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「痛ぁーい!止めて、何すんのよっ、離してったら!」

取り巻き1号2号に引き摺られるようにして、校舎の端っこにある誰もいない小さな部屋に投げ込まれた。その時に転げるようにして床に倒れ、腰と背中を強打・・・!
痛くて腰を押さえていたら2人の間から明奈さんがゆっくり私の前までやってきた。

その手には私の大事なスマホ、それを握り締めていた。
綺麗な人が怒ったらこんなにも恐ろしい顔になるのかと思うぐらい・・・明奈さんは刃物みたいな目で私の事を見下ろしてる。真っ赤な唇がその怖さを強調してるみたいで、私は腰を押さえながらゾクッとした。


「あなた、誰なの?あなたみたいな地味な女がどうして類様と電話で話せるの?」
「地味って・・・あなたに言われる筋合いはないでしょ!花沢類が誰と話そうが関係ないじゃない!」

「馬鹿じゃないの?花沢物産を知らない訳じゃないでしょ?」
「し、知ってるわよ、そのぐらい(働いてるし)」

「あなたは何処のご令嬢?言ってごらんなさいよ。類様とお話し出来るんならそれなりの家なんでしょ?」
「うちは会社経営なんてしてない(って言うか無職だけど)普通の家だけど、それがなに?それこそ関係ないじゃない!」

「はぁ?一般家庭の子・・・それなのにスマホに類様を登録してるの?
それにどういう事かしら、さっき私が切る寸前の類様の言葉・・・『今日ならいつもと同じ時間に帰るけど』って。同棲してる訳でもないのにどうしてこんな会話になるの?!」

「そ、それは・・・」


花沢類ーーっ!そんな事言ったのーっ?!
馬鹿ーーーっ!!


いつもと同じ時間に帰るって、めっちゃ恋人感溢れてるじゃないのっ!
確かに夕方のバイトの事があるから何回か確認したことはあるけど、まさかそれを他の人に聞かれるとは・・・。

明奈さんはさっきよりもこわい顔になってジリジリと私に詰め寄ってくる。その左右の取り巻き1号、2号も「何か言いなさいよ!」っていいながら同じように迫ってくる。
でも奥様に言われてるからここで私の仕事の事は言えない。同姓同名で突き通そうにも「花沢類」なんて平凡な名前じゃないし!
しかもこの人達の話した内容を伝えようとしたんだから本人限定って事はバレバレ・・・声も聞かれたし。

どう言っていいのか判らない時は無言を貫くしかない!と思ってこの人から顔を背けた。
それが気に入らなかったのかギャアギャア騒ぎ始めたけど、それでも口を真一文字に結んだ。


「なんなの?あなた、さっきから黙ったままで・・・あぁ、もしかして私を監視してるの?」

「・・・は?」


私を監視・・・その意外な言葉に吃驚してそれまで横に向けていた顔を明奈さんに向けたら、今度はふふん!と笑っていた。
何でこの人を監視しなきゃいけないの?
花沢類だって無関係だって言ってたし、婚約者だなんて言われて逆に怒って拗ねてたぐらいなのよ?貰った時計も使わないって言ったし、それなのに監視・・・監視してどうすんのよ?


「類様ったらちょっと前に大学じゃ噂になるようなことはしないでくれって言いに来たけど、本当は私の事が気になるからあなたみたいな人に頼んで行動を監視してるんでしょ?
ご自分じゃ確認するのに躊躇いがあるから、そうやって私の動きを知ろうとしてらっしゃるのね?」

「・・・・・・・・・」

「こんな子まで使って調べなくても、私はみんなに知られても全然平気なのに~!嫌だわ、類様ったら・・・」
「ホントよねぇ!でも可愛い方だわ~!」
「明奈さんに手を出す男性がいないかって心配なんじゃないの?」

「・・・・・・・・・」

「もしかしたら毎日大学が終わってから私の事を報告でもしてたの?だから帰る時間の確認・・・そう言う事?」
「もう明日からご一緒に帰ったら?」
「そうよ!そのうち公認になったら花沢様も慣れちゃうって!」

「・・・・・・・・・」


・・・お目出度い人達だな。

まぁ、それで解放されるならそれでもいいけど。
花沢類が知ったらブチ切れそうだけど、黙っててあげてもいいし。どうせそんな妄想してもそれが現実にはなりそうもないもん・・・可哀想だけど。

この状況から解放されたくて反論はしなかった。勿論同意もしなかった・・・いや、出来る訳ないし!
それよりも逃してしまった今の講義、それをどうしようかと悩んでいたらピコン♪と音がして私のスマホにメッセージが入った!

「・・・あっ!」

そのスマホにメッセージを入れてくるのは加代さんか花沢類だけ。
しかも今は午前中で加代さんは絶対にそんな事しない・・・って事はまさか花沢類?!

瞬間スマホの画面にそのメッセージの送り主が表示されたはず・・・だから明奈さんが無意識に目を向けて、そして何故かニコッと笑った。


「あら・・・今、類様の名前が表示されたわよ?私の事をそんなに早く知りたいのかしら・・・ふふっ」
「・・・いや、その・・・」

「いやって何よ?そうじゃないなら何の連絡?」
「あ、あなたには関係ないんだってば!」

「・・・生意気な子ね。いいわ、読んでみるから」
「えっ?!やだ、止めて!」


私の叫び声なんて完全に無視。彼女は私のスマホを触ってそのアプリの中身を見ようとした。
見られたらこれまでに何度も送った「遅刻しないでくださいよ」がバレてしまう。そうなったら今度はその理由を問い詰められてここから返してもらえないかも・・・。

それにいくら何でも人のスマホを勝手に見るなんて!


「止めてよ!勝手に人のスマホに触らないで!ちょっと!」
「五月蠅いわね、この子を押さえといて!」

そう言うと取り巻き1号が私の身体を押さえ込んで、取り巻き2号が明奈さんを庇うように立ち塞がった。そして明奈さんはアプリの中のトーク画面を見てしまったみたい。


「『・・・さっきの電話なに?今日は遅刻してないけど?』・・・何これ?朝の話じゃない」


花沢類ーーっ!そんなの送って来たのーっ?!
もーっ、馬鹿ーーーっ!💢


その後、明奈さんは驚いた表情で画面をスクロールしながら私と花沢類の会話を全部読んでしまった。


「なにこれ・・・!どうしてあなたが類様の登校をチェックするような事をしてるの?それに1番初めの会話・・・もうすぐ5時ってなに?一緒に住んでるみたいじゃない!」

「そんなんじゃないんだって!返して!」
「じゃあなんなのよ!日付は3月31日・・・類様のお誕生日の翌日?」」

「だからなんなのよ!関係ないでしょ!」
「あるわよ!私はバースデーパーティーでピアノ伴奏まで頼まれた、所謂ご両親公認の仲なのよ?それなのに次の日にはこんなメッセージをあなたとやり取り?納得出来ないわ!」

「ピアノ伴奏って・・・1曲だけじゃない!2曲目は奥様が弾いたんだし・・・・・・はっ!」


ヤバい・・・パーティーの事を話してしまった。
しかも今、奥様って言っちゃった。不味い・・・勘付かれたかしら・・・。


「なんでそれを知ってるの?あなた、あの会場に居たの?」
「・・・・・・居ないわよ。居る訳ないじゃない!」

「じゃあどうして知ってるの?!」
「そんなのあなたに説明しなくてもいいでしょう?返して・・・私のスマホを返してよ!」

「あ、明奈さん、声が大きいわ!」
「足音がしない?誰か来たかも?!」

「・・・くっ!こんなもの!!」


急に私の横を通って窓際に行くと、明奈さんは私のスマホを窓の外に向かって放り投げた・・・!
そして興奮してハァハァ言いながら私の方に顔を向けて、その綺麗な顔で言い放った。


「2度と類様の回りを彷徨くんじゃないわよ!今日はスマホで我慢するけど、今度変な行動したらあなたが怪我するんだからね!」

「あっ、明奈さん・・・それはあんまり・・・」
「もう行きましょ、これ以上騒いだら本当に教授が来るわ」

「・・・ふんっ!!」



彼女たちはバタン!と乱暴にドアを閉めて部屋を出ていったけど、私は動くことも出来なくて呆然と明奈さんが開けた窓を見ていた。


私のファーストスマホ・・・初めて買った宝物。
まだ1ヶ月しか使ってないのに・・・嬉しくて嬉しくて、花沢類に色々設定して貰ったスマホなのに!


数分後、今度は急いで窓から外を見てスマホが投げられた場所を見た。

そこは大学のグラウンドに続いてる通路がある場所で植え込みが青々と茂ってる。
しかも傾斜になってるし植え込みの広さも半端ない・・・それに石造りの階段もある。確認出来る所にはスマホのピンク色は見えなかったからあの茂みの中に落ちたんだろうか?

それなら何処に・・・しかもフェンスがあって植え込みの中には入れないようになってる・・・。


「悩んでる場合じゃないわ、探さないと・・・!」

急いで降りて行ったけど、丁度その植え込みの場所の真横には講義中の教室があって丸見え・・・とてもフェンスをよじ登って探しに行く事なんて出来ない。

そんな事をしていたら午前中の講義は終わって、お昼休みになった。


「あっ、花沢類はどうしたかしら・・・・・・まさか?!」




*********************




「類、先にカフェに行っとくぞ~?ホントに後から来るのか?」
「・・・ん、後で行く・・・」

「どうしたんだよ、変なヤツ・・・そんなにスマホなんか見て」


牧野、既読が着いたのに返事がない・・・超ムカつくんだけど。

午前中最後の講義が終わったらなんだって言うんだ?
まさか内緒にしてるのに大学内で会いたいって事はないよな・・・電話を掛けるぐらいの緊急事態だったと思うんだけど、さっぱり見当がつかない。

スマホに掛ければ電波が入ってないってガイダンスが流れる・・・掛けておいて電源切るか?



「・・・いいや、帰ってから聞こう。大した用じゃないって事だよね」

暫く講義室に残っていたけど、諦めて俺もカフェに向かった。
そうしたら階段の下で騒いでる連中が居る・・・誰かと思えばさっき降りたあきら?しかもその隣には仙道明奈がいて、真っ赤な顔してあきらに何か言ってる。

それを少し離れた所から見たもんだから、向きを変えて別の出口からカフェに向かった。



**



「ごめんなさい、美作様!間違えたんです!いえ、そうじゃなくて!あの、そのっ・・・足が蹌踉けてっ」
「別にぶつかるのは構わないけどそっちは怪我しなかった?よく前を見なきゃ・・・綺麗な足に傷を作っちゃダメだよ?」

「はいっ!大丈夫です、ご心配なく!それで、あの・・・お1人ですの?」
「まぁね、類はまだ講義室でボケッとしてるから」


「・・・・・・(ごめんなさいっ!明奈さんっ!見間違えました!!)」
「・・・・・・(写真は撮れてます!美作様だけど・・・)」





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2019/08/08 (Thu) 07:46 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

ほほほ!おバカちゃんでしょう?
人のスマホを見ちゃいけませんよね~💦私は子供のスマホでもすごく罪悪感が湧くので見たことはありません。

私のスマホは・・・人に見られたら不味いですね(笑)
特にアルバム!!

花沢城の関係で何故か動物の写真ばっかり保存してるし、イベント時のイラストも全部あるし。
部分的にロックかけることも出来るけど面倒だからしてないし(笑)

花沢城ラインの会話や画像を間違って子供に送らないかと毎回めっちゃ慎重になります💦


・・・・・・・・・まだ工事が終わらないので暑いです。
特に夜・・・私の家は海に近いから、窓さえ開ければ結構風が入るのに。

まだ締め切ってるから蒸し風呂です。いや、作業の人の方が大変だから言えないけど。
エアコンかけ続けると調子が悪くなるし、逆に疲れるし・・・ストレスMAXです(笑)

ビオラ様も気を付けてお過ごし下さいね~♡

2019/08/08 (Thu) 09:45 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/08 (Thu) 13:16 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/08 (Thu) 20:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

・・・・・・見付かるんでしょうか?ねぇ?

お目出度い明奈ちゃんにはつくしと類くんなんて結びつかないんでしょうね(笑)
そう言いながらあきら君と付き合い始めたらギャグだよね💦

あっはは!(それもいいな、と今思った)

カフェラテの・・・隣の部屋の放火魔かな?(笑)
それは由依ちゃんですね?怖かったですねぇ~💦

総ちゃんでいえば上野明日香でしょうか?どっちが怖いかな・・・。

怖い人選手権が始まりそう(笑)


2019/08/08 (Thu) 21:50 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

麦猫様、こんばんは!

ふふふ、意味は勿論判りますよ(笑)
中国地方の人間ですから。でも私の所では使わないかな?

うんうん、このままにしてはおきませんよ。今度こそ・・・消えていただきます(恐ろし言い方!)
少しだけお待ち下さいませ。

羨ましいですよね(笑)
お友達1人、しかも類君!私も欲しいです~💦

でも電話してもメールしても無視されそう(笑)←年齢制限かもしれません。

2019/08/08 (Thu) 22:11 | EDIT | REPLY |   

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