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掃除機もかけ終わってリビングも整えた。
洗濯物も干したし、後は子供達のご飯を作るのが午前中の仕事。午後になったら総が来るから・・・って考えていたら、紫音が元気よく帰ってきた。

「ママァ!おきゃくさんが来たよ?」
「お客さん?美作のお客さんでしょ?小夜さん、いなかった?」

「ちがうよ、大きなお兄ちゃんがふたり!今ね、かのんが肩車してもらってるよ?でね、これもらったの」
「・・・えっ!大きなお兄ちゃんが2人?まさかっ・・・まさかーっ!!」


紫音の言葉に吃驚して、この子を残したまま離れを飛び出した。
手には拭き掃除の雑巾もって、靴なんて履けなかったからスリッパで・・・そうして目に飛び込んで来たのは花音を肩に乗せた花沢類・・・!
彼が花音を見上げながらニコニコしてこっちに向かってるのを見て心臓が止まるかと思うぐらい驚いた!



「花沢類・・・!」

そう言うと花音を見上げていた彼が私の方に視線を向け、ニコニコしていた表情から真顔に戻った。


全然変わってない・・・

そう思ったのも束の間、花沢類は花音を乗せたまま急に走り出して、私は彼が花音を振り落とすんじゃないかと思って持ってた雑巾を放り投げた。
「きゃああーっ!」って花音が叫んで彼の髪にしがみつき、今にも落っこちそう!

そして私の目の前に来たら花音を下に降ろして手を差し出してきた。


「牧野・・・会いたかった・・・」
「花沢類・・・ごめんね、何にも話さなくて」


隣で紫音が不思議そうな顔してる。
花音が「こわかったぁ!」ってゼイゼイ言ってる・・・それを見ながら花沢類が抱き締める腕の中でドキドキしていた。

懐かしくて懐かしくて・・・総の顔が浮かんでくるけどちょっとだけなら許してくれるよね、なんて胸の奥で呟いた。


あぁ、この人の香りだ。
遠い昔に花沢類にも憧れたから、それを思い出して彼の鼓動を聞いていた。


でもその感傷も一瞬の事。
よく考えたら紫音と花音の事を知らないはず・・・・・・どうして花沢類は花音を肩車してたの?で、なんでこの時間?
現実に戻って来たら背中に汗が流れた。

そして道明寺はっ?!!


「あっ、あの花沢類、道明寺は一緒じゃないの?どうして急に来たの?昼からじゃなかった?」
「ん?司ならほら、向こうで石になってる。で、総二郎が居たら邪魔するからわざと早く来たんだよね」

「邪魔?!そんな・・・いや、それより道明寺?!あああっー!あんな所に!!」


ここから随分離れた庭の真ん中で、道明寺が座り込んで固まっていた。
しかもそこに花音と紫音が嬉しそうに向かってる。もし道明寺に飛び付いたら次の瞬間に・・・・・・冗談じゃないわっ!!


「待って!紫音、花音ーっ!その人に近づかないで!絶対に抱きついちゃだめーっ!」

酷い言い方だとは思うけど、双子に向かって叫んだ時には遅かった。
花音が道明寺に横から飛び付き、紫音は背中から飛び付いた!そして石と化した道明寺を押し倒してそのまま上に乗っかってる!

それで正気に戻った道明寺が花音と紫音をくっつけたまま立ち上がって、双子はそれを遊んでもらってると勘違いしてるみたい。鬼みたいな顔してるのに、その高い鼻を花音がむぎゅっと掴んだ時には私の方が気絶しそうだった!


「何すんだっ!このガキ!!」
「「きゃああぁーっ!しゃべったぁ!!」」

「道明寺、相手は子供よ、落ち着いてっ!!」

「子供だろうがなんだろうがこの俺に向かって・・・・・・!」
「ごめんっ!許してやってーっ!!」


急いで駆け寄って道明寺の服を掴んだら・・・僅か50センチの距離でこの人と目が合った。


「・・・・・・・・・牧野?」
「あっ・・・うん、久しぶり・・・だね。ごめんね、長いこと姿消しちゃって」

「・・・・・・・・・・・・」
「それに、あの・・・子供が・・・飛び付いちゃったね、ごめんね」

「・・・・・・・・・馬鹿野郎!」
「うん、ホントに馬鹿だよね。ごめん・・・でも、来てくれてありがとうね」


道明寺の大きな手が私の頭の上にガバッ!と上がったから、一瞬叩かれるのかと思った。
吃驚して目を閉じて両手で顔を覆って、肩を竦めたけどその手は私に振り下ろされない・・・そうじゃなくてそれは私の頭の上にふわっと降りてきて、1度だけ髪をぐしゃっとした後で大きな胸に引き寄せられた。


「・・・クソ馬鹿野郎・・・!どれだけ心配したと・・・」
「・・・・・・うん、だよね・・・」


もう1回そんな言葉を呟かれたけど、その時の声が震えてる・・・・・・学生の頃、この胸はいつも私を温かくさせてくれたなぁって思い出した。

花音がくっついたままなのに、紫音を乗っけたままなのに・・・私まで。
これも総には内緒だな、って思った時には何故か涙が溢れた。


「なんで泣くんだよ・・・俺が泣かしたみたいじゃねぇか!」

「ああっー!お兄ちゃん、ママをいじめたの?」
「そんな事したらそうちゃんパパがおこるんだよ?!」

「あぁ?!ってか俺から降りろって!なんでくっついてんだよ!」
「「きゃああぁーっ!こわいーっ!」」


この後花沢類が苦笑いしながら真横まで来てくれて、紫音と花音を道明寺から引き離してくれた。
そして両手を子供達と繋いで、まるで自分の子供みたいに離れの方に連れて行った。道明寺はやっと現実に戻ったみたいで、真っ赤になりながら私の身体を離して花沢類の後をついて行く。


私は1番後ろ側で4人の背中を見ながら歩いていたけど・・・・・・これからどうしたらいいの?!




************************


<side類>

あきらの家の離れに入ったら子供達が「こっち!」ってリビングまで案内してくれた。
ここに入ったのは初めてじゃないけど随分雰囲気が変わった・・・小さな子供を中心に考えられた、温かい部屋に変わっていた。

無造作に置かれた縫いぐるみ、本棚には絵本、部屋の隅には積み木にパズル。
ソファーに掛けられたカバーが可愛い花柄で、目に入ったマグカップは子供用。ダイニングには小さな椅子が用意してあって色違いの小物が沢山あった。

「お兄ちゃん、おなまえきいてなかった!」
「ママが何か言ってたよ?えーと・・・」

「俺は類って言うの。それで呼んでいいよ」
「るい?るいって変わったおなまえだね!」
「もう1人のおにいちゃんは?」

「あいつは司。そうだな・・・司は司兄ちゃんって呼んでやりな?怒るかもしれないから」
「つかさお兄ちゃん?」
「うん、じゃあ、るいとつかさお兄ちゃんね!」

「くすっ、うん、宜しくね」


暫くしたら入って来た司に花音がすぐに飛び付いて「つかさお兄ちゃんだぁ!」って言ったら茹で蛸みたいに真っ赤になっちゃって。
まぁ、無理もないけどね・・・何と言ってもそっくりなんだから。
そのまま抱き締めて持って帰りたくなるのは俺だけかな・・・?


「紫音、ここに総二郎は来るの?」
「そうちゃんパパ?ときどき来てる。おしごとが忙しいからまだいっしょに住めないんだよ。でもここでママにお茶おしえてるの」

「ここで?そうなんだ・・・牧野にお茶をね。紫音は?」
「ぼくは見てるの。まだできないけどそのうちそうちゃんパパがおしえてくれるって!」

「・・・出来そう?」
「わかんない。でも・・・そうちゃんパパみたいになりたい」


「・・・そっか。頑張れよ」
「うん!」

ちょっと自分に無理して考えてる事と反対の言葉を出してしまった。
ここで茶道なんて嫌だって言ってくれれば俺にもチャンスがあるのかも・・・なんて牧野の気持ちを無視した夢物語。



最後に目を擦りながら入って来た牧野は、慌ててキッチンに飛び込んで俺達にお茶の用意をしてくれた。

「ママ!今日のおひるはたいへんだね!お兄ちゃんたちのもつくるんでしょ?」
「はっ!そう言えばそうだよね?」

「ママ、もらったプリン、かのん、たべたぁ~い!」
「ええっ!今11時かぁ・・・えっと、えっと・・・判った、食べちゃいなさい!でも今日だけよ?」

「「やったぁ!!」」
「その前に手を洗いなさいよ?」


学生だった牧野がお母さんやってる・・・その姿を司と並んで笑いながら見ていた。


少しだけ苦しくて、
少しだけ悔しくて、
いや、凄く悔しくて心にグサグサ何かが突き刺さるんだけど、それでも楽しそうに子供にプリンを手渡す牧野を見ていたら俺も司も嬉しかった・・・それだけは本当。

牧野の笑顔を見ることが出来て、ホントに嬉しかった。


「牧野、俺もお腹空いた」
「言っとくが美味くねぇと食わねぇぞ」

「悪いけど庶民食は変わってないから。それでもいいなら食べれば?急に来るから困っちゃうじゃないの!」

「ママのごはんはおいしいよ?」
「そうちゃんパパもいつもそう言うよ?でね、あとでチュ♥ってしてる」

「花音!そんな事は言わなくてもいいの!」

「「・・・・・・・・・」」



やっぱり凄くムカつく・・・💢💢




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2019/08/08 (Thu) 14:37 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

爆笑!!切なさMAXの類君ですね~💦
あれは私も泣きながら書きましたよ。

でもさ、よーく考えたらヘリの中でおにぎり食べるのって・・・笑えない?
空港で総ちゃんが「これ」っておにぎり差し出すの、笑えない?

てか、向日葵の番外編はどれ取っても切なかったなぁ(笑)


結構感情移入しちゃう人だからね~、今回のあきらも何回か泣いたな(笑)
自分で書いて自分で泣くって、どれだけナルシスト?って思うけど(笑)


あっ!司君、結構いい感じ出せてた?
ふふふ、ちょっと頑張ったの!

明日は総ちゃんとご対面です・・・流血の惨事かも?(笑)

2019/08/08 (Thu) 21:57 | EDIT | REPLY |   

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