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「・・・牧野さん、類様は何をあんなに怒っているのです?」
「・・・・・・それが私にもよく判らないんですけど。夕方からずっとご機嫌が悪くて・・・」

「あなたが何かしたという事は?」
「とんでもありません!私は何もしてません、真面目に仕事しました!」


「・・・・・・・・(よく言うよ!仕事中にスマホで遊んでたクセに)」


夕食時、ダイニングの隅っこで牧野と加代がそんな会話をしていた。
それを聞きながら黙々と1人で食事して、終わったら牧野の前を無言で通り過ぎて自分の部屋に戻った。

何か言いたそうな加代に、大慌ての牧野・・・今日はそんな牧野の足の長さも考えてやれない。
「待って下さいよ~」って言いながら必死に付いてくる牧野を無視してズンズン歩き、自分の部屋に入ったらバタン!と派手な音をたててドアを閉める。

我ながらガキっぽいと思ったけど、止められなかった。


それから数分後、今度はクリーニングを抱えて再び俺の部屋に入ると、チラチラこっちを見ながら片付けてる。
さっき途中で放り投げたベッドメイキングがあるだろうから優しい俺はソファーに移ってやり、牧野はいつもより随分遅い時間にシーツを掛けていた。

その間も何度も俺を見る・・・それを視界の端で見ていたけど言葉なんて出さなかった。


一体何処の誰と出掛けるのか・・・それが頭の中から消えない。
でも聞くのも変・・・牧野の自由だから。

それも判ってるけど聞きたい。同級生だろうか、それとも上級生?まさか俺の知ってるヤツ・・・それとも大学院生?

いや、教授って事も有り得るのか?
あの大学で恋人のいない若い教授って誰だ?・・・・・・ダメだ、全然判らない。


悶々と考えながら自分のスマホを弄くっていたら、いつの間か俺がチャイナドレスのサイトにアクセスしてた。


「あっ!それ可愛い~!」
「・・・・・・は?」

「なーんだ、類様ったら怒ってるのかと思ったのに、実は私のドレス調べてくれてたんですか?それ、なんて言うサイト?教えて下さいませ♡」
「・・・うわっ、何だこれ!」

「自分で開いたんでしょ?見せて下さいなっ」


気が付いたら牧野はもうベッドメイキングを終わらせていて、俺の真横に来てスマホを覗き見していた。慌てて画面を消したら「あっ!ケチ~」のひと言。
それも無視してそっぽを向いたら牧野は唇を尖らせて後片付けを始めた。

それまで考えていたことがすっかり頭から飛んじゃって、俺はバクバク言う心臓を抱えて平静を装った。
そう言えばさっきのサイトの中のモデル・・・脳内で牧野の顔に変換してたかも。


「類様~、ゴミ箱の中に大学の資料みたいなものがありますけど捨てるんですか?」
「・・・・・・・・・」

「類様、聞いてます?これ捨ててもいいんですか?」
「・・・・・・・・・」


「類様、牧野は黒のチャイナドレスに決めました」
「えっ!もう決めたの?」

「聞こえてるんなら返事して下さいよ!今のは嘘です!これ捨ててもいいんですか?経済学のレポートみたいですけど?」
「あ!探してたヤツ・・・」

「大丈夫ですか?授業はちゃんと受けてるんでしょうね?」


鬼瓦みたいな顔でレポート用紙をテーブルに戻し、牧野は少々乱暴にゴミ箱を運んでいった。
そして9時になったら業務終了、替えたシーツを抱えて「失礼しました~」と部屋を出ていった。

くそっ・・・人の気も知らないで!



**



コンコンコン・・・。

暫くしたらノック音がして、牧野がいつものように普段着で入って来た。


「・・・・・・どうした?忘れ物?」
「ううん。花沢類、私のスマホ取り上げたままなんだもん。そろそろ返して欲しいなって思って・・・」

「あぁ、そうか。忘れてた」
「お仕事中にごめんなさい。だってね、どんなのにするか迷ってるの。本当は花沢類に相談したかったのに・・・」

「俺に?」


そう言われると途端に俺の心がニヤける・・・顔は無表情のままだけど。
牧野のスマホを机の引き出しから出して手渡すと「ホントに相談してもいい?」なんて下から見上げるように話し掛けてきた。

それ・・・その角度、ちょっとヤバいんだけど。


俺の返事なんて全然聞かずにいつも勉強してる場所に座り、手招きなんてしてスマホの画面を見せようとする・・・それを覗き込んだら僅か20センチぐらいのところに牧野の顔が来る。
初めてじゃないけど彼女の香りにドキッとする・・・「落ち着け!」って自分自身に言い聞かせて、出来るだけ息をしないように近づいた。


「第1希望はこれなの。可愛くない?ピンクのお花模様~!」
「それは子供用じゃないの?こっちのピーコックブルーの方がいいな・・・ロングだし」

「そお?じゃあそれにしようかなぁ~。このぐらいの値段なら買えるし」
「って言うか、買わなくてもうちにあるよ」

「えっ?!ここにあるの?」
「母さんが何着も持ってるから好きなヤツ借りたらいいじゃん」


牧野は「サイズが」とか「そんなの言えない」とかブチブチ言ってたけど、そんな事はどうでもいい。やっぱり気になって昼間の事を聞いてみた。



「・・・あのさ、今日の昼休み、あんた何処にいた?」
「・・・・・・え?」

「いや、見間違いかな・・・通路を男と歩いてた人が牧野に似てたような気がしたからさ」
「見てたの?って言うか、聞いたの?」

「聞いた・・・?」
「やだっ!あれは違うのよ、だって花沢類の名前は出せないでしょ?だから仕方なかったのよ!国際経済学部の知り合いなんて他にはいないんだもん!」


俺の名前は出せない?経済学部に知り合いが他にはいない?って事はあきら?
何でここであきらが出てくる訳?

俺が無表情になったらそれを怒っていると勘違いしたのか、牧野は凄く困った顔して俯いてしまった。「まさか聞かれてるなんて・・・」って言ってるけど実は何も聞いてない。

てか、牧野も凄く早とちりしてない?俺は何処にいたって聞いただけなのに。
と、言う事は何かヤバい話をした訳だ?

そう思ったから適当に会話を続けた。


「いや、全部は聞こえたなったよ。でもアレは・・・まさか、だったよね」
「だから違うんだって!隣に居たのは同級生の松本君って言うんだけど、急に私の事をす・・・好きだ、なんて言うからさ!」

「・・・驚きだったよね(ホントに告白されたの?)」
「うん!だけど私には理想の人がいるって答えたのよ!そう言わないとしつこかったんだもん!チャイナドレス買いに行こうって・・・彼もチャイナ服のモデルだからさ」

「・・・安い店を知ってるって?(うそ!マジで誘われたの?)」
「うん、横浜まで行こうって。だからね、その・・・つい・・・理想の人がね・・・」

「理想の人が?」
「・・・美作さんだって言ったの」

「・・・・・・はっ?!」
「ヤバかったかな・・・ねぇ、どう思う?あれ?聞こえてたんだよね?」


「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・花沢類?」


あきらの耳に入ったらどーすんの!!
1番危険な嘘じゃないかっ!!





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Comments 4

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2019/08/27 (Tue) 07:17 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/27 (Tue) 10:20 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

どんどん類君がムッツリになっていくのが恐ろしいですね💦
類君ファンの方、怒らないでしょうか・・・(笑)

格好いい所が殆ど無いこのお話、まさに「問題児」状態の類君。
せめてLASTぐらいは素敵な類君にしたいんだけど・・・(笑)

そうですね~💦
総ちゃんだったらね~💦

耳にしたら速効持って行かれるかもしれませんね!!怖い怖い!

2019/08/27 (Tue) 15:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

麦猫様 こんにちは。

あっはは!変わった類君でしょう💦
本当に申し訳ないと思いながら毎日書いております💦
こんなキャラじゃないんですけどね・・・。

総ちゃんのお話「目出度い桜狩り」の類君(もしご存じなかったらごめんなさい)に匹敵するキャラ崩壊です。

むふふ・・・いつまでも可愛いままじゃありませんよ?
そろそろ色っぽい類君が準備体操を始めてるかも?(笑)

2019/08/27 (Tue) 15:15 | EDIT | REPLY |   

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