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花沢類が連れて行ってくれたのは牛が沢山いる牧場から歩いて10分ぐらいの場所で、そこには木の柵があってやっぱりすごく広い草原だった。
走らせたりするからなのか運動場のトラックみたいに地面の所もある、そんな中に綺麗な馬が数頭居た。


「うわっ!これみんな花沢類の友達?」
「いや、殆どはこの牧場の馬だよ。俺の馬はあいつ・・・ほら、今こっちに向かって来てるやつ」

「・・・・・・えっ!あの黒い馬?!」
「うん、そう。フリージアンホース・・・オランダから来た馬なんだけど」

彼が手を挙げたらその黒い馬は速度を上げて近づいてきて、傍まで来たらその大きさに驚いて花沢類の後ろに隠れた!勿論木の柵を越えてくるなんて事はないから大丈夫なんだけど、馬なんて傍で見た事もないから少し怖かった。

この子は花沢類の前に来ると長い顔をグイッと近づけて、彼の差し出した手にスリスリしてる・・・怖かったから手だけは花沢類の服を持ってたけど、顔だけ出して覗き込んだ。


「大丈夫だって。噛んだりしないし大きな声も出さないから。触ってみる?」
「・・・・・・うん」

「手、出してみな」
「・・・こう?」

花沢類が私の手を持って馬の首辺りを触らせてくれた。
いきなり顔に手を出しちゃいけないらしい。人と違って向きを変えたらぶつかっちゃうから・・・あぁ、成る程ね、と納得した。

そしてやっぱり後ろから近づいちゃダメらしい。
馬は真後ろが見えないから、見えない場所から近づくと驚いて蹴ってしまうから。そして耳を伏せている時はご機嫌斜めだからそっとしておくんだって花沢類は教えてくれた。


ポンポンと軽く叩く感じで触ると少し顔を向けてくる。
その目がすごく綺麗で・・・ちょっと感動した。

身体と同じ漆黒の瞳に羨ましいほど長い睫・・・こっちの考えてることを見透かされてるようでドキドキした。


このフリージアンホースと言うのは元々ヨーロッパ森林馬らしく、品種改良されて今の姿になっているんだとか。
特徴は艶のある青毛とふっさふさの鬣と尻尾。花沢類の友達も三つ編みしたくなるぐらい鬣が長くて綺麗だった。後でさせてもらおうかな、って思ったけどそれだとこの子に乗らなくちゃいけない・・・ちょっと悩んだ。

現在はオランダ王家がフリージアン・ホースを保護・認定してて、その血統を厳格に管理する格式の高い血統馬。
花沢類が小さい頃オランダで「この馬が欲しい」と言って動かなくなったって事で強引に手配した「友達」らしい。

離れて暮らしてるけど仲は良いみたい・・・滅多に見られない花沢類の笑顔がその子に向けられると、ちょっとだけ胸がチクッとした。


「ねぇ、この馬の名前は?」
「・・・黒曜星」

「黒曜星!真っ黒クロスケかと思った!」
「・・・・・・・・・」

「乗れるの?」
「乗りたいの?」

「・・・うん!でも怖いから花沢類が乗ったところ見てみたい!」
「・・・・・・仕方ないな」


仕方ないなって言う割りにはすごく嬉しそうに柵の中に入り、黒ちゃんを厩舎に連れて行った。




**********************




「それでは鞍を付けますので待ってて下さいね」

日頃黒曜星の面倒を見てくれているスタッフに頼んで、乗馬に必要な鞍や鐙と言った馬装を付けてもらった。
俺だけだったらそのまま乗っても良かったけど、もしも牧野が乗りたいと言ったら裸馬にはとてもじゃないけど無理だろう。どっちにしても本格的に走らせたりはしないけど、並足ぐらいなら俺が誘導したら体験できる。

牧野の事だから絶対に乗る、そんな気がしたから。


用意が出来たらその場で黒曜星に跨がり、牧野が待ってる場所に向かった。
こいつに乗るのは半年ぶりぐらいだろうか、よく管理してくれているから筋肉の衰えもなく毛艶もいい・・・5月の風も気持ち良くて、そのまま速歩で芝の馬場を楽しんだ。

「うわぁ~~!花沢類、格好いい!」なんて声が掛かって調子に乗ってしまう・・・そんなに披露しなくてもいいと思うのに、終いには駆足までやってしまった。
そして気持ち良く草原を走った後で、牧野が居ることを思い出して急いで黒曜星に乗ったまま戻った。


「気持ちよさそう~!ねぇ、怖くないの?」
「小さい時に乗馬習ってたから別に・・・それにこいつとは長い付き合いだし」

「・・・・・・ダメ?」
「(ほら、来た)・・・いいけど。乗った事なんてないよね」

「うん!触ったのも初めてだもん」
「・・・・・・歩くだけならね」


黒曜星から降りたらすぐにスタッフにプロテクターとヘルメットを用意してもらった。
勿論牧野1人でこいつを操る事なんて出来ないから横に付き添うけど、どんな理由で落馬するか判らない。その時に怪我しないようにするためだと言ってそれを付けさせた。

「1人で乗るの?」なんて聞くけど2人乗りは実は高難度で、映画やドラマみたいに楽に乗れる訳じゃ無い。それに馬にとっても相当な負担だし、普段誰も乗せない黒曜星にはそんな事はさせたくなかったし。
2人同時に落馬なんてシャレにならないし、万が一黒曜星が暴れて俺が落馬して牧野がしがみついても悲劇には間違いない。俺は2人で乗る訓練なんてしてないから簡単にOKなんて出せなかった。


「じゃ、馬の首の付け根のあたりで手綱を纏めて・・・鬣を掴んでもいいから。その後に左足を鐙に掛けて」
「こ、こう?ひゃあ~!!」

「右手で鞍の後ろを掴んで弾みをつけな。一気にジャンプして鞍に跨がって」

「わ、判った!せーの・・・よっ!」


なんとも可愛くない乗り方・・・って思ったけど、何とか黒曜星には乗れた。座れたら右足も鐙に掛けさせて手綱は両手で。これで形だけは乗馬になった。

乗馬は基本姿勢が大事。兎に角真っ直ぐ!なんだけどこれが意外と難しい。
横から見たら地面に対して乗ってる人間の踵、腰、耳が垂直の直線で結ばれるのが正解で、脚は真っ直ぐ下へ降ろす。鐙には軽く体重を掛けて、足の裏と地面が水平になるようにする。
これでリラックスしなきゃいけないんだけど、初めて乗る牧野は緊張しまくりで、俺の言ってる事なんて全然出来てなかった。

黒曜星が大人しくて頭がいいから出来ること・・・普通の馬ならこの段階で拒否って振り落としてるかも、ってぐらい牧野はビビってた。


「怖がらなくていいって。俺が横に付いてるから身体の力抜いて。しっかり前を見てなよ。背筋が曲がるから絶対に下を向かないで。判った?」

「・・・わ、わ、判った!」

「ホントは歩かせるためだからって腹を蹴っちゃいけないんだけど、それ以外のやり方をマスターする時間はないから軽く蹴ってみて?歩き出すと思うから」

「軽くね?軽く・・・軽く・・・」

「そうそう・・・じゃ、歩いてみるから姿勢だけ気を付けて」


牧野が軽く黒曜星の腹をポコンと蹴ったら静かに歩き出して、俺はその左側に付き添って歩いた。
ホントにゆっくりと、紳士的な歩行で歩いてくれる黒曜星だったからほんの少し俺も油断したのかもしれない。

馬場を一周した頃にはお互いに気持ちが緩んでいて、他愛もないことを話ながら歩いていた。
その時、牧野が自分の頭上を通り過ぎていった小鳥に視線を向けて、何の気なしに後ろを振り向いてしまったからバランスを崩し、慌てて前を向こうとして馬の腹を強く蹴ってしまった!


ヒヒィ~~ン!!
「きゃっ・・・えっ?あっ・・・きゃあああぁーーっ!


「牧野ーーっ!!」


驚いた黒曜星が牧野を乗せたまま急に勢いよく走り出した!





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*花沢城物語とは無関係なお話です(笑)念の為・・・*
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2019/08/17 (Sat) 01:13 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/17 (Sat) 07:58 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

あっはは!馬に乗ったらこうなるでしょ?
本当は2人乗りさせたかったんですけどね、あれって実際はなかなか出来ないんだそうです。
子供ならいいんだけど大人2人は危険すぎるみたいで(笑)

馬にもかなりの負担だそうで(笑)
類君が細身でつくしちゃんが痩せててもね~💦黒ちゃんだし、農耕馬じゃないし。

そこはね、調べてしまったら妄想出来なかったんですよ💦


そ、そうね!何処かからあきらが来て身体張って止めてくれたらいいのよね!

ダチョウ・・・そりゃ危険じゃないかい?(笑)
ダチョウには人を助けようという感情は無いとみた。

ポニー・・・スピカ?(笑)
それこそ黒ちゃんが興奮するのではなかろうか・・・?

2019/08/17 (Sat) 12:12 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

あっはは!ご期待通りでしょう?
ここは類君の活躍で止められるのか、それとも馬には類君も勝てないのか?

つくしちゃんはどうやって助けられるのか・・・?

ええっ!!(笑)その子たちもですか?💦
えーと、えーと・・・花沢城とは違う話なので(笑)ははは、全然違う子なら出てきますけどね(笑)

2019/08/17 (Sat) 12:16 | EDIT | REPLY |   

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