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plumeria

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京都から帰るときに着替える時間がなかったから着物のまま新幹線に乗ってしまった。
東京はすごい雨になっていて、傘を持たなかった私は駅ですでにずぶ濡れ状態だった。

そしてそのまま夜になって熱を出してしまった。

朝になっても熱は下がらず、月曜日は会社を休む羽目に・・・。
かろうじて病院に行き薬だけもらって、アパートで倒れるように寝込んだ。

「はぁ・・・すごい。熱が39度もある・・・どおりでクラクラする・・・」


何も食べずにベッドの中で死んだように眠った。
どのくらい眠ってたんだろう・・・おでこの上に冷たいものが置かれたのに気が付いて眼が覚めた。

なんだろう・・・これ、タオル?なんで、タオル?


顔を横に向けたら・・・西門さんが私の部屋にいた。
すごく心配そうにベッドの横に胡座をかいて座ってて、私が眼を開けたから枕元まで近寄ってきた。


「あれ?・・・どうして?私・・・部屋の鍵かけてなかった?」

声が掠れて上手く喋ることが出来ない・・・喋ろうとしたらすごい痛みが喉に走った。

「開いてたよ。鍵ぐらい閉めとかねぇと危ないぞ・・・まぁ、おかげで俺は入れたけどな。熱・・・結構高いな」

西門さんの綺麗な手が私のおでこに触れた・・・もしかしたら今、熱が上がったかもしれないなんて
変なことを考えてしまった。多分熱のせいじゃなくて赤くなってると思うんだけど・・・。


「うん・・・昨日雨に濡れちゃってね・・・」

一瞬、言葉を止めてしまった。なんで濡れたのかを説明できない・・・京都に行っていたなんて。
それ以上何も言わずに黙っていたら、西門さんの方から話してきた。


「京都・・・来たんだな。すまなかった・・・知らなかったとはいえお前を1人にして・・・。追いかけたんだけど
もう車で出た後でさ・・・連絡したけど、お前また電池切れしてたろ?」

そう言われた瞬間涙が出た。
私があそこにいたことを見つけてくれたんだ・・・あんなに大勢の中から見つけてくれたんだね?
それだけで嬉しかった。あんなに遠く離れてたのに・・・ちゃんとわかってくれたんだね。


「黙っててごめん・・・集中できなかったらいけないから西門さんには何も言わずに一度きちんとお仕事を見なさいって
家元夫人がおっしゃったの・・・終わったら話すつもりだった・・・。携帯はお茶会の最中は電源切れって言われて・・・
まだ、そのままかもしれない。ごめんね・・・」

咳き込んで上手く話せなかった・・・西門さんは背中をさすってくれる。


「喋らなくていい・・・いいけど薬だけな」

そう言ってゆっくり近づいてきて私にキスした。しかも、顔を押さえてるから動かせなくて・・・
少しだけ唇が離れたら、小さな声で「ごめんな」って言ってくれた。

「風邪・・・移るよ?近寄らない方がいいのに・・・」
「移せばいいんだって!そうすりゃ治りが早いらしいぞ?」

「そうしたら西門さんが、また熱出しちゃうよ?・・・もう私は看病できないよ」

ハッとして西門さんを見た。あの時のことは西門さんは知らないはずなのに・・・。
特に気にしなかったのか西門さんはそのことに触れなかった。もしかしたらもう知ってるのかな・・・。
そして、部屋の隅に無造作に置かれている着物を見てる。


「それね・・・綾乃さんに返したいの。クリーニングに出したらいいよね?」

「これは俺が預かる。お前は気にすんな。普通の店じゃ出来ねぇから、うちで出しとくよ」

「私にあげるって言われたけど、もらう理由がないでしょ?いくら私が貧乏でもこんな着物をもらうことは
出来ないよ・・・本当に必要なものは自分で買いたいから・・・」

西門さんは少し笑ってた。こんな着物、どうせ私には何年かかっても買えないって思ってるんだろうけど。
でも、その意味は違ったみたい。


「女の支度は男の仕事って言ったろ?牧野には全部俺が揃えてやるよ。これは綾乃に突っ返しといてやる。
わざとこんな着物選んだんだろ?・・・これは今の時期には合わないものだから。
気にしなくても、そのうち着る時は俺が教えてやるよ。家のことは全部俺がお前に教えてやる」

そうなんだ・・・この前の花のことといい、着物ひとつ選ぶのもちゃんとした理由があるんだね。
熱があるのと、自己嫌悪で涙が出そう・・・眼を閉じて必死で堪えた。


「家元夫人と綾乃は昔から親子のように仲がいいんだ。あの人は今回も自分の都合のいいようにしたいんだよ。
だから言っただろ?時間がかかるって・・・だけど思ったより綾乃が動いてるからな・・・面倒くさいな!」

本当に嫌そうにため息をつく西門さんを見て、前から気になっていたことを聞いた。



「ねぇ・・・西門さん、大学の卒業式の時・・・夜に綾乃さんと会ってたよね?」

「は?いつのことだよ?そんなの覚えてねぇよ・・・大学の卒業式の夜?」

「うん・・・夜にさ・・・わたし、見ちゃったんだよね」

本当に覚えてないのかしばらく考えていたけど、やっと思い出したみたい。

「あぁ・・・そういえば卒業祝いってヤツを西門でやったな・・・確かにあの時に京都から綾乃が来てたかも
しれねぇけど・・・どこで何を見たって?全然記憶にないけど」

「・・・西門さんが綾乃さんにキスしてたの、偶然見たんだもん。どこかのお店を出てすぐに・・・」

はぁっ?てすごい顔して驚いてるけど、本当に覚えてないんだろうか。
私は3年間あの場面を忘れることが出来なかったのに?


もっと聞きたいことがあったけど・・・沢山話をしたかったけど、もう熱で限界だった・・・
西門さんがずっと手を握ってくれて、それを必死に掴んでいたのは覚えてる。

「牧野・・・やっぱり病院に入ったらどうだ?連れてってやるぞ?・・・牧野?」

西門さんの声が聞こえる・・・微かに私を覗き込む彼の気配を感じた。
熱で頭がぼうってしてたけど西門さんの声だけははっきりと聞こえていた。

「嫌だ・・・何処にも行かないで?ここにいて・・・離れないで」

そんな事を言ったのも少しだけは覚えていた。そして、西門さんにこの手を伸ばしたことも・・・
伸ばした手は彼の両手で包まれて、それを離さないようにありったけの力で握り返した。

「お前の方がどっかに行かなきゃ俺はどこにも行かないって・・・しかし、マジで熱いな・・・熱上がってないか?
ホントにこのままここで大丈夫か?」

西門さんの声を聞いて、汗なんだか涙なんだかわからないものが頬を落ちてくる。


結局西門さんは次の日の朝までずっと側についててくれた。
私のベッドの横に座ったまま、手を繋いだ状態で寝ている西門さんを見て逆にびっくりした。
もうすっかり熱は下がっていたけど、どれだけ汗をかいたんだろう、髪の毛が濡れているみたい・・・。


「ご・・・ごめんね?私・・・何か変なこと口走ってないよね?何も言ってないよね?」
「よく言うよ・・・俺は女の方からプロポーズみてぇな事言われるとは思わなかったよ・・・イッてぇ・・・」

「・・・!!うそっ?」

身体中が痛いって言いながら、仕事があるって西門さんは私のアパートを出て行った。
その片手に綾乃さんの着物を持って・・・
見たくもなかった着物・・・多分西門さんは私が目にしなくてすむように気を遣ってくれたんだろうな。


私の手に残っている西門さんの香り・・・微かな白檀の香り・・・
ずっと離さないでいてくれた証拠だよね。


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Comments 2

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2017/05/31 (Wed) 18:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

花さま、こんばんは🎵

花さまより先に私に添い寝してもらいますよ!
やっぱり手だけじゃダメダメ❗

考えたら寝られないかも。
ガン見しそうだわ、一緒に寝てたら✨

綾乃ちゃん、凄いブーイングきてます。
さて、綾乃ちゃんをやっつけるのはだれかな?
総二郎か、つくしか、まさかのあきら?

ブラッキーあきらにもご注目くださいね!

では、また~❗

ありがとうございました🎵

2017/05/31 (Wed) 20:07 | EDIT | REPLY |   

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