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plumeria

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こいつを抱き締めたままベッドに寝転がったのは4年ぶり・・・このまま朝まで抱いててやろうなんて少し考えてたが、こいつは腕の中で変な計算ばっかして俺から逃げようと必死だった。

本当に嫌なら頭突きでもなんでもして飛び出すだろう。
でも牧野は自分でも気がついてねぇみたいだけど、その計算中は俺の身体に寄り掛かってた。両手で抱き締めてる僅かな隙間から出した自分の指を折りながら・・・それって俺に気を許してるからだろ?

その感覚が懐かしくて牧野の髪に顔を埋め、そこでこいつの香りを呑み込んでた。


「・・・牧野、浮気しないように頑張るから・・・」
「しないって言わないのっ?!」

「約束してもお前がすぐに裏切り者扱いするからな。で、そろそろ気持ち、固まったか?」
「・・・あのさ、そんなに簡単に答えられないでしょ?」

「何処が問題だ?自慢の旦那だと思うけどな」
「見た目はね!でもそれで泣かされる方の身にもなってよ!」

「泣くって事はお前も俺の事をまだ想ってるんだ?」
「ばっ・・・馬鹿言わないでっ!女にだらしない男は大っ嫌いよっ!」


そう言いながら全然動いてねぇんだけど。そして思いっきり赤い顔してんだけど?
面白いから牧野の耳元に息が掛かるほどくっついたら、ほんの少し甘い声を出した後で慌てて唇を噛んでた。

それも4年前からこいつがする仕草。
もう我慢出来なくて牧野の身体をクルッと反転させて正面から抱き締めた。そうしたら今度は目と目が15㎝・・・真っ赤な牧野の顔が近すぎて見えないほどだ。


「3500万の返済は一括のみ。分割とか認めねぇ」
「うわっ、横暴っ!って言うか、頼んでもないのに払ったの西門さんじゃん!」

「払わなかったらどうなってた?お前の給料だけじゃ無理だから退社後に居酒屋でバイトして、それが終わったら深夜から猥褻行為で稼ぐのか?で、一睡もせずに会社に行って同じ事を一週間繰り返すんだぞ?
しかも会社は土日休みだけど、バイトは休めねぇよな。それだけ返済するなら40年かかるとして、利子込みで5000万は超えるんじゃね?ざっくり計算して年間125万返済・・・1ヶ月10万を40年続けるんだぞ?
で、40年後じゃ猥褻行為による収入はねぇだろうから・・・」
「もういいわよッ💢!!」


鼓膜が破れそうなほどの声で怒鳴られ、でも俺の顔はニヤリ・・・牧野は俺の目の前で降参しやがった。
でも、その次に出た言葉は・・・


「判った・・・でもこれは西門さんが他の人と結婚したくないから私を選んだって言ったよね?」
「まだ好きだって言っただろ?」

「それはあんたの勝手な感情であって、私は4年前に捨ててますっ!」
「・・・・・・(強情なヤツだな)」

「だからこれは契約による婚約って事で、こっちだって条件つけさせてもらうわ!」
「条件?なんだそりゃ」


いきなり出た条件って言葉で牧野を離すと、流石に俺から飛びのいてベッドの端まで逃げやがった。
そこで鼻息荒くして俺を睨み、何故か正座・・・俺はそんな牧野を寝転んだまま見ていた。今度は何を言い出すやら・・・毎度面白いヤツだな、と思ったが尖らせた口から出たのはとんでもねぇ条件だった。


「エッチはなし!人前で手を繋ぐ程度までしか許可しません!ご飯も掃除もちゃんとするけど寝室とバスタイムは別々!」
「エッチなし?!」

「当然でしょ!」
「何だと?!そんな婚約者なんていねぇだろうが!」

「そうじゃないなら40年間働くほうをを選ぶわ!」
「・・・マジで?」

「クソ真面目よ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・💢」


エッチなしって幼稚な言い方にドン引きだったが、それは追々って事で・・・・・・取り敢えずここで俺達は合意した。
その後で「私の荷物は?」って言われたから「地下のトランクルームに詰め込んだ」って言ったらマジギレされた。


「どうしてそんなところに詰め込むのよ!」
「だって必要ねぇだろ?ここに全部新品が揃ってるんだから。まさか色気のねぇ下着が恋しいとか言わねぇよな?」

「下着も西門さんには関係ないでしょ!絶対に見せないからね!」
「・・・・・・・・・・・・・・・💢」


そんなこんなで晴れて(?)こいつは俺の婚約者になった。




************************




竜司さんとも一緒に住んだことがないのに、何故か始まった同棲・・・しかも相手は元カレ。
こんな事があっていいんだろうか、と悩む暇もなく夕食を作る時間になった。

ご飯は作ると言ってしまったから取り敢えずキッチンに向かい、大型冷蔵庫を開けると・・・想像通り超高級食材が詰め込んであった。
松阪牛に鮑に伊勢エビ、キャビアにトリュフにフカヒレ・・・何を作れってのよ!!

野菜室にも綺麗な有機野菜がたっぷり。香辛料に至っては見た事もないヤツがズラリ。
私の得意なもやしや白菜、きゅうりに大根に人参はどこよっ!って探したら、それもブランド野菜が用意されていた。


「西門さん、夕食って何がいいの?」
「それおかしくね?」

「は?何が?」
「西門さんってのは婚約者っぽくねぇじゃん。名前で呼べよ」

「・・・総二郎?」
「呼び捨てかよ・・・まぁ、良いけど。で、飯ならつくしが得意なもんでいいぞ」

「つ、つくし?!」
「お前、つくしだろ?」


ひえぇ~~~~~~っ!!今まで名前で呼ばれた事なんてないんだけどっ!
4年前だって「牧野」だったくせに!

急にあの顔でにっこり笑って「つくし」って言うもんだからボンッ!と顔が熱くなる。それを見られたくないから急いで背中を向けてメニューを考えた。
背中から聞こえてくる含み笑い・・・すごく腹がたつ!


結局作ったのは松阪牛を使った肉じゃがに有機野菜たっぷりの豚汁。
ネギ入りの出汁巻き卵にポテトサラダ・・・ザ・庶民の味だけど食材だけは一級品。それをテーブルに並べて彼と向かい合って座った。


「も、文句は言わないでよね。凝ったものなんて作れないから」
「凝ったもんは食い飽きたから平気。それに美味そうじゃん」

「そ、そう?まぁこのぐらいなら・・・」
「いただきます」

「・・・どうぞ」


綺麗なお箸の使い方・・・それに口に運ぶのも相変わらず優雅。
私には判らないけど多分食べてる順番にも拘りがあるんだろうな・・・ってか、それが作法なんだろうと思う。


4年前はそれを覚える気満々だったのになぁ・・・。

総二郎の食べ方を見ながらそんな事を考えてたら、スッとお椀を出された。


「お代わり」
「えっ?!お代わりとかすんの?!」

「この味噌汁美味いから」
「・・・よ、良かったわ、お口に合って」


どうして私が照れるのよ・・・これ、契約的婚約だからね?
中身は別れた男と女であって、彼が言うみたいな恋愛感情はないはず。私の婚約指輪をこの人が捨てたから・・・・・・



「あっ!私の荷物、全部トランクルームって言ったよね?」
「あぁ、そうだけど」

「ダメじゃんっ!億の指輪もそんな所にあるっての?!」
「お前が指につけてねぇならそうかも?」


そうかもじゃないわよーーーーっ!!
億の指輪が地下で泣いてるっつーのっ!!




「・・・・・・・・・はっ!(もしかしてその指輪を売れば3500万円返してもお釣りが来るんじゃ・・・)」
「つくし、なに考えてんだ?」

「ううん、何でもないっ!!」





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