FC2ブログ

plumeria

plumeria

7月になって定期テストが行われた。
私は毎日バイトが終わったら花沢類の部屋に行き、深夜まで英語、ドイツ語、フランス語を勉強・・・って言うか、どうしても花沢類がフランス語に重点を置くから、毎日半分ぐらいが喧嘩になった。

それでもやらなきゃヤバい。
最後の方は仕方なくフランス語が中心・・・「これでドイツ語で失敗したらどーすんの?」、そう言うと時間延長してでもドイツ語の勉強が追加された。

いや、試験の比率は英語が1番なんだけど。


それにしても花沢類は私が勉強している間に少し経済学の本を読むだけ・・・それで成績トップってどんだけなの?

それを質問したら「小学部から家庭教師付けられていたから」・・・それを聞くと可哀想に思えて黙ってしまった。



英徳大学の定期試験の日程は3日間。
その悪夢のような試験期間は全面的にバイトはお休みで、部屋の掃除もしなくていいって事だった。
だから夕方から部屋に籠もってひたすらノートと教科書との睨めっこ。流石に花沢類の邪魔も出来ないからこの期間は1人で頑張った。

そして試験が終わった日には夕方から次の日の朝まで爆睡・・・。


試験結果は今回もギリギリセーフ!やっぱりもう少しでOUTだったのがフランス語だったって花沢類に報告したら、凄くご機嫌ナナメだった。
実は彼もトップから陥落したらしく、今回は美作さんがトップだったらしい。
それでも悔しがるなんて事はなく「経済史の試験の時、途中で寝ちゃった」って言ってた。


私の勉強に付き合ってたから・・・それでなのかと思うと申し訳なかった。


「ごめんね、花沢類・・・今度から自分で・・・」
「自分で?1人でやる?」

「・・・・・・・・・無理」
「俺も次は寝ないから大丈夫でしょ」


いや、普通は寝ないって・・・。



この定期テストが終わったら大学は夏休み。
それでも規則正しい生活を送るために今まで通りのバイトは続く。夏休みの間、彼はたまに外国にも行くからって事で、私にもパスポートを取るようにと言われた。

海外でまでお世話するんだろうか・・・その時は2人?それとも他にも誰か居るの?


初めて手にしたパスポートを持って、ちょっとだけドキドキした。



**



夏休みに入ってからの最初の土曜日。今日はバイトが休みだったから久しぶりにお買い物に行くことにしていた。

だって4回目のお給料が出て、貯金も少しは出来たんだもん。
だからちょっとお洒落なスカートとかバッグとかサンダルとか。それにサマードレスってのにも興味はあったけど、何処で着るの?って言われたら・・・答えは「自分の部屋」。

食事だってお昼だけだし、水道光熱費は掛からないし、自分で払っているものはスマホ代ぐらい。
着るものは奥様からお下がりが来るし(普段は着ることが出来ないけど)、一緒に働いてる先輩達からもらったりもする。
自分でも何度か買いに行ったけど、どうしても諭吉を手放せなくて英世ですむものにしか手が出ない。

この貧乏性は一生ものだなって思うけど、毎日頑張ってるご褒美だから「今日は買うぞ!」って気合いを入れていた。


勇んで階段を駆け下りて裏口に向かう。
すこし草臥れたスニーカーも今日で最後かもしれないと思いながら履いて、ドアを開けた時に加代さんに引き止められた。


「牧野さん!お出掛けですって?」
「あっ、はい。何かありましたか?」

「いえいえ、これなんだけど、今日までだから引いてきてくれない?」
「はい?」

加代さんがポケットから出したもの・・・それはこの近くの商店街の福引き券。しかも5枚もあった。
よーく読んだら1枚で1回くじが引けるって言う「ゴールド券」って書いてある。流石花沢家・・・10枚で1回なんて言う「ブロンズ券」じゃないのね・・・って所で感心してたけど、どうせ出掛けるんだから「判りましたぁ~」って預かった。

まぁ、万が一外れたって文句は無いだろうし、花沢家が欲しいものだって商店街にはないだろうし。
お気楽な気分で先に商店街に向かった。



「あっ!あそこかな?」

加代さんに聞いた場所に行くと5~6人の人が並んでるお店があって「福引き交換所」ってノボリが見えた。
そりゃ加代さんはこんな場所には来ないわ、と納得しながら列に並び、私の順番が来たら「ゴールド券」をおじさんに渡した。

「はい、おじさんこれ宜しく~!」
「あぁ、いらっしゃ・・・・・・」

「あれ?ここじゃなかった?」
「・・・・・・・・・」

「おじさん、5回でいいの?」
「あっ!あぁ、うんうん!5回だね、5回!」

「・・・・・・?」


何でそんなに不思議な顔したんだろう?おじさんは「少し待っててね。中の玉が少なくなったから交換するね」って、新しいガラポンを持って来るからと言って1度引っ込んだ。
へぇ、そんな事もあるのね~なんて思いながら待っていたら、すぐに後ろから出して来て「はい!5回ねっ!」・・・今度は何でそんなに元気がいいのかしら?

それでもすぐに福引きに全神経集中・・・「えいっ!」と掛け声まで出してグルン!と回した。


カラン!「はい!5等のティッシュ!」
カラン!「はい!3等のタオル!」
カラン!「はい!5等のティッシュ!」
カラン!「おおっ!2等の商品券1000円分!」

よし、これで最後だわ!

カラン!「・・・・・・おおおーっ!特賞の温泉旅行2名様ご招待券~!!


カランカランカラン!!って鐘を鳴らされて周りからも「おおおっー!」って声と拍手・・・・・・。


「・・・・・・は?私、特賞が当たったの?」
「そうだよ、お嬢さん、特賞の温泉旅行券!はい、これで彼氏と行って来な!」

そう言って目録を持たされて呆然・・・その表には本当に「特賞・温泉旅行2名様」って書いてある。


「・・・・・・か、か・・・加代さーーーん!!




************************




昼寝をしていたらヤケに1階が五月蠅くて目が覚めた。
誰が騒いでるのかと思えば・・・あの甲高い声は牧野?

あんな大声で何を喚いてるんだ?ってベッドから降りてドアを開けてみた。


そして吹き抜けから覗いて見ると、加代と田村と牧野・・・それに母さんまで出てきて何やら興奮気味。
いや、興奮してるのは牧野だけだけど。

それでも3人が口々に「良かった良かった!」って・・・何が良かったんだろうって頬杖ついたまま会話を聞いていた。


「もう、私こんな事初めてで・・・心臓がバクバクです!」
「でも良かったじゃないの~。だって1人にしか当たらないんでしょう?そういうのって」

「そうですわ!特賞ですもの」
「・・・牧野さんはくじ運が宜しいのですねぇ」


くじ運?特賞?1人だけ・・・って事は牧野が何かのくじを引いたら特賞が当たったって事?
それだけ喜ぶのなら海外旅行かな・・・それとも現金?それとも高級家電・・・なんだろ?景品そのものに興味は無いけど、牧野が喜んでるんだから凄く良いものなんだろうって少しワクワクした。


「でもこれは加代さんの券ですから。はい!これ、その他の景品と目録です」
「あら・・・でも私はお屋敷から出られないから行けないわ。牧野さんにお譲りするわよ」

「え!そんな、困ります。私はこの券を手に入れた本人じゃありませんもの。ねぇ、田村さん」
「・・・それはお屋敷の物を購入してもらった券ですから・・・では奥様に」

「あぁ!そうですよね、申し訳ございません、奥様。はい、これです」
「えぇ?私も要らないわ。だって2人でしょう?パパはフランスですもの」

「・・・・・・・・・でも」


・・・何か知らないけどもらえばいいのに。
4人で輪になって目録を渡したり返したり・・・見てて面白いんだけど。

そんな事を何度も繰り返してたら、急に母さんが変な事を言いだした。


「判ったわ。花沢の物だって言うんなら類に行かせましょう!我が家を代表して類!そして引いた本人の牧野さん!これでどう?」
「おお、それは宜しいかと」
「あぁ、それがいいですわ。大学がお休みですものね。土日なら牧野さんもバイトはないし」

「ええっ?!私が類様と温泉に行くんですか?!」



・・・・・・・・・えっ?!温泉旅行?!




15124527300.jpeg
関連記事
Posted by

Comments 6

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/08/31 (Sat) 00:24 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/08/31 (Sat) 01:23 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/08/31 (Sat) 07:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

麦猫様、こんにちは。

はははっ!いやいや、そんな💦
気が付かないのか、2人ともっ!って感じですが・・・気が付かないのです。

お母様、とうとうこんな事まで始めましたね(笑)
行った先で恐ろしい事がないといいですけどね~。

2019/08/31 (Sat) 14:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

福引きのおじさん、どうやら演技が下手くその模様。
あのガラポンを交換する人なんて見たことありません💦怖いですねぇ~(笑)

子供がとある福引きで1回しか引けなかったのに5000円分当てて帰ってきた時がありました。
うちのお嬢様、くじ運良いんですよ。

多分特賞ってのを2回ぐらい当ててます。小さいくじだから景品はそこそこのものでしたけど。
私はティッシュ担当です(笑)
デパートで40回分の福引き券(25万ぐらい?)もらったのに袋菓子4個とティッシュ35個、100円券1枚だったのを今でも忘れる事が出来ません。

子供にさせたら良かった・・・。

2019/08/31 (Sat) 14:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

だんだん怖くなってきましたね(笑)
何処まで手を回すのでしょう?北海道でもダメだったのに、懲りませんねぇ💦

って言うか、花沢家の近くに商店街があるんかい?!って所が既に私は疑問です(笑)
いや、書いた人だけど💦


今度は誰がどんな罠を仕掛けるのか・・・?そしてそれに引っ掛かるのか?
花沢家は2人の帰宅を楽しみに出来るのか?

さて・・・どうかな?

2019/08/31 (Sat) 14:30 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply