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加代さんに呼び出されたのは花沢類が部屋に戻ってからすぐだった。
そのアメリカ人の男性がお屋敷に到着したって・・・だから2階の彼が気になったけど、仕方なく加代さんに付いて玄関までお迎えに行った。


『ようこそおいで下さいました。こちらがお話した牧野ですわ』
『おぉ!可愛らしいお嬢さんですね!宜しく、私はマイケル・アンダーソンです』

『初めまして。牧野つくしと申します。私でお役に立てればいいのですが・・・』



ちょっと!加代さん、めっちゃ綺麗な英語喋ってるじゃない?
それだけ話せたら私の出番なんてないと思うんだけど?

私の横を歩く加代さんをチラチラ見るけどまるで無視・・・気が付いたら応接間に入ってしまった。そこで加代さんは『後は牧野がご説明します』なんて言うけど、私には誰も説明してくれないの?!

ドキドキしながらアンダーソンさんの側に行くと、封筒から折り紙を出してきた。


・・・・・・・・・折り紙?なんで折り紙?


『実は娘が大の日本好きでしてね。折り紙を教えたいのです。あれがいいなぁ、よく祈りと共に捧げるのがあるでしょう?』
『あぁ、そういう事ですか?はいはい、千羽鶴ですね?』

『おぉ!千羽鶴、そんな名前でしたねぇ!あれは本当に千羽折るのですか?』
『はい。でも1人ではなかなか大変でしょう?よく仲間と作ったりしますよ』

『成る程。では教えてくれますか?ネットではなかなか判りにくくて・・・』
『そうなんですね。はい、ではお好きな色を使って折りましょうか』



ネットデビューして1ヶ月の私が言うのもなんだけど、動画だって沢山あるし結構分かり易いと思うけど?
それなのにわざわざ折り紙しにここまで来たの?誰か折れる人が会社に居たでしょうに。それとも花沢物産に勤務するほどのエリートは折り紙の経験がないとか?
なんだか不思議だなって思いながらアンダーソンさんと向かい合って座った。

出してきたのは形も色もバラバラの、千羽鶴用じゃない折り紙。
本当はもっと小さな折り紙を使うんだけどな~って思うけど、外国の人にはこれぐらい大きな紙の方が折りやすいのかも。


『先ずはこの角をここに持って来て・・・はい、そうですね』
『初めは判るんですよね?で、次はこうですね?』

『そうです。もう1度同じように折ります・・・はい、じゃあ次に行きますね』
『ここで広げて・・・こっちに折って・・・反対側も・・・あれ?』

『あっ!あのっ、そこは・・・ちょっと待って』
『えっ?間違えましたか?』



殆ど知ってるじゃない!
これだけ出来たら後は簡単じゃないの?困ったなぁ・・・こんな事で花沢類のお部屋に行けないだなんて。
自分もお手本で折っていたけど、アンダーソンさんは羽の部分まで来たら折り方を間違えてる。だから横に行って同じ向きから教えることにした。


『あっ・・・そこじゃなくて、えっと・・・もう少し右に』
『おぉ、こうですか?出来た!』

『あはっ、もう終わり?まだですよ~そこを開いて・・・で、これで嘴と尻尾になるんです』
『・・・・・・難しいなぁ。もう少し大きな紙で折ってもいいですか?』

『まぁ、大きい!・・・ホントに?そんな紙で折ります?』
『ダメですか?』



アンダーソンさんが出してきたのは画用紙みたいに大きな紙!
そんなもので鶴を折る人なんて見たことないんだけど?って驚いた時、今度は応接室のドアがバーン!!と開いて驚いた!


うわああぁっ!って・・・あれ?類様、どうしたんですか?」
「Oh~!Sorry to bother you so late at night(夜分遅くに失礼します)Mr.HANAZAWA」


「何やってんのっ・・・・・・は?」




*************************




『おー!花沢さんも鶴が折れるのですね?素晴らしい!!』
『・・・えぇ、このぐらいなら・・・』
『驚きました~!類様、こんなの知ってるんですね!じゃあ私はハートを折ろうかなぁ~♡』

『おおっ!私にも教えていただけますか?娘が喜びます!』
『・・・・・・・・・』
『いいですよ~、じゃあやっぱり赤い紙にしましょうか?』



紛らわしい言い方ばっかりしちゃって。
何してるのかと思って慌てて飛び込んだけど、2人並んで折り紙折ってるとは思わないじゃん。
そして何故か俺まで折り鶴折ってるし、牧野は別のもの教え始めたし。目の前にはもう50羽ぐらい並んでるんだけど、いつまでこれを続ける気?


凄く腹が立ったけど、黙々と2人の前で折り続けた。だってあのまま出ていったら2人きりになるから・・・たとえ妻子持ちでも油断できない。何かあったら・・・・・・何かあったら?

いや、何かあったら雇い主の俺の責任だから。
だからこうやって・・・・・・折り鶴折ってんの?もう自分の事なのによく判んない。


「類様、それ糸で繋げていただけます?アンダーソンさんにお渡しするんで」
「・・・俺が?」

「だって私、今別のもの折ってるんですもの。はい、ここに糸を通した針がありますから。こうやって、ここから針を通して繋げるんですよ?」
「・・・・・・もう折るの、止めていい?」

「100羽になったらいいですよ」
「・・・・・・あと23羽か・・・」

『スミマセンねぇ~!ご子息にまでご迷惑かけて。ホントに嬉しいです~』
『いえ、これも花沢の福利厚生ですから・・・』



そんな訳ない・・・てか、迷惑と思っていたらこれだけの為に俺の時間を奪わないで欲しい。
もっと腹が立つのは、こいつ・・・さっきからジワジワと牧野に近づいてる。俺が座った時には50センチ離れていたのに今は30センチ・・・この俺を正面に座らせてるのに、よくそんな態度に出られるよね?

アメリカの何課のヤツだろう。
マイケル・アンダーソン・・・絶対に調べて、今後日本に出張できないようにしてやる!


『つくしさん、これも折ってみたいです~。教えていただけますか?』
『どれ?あぁ、ヤッコさんですね?いいですよ~』

『もうちょっと近づいてもいいですか?左手で見えないので』
『あっ、ごめんなさい、もう少し寄りますね?これで見えます?じゃあ、先ずは・・・』
『牧野!!糸が切れた!!』



「・・・私には英語で言わなくてもいいですよ。もうっ、なんで切るんですか!自分で新しい糸出して針に通して下さい」
「出来ない!無理!」

「・・・なんで声が大きいの?」
「いいから糸!」

「「・・・・・・」」


こうして1時間後、マイケル・アンダーソンという謎の男は折り鶴100羽と牧野が折った沢山の作品を抱えて帰っていった。それを玄関先で見送ったのは何故か牧野と俺・・・加代、何処に行ったんだろう?



「は~!面白かった!」
「・・・何処が」

「だって英語で折り紙説明するんですよ?難しかったわ~!じゃ、応接室を片付けて自分の部屋に戻ります。類様、お手伝いありがとうござました!」
「・・・別にいいけど」


どうしてあんな場面で飛び込んだのか聞きもしないで、牧野は楽しそうに応接室に向かった。
その後ろ姿を見て・・・まぁ、何も起きなかったんだからいいやって俺も自分の部屋に戻った。


またその1時間後、部屋をノックする音が聞こえて「失礼しまーす!」って声と共に牧野が入って来た。
その手にはいつもの如く何かある・・・。

何を持って来たんだ?って思ったら小さなコルクボードに綺麗に並べた・・・折り紙のハート?黄緑色で折られたそれを四つ葉のクローバーみたいに貼り付けて、まるで幼稚園の教室にあるような飾り物に仕上げていた。


「なに持ってきたの?」
「これ?さっきの折り紙で作ったの。ちょうど私の部屋にコルクボードがあったから、それにボンドで貼り付けてみたら可愛くなっちゃって!幸せになれそうでしょ?」

「だったら自分の部屋に飾れば?」
「私の部屋にも飾ったもん。だからこれは花沢類のね!何処に置こうかなぁ~」

「だからっ!ここは俺の部屋であって、あんたの部屋じゃないんだから!」
「あっ!ここにしよう~♡」

「・・・人の話聞けよ!」
「フンフン♪ほら、可愛い~!」


今度は壁に埋め込まれてるテレビの横・・・そんな所にくっつけられたら嫌でも目に入るのに!!


イヤそうな顔してもお構いなしにそこに付けられて、俺の部屋には黄緑色の「四つ葉のクローバー」が追加された。




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2019/08/14 (Wed) 08:07 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/14 (Wed) 08:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

どんだけ・・・(笑)

多分ですが、自分の辞書に「恋」という文字がないので探せないんだと思いますよ?
そういう鈍感類君をもう少し楽しんで下さいね!

ってことは・・・甘い部分はないのかも?💦
それはそれで読者様に叱られるって事も有るので頑張らねば!!(笑)

うふふふ、やっぱりそう思います?
どっちが出てくるか・・・楽しみに予想していてください♥

2019/08/14 (Wed) 09:12 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

私がやられたのは椿につく「チャドクガ」です。
いつもは7月に発生するのに今年は8月に・・・イガムシも痛いですがチャドクガは最強です💦
皮膚科、もうお盆休みだったんです~💦痛いよ~💦

どこか開いてるんでしょうけどね・・・痕が残りそう💦

2019/08/14 (Wed) 09:15 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/14 (Wed) 09:20 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

麦猫様、こんにちは。

うふふ、ニヤけていただけたら嬉しいです♥
「馬鹿じゃないの?この2人ーっ!」って感じが狙いです♥

そうそう、類君ったら結局子宝弁慶草、育ててますしね(笑)
色んな物が変わって来ましたので、そろそろご本人に変わっていただきたいのですがね~。


台風・・・私の住んでるところも暴風圏の予想円にかかってるんですが、今はまだ全然風もないですしめっちゃ暑くて晴天です。
これが本当に台風になるのか?って疑問です。
(でも急に来るのよね💦)

どこに向かっても被害が出ませんように、と祈るばかりです。

2019/08/14 (Wed) 10:58 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/14 (Wed) 13:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは!

「糸が切れた!!」・・・実は「糸を切った!」が正しいのだと思います。

50センチが30センチに、30センチが10センチに・・・そしてピタッとなるのです。
自分が早くそうしろよ!って思うのは私だけでしょうか?(笑)


台風ねぇ・・・どうした事でしょう?
そんなにまだ風が吹いてないのですよ・・・雨もそんなに降ってないの。
でもマジでヤバいルートなんですけどね・・・。

これからかしら?

そっちも雨が酷いんじゃないですか?台風の東側の方が大変でしょう?
お互いに気を付けましょうね~💦

浜栄丸はお盆も仕事だそうで、海を気にしていました。
(自分の身内の心配しろよ!って思う)

2019/08/14 (Wed) 22:47 | EDIT | REPLY |   

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