FC2ブログ

plumeria

plumeria

「いやぁ、少し見ないうちに本当に立派になったものだ。それに総二郎君は噂どおりのいい男じゃないか!
良かったですな、家元夫人!これで西門も安泰ですなぁ!」

藤崎の爺さんは野点の茶事が終わった直後、まだ客がいる前で大声を出していた。
全く・・・こんな席でそんな大声出しやがって・・・品のなさにガッカリしていた。

「これで、うちの綾乃も安心ですわ!なぁ、綾乃・・・お前も見る眼があるというものだ!」

「まぁ・・・お爺さまったら声が大きくて恥ずかしいわ・・・お静かになさいませ」


いま、何て言ったんだ?このジジィ!
こんな大勢の前でそんな話を出したら如何にもこの俺と綾乃がそんな仲だと言ってるようなもんじゃねぇか!
少し爺さんを睨み付けたが、ここでまた家元夫人がとんでもない発言をした。

「まぁ、藤崎様・・・このことはまだ総二郎にはお話ししておりませんのよ?もう少し時間をかけてからと思って
おりましたのに・・・皆様の前でお話にならなくても・・・」
「おぉ、そうでしたか。そりゃ、すまなかったね!総二郎君、まぁ、綾乃のことはよろしく頼むよ?」


「・・・・・・何のことかわかりかねますが。綾乃さんのことは妹のように思っておりますので・・・」

こんな爺さんでも恥をかかすわけにもいかなくて、俺は小さな声で反論したが多分何も聞いちゃいねぇ!

藤崎氏と綾乃、そして家元夫人は楽しそうに話しを進めたが、すぐ側にいた俺は苛立ちが顔に出ていたのだろう
近くにいた弟子にまで注意をされた。

野点の場合、外と言うこともあって招待客もバラバラであちこちに席が設けられていた。
こいつらの話に付き合うのが面倒だった俺は、つい遠くの方に目をやった。


一番遠くの席・・・立ち上がって去って行く女性がいた。

後ろ向きで顔は見えなかったけどあれは・・・あの姿は、あの動作は・・・牧野?!


なぜ、ここにあいつがいるんだ?それに一緒にいるのは西門の人間だ!

思わず家元夫人の方を睨み付けた!
家元夫人はすぐに俺が牧野に気が付いたことを見抜いたんだろう、逆に俺の方を睨み付けた。

そして綾乃は・・・何も知らないと言った顔で俺から眼を反らせた。


「どういう事でしょうか?家元夫人・・・わざわざ呼んだと言うことでしょうか?」

「さぁ・・・何のことですか?総二郎さん、藤崎様の前ですよ?落ち着きなさい」

「落ち着け・・・ですか?俺はいつも落ち着いてますけどね。・・・少し失礼します」

どこへ行くのかと尋ねる綾乃を無視してそっとその席を立った。とにかく確かめないと・・・!
庭を外れて誰の目にも触れなくなってから、俺はもの凄い早さで車寄せの方へ走った!
あの様子だと退席したはず!こんな所から歩いて帰るはずもない・・・絶対に車に乗るはずだ!

車寄せについたらさっき牧野についていた西門の人間がそこに立っている。
だが、そいつは1人でそこに牧野の姿はなかった。
走ってきた俺に驚いたような表情を見せた。こいつは家元夫人の秘書だ・・・やっぱりそういうことか!


「おい!今ここに牧野がいただろう?!どうしたんだ!あいつは何処に行った?!」

「・・・牧野さんはたった今、駅に向かいましたよ。東京に戻る時間でしたので・・・」

「なぜあいつがここに来たんだ!誰が呼んだ!・・・家元夫人の仕業か!」

「私は何も申し上げられません。お許しを・・・総二郎様」


ここまでするのはもしかしたら家元夫人じゃないのかもしれない。
家元夫人がわざわざこのために藤崎政夫を巻き込むとは思えなかった・・・。


藤崎を動かせるのは・・・綾乃しかいない!


******


新幹線の中でぼんやりと今日の事を思い出していた。

西門さんの仕事を見ると言うよりは西門さんと綾乃さんの事を見せたかったんだ・・・。
つまりは私から身を引けって家元夫人はそう言ったんだね。私じゃ無理だって・・・そう伝えたかったんだね。


「でもさ・・・そんな事言われても、どうやったらこの気持ちを捨てられるの?
どこにも捨てられないよ・・・だって、ずっと待ってるって約束したんだもの・・・」


東京に近づいてくると雨が降り始めた・・・京都はあんなにも晴れていたのに。
新幹線の窓にあたった雨が真横に伸びる・・・その雨つぶが流れていくのを見ていた。

ゆっくり落ちる雨を見るのも辛かったけど、早く忘れろと言わんばかりのこの雨の雫・・・


今日は誰も私の側にはいてくれない。
この雨を1人で見るのは辛かった・・・この雨はあの日を思い出させた。


ame49.jpg
関連記事

Comments 5

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/30 (Tue) 13:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは🎵

もう少しで罠も終わりますから。
あきら、きますよ?ふふふ。

どうでてくるかが気になりますでしょ?
私のあきらは優しいのですよ。ブラックにはなれないんですよ~❗

いや、どこまでも深い谷を這い上がっていただきます!
苦悩する総二郎に萌えております。

あと、少しだぞ!
絶対次は楽しい話を書くぞ‼って毎日思ってます。

今日もありがとうございました🎵

2017/05/30 (Tue) 16:28 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/30 (Tue) 17:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、今晩は!

まぁまぁ、落ち着いて下さいませ。
綾乃ちゃんのことは私が1番反省しております!
いや、つくしちゃんのことを思うと「ごめんねぇっ!」と
叫びたくなりますが・・・。

もう少し・・・もうすぐきっと誰かが天罰を・・・。

火曜○○○○○だと思って下さい!ほら!アレって
割と最後はハッピーですよね?

総二郎がきっとどうにかしてくれるはず!
大丈夫です!plumeriaのお話しは流血はあるけど
殺人はありませんから!

ラストトリップまであと○日!

今日もありがとうございます・・・こんな暗い話しに
お付き合いいただいて有り難く思います・・・ホントに。

2017/05/30 (Tue) 20:17 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、ごめんなさい。

トリップ→トラップ・・・送信押したと同時に気が付いたけど
空しく送られてしまった・・・。

最後の旅行になってしまった・・・。最後の罠です。
とほほ・・・

2017/05/30 (Tue) 20:21 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply