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道明寺と花沢類にも全部を話してから数日後、総は離婚に関するゴタゴタも落ち着いて仕事が忙しくなった。
もう少ししたら桜の茶会が連日のように続き、宗家だけじゃなくて地方にも行くようになる。

だから私たちとなかなか会えないって事でイライラした電話が続いた。


『来週鹿児島だろ?福岡だろ?その後萩に寄って萩焼の窯元に行くだろ?その次は1週間ぶっ続けで京都の茶会だろ?そいつがが終わったら1回東京に戻るけど、3日後には石川だろ?新潟だろ?で、仙台・・・マジ死ぬっての!』

「今年は地方が多いのね~。でも仕事だから仕方ないよ、頑張って!」

『・・・離婚した件の詫びも兼ねてるんだとよ。くそっ・・・そう言えば俺が反論できねぇって思ってるからな・・・』

「そう言う事か・・・じゃあ、尚更仕方ないよ。総にだけ負担掛けるけど、あの子達の為だと思って我慢して?」

『お前に会えないのは我慢出来ない!どうにかして連れて行けねぇかな・・・』


馬鹿な事言って・・・でもそう言われたら自然と顔が緩む自分が居た。
そしてここに来る事が出来た日は子供達と沢山遊んでお風呂に入れて、その後は一晩中私を離してくれなかった。

総が私の中から出ていくのはいつも明け方で、その日は1日中筋肉痛になるから止めてって毎回言ってるのに手加減なし。
朝、寝過ごして子供達に見られたらって、いつもヒヤヒヤしながら眠りについた。

総はそんな事を気にもしない。
この状況でも「早く次の子供が欲しい」って繰り返していた。


「紫音と花音、次で4歳だろ?あんまり離れるのもな~」
「そんなの問題ないわよ。それより今お腹が大きくなる方が問題だって!」

「そうなんだよな・・・こっそりお袋に聞いたら離婚から1年ぐらいはダメだってさ・・・くそっ、なんでだ?」
「くすっ、それも仕方ないよ。その方が回りが五月蠅く言わないからじゃない?」

「・・・今度は絶対一緒に病院行くからな」
「うん、その時は宜しくね」


まだ自分の行き先が見えていないのにそんな話をしてクスクス笑った。



**



総が来ない日も私は教本を見ながら1人で稽古をした。
それを見れば少しは思い出してきて、総が持って来てくれた道具の手入れや実際に薄茶を点てて自分で飲んでみたり。でも何故か総が点ててくれたものと違う・・・首を傾げるような味ばっかりだ。

『その茶の良さは客と亭主、その場の空気と自然、全部が整ったら判るもんだ』・・・お師匠様が言うところの全部が揃わないから美味しいと思わないのかしら?
抹茶を飲み過ぎて胃が痛むことも何度かあって、その度に自分があの家に入れるのかどうか心配になった。


時々は紫音も傍で道具の名前を聞いてくる。

「これはね、茶筅と言って竹で作られててね、お抹茶を点てる時にお茶碗の中でクルクル回すのよ」
「どうして回すの?なんで竹でできてるの?」

「どうして・・・・・・どうしてかしら?」


そう言われると返事が出来ない。大人になってから始めた私には道具の名前と使い方を聞いても、その理由なんて考えたこともないし。
すごく純粋な目で私の答えを待ってる紫音に適当な返事は出来ない・・・ジッと目を見てると私の背中に汗が流れた。「わからないの?」って、なんてストレートに言われたら・・・。


「そいつは言うなれば茶道の伝統ってもんだ」

急にドアの向こうから聞こえてきたお師匠様の助け船!
良かったぁ~って顔したら「お前が答えられなくてどうする!」って怒られた。

「そうちゃんパパ!おしごとは?」
「ん?今からこの近くの屋敷に行くから立ち寄っただけだ。ごめんな、あんまり来られなくて」


紫音は最近総に懐いてる・・・って言うか、お茶を点てる総を見てからは『すごいなぁ!』って言葉が多いから憧れがあるのかもしれない。
それはそれで良いことだと思うけど、明らかに私と態度が違う・・・それにはちょっと悔しい気がした。


着物姿の総はきちんと道具の前に正座して、紫音にも「そこに座りなさい」と静かな声で言った。
そして傍にあった茶碗を目の前に置いて紫音に問いかけた。

「紫音、これは何で出来てるか知ってるか?」
「おちゃわん?えっと・・・土?」

「そうだ。土から作られていて乱暴に扱うと割れてしまうんだ。だから固いものを茶碗の中に入れたりは出来ない。竹の柔らかさが丁度良くて、こう言う形にすることで茶碗の中の抹茶を均一に・・・そうだな、偏らないで全部同じように混ぜられるんだ。
茶道に限らず、昔から続いているこう言う伝統文化は兎に角道具を大事にする・・・よく覚えておきなさい」

「・・・はい!」

「それと回すって言葉より振るって覚えとけ。回す事が目的じゃないんだ。つくしもな!泡立て器じゃ無いんだから!」

「・・・はい。ごめんなさい」
「あはは!ママがおこられてる~!」


まだまだ頑張らなきゃ・・・!
指でこめかみを掻きながら口を尖らせる私を総までがケラケラと笑った。



そして桜の季節が終わり5月になる前、子供達を連れて牧野の実家に行くことになった。

これは総の強い希望だった。
まだ西門家にはなんの挨拶もしていないけど、総の離婚は世間にも知れ渡ったし、年末には自分達の気持ちを伝えていた・・・顔を出せるようになったら2人で来るって話をしていたから。4人になったことは驚くだろうけど・・・。


それを連絡したらゴールデンウイークの初日においでと返事が来た。



**



実家に行く日、何故か凄く緊張していた。


『実は子供を産んでたの。もうすぐ4歳なんだよ♡はい、この子達が孫だよ~』

・・・そんなに簡単な説明じゃ駄目だよね。
でも何処から話せば・・・って言われたらもう1度私が東京を追い出された時から?

それを考えたらウンザリ・・・あのお父さんが総を殴るとは思えないけど、お母さんが暴れ出す可能性はある。
まさか進が怒って殴るとか?それも考えにくいけど、総は多分殴りに来られたらそれを受けるだろう・・・その覚悟は出来てるみたいだったし。

あれこれ考えていたら朝ご飯のトーストを持った手が止まってる。
紫音も花音もそんな私を見て「どうしたの?」って聞くけどため息しか出なかった。


暫くして出発予定の時間が近づいてきたら、「支度出来てんのか~」なんて暢気な声が聞こえて総が玄関から入って来た。
珍しくスーツ姿でネクタイ締めて、それまで悩んでいた私は一気に体温が上がって真っ赤になった!


「うわぁ!そうちゃんパパ、あきらぱぱみたい~!」
「すごーい!かっこいい~!」

「ははっ?そうか?あんまりスーツなんて着ないからな。格好いいパパで嬉しいだろ?」
「「うんっ!!」」


いや、どうしてそんなにご機嫌なの?私がこんなに緊張して胃が痛いのに。
私が呆れた顔してそれを聞いたら「うちに比べれば可愛いもんだ!」・・・だって!

「確かに怒られても仕方ねぇことしてるからそれは全部受け止める。俺だって花音が同じ目に遭ったら絶対に許さねぇと思うからな。でもここを素通りしてお前を西門に連れて行くことが出来ねぇから、そう考えたら前進だ。
だから困るとは思わない。許してくれるまでこの頭を下げるつもりだ」

「・・・・・・ありがとう」

「それにこの子達が居るんだ。目の前で修羅場なんて起きねぇだろ?」
「いや、それは保証できない」

「・・・即答かよ」


紫音と花音には今日のお出掛けのことは話していたからすぐに服を着替えさせた。
紫音には白いシャツにサスペンダー付きのズボン。花音には可愛いリボン付きのワンピース。私も自分の家に行くんだけど総に釣り合うようにと上品なワンピースを選んだ。
花音の希望で付けたお揃いのヘアピン・・・お母さん、どう思うだろう?


美作さんもお休みだったから様子を見にきて、こっちも暢気そうに「頑張れよ~!」って笑ってる。
紫音も花音も今から行くところがどんな場所か知らないから「行ってきま~す!」って笑ってるけど、あの家を見たらこの顔がどうなるのか・・・それが心配だった。


「はは!良いんじゃね?加古島の家も似たようなもんだったし。そこでも平気で遊んでたぞ?」
「うわっ・・・思い出すから止めてよ!」

「ま!どうにかなるさ」
「そうだと良いけどねぇ~」


紫音は何とかなるかもしれない・・・問題は花音が暴れないか、だわ。




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2019/08/11 (Sun) 14:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは!

あっはは!そこにエロさを感じました?
私も少し意識しました(笑)うんうん、判っていただけて嬉しいです。

そして私は殆どの場合、○○です(笑)アレ、キライなのよ(笑)
(○○とアレ、さて何でしょうか!)

私ね、忘れていたんですよ💦牧野家のこと!
やっぱりここまで書いて牧野家を無視しちゃいかん!って事に気が付いて、急いで総ちゃんを向かわせました!

そりゃそうだよね~💦
先に女側の挨拶だよね(笑)

パパさん、殴るのか?!お楽しみに~!(多分威力はないと思うけど)

2019/08/11 (Sun) 22:00 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/11 (Sun) 22:34 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、違うって(笑)

答えは当たってるけど😅書くのが嫌いなのっ!
一行その動作を書くのを省いてるのよ(笑)

いやいや、笑ってしまったわ‼️(爆)
出来るだけ簡素に書きたいだけよ~💦

やーね♥️もう!

2019/08/11 (Sun) 22:40 | EDIT | REPLY |   

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