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plumeria

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大学で急に話し掛けてきた人。
正直に名前を教えてくれって言ったら嫌な顔されたけど「松本君」だって事が判った。

一緒に買いに行こうって誘われた時は講義前だったからすぐに別れて、ランチタイムにまたばったり出会ってしまった。


「あっ、松本君」
「牧野、今からランチ?一緒に食べない?」

「・・・う、うん。いいよ、でも何処で?」
「大学の外に美味しい定食屋があるからそこに行かない?」


・・・・・・大学の外の定食屋さん。
そこなら花沢類が絶対に来ないから大丈夫だと思って松本君に付いていった。

キャンパス内を歩きながらこれを彼に見られたらどうしよう?って心がザワザワする。見られたとしても全然関係ないし、花沢類は何とも思わないだろうけど、それでも男子と歩いてるところは内緒にしたかった。
だから数歩歩いてはキョロキョロ・・・不審者みたいな動きで大学を出て行った。


定食屋さんに入ったら、また買い物の話になった。
横浜まで行けば自分の目で選べるって言われ、免許取り立てだけど松本君が車を出してくれるって。

・・・でも何故かその気にはなれない。


誰かの車に乗るのなら・・・その運転席に座ってる「誰か」を想像したら、どうしても松本君じゃない。だからバイトだらけでそんな時間が取れないって理由を付けて断わった。
「バイト先、どこ?」なんて聞かれて咄嗟に出たのは「家庭教師!」・・・いや、どっちかって言うと生徒なんだけど。


「どうせ学祭のイベントで着るんだし、柄を合わせなくてもいいんじゃない?」
「・・・・・・そうかな。合ってた方がいいと思うけど」

「そう?だって衣装がメインのショーじゃないでしょ?外国文化の『衣』の部分の紹介であって、特徴が出てたらいいんじゃないかな。お揃いにしたってもう着る機会なんてないでしょ?」
「・・・き、記念に・・・」

「なんの記念?学祭の?あははっ、松本くんって女子みたいなんだね~」


「いや、牧野と出会った記念に・・・」

「・・・はい?」


この後、人生初めての告白をされた。
入学式で見た時に一目惚れしたって・・・その言葉に心臓がバクバクになったけど、嬉しいって気持ちは湧かなかった。
そして大学に戻ってもずっと隣で「付き合って欲しい」って言われ続け、経験豊富な訳でもないのにウンザリしてきた。

悪い人じゃないと思う。
イケメンでもないけどそんなに悪くもない・・・って言うか、毎日極上のイケメンを見てるから麻痺してる。
取り敢えず「あの人」よりは言ってる事もやってることも判りやすい。買い物に出掛ける時点で「あの人」よりは行動的・・・でも、全然ワクワクしないんだもん。

暫く松本君の隣で話を聞いていたけど・・・やっぱりここはビシッと言おうと思って足を止めた。


「松本君・・・」

「牧野・・・付き合ってくれるの?」
「・・・私ね、理想の人が居るの。全然釣り合わないって判ってるんだけど、その人以上だと思えないと無理かも・・・」

「え?・・・どんな奴?何科?」
「・・・国際経済学部の・・・は」


はっ・・・?!ダメよ、名前を出しちゃダメ!!ここは大学内だよ?!


でも国際経済学部って言っちゃった!
ま、不味い・・・ここはどうにか誤魔化さないと・・・!


「国際経済学部・・・そこの誰?俺、全然敵わない?」
「えっ?!えっと・・・敵うとか敵わないとかじゃなくて私の憧れだから!でも、この理想は譲れないの、ごっ・・・ごめんね!」

「名前は?名前聞いたら諦めが付くかもしれない」
「名前?!・・・・・・み、美作先輩・・・なんだけど」


ひえぇ~~!!自分でも吃驚だけど
美作さんの名前出しちゃったーーっ!



でも、良かったのかもしれない。
この後、松本君は「うん、判った」って言葉だけ残して去って行った。



**



「よし!松本君には悪かったけど、何だかすっきりしたわ!バイト、がんばろーっと!」

夕方になったら制服に着替えて髪を1つに纏めた。
エプロンのリボンをギュッ!と結び、パンパンと叩いたら準備完了!今日も元気よく花沢類の部屋に向かった。

コンコンコン!

「失礼しまーす!夕方のお掃除に来ましたぁ~!キキちゃん、ただいまぁ~!」
「・・・・・・・・・」

ピヨピヨピヨ~♪


・・・あれ?花沢類、どうしてそんなに怖い顔してるの?それに今日は移動してくれてない・・・最近は前もってベッドを空けてくれてたのに。
それでも床掃除からだから気にせずカートからモップを出して掃除を始めた。何だか気分がいいからフンフン鼻歌まで出ちゃう。
彼は相変わらずブスッとしていたけど気が付かないフリをして・・・時々横目でチェックしながら手を動かしていた。

次はベッドメイキングって時間になったけど彼はまだ不貞寝してる。
触らぬ神に祟りなし・・・ご機嫌斜めの花沢類を放っておいて、いつもはベッドメイキングの後にやるバスルームの掃除を先に終わらせることにした。

「先にバスルーム掃除してきますね~。それが終わる頃には起きてて下さいませ」
「・・・・・・・・・」


あらら、返事も出来ないほどなのね。何かあったのかしら・・・?

そしてバスルームから出てきてもやっぱり機嫌が悪い・・・それに全然移動してないんだけど。
仕方なく新しいシーツを持ってベッドの横に立ったけど、ピクリとも動かない。
流石にこれは様子がおかしい・・・いつものように布団を引っ張って蓑虫を床に落としてもいいけど、その後にすっごい剣幕で怒られたら嫌だなぁ・・・。


それに寝てるよね?
それなら少し待ってみようかしら・・・どうせ他の掃除は終わったし。


仕事中だって事は判ってるけど、この状態はご主人様が業務妨害してるみたいなもの。
彼が寝てるうちに少しだけチェックしてみようかと思って、スマホを取り出してチャイナドレスの通販サイトを開いた。


「・・・色はやっぱり赤かしら。でもこのブルーも綺麗よね~・・・でも白も素敵だわ。
柄は鳳凰に牡丹かぁ。ちょっと派手だよね。あははっ!チャイナドレスは全部派手だもんね!で、やっぱり半袖で・・・うわっ、スリットがこんなところまで?」

自然と出ていた独り言。
でもこんなの見たこともなかったから楽しくて、自分が着ている姿を想像してニヤニヤしていた。
ミニ丈は無理だからやっぱりロング?それとも最近流行のふんわりドレス・・・いや、これだったら伝統的とは言えないか?

そんな事を考えながらスクロールしていたら時間が経つのも忘れて、隣で寝てるはずの王子様の行動も見えていなかった。


「このピンク色はどうかしら・・・可愛いよね?」
「・・・その隣のブルーグリーンの方が良くない?」

「そお?でもさ、これって木蓮?地味じゃない?」
「中国では木蓮は縁起のいい花だよ?それに上品だし」

「でもさ、こっちの紫の方が綺麗かも・・・太股までスリットが入ってるけど」
「ダメでしょ、そんなの。歩く度に見えちゃうよ?」

「誰も見ないわよ、私の足なんて・・・はっ?!


急に聞こえてきた声で真横を向いたら、私の顔の先15センチのところに花沢類の麗しい瞳があった。


そして「業務中!」って言ってスマホを没収され、私は飛び上がってシーツ交換を始めた!

まったくもうっ・・・!
業務中って言うけど寝転んだまま起きなかったのは誰よ?!




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2019/08/26 (Mon) 07:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

手強いですねぇ~(笑)
風邪気味の人が「風邪引いたことない」って言ってるみたいなもの?
痩せてる人が「痩せてないよ~♡」って言ってるようなもの?

周りからしたらイラッとするでしょうね💦あはは!


でもそろそろ・・・お互いに意識が高まりつつあるので変化が起きそうじゃないですか?
その為のきっかけは誰かなぁ~♡


ってことでもう少しで終わるこのお話♡

鈍感な2人を笑ってやって下さいね!

2019/08/26 (Mon) 11:10 | EDIT | REPLY |   

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