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plumeria

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離れだからなのか料理は1度にドーンと運ばれて来た。
それはもう豪華ってもんじゃない!私は温泉旅館も初めてだったけど、こんな懐石料理も初めてで大興奮だった♡


「花沢類!凄いねぇ~♡美味しそう~!」
「・・・うん、お腹空いたんだろ?食べな」

「え?花沢類は食べないの?」
「・・・食べるけどあんたほど腹減ってないし。俺はボチボチ食べるから好きなだけどうぞ」

「やったぁ!!」
「・・・・・・・・・くすっ」


季節の野菜盛りだくさんの牛タンしゃぶしゃぶに馬刺し。茶碗蒸しにハマグリのお吸い物♡
地蛸と蒸し海老の酢の物に舟盛りがドドーン!とド真ん中に置いてある。ホントに船の形してるなんて思わなかった!
虎魚の煮付けに伊佐木の塩焼き、湯葉餡掛けと鮑入りの釜めし~!

「デザートは後ほど」なんて言って仲居さんが帰ろうとした。


その時、何かを花沢類に渡した。
しかも耳元で何かを囁き手を触って・・・それをチラッと見掛けて驚いた。まさか、この仲居さん・・・彼の事を?

いや、どう見ても10歳ぐらい上でしょう?
これだけ美人なんだから未成年を口説かなくてもいいと思うんだけど?


そして花沢類の惚けたような顔。
もしかして喜んでるのかしら・・・💢大学じゃ見せたこともないような照れた顔してない?ほっぺたが赤いしポカンと口開けちゃってだらしない!

何よ、デレデレしちゃって・・・!

仲居さんが私を見て「クスッ」って笑うから思わず引き攣った笑顔を作ったけど、彼女が出ていく後ろ姿を振り返ってまで見る花沢類にムカついた。


「いただきまーす・・・」
「どうした?なんでそんなにテンション下がったの?」

「・・・お腹空きすぎたから腹が立ってきたの」
「へぇ、女の子ってそんなものなの?」

「うん、すっごくムカつく!」
「・・・・・・早く食べな?」


いきなり突き刺した馬刺肉!その様子を見て花沢類がビクッとしたみたいだけど、ここで可愛く食べるほど気分良くなかったんだもん!でもパクッ!と口に入れたら・・・美味しかった♡
それも一瞬の笑顔で終わらせ、後は黙々と食べ続けた。

その時も彼はテーブルの下で何かを読んでる。その目の動きにやっぱりイライラした💢


「花沢類!お茶のお代わり!」
「うわ!は、はい!・・・うわぁっ!」

「は?お茶溢したの?ドジだねぇ~、ずーっと下向いてるからだよ」
「・・・・・・ごめん」

「どうして謝るの?舟盛り、食べないならぜーんぶ私が食べちゃうよ?」
「ううん、食べる。少し考え事してただけ」

「・・・・・・・・・ふぅ~ん」




**************************




「お客様、宜しいですか?」

料理を運んできた仲居が小さな声で俺に話し掛けてきた。
何かと思ったら急に手を持たれて紙製の包みを渡された。


なに・・・これ?

俺が不思議そうな顔をしたら「お嬢様に内緒ですよ」って・・・チラッと牧野を見たら料理に夢中で俺達のことを見ていない。まるで皿まで食い付きそうな勢いで喜んでるから逆に怖かった。
さっきまでの湯上がりのほんのりと色っぽいのは何処に行ったやら・・・そう思っていたら浴衣の袖を引っ張られて耳元で囁かれた言葉・・・


「こちらにはピンク色の錠剤が入っておりますからお嬢様に飲ませてくださいませ。お食事が終わられてからで宜しいですわ。すぐに飲ませると食事が出来ないかもしれませんから。デザートの時にビタミン剤とでも言ってお渡し下さいな。
そしてこちらの包みには白い錠剤がございます。これはお客様のものです。こちらはお休み直前にお飲み下さいませ。結構長い時間効果がございますから・・・宜しいですか?」

「・・・・・・うん」

「お間違えのないように・・・ピンクがお嬢様、白がお客様です。お楽しみくださいませ・・・」

「・・・・・・うん」


・・・・・・は?何の事?
この錠剤、何の薬だろ・・・?しかも牧野だけじゃなくて俺にも?

未成年だから酒は出ないし、魚料理が多いからって言っても食あたり防止の薬なんて聞いたこともない。
手に持たされた袋の中にある2錠をジッと見ていたら仲居が「それでは失礼します」と立ち上がった。


まさかこれ・・・・・・いや、だって初めて来た客にそんなサービスする?!(サービスなのか?)
これも福引きについてたとか・・・そんな馬鹿な!


部屋を出ていく仲居を見ていたら、襖を閉める直前にウィンクされた。うそだろ・・・。

ドキドキしながら包みを開けたら本当に違う色の錠剤が出てきた。
それを自分の胡座かいた足の横に置いて、そして正面を見たらすごく機嫌の悪い牧野と目が合った。
一瞬バレたのかと思ったけど「お腹が空きすぎた!」って。その返事にホッとして「食べな」って言うと、いきなり馬刺しに箸が向かったのには驚いた。

せめて小鉢から・・・俺は黒曜星って言う親友がいるから、どう頑張っても馬は食えないけど。


チビチビ食いながら、でもやっぱり錠剤が気になる。
これを飲ませたらどうなるんだろう・・・って総二郎達なら知ってるのかもしれないけど、ここからそんな事聞く訳にもいかないし、これがそうだと決まったわけじゃない。
ただ、これが本当にそうなら目の前の牧野がどう変わるんだろう・・・で、俺も飲まなきゃダメなの?

顔をあげると怖いぐらいの勢いで舟盛りの刺身に箸を伸ばしてる。
その次には釜飯をドーンと茶碗に盛って豪快に食べて・・・それなのにこれを飲んだら・・・・・・


「花沢類!お茶のお代わり!」
「うわ!は、はい!・・・うわぁっ!」

急に牧野に声を掛けられたから吃驚して手を動かしたら、テーブルの上にあった冷茶のボトルを倒してしまった!
そして事もあろうかそいつが置いてあった錠剤の包みの上に・・・!

「は?お茶溢したの?ドジだねぇ~、ずーっと下向いてるからだよ」
「・・・・・・ごめん」

「どうして謝るの?舟盛り、食べないならぜーんぶ私が食べちゃうよ?」
「ううん、食べる・・・少し考え事してただけ」

「ふぅ~ん・・・浴衣、濡れなかった?」


牧野にそう言われてもう1度錠剤を見たら、半分溶けたみたいになって2錠がくっついてた。

はは・・・これじゃ飲めないじゃん。
でもそれならそれで悩まなくてもいいかって、包み紙ごとゴミ箱に捨てて逆にすっきりした。

「うん、濡れてない。大丈夫だよ」
「そ?なら良かったね!」

よし!食べよう・・・そう思ってテーブルに目を向けたら、殆ど何も残ってなかった。




そんな夕食も食べ終わってから、機嫌の直った牧野とお互いの昔話とか、大学の授業の話とか、他愛もない会話で盛り上がっていた。
1度も自分の部屋を持ったことが無いとか、キッチンで寝たことがあるとか、家族全員風邪引いたことがあるとか。
家族にはそれぞれ色で持ち物を別けていて、牧野は「黄色」って聞いて納得。


「ははっ!あんたのイメージカラーだよね?元気良すぎるから」
「そお?花沢類がうちに居たら何色だろ?」

「俺?白か黒でしょ」
「それはダメなの。目立たないから見付からないのよ」

「それだけ色に溢れてたら何色でも見付からないでしょ?」
「あはは!そうだったわ、逆に判らないのよね~!」


浴衣着て頬杖ついてる・・・そのV字ラインの深さに目が行く。
牧野はそんな事気にせずにお茶に手を伸ばしたりするから、広めの袖口から白い腕が見えてドキッとする。

濡れていた髪もすっかり乾いてサラサラ・・・でも動くといつもと違う香りがする。



「ふあぁ~!そろそろ寝る?明日は何時の飛行機だっけ?」
「・・・・・・・・・」

「花沢類、どうしたの?」
「・・・はっ?あぁ、今11時半だけど?」

「・・・違うよ、明日の飛行機だよ」
「・・・・・・・・18時過ぎの飛行機」



牧野に散々馬鹿にされて隣の部屋を開けたら・・・何故か布団がひと組だけ敷かれていた。




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2019/09/04 (Wed) 07:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます!

あっはは!お母様の熱意も2人には届かないようで(笑)
怖いですねぇ~、この花沢家。どこからどうやって調達したのでしょうかね?

「はい、牧野これ飲んで?ビタミン剤だって」
「わーい、有難う~」

ってなったらどうなったんでしょう?
それでも変化が起きそうにないと思うのは私だけ?

ある意味、つくしちゃんと類君の方が上手だと言う事でしょうか・・・。
次の行動もおそらくビオラ様には想像が出来ないと思います(笑)

さて、何をするんでしょうか?

2019/09/04 (Wed) 08:48 | EDIT | REPLY |   

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