺達が歩いてる前方で子供が遊んでる、それを司と見付けて足が止まった。
お互いに顔を見合わせ「あの子達か」「だね」の言葉・・・あの子達があきらの養子だとすぐに判った。どうやらボールを蹴りあげて木の枝に引っ掛けたらしい。
それを下から覗きながら必死にジャンプしてるけど届くはずがない。
自分の背の高さが判ってないのかな・・・子供って面白いな、ぐらいに思って近寄ると、2人が同時に俺達の方に顔を向けた。
「こんにちは。ボール取ってやろうか?」
「こんにちはぁ!お兄ちゃんたち、だあれ?」
「ママのおともだち?」
「・・・ママの友達じゃねぇし。パパのダチってヤツだ!」
「司、怖いから黙っときな。ね、もうひとつボールある?」
そう言うと男の子の方が走ってテラスに行き、小さなボールを手に持って戻って来た。女の子は「それをどうするの?」なんて聞いてくるから「見てな、こうするとね・・・」って言いながら下からボールが引っ掛かってる枝にぶつけた。
その振動で引っ掛かっていたボールは落ちてきて、2つのボールを子供達に手渡した。
「うわぁ!ありがとう~!」
「おにいちゃん、すごぉ~い!あきらパパみたい!」
「・・・あきらパパ?いつもそう呼ぶの?」
「うん!あきらパパとそうちゃんパパ!パパは2人いるの!」
「「・・・・・・・・・」」
何故か凄く気になる双子・・・しゃがんで目の高さを合わせてジッと顔をみると誰かに似てる。ってかそっくり。
司も嫌そうにしゃがんで真正面から子供を見たら恐ろしい顔したまま固まった。そんな顔見せたら子供が泣くんじゃないかと思ったけど意外にも双子は普通・・・いや、面白そうに見てる。
「・・・・・・・・・なんだ?」
「・・・そう思う?やっぱり・・・そうだよね?」
「・・・どういう事だ?」
「そんなの知らないけど、間違いないよね?」
「はあぁっ?!!なんだと?!まさかあきら・・・あきらが?!」
「違うでしょ。この顔のどこにあきらの面影があるのさ!」
目の前の双子はキョトンとして俺達をジッと見つめてる。その大きくて真っ黒な瞳は牧野そのもの。でも全体的なイメージは・・・間違いなくあいつだ。
俺達には美作の遠縁だって話したクセに何がどうなってるんだ?
急に女の子の方が司が持ってるプリンの箱に近寄ってクンクンしてる。その時の格好が牧野そっくりで笑いが出そうだった。司はまだ何がどうなってるのかさっぱりって感じで小さな子供に戸惑ってる。
そして男の子の方は物静かな性格なのか、自分の片割れの腕を引っ張りながら「かのん、ダメだよ!」って。
「ね、名前は?なんて言うの?どっちが上なの?」
「えっとねぇ・・・ちょっと前までみまさかしおんだったの。今はね・・・どっちだろ?ねぇ、かのん、今はみまさか?」
「ふぅん?しらない。みまさかかのんじゃないの?なんだったっけ、そうちゃんパパのお名前」
「総二郎は西門だよ?」
「あっそうそう!お茶のいえ!今度はそこに行くんだって」
「あのね、かのんは妹で、しおんがお兄ちゃん!」
「・・・・・・・・・・・・」
「司、そうらしいよ。プリン、落とす前に子供にやりな?」
って言っても司は完全に石化した。
だからその固まった手からプリンの箱を取って子供達に渡したら、嬉しそうに笑って「「ありがとう!」」だって。
くすっ、なんだ・・・今日はこれを伝えたかったのかな?
凄く驚いて、凄くショックだったけど、この子達が幸せそうに笑うのならきっと牧野も同じ顔して笑ってるんだろう。
「ママは?どうしてるの?」
「ママ・・・?ひとみママは病気だからここにはいないけど、つくしママならお部屋にいるよ?」
「つくしママ・・・くすっ!ね、連れてってくれる?」
「うん!いいよ」
「かのん、お兄ちゃんの肩にのりた~い!」
「あはは!じゃ乗りな。お兄ちゃんはどうする?」
「・・・ぼくはいい!ママを呼んでくるね!」
そう言うと男の子はテラスのある庭に向かって走って行った。あの向こうには美作の離れがある。そこに牧野が居るんだと思うと胸がドキドキした。
そして女の子を肩車して男の子の後を追って行き、石化した司は放ったらかし。
そのうち石化が解けたら来るだろうから無視した。
女の子は俺の頭を抱えるようにして、俺はこの子の膝を抱えるようにして、まるで自分の子供みたいに歩いてる。
「お兄ちゃん、お名前なんていうの?」
「ん?俺?あぁ、言ってなかったね、俺は・・・」
「花沢類・・・!」
自分で名乗ろうと思って顔を上に向けた瞬間、遠くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
それは懐かしい牧野の声・・・そして昔と全然変わらない牧野が視界のド真ん中に飛び込んできた。
気が付いたら俺は走り出していた。
肩に牧野の宝物を乗っけてるのに、その子が「きゃああーっ!」って叫んだのにスピードなんて緩めなかった。
そして牧野の目の前に行ったら子供を下に降ろして、泣きそうな顔の彼女に手を伸ばした。
「牧野・・・会いたかった・・・」
「花沢類・・・ごめんね、何にも話さなくて」
総二郎との約束を破っていいのか、なんて言いながら、
牧野が困らないか、なんて言いながら、
目の前で見てしまったら自分の感情なんて抑えることが出来なかった。
俺は小さな子供達が見てる前なのに思いっきり牧野を抱き締めた。
「苦しいよ・・・!」って腕の中から聞こえてきたけど、それでも離せなくて力一杯抱き締めた。
相変わらず細くて折れそうな身体・・・あいつが居ないこの一瞬だけ、儚い夢を見るように牧野の髪に顔を埋めた。

数年ぶりの再会だし、これまでの事もあるしで凄く緊張してるけど、子供達の前で騒動も起こさないだろう・・・と、思いながらも道明寺の怒声と花沢類の所構わずのハグが来たらどうしよう・・・。
それを子供達に聞かれたり見られたりしたら・・・それが心配で落ち着かなかった。
『多分、司の車で類と一緒に来るはずだから俺はその前にそっちに行くわ。じゃないと不安だろ?あきらも居るけどあいつだけじゃ何かあっても止められないと思うし』
「何かあるって・・・やだ、そんな事言わないでよ!早く来て?お願い、総!」
『午前中に茶会1件抱えてんだ。それを終わらせてからになるけど司達にもその時間は伝えてあるから大丈夫・・・だと思う』
「なるべく早く来てね?絶対だよ?!」
『そこまで怯えなくてもお前には何もしねぇって!』
そうじゃないわよ!あの恐ろしい道明寺の顔と、何するか予測不可能な花沢類なのよ?
しかも総そっくりの双子を見たらどうするのか・・・考えただけでも恐ろしかった。それに暴れん坊の花音がもしも道明寺に反抗したらどうしたらいいの?って悩んだ時に部屋が静かなことに気が付いた。
「あれ?あの子達、何してんのかしら」
リビングに2人の遊び道具はあるけど本人達が居ない。
慌てて玄関に向かったら靴がない・・・それなら庭の芝生で遊んでるのかな?
「ひと言言って欲しいわ」なんてブツブツ言いながら、それでも敷地から出ることはないから気にせずに掃除機を掛けていた。
*********************
<side類>
「・・・ねぇ、良かったの?総二郎の言う事聞かずにこんなに早くにあきらんちに向かって。しかもあきらにも何も言ってないでしょ?」
「別に問題ねぇだろ。総二郎が居たらあいつが自分に都合よく話すだろうからこの方がいいんだよ!」
「・・・・・・うん、俺はいいけどさ。牧野が困らないかなって思うだけで」
「なんで困るんだ?気にすんな!」
司の運転であきらの家に向かう途中、言葉とは裏腹にワクワクしていた。
・・・何年ぶりだろう。
俺達の中で総二郎を選んだことは正直ショックだったけど、牧野が笑ってるんならそれでいい。もう1度あの笑顔が見られるんなら・・・って思ってた。
懐かしい風景を窓の外に見ながら、もうすぐあきらの屋敷だって所でふと気が付いた。
「ねぇ、何か持って行かなくていいの?」
「は?何をだ?」
「あきらの子供。総二郎が言ってたじゃん、3歳の双子が居るって。子供ってさ、手土産好きなんでしょ?」
「・・・・・・何を買うんだよ」
「定番はケーキだけど、おばさんが作るからなぁ・・・プリンとか?」
「プリン・・・」
ケーキを作る人はプリンも作れるなんて思いもせずに車をケーキ屋に向かわせて、そこで1番豪華なプリンアラモードを全部買った。
勿論店に入ったのは俺・・・司は店にも入ってないのに真っ赤な顔して運転席から降りなかった。
そして気を取り直して美作に向かい、インターホンで名前を告げたら門はすぐに開けられた。
出迎えてくれた執事に聞くとあきらも午前中は用があって出掛けてるとかで、牧野は離れにいるからどうぞ、なんて笑顔で言われた。
執事の態度からも伝わってくる。
あんたはここで平和に暮らしてるんだね・・・そんな事を思いながらケーキ屋の箱を抱えて離れに向かっていた。
「しおーん!!ボールがあそこにひっかかったぁ!」
「どこ?かのん、どこに蹴ったの?」
「あそこぉ!木のえだのとこ!」
俺達が歩いてる前方で子供が遊んでる、それを司と見付けて足が止まった。
お互いに顔を見合わせ「あの子達か」「だね」の言葉・・・あの子達があきらの養子だとすぐに判った。どうやらボールを蹴りあげて木の枝に引っ掛けたらしい。
それを下から覗きながら必死にジャンプしてるけど届くはずがない。
自分の背の高さが判ってないのかな・・・子供って面白いな、ぐらいに思って近寄ると、2人が同時に俺達の方に顔を向けた。
「こんにちは。ボール取ってやろうか?」
「こんにちはぁ!お兄ちゃんたち、だあれ?」
「ママのおともだち?」
「・・・ママの友達じゃねぇし。パパのダチってヤツだ!」
「司、怖いから黙っときな。ね、もうひとつボールある?」
そう言うと男の子の方が走ってテラスに行き、小さなボールを手に持って戻って来た。女の子は「それをどうするの?」なんて聞いてくるから「見てな、こうするとね・・・」って言いながら下からボールが引っ掛かってる枝にぶつけた。
その振動で引っ掛かっていたボールは落ちてきて、2つのボールを子供達に手渡した。
「うわぁ!ありがとう~!」
「おにいちゃん、すごぉ~い!あきらパパみたい!」
「・・・あきらパパ?いつもそう呼ぶの?」
「うん!あきらパパとそうちゃんパパ!パパは2人いるの!」
「「・・・・・・・・・」」
何故か凄く気になる双子・・・しゃがんで目の高さを合わせてジッと顔をみると誰かに似てる。ってかそっくり。
司も嫌そうにしゃがんで真正面から子供を見たら恐ろしい顔したまま固まった。そんな顔見せたら子供が泣くんじゃないかと思ったけど意外にも双子は普通・・・いや、面白そうに見てる。
「・・・・・・・・・なんだ?」
「・・・そう思う?やっぱり・・・そうだよね?」
「・・・どういう事だ?」
「そんなの知らないけど、間違いないよね?」
「はあぁっ?!!なんだと?!まさかあきら・・・あきらが?!」
「違うでしょ。この顔のどこにあきらの面影があるのさ!」
目の前の双子はキョトンとして俺達をジッと見つめてる。その大きくて真っ黒な瞳は牧野そのもの。でも全体的なイメージは・・・間違いなくあいつだ。
俺達には美作の遠縁だって話したクセに何がどうなってるんだ?
急に女の子の方が司が持ってるプリンの箱に近寄ってクンクンしてる。その時の格好が牧野そっくりで笑いが出そうだった。司はまだ何がどうなってるのかさっぱりって感じで小さな子供に戸惑ってる。
そして男の子の方は物静かな性格なのか、自分の片割れの腕を引っ張りながら「かのん、ダメだよ!」って。
「ね、名前は?なんて言うの?どっちが上なの?」
「えっとねぇ・・・ちょっと前までみまさかしおんだったの。今はね・・・どっちだろ?ねぇ、かのん、今はみまさか?」
「ふぅん?しらない。みまさかかのんじゃないの?なんだったっけ、そうちゃんパパのお名前」
「総二郎は西門だよ?」
「あっそうそう!お茶のいえ!今度はそこに行くんだって」
「あのね、かのんは妹で、しおんがお兄ちゃん!」
「・・・・・・・・・・・・」
「司、そうらしいよ。プリン、落とす前に子供にやりな?」
って言っても司は完全に石化した。
だからその固まった手からプリンの箱を取って子供達に渡したら、嬉しそうに笑って「「ありがとう!」」だって。
くすっ、なんだ・・・今日はこれを伝えたかったのかな?
凄く驚いて、凄くショックだったけど、この子達が幸せそうに笑うのならきっと牧野も同じ顔して笑ってるんだろう。
「ママは?どうしてるの?」
「ママ・・・?ひとみママは病気だからここにはいないけど、つくしママならお部屋にいるよ?」
「つくしママ・・・くすっ!ね、連れてってくれる?」
「うん!いいよ」
「かのん、お兄ちゃんの肩にのりた~い!」
「あはは!じゃ乗りな。お兄ちゃんはどうする?」
「・・・ぼくはいい!ママを呼んでくるね!」
そう言うと男の子はテラスのある庭に向かって走って行った。あの向こうには美作の離れがある。そこに牧野が居るんだと思うと胸がドキドキした。
そして女の子を肩車して男の子の後を追って行き、石化した司は放ったらかし。
そのうち石化が解けたら来るだろうから無視した。
女の子は俺の頭を抱えるようにして、俺はこの子の膝を抱えるようにして、まるで自分の子供みたいに歩いてる。
「お兄ちゃん、お名前なんていうの?」
「ん?俺?あぁ、言ってなかったね、俺は・・・」
「花沢類・・・!」
自分で名乗ろうと思って顔を上に向けた瞬間、遠くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
それは懐かしい牧野の声・・・そして昔と全然変わらない牧野が視界のド真ん中に飛び込んできた。
気が付いたら俺は走り出していた。
肩に牧野の宝物を乗っけてるのに、その子が「きゃああーっ!」って叫んだのにスピードなんて緩めなかった。
そして牧野の目の前に行ったら子供を下に降ろして、泣きそうな顔の彼女に手を伸ばした。
「牧野・・・会いたかった・・・」
「花沢類・・・ごめんね、何にも話さなくて」
総二郎との約束を破っていいのか、なんて言いながら、
牧野が困らないか、なんて言いながら、
目の前で見てしまったら自分の感情なんて抑えることが出来なかった。
俺は小さな子供達が見てる前なのに思いっきり牧野を抱き締めた。
「苦しいよ・・・!」って腕の中から聞こえてきたけど、それでも離せなくて力一杯抱き締めた。
相変わらず細くて折れそうな身体・・・あいつが居ないこの一瞬だけ、儚い夢を見るように牧野の髪に顔を埋めた。

