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母さんが帰国して2日目・・・既にあの人は京都まで遊びに行って屋敷には居ない。
そして俺は何故か牧野のお供で北海道に行く事になって羽田に向かう車の中。


「うわぁ!天気がいいねぇ~!北海道って涼しいのかなぁ?何が美味しいんだろ?牛と馬の他は何が居るの?ニワトリ居る?楽しみだなぁ~!」

「・・・・・・・・・」

「牧場以外何かあるの?なんだっけ、白クマのいる動物園近い?この時期桜も咲くんだって!お花見出来ないかな・・・ねぇ、花沢類」

「・・・あんた、頼まれたものは持って来たの?」
「うん!田村さんから預かった手土産はここにあるよ?でね、奥様のは大事なものだから鞄に入れずにお腹に巻いてる!」

「・・・・・・・・・は?」
「お母さんがね、昔から盗られちゃいけないものはお腹に巻けって言ってたから」


お腹に巻いても痴漢にあったら・・・いや、変な事を考えるのは止めよう。

確かに花沢フーズの代表取締役は母さんで、アメリカで色んな新事業の話をしてきたのは知ってる。でも今回の話は初耳で、しかも18歳の大学生に任せる業務じゃないだろう!って思うのに。
一体何を考えてるんだか・・・いくら聞いても「いいじゃないの、これも仕事なんだから!」って誤魔化されるし。

使用人頭としての加代にも「どうかと思うけど?」って意見したら「類様が居るんですもの、問題ないでしょう?」って笑ってるだけ。田村に至っては「奥様のご指名とは有り難いことです」って、真顔で頭を下げられた。



羽田に着いたらそこからは2人っきり・・・牧野は「仕事」って感じじゃなくてすっかり旅行気分になっていた。

目に付いた土産物屋に走って行き、そこで「きゃあ!可愛い~!」を連発していたから腕を引っ張って連れ戻した。
「あんたが土産を買わなくていい!」って言ってもジッとしてなくて、今度はスィーツの店に行きショーケースをガン見。そして我慢出来なくて財布を出してた。


「あんた、何考えてんの?何しに行くか判ってる?」
「うん!奥様から預かった機械を届けに行くの。でもそれとお腹は別じゃない?2つ買ったから機内で食べよ?」

「は?俺も食うの?」
「うん!だって美味しそうだったもん!あっ、あっちも見てくるー!」

「もうすぐ時間だからダメだって!」
「すぐ戻るから~!花沢類、絶対そこに居てね?何処にも行かないでよ?」

「・・・・・・・・・・・・」


なんで俺が赤くなる訳?
そこに居てねって、そんなに不安そうな顔して言われたら動けない。

何処にも行くなって言うから本当に動かずに待っていたら、牧野のほうが俺の前を通過したのには驚いた。



「・・・何これ?」
「えっとねー!こっちが羽田店限定「ハート型マドレーヌ」、ショコラとブールサレの2種類あるの。でね、こっちも空港限定「白小豆入羊羹 ・空の旅」ってやつ。見て?なんと5種類の味が楽しめるんだよ~!花沢類、どれがいい?」

そう言って機内で出してきたのは和洋2種類の空港限定菓子。
すごく嬉しそうに俺に差し出したけど「要らない」って言うと怒るし、じゃあって事でショコラを取ると「1つしか無いのに~」って泣きそうになってる。

結局、俺の口に入れられたのは抹茶羊羹だった。


**


新千歳についたら牧場主が迎えの車を寄越してくれていた。
花沢の牧場があるのは美瑛町で、今度はそこまで車で約3時間の旅が始まった。


東京とは全然違う大自然の風景に牧野は大はしゃぎ。
道が長いとか土地が広いとか緑が濃いとか、何かを見付けては窓ガラスにへばりついて大騒ぎだった。

「すごーい!あんなに遠くの山まで見える~!」
「あーっ!お花畑だぁ!ねぇねぇ、綺麗な場所があるよ?花沢類!」
「きゃあっ!可愛い建物~!教会かなぁ~?」

「うわっ、向こうに牛が見えた!すごいよ?牛だよ?」
「ねぇ、あっちの山の上、まだ雪がある~!ちょっと花沢類、聞いてる?」

「・・・・・・・・・くぅ」


朝早くから起こされて数時間・・・こんな所まで来たもんだからもう目が開かない。この騒音みたいな牧野の声を横で聞きながらでも寝られるようになった自分に内心驚いていた。


「着きましたよ」の声で目を開けたら、緑色の草原が広がる花沢の牧場が目の前に広がった。
随分静かになった横を見たら・・・流石に牧野も興奮しすぎて疲れたのか、窓に頭をくっつけて転た寝をしていた。


「着いたよ。起きて、牧野」
「・・・・・・・・・ん?」

「くすっ、なんか可笑しくない?俺があんたを起こすなんてさ。ほら、牧場に着いたよ」
「・・・はっ!着いたの?」


今度は一気に目覚めて車から飛び降り、自分の前に広がった草原に驚いていた。

東京ドーム300個分と言う広大な牧場のあちこちでのんびりと草を食んでる牛が見える。
すぐ近くにはフラワー牧場の事務所兼研究施設があって、その奥には沢山の牛舎があった。手前にはレストハウスもあるし、丘を越えた向こうに小動物との触れ合い広場もある。
ただし牧野が入ると出てこなくなりそうだったから内緒にしておいた。


そして敷地内には観光客用のコテージもあって、予約すれば誰でも宿泊可能。実は今日、ホテルとかじゃなくてここに泊まる予定だった。
カントリー調のこじんまりした可愛らしい建物・・・そっちを見ていたら事務所の方から大きな声が聞こえてきた。


「おぉ!類様、お久しぶりですね~!社長から連絡があった時は驚きましたよ。今日は宿泊ですって?」

その声は母さんの部下に当たる、ここの所長だった。
俺は小さい時からたまに来てるから顔を知ってるけど・・・名前は覚えていない。

「えぇ、宜しくお願いします。牧野、預かってるものを出してこの人に渡して」
「はーい!ちょっと待って下さいね!」

「・・・・・・?」


そうだった・・・大事なものだから腹に巻いてるんだってのは所長に説明せずに、牧野がコソコソ隠れて服の下から小さな袋を出すのを待っていた。
アタフタしてたみたいだけど何とか取り出せたそれを「はい!」って出したから俺が受け取ったら・・・ホカホカしてた。

「これが母から預かってきたものです。新しいセンサーだそうですね。研究が上手く行くことを願ってます」
「・・・は?あぁ、ははは!判りました。頑張りますよ、類様」

「・・・・・・?」


なんだ?どうしてそんな反応?
一瞬所長が戸惑ったような気がしたけど、その時には牧野が牧場の牛に向かって走っていたから、試験用センサーを所長に手渡して彼女を追い掛けた。


「見てぇ、花沢類!牛が沢山居る~!」
「当たり前でしょ、牧場なんだから」

「あっ、あの子は子供かな?触ってもいいの?」
「ダメ。牛は自分の目線より上にあるものは自分より大きいと思うんだ。だから攻撃はしないけど、あんたはすぐにしゃがんじゃうから同格と思われて危ないよ。それに後ろと横からは絶対に近寄らないこと!あいつら急に蹴ってくるから」

「そうなんだ?花沢類、色んな事知ってるんだね~!」
「ここには友達が居るから時々来てるって言っただろ」

「あっ、馬だったよね?私も会える?」

「・・・おいで、こっちに居るから・・・」


本当はここで手を差し出したかったけど、何故かポケットに手を突っ込んだまま牧野より先に「友達」のところに向かった。




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2019/08/16 (Fri) 02:11 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/16 (Fri) 07:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

はい!つくしちゃんは大はしゃぎで類君はドキドキです(笑)
小学生のバス旅行に近い感覚のような気もしますよね💦

類君と羊羹・・・なんてミスマッチなんでしょう(笑)
つくしちゃんのあ~ん♡だったら少しは甘いんですけどね。


あっはは!ヤバい💦
今日、これからのお話しで完全に私が遊んでいることがバレてしまう💦

花沢城ね(笑)まぁ、フラワー牧場って名前で既に遊んでますけどね(笑)
可愛いヤツが登場しますので宜しく~♡


2019/08/16 (Fri) 21:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。
いつもコメント、ありがとうございます。

羽田限定って多いんですね!ネットで調べたら空港限定のお菓子が多いことに驚きです。
もう随分前にした行った事がないからなぁ(笑)

きっと1日居ても飽きないぐらい遊べるんだろうなぁってネット見てたら思います。
うちに一番近い空港は小さすぎで(笑)比べものにならないので。

お腹に巻く・・・初めて海外旅行をする時に、本当にガイドさんが言ってましたがやったことはありません。
でもヨーロッパに行った時は冬だったので、鞄を肩に掛けてからコートを着るようにと何度も言われてそのようにしました。
確かにイタリアで男性に体当たりされ、ガイドさんに「今のがスリだよ」って言われてビビったことがあります。

まぁ、つくしちゃん、日本ですけどね(笑)

2019/08/16 (Fri) 21:34 | EDIT | REPLY |   

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