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大学生活が始まって1ヶ月、結局4月20日までに3回の遅刻をされ特別ボーナスがもらえたのは1回だけ。
それでもバイトにしては破格の25万円をいただいて、住んでいたアパートを完全に引き払った。そして恐れていた教科書代も無事に払えて、話が出来る友達も数人出来た。

お仕事にも慣れて、花沢類も随分早起き(10分だけど)出来るようになり、朝のドタバタも少しは減ってきた。


ただ問題は大学内・・・相変わらず花沢類の人気が凄くて毎日のように噂話を聞いてしまう。
それを知らないフリして「そうなんだぁ~!」「格好いいねぇ~!」「素敵~!」を繰り返す自分にウンザリ・・・どっちかって言うと真実をバラしたくて仕方ないって感じ。


「花沢さんって自宅だと毎日優雅にバイオリンのお稽古して時間があったら読書してるんですって!経済学部だけど文学史も得意なんですってよ?」
「へぇ~、そうなんだぁ!」

(いや、私がバイオリン聞いたのはこの2ヶ月で2回だけど?それに読書はしてるけど半分以上「フリ」だから。ページなんて全然捲らないわよ?しかもお掃除してたら漫画本が沢山あったもん・・・文学史?何処からそんなものが?)


「花沢さんって休日には愛犬のお散歩してるってホントかしら♡その犬も幸せよねぇ~、隣を歩けるのよ?後はひたすら今後のためのお勉強してるって聞いたわ」
「そうなの~?凄いのねぇ~!」

(いや、お屋敷に犬なんていないから。何処かで馬は飼ってるみたいだけどその子が来たこともないから。しかも散歩なんて1回しか付き合ってくれなかったし、それも超嫌々だったし。勉強・・・私の家庭教師以外は見た事ないわよ?)


「想像なんだけどさ、毎朝カーテン越しの朝日で目覚めて小鳥の囀り聞いてるの・・・そんなの似合いそうねぇ~!」
「ホントねぇ~!王子様みたいだねぇ!」

(いや、朝日なんて見えないわよ、布団に包まってるんだから。そして小鳥じゃなくて私に怒鳴られて、たまには突き飛ばされて起きてるわよ?しかも寝癖ピンピンで。その後ペタペタと裸足で歩いて顔洗いに行っても目が開いてないし)


思い込みとは凄いなぁ、と同級生の妄想を聞いてため息が出た。
確かに見た目は王子様・・・この人達を責められない。

「花沢類は小説より奇なり」・・・そんな感じよね。


妄想と言えば国文科の仙道明奈さん。
入学した時にはあれだけ大騒ぎした彼女も、何故か最近は大人しかった。

外国語学科と国文科は同じ語学系だから校舎は東棟ですぐ近く・・・共有する教室があるから時々すれ違う。でも向こうは私の事なんて気にもしてないからすれ違っても顔を合わせることはなかった。
それにいつも両隣に女の子を従えてる。所謂「取り巻き」ってやつ・・・少し前を明奈さんが歩き、2人は左右にピッタリくっついていつも笑顔だった。


「牧野さん、次は大講義室だって~。変更になったらしいから急がなきゃ!」
「あっ、はーい!先に行ってて~、まだ準備出来てないの!」

「判った~!早くね~!」


大講義室は国文科教室のすぐ近く。
会わなきゃいいけどな、なんて思いながら先に行ってしまった友達の後を追い掛けていた。

そう思った時には会ってしまうものなのか、明奈さんがいつもの2人を従えて正面から来るのが見えた。でも勿論知らん顔して横を通り過ぎようとした、その時・・・


「本当にやるの?明奈さん」
「怒られるんじゃないの?あの時みたいに」

「大丈夫よ。類様は普段から女性に関わってないからどうしていいのか判らないのよ。そのきっかけ作りよ」


・・・今、花沢類の名前が出た?しかも「本当にやる」って何を?
急いでいた足が止まって、今度は明奈さん達の後ろを気付かれないようについて行った。もうすぐ講義が始まるからこんな事してる場合じゃないんだけど、何故か凄く嫌な予感がする・・・。

そしてメモのようなものを見ながら立ち止まり、3人がヒソヒソ話を始めたから慌てて壁際に隠れてその会話を聞いてしまった。


「類様は12時20分までの講義をここで受けるから、絶対にこの廊下を通ってランチに行かれるはずなの。その時私がここから飛び出て類様にぶつかるから、あなたはその瞬間をこの位置から撮影してちょうだい。
そしてあなたはここから類様が出てくるのを確認して。これにはタイミングが絶対だから階段を降りて来たら私に合図するの、判った?失敗しないでよ?」

「判ったわ・・・でも上手く行くかしら」
「それでその画像をどうする気?」

「うふふ、SNSで流すのよ。類様はそう言うのあんまり見ないらしいし気が付かれる前に削除するわ。でも噂が流れるには丁度いいのよ。如何にも恋人が抱き合ってるみたいにぶつかるから顔が見えるように撮るのよ」

「う、うん・・・やってみる」
「明奈さんも頑張って!」

「こうやってもう1度噂が広まれば自然と意識して下さるわよ。そしてお父様達の世界でも噂されるようになると、もしかしたら本当に婚約まで行くかも・・・そうしたらあなた達もお食事ぐらいご一緒させてあげるわ」

「「ほんとっ?!花沢様と?!」」

「まだ照れていらっしゃるだけ・・・女性に触れる機会を作ればその気になって下さるわよ」



・・・・・・・・・なんですって?

花沢類にわざと抱きついた所を写真に撮って、それをネットで流すって事?
それだけで恋が生まれるの?!女性に触れるとその気になる・・・おかしいなぁ、何回かは触れたわよ?

それに相手は花沢類よ?そんな手に引っ掛かるとは・・・・・・・・・いや、どうだろう?意外とポヤンとしてるからな・・・。



「どうしよう・・・これをどうにかして花沢類に伝えなきゃ。まんまと罠にはまるかもしれないし。でもどうやって・・・あっ!メッセージ送ればいいんだ!」

こんな時には持ってて良かったスマホ!
それを取り出して文字を打とうとしたけど普段あんまり使わないし、彼に「遅刻しないで下さいよ!」って言う短い文章しか送らないから、今の話をどう打てばいいのか判らない!
それに時間がないから焦る・・・こうなったら電話しちゃえ!って、花沢類に電話を掛けた。


出てくれるかな・・・まだ講義時間じゃないよね?
電話だとすぐに伝えられるから大丈夫だよね?

そして何回目かのコールで『・・・どうした?』って無愛想な声が聞こえた!


「もしもし?花沢類、あのさ、午前中最後の講義が終わった時なんだけど・・・・・・あっ!」

そこまで話した時、急に後ろから腕を掴みあげられスマホを盗られた!

驚いて振り向いたら、そこに居たのは明奈さんの取り巻き1号・・・彼女が私のスマホをとって明奈さんに手渡した。
その画面に出てる名前は「花沢類」・・・・・・それを見た彼女は通話を切って、私をジロッと睨んだ。


不味い・・・私と彼が繋がってる事がバレる・・・。




***************************




もうすぐ講義が始まるって時、転た寝をしていたら鳴り出したスマホ。
どうせ総二郎だと思って無視していたけど、鳴り続けるから仕方なく手に持ったら、そこに出ていた名前が「牧野」だった。

それに吃驚して通話にしたけど、よく考えたら大学内で掛けてくるなんておかしくないか?


何かあったんじゃなくてただの押し間違い、そんな惚けた言葉が返ってきそうだったから超無愛想に電話に出てみた。


「・・・どうした?」
『もしもし?花沢類、あのさ、午前中最後の講義が終わった時なんだけど・・・・・・あっ!』

「は?なんだって?午前中の最後の、なに?」
『・・・・・・・・・・・・』

「おい!(牧野って言えないし)・・・どうした?おい!」
『・・・・・・・・・・・・』

「今日ならいつもと同じ時間に帰るけど?そう言う話じゃないの?おーい、何か言えよ」
『・・・ピッ!』


あれ?切れた・・・なんだったんだ?

午前中最後の講義が終わって・・・・・・・・で?





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2019/08/07 (Wed) 07:50 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

そうそう!特に類君はあまり喋らないだろうから正体がバレにくいのだと思います(笑)
ピアス開けて痛くて眠れないとか、着る服にも無頓着だとか、実はムッツリだとか知られてないんですよ。

まぁ、知られない方がいいでしょうけどね♡

皆様、明奈さんが引き下がったと思われたでしょうが・・・実はまだ諦めてなかったのですよ~!
怖いですね~、つくしちゃん、ピンチでございます💦

誰が助けてくれるのでしょうか?ふふふ、でも怖い事件にはなりませんのでご安心を♡(ホントか?)

2019/08/07 (Wed) 09:28 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/07 (Wed) 14:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

だから待ってくれって言ってるでしょ?(笑)
今ここでってのは無理があるじゃん!!

犯罪になっちゃうよ(笑)


・・・ってか、この話にはないかもしれません。だって・・・コメディだもん。

2019/08/07 (Wed) 21:35 | EDIT | REPLY |   

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