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お正月に帰ってから5ヶ月・・・色んな事があったなぁって思いながら実家までの道を今日は総の車の窓から見ていた。
しかも後ろの席には紫音と花音がいる。

総と一緒に行くとは言ったけど電話じゃ子供の事は話せなかったから、まず何を言われるかが心配だった。


素直に喜んでくれるとは思えない・・・こんな大事なことを実の親に言わなかったんだから。

実家が近づくにつれて震え出す手を、運転席の総が一瞬握ってくれた。
「大丈夫だよ」って言うと苦笑いしながらハンドルにその手を戻したけど、本当は全然大丈夫じゃなかった。


「ママ、どこにいくの?」
「こんなところ、来たことないよね?どんどん田舎に行くみたい~」

「今日はね、ママのお父さんとお母さん・・・紫音と花音にはお爺ちゃんとお婆ちゃんになるんだけど、その人達に会いに行くんだよ?きちんとご挨拶しようね」

「えっ!おじいちゃんとおばあちゃん?えーと・・・ゆめこおばあちゃまみたいな?」
「ほんとに?どんな人?」

「あはは・・・夢子おば様とは随分違うんだけどねぇ・・・どっちかって言うと旅館のお婆ちゃんの方が近いかも・・・」

「そうなんだぁ!ほんもののおばあちゃん?」
「シワシワなんだよ、きっと!」

「・・・いや、そこまでは・・・」


緊張していたのにガクッとする。それを聞いて総はクスクス笑っていた。流石・・・余裕だなぁ、と思う。
そしてやっぱり不安なのはこの子達・・・家もそうだけどうちの両親を見てどう思うかしら。歳は夢子おば様と変わらないけど、見た目と中身が全然違う・・・。

この子達にとっては基準が夢子おば様だから、かなりハードルが高いのよね・・・。



車を走らせること1時間半、漸く実家についた。
すごく不釣り合いな家の前に高級車を停めて、先ずは私が車を降りて玄関に向かった。紫音も花音も「?」って顔して窓から外を見てる・・・もしかしたらこの小さな家がそれだと思ってなかったりして。
美作家の離れの方が3倍ぐらい大きいもの・・・それも無理ないんだけど。


「ちょっと呼んでくる・・・」
「あぁ、車はここでいいのか?」

「・・・それも聞いてみる。駐車場なんて持ってないし・・・」


もう心臓が爆発寸前!震えながらインターホンを押すと、バタバタと足音が聞こえた。
お母さんの足音だ、そう思った時には品の欠片もなくバーン!とドアが開いて、お母さんが「お帰り~!」って笑顔で出迎えてくれた。
あぁ・・・やっぱり今日も変な化粧だ。私としては安心するけど、これを総と双子が見るかと思うと・・・。


「た、ただいま!お父さんは?」
「奥にいるわよぉ!西門さんもご一緒なんでしょ?もう知ってるんだから入ってもらってちょうだい。お茶でも飲んでから話を聞こうと思ってね」

「車ってどこに停めたらいいの?」
「は?あぁ、家の前でも誰も怒りゃしないわよ。それにここはお巡りさん、来ないしね」

「う、うん・・・でも、その前に・・・会わせたいんだけど・・・」
「え?わざわざ外で?もういいって。早く呼んできなさい」

「そうじゃないの!そうじゃなくて・・・ちょっと待っててね」
「なによ、変な子ねぇ・・・」


家の中に入ろうとするお母さんも私が変な態度を取るからとうとう靴を履いて出てきて、総の車まで来てくれた。それを見て運転席の総が出てきてお母さんに丁寧に頭を下げてくれた。
勿論お母さんも半分真っ赤な顔して頭を下げたけど、総が後部座席のドアを開けたからキョトンとしていた。

そこから待ってましたとばかりに出てきた双子・・・紫音と花音が総の両脇に立ったら目をまん丸くさせて口まで開けてた。


「・・・あの、息子の紫音と娘の花音。双子でね、今年4歳になるの。この前は言えなかったけど今日は連れて来ました。この子達の事もお話したくて・・・」


お願い!ここで怒鳴らないで!!って目を瞑って神様に祈った!
大声が聞こえるかと思ったのに何も聞こえない・・・恐る恐る目を開けたら笑えるほど大口を開けたお母さんが総の前に居た。


「つ、つく・・・つくしの?・・・あっ、あっ・・・あんたの子供なの?!」

「お母さん、ご無沙汰しています。本日はいきなりこのような形で押し掛けてすみません。さぁ、2人とも、ご挨拶を」

「こんにちは!えっと・・・おなまえは?そうちゃんパパ・・・」
「今のでいい。後でちゃんと説明するから」

「はい、こんにちは!みまさかしおんです!」
「こんにちは~!みまさかかのんです。ママのおばあちゃま」


「・・・・・・お、お父さーーーーーん!!」


うん、このリアクションだと思った。
自分達の挨拶を無視された双子は「えっ?!」って顔していたけど「挨拶、上手だったよ~」の声を掛けてやり、4人で小さな玄関に向かった。



**



「・・・しおん、あのときのおうちみたいだね」
「かのん、でんきがおもしろいよ?丸いのが付いてる」

古びた蛍光灯を指さして双子が楽しそうに話してるけど、大人の世界には全く違う空気が流れていた。
進は急に現れた子供達の為にお菓子を買いに行かされてたけど、お父さんは呆然と子供達を見てるしお母さんは総を睨んでる。

小さな卓袱台に出された麦茶をお父さんは何度も飲んでは額の汗を拭いていた。


「ただいまぁ~!」って声が聞こえて進が戻って来て、買ってきてもらったお菓子を私が子供達の前に置いた。
多分スーパーで買った安いシュークリームだろうと思うけど、紫音も花音も喜んで「いただきます!」をした。そして進も真面目な顔してお父さんの横に座り、これで全員が揃った。

総はサッと座布団を外し、両親の前で姿勢を正した。
それに合わせて私も・・・総に並んで正座をし直し、自分の親を真っ直ぐに見つめた。


「お父さん、お母さん、本日はお時間をとっていただきありがとうございます。もうご存じだと思いますが私の離婚が成立いたしました事の報告と、これまでお話し出来なかった子供の事をご説明にまいりました。
さぞ驚かれた事と思いますが、この双子は私とつくしさんの子供です。先ほどお母さんは聞かれたと思いますが、現在は私の友人の美作あきらの養子となっております。その経緯を聞いていただけますか?」

総が深くお辞儀をすると慌てて双子も真似して頭をペコンと下げた。
それを見て3人は「プッ!」と一瞬噴き出していたけど、お母さんはすぐに元の怖い顔に戻していた。


「・・・ホントに驚きました。え、えっと・・・西門さん、で、何がどうなって・・・」
「お父さん!もう少しシャンとしなさいよ!西門さん?!あなた、以前来た時には何も言いませんでしたよね?つくしに子供が出来てるのにあんな目に遭わせたんだったら許しませんよ!」

「お母さん!総が子供の事を知ったのは最近なの!私が・・・隠してたの」

「はっ?つくし、あんた・・・私たちだけじゃなくて西門さんにも黙って産んだのかい?」
「でも美作様の養子って言ったよ?お母さん、詳しく話を聞いてみようじゃないか。今のままだと全然判らないよ」


「うん・・・私が東京を出て行った話も佐賀の話もその通りなの。でも実はね・・・」


この部分は総じゃなくて私が説明する事にしていたから、家元達から総と別れる話をされた日に妊娠していたことを知ったと話した。散々迷ったけど、その時は2度と総に会わないと思っていたからどうしても産みたくて、総ての事情を旅館の女将さんに話して雇ってもらった事、そして美作さんに助けられた時はもうお腹が大きかったことを伝えた。

お父さん達に言わなかったのは西門が私の事を探ってるかもしれないからで、もし見付かって子供だけを奪われたくなかったからだと説明した。


「帝王切開だったから日にちが選べたの。だからこの子達の誕生日は七夕の7月7日・・・もうそれが限界だったって言うのもあるの。予定日はもっと先だったんだけど、無理しすぎて最後の方は歩けないほどでね、だから美作さんがお手伝いさんを付けてくれて・・・私、みんなに助けてもらって2人を産んだの」

「・・・馬鹿だね!もうっ・・・不安だっただろうに!ホント、大馬鹿だよ・・・!」

「怖かったけど、それよりお父さんにもお母さんにも会わせられない方が辛かったよ。その後にね・・・」


ここで私が子供を産んだ直後に総の婚約がテレビ放送されて、それを見た私が精神疾患に罹ったことを話した。それで育児放棄をしたために美作さんが引き取ってくれた事。
それは私の強い希望で有り、美作さんは何度も総に話そうとしたけど全部止めたのは自分だと説明した。

だから今は美作姓・・・仁美さんが子供を産めないことも理由の1つだったと話した。

ここからは総も説明に加わったけど、西門の先代達の騒動については何も触れなかった。話がややこしすぎるのと西門流にとって極秘事項と言う事もある。
私の両親が知ったところでリークするなんて思えなかったけど、紫さんの事件の事も全部内緒だった。

だから離婚理由は紫さんが説明したとおり「西門流に自分が馴染めない、茶道に関心が持てないから」、と言う報道のままにした。


「偶然昨年の12月につくしさんと再会することが出来てお互いの気持ちを確かめ合ったのですが、その時同時に見掛けたこの子達もすぐに自分の子供ではないかと思いました。
それを確認したのは今年の1月です。美作の奥さんが体調を崩して療養に入ることになったのと、私たちが再会した事が重なったので美作とも話合い真実を話してもらいました」

「ごめんなさい・・・出会った後も本当の事がなかなか言い出せなくて」


お父さんもお母さんも進もポカンとしてる。
部屋の隅っこに移動して、自分達が持って来たおもちゃで遊ぶ紫音と花音は無邪気なものだった。

それを横目で何度も見ながら、やがて3人は顔を見合わせてクスクス笑いだした。


「ははっ・・・いやだなぁ、もうお爺ちゃんだったんだ?」
「ホントよ!私たちに孫だって!しかもいきなり2人よ?」
「俺は叔父さん?うわ~、老けた感がある~!でも同級生にも子供がいるもんな!」

「しかし綺麗な顔だねぇ~!あっ、鼻がつくしだ・・・」
「そこは残念よね・・・全部西門さんに似てたら良かったのに・・・」
「いや、やっぱりどっちにも似てるよ。あぁ~、目元が西門さんだ、だからキリッとしてるんだね」


3人がこんな言葉を出してくれたから漸く私も安心して、そうしたら涙が溢れた。
それを見た紫音が驚いて「ママ!」って言いながら飛び付いて来て、花音も「泣いちゃダメ!」って膝の上に乗って、それを総が「やめなさい!」って引き離していた。
総に引き離された事も遊びだと思ったのか、双子は喜んで総の腕の中で笑ってて、私もつられて笑っていた。

この雰囲気で報告は終わる、そう思ったけど・・・


「それで、西門さん・・・この先はどうするんですか?」


お父さんの真面目な声がこの笑い声を止めた。





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2019/08/12 (Mon) 12:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは!

あっはは!可愛いでしょ、進(笑)
きっと千恵子さんにワンコイン(500円)持たされただけなんですよ💦
この前の司と類のプリンアラモードは1個が1000円ぐらいだと思うので、どえらい差ですよね(笑)

みんなが居たらなんでも美味しいんですけどね♡


鼻も総ちゃんに似てくれたら良かった(笑)千恵子さん、随分な言い方💦
まぁ、これで受け入れてくれたようなので一安心♥

紫音と花音もひと味変わったお爺ちゃん家が出来て良かったね~!って事で。
極上と極貧、両方感じられるって凄いよね!


2019/08/12 (Mon) 20:17 | EDIT | REPLY |   

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