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「つくし・・・綺麗だね。幸せになってね」
「優紀、ありがとう。フランスまで来てくれて嬉しいよ」

「来るわよ~!親友の結婚式だもん、何を置いても来るに決まってんじゃん!って言うか、旅費は花沢さんだけどね~」
「くすっ、まぁね!」

「・・・大事にしてもらいなよ?」
「うん、もうしてもらってるよ。私、凄く幸せだもん」



夏の終わりのフランス・・・これまでで1番幸せな気分でこの国に来ていた。

真っ白な薔薇のブーケにウエディングドレス。
類が選んでくれたパールのネックレスにピアス・・・それに信じられないほど光り輝くダイヤのリング。

鏡に映る私は自分で言うのも恥ずかしいけど、凄く綺麗に見えた。


これから大好きな人との結婚式・・・夢にまで見たパリ郊外にある古城での結婚式。
色んな事を乗り越えてやっとここまで来たんだと思うと嬉しくて涙が溢れた。それを見て慌ててハンカチで拭いてくれる親友の優紀・・・小さい時から一緒に遊んだ友人で、一部を除いて私の過去を知ってるただ1人の幼馴染み。

「泣いちゃダメだよ」って優紀が泣きながら私のメイク直しをしてくれた。


フランス王室縁のお城だから窓の外にはベルサイユ宮殿に似た庭園や湖があって、奥には森が広がってる。そんなロマンチックな景色を2人で眺めていたらドアをノックする音が聞こえた。

途端に高鳴る胸・・・そして優紀が「王子様かな?」なんて言って私の横を離れた。


おかしくないかしら・・・メイク、乱れてないかしら。
ドレス、汚してなんて無いよね?大丈夫・・・大丈夫・・・?彼の目にはどう映るかなってそればかりが気になった。



優紀がドアを開けてくれたら、そこに居たのは真っ白なタキシードに身を包んだ類・・・。

ニッコリ笑って「支度できた?」って・・・それを見たら、優紀が気を利かせて出ていった。


総レースのプリンセスラインのドレス・・・類が選んでくれた今日の為のドレスを彼は嬉しそうに眺めてる。
そして真横まで来たらふわっと抱き締めて、優しく髪にキスしてくれた。


「凄く綺麗・・・最高だね、牧野・・・じゃなかった、今日からつくしって呼ばなきゃね」
「ふふっ、ありがとう、類。似合ってる?何だか凄く照れ臭いんだけど」

「よく似合ってる・・・誰にも見せたくないぐらい。あっ、でも自慢したいかも・・・?」
「・・・ばかね、自慢になんかならないよ。類が綺麗だって言ってくれるだけでいい・・・・・・幸せだよ、私」


類のタキシードを汚さないようにしなくちゃ・・・って思うけど、幸せすぎで彼の胸に寄り掛かると、類も私を強く抱き締めてくれた。「どうしよう、このままベッドに行く?」、なんて冗談言って・・・私の顎に手を掛けて、うっとりするようなキスをくれた・・・。



幸せにならなきゃ・・・両親の為にも、自分の為にも。

類と一緒に楽しく暮らすの。
これからはずっと2人、離れずに傍にいる・・・そう神様に誓って新しい生活を始めよう。

類の腕の中でそんな事を思いながら、もうすぐ始まる結婚式にドキドキしていた。





**




今から20年ぐらい前のこと・・・私の両親は小さな工場を経営していた。

真面目で働き者のお父さんと元気で頑張り屋のお母さん。
少しずつ生活も楽になってきたと私たちの前でも嬉しそうだったから、経営は悪くなかったんだろうと思う。

でも幼かった私では会社の事も経済の事も判らないから、ただ機嫌の良い両親を見て「うちはお金持ちなんだ」って思ってた。


そんなある日、夜遅くにトイレに行こうと自分の部屋を出たら居間にはまだ電気が点いていて、両親が何か話してるのをドアの隙間から見てしまった。

「どうしたらいいんだろう・・・」
「まさかこんな事になるなんて・・・せめて従業員には給料を渡さないと」

内容は判らないけどお母さんは泣いていた。
お父さんも項垂れて辛そうだった・・・2人共が悲しそうな顔をしていたけど「どうしたの?」なんて聞ける雰囲気じゃ無かった。



それからは家に色んな電話が掛かってきてお母さんは「申し訳ありません」と謝ってばかり。
お父さんは何故か家に帰らなくなった。お母さんに聞いたら「会社が忙しいのよ」・・・そう言ってたけど、前みたいにお母さんが料理をしなくなった。

料理をしなくなったんじゃない・・・お買い物に行かなくなったんだ。
冷蔵庫の中に何も無いって日もあって、私と弟には何が起きたのか判らなかった。
「お腹が空いた」なんてそれまでは言ったこともないのに、少ししか食べられない日もあって初めて空腹の辛さを知った。

おやつも無くなって欲しいと強請った服も買ってもらえない。
友達の誕生日プレゼントも買ってもらえないから、お誕生日会に誘われても行くことも出来なくなった。

郵便で何かが届くとお母さんが泣いてしまう。
たまに帰ってくるお父さんの痩せ方は尋常じゃ無かった。


何が起きたんだろう・・・私と弟はすっかり暗くなった家の中で寄り添っていた。



私が小学校に行く前の年・・・急にお父さんとお母さんが居なくなった。
置き手紙を残してたけど、そこに書いてあるのは「ごめんね」って文字だけで、後は覚えていない。

通帳と印鑑が残されていて、それが生活費って言う意味らしかった。でもそれも私と進の手元には来なかった。 誰か知らない人が来てそれを持って行き、私たちは取り敢えず親戚の家に行く事になった。


「まったく・・・姿を消すにしてもお金を残すなら話は判るけど、そうじゃないのになんで子供達の面倒をうちがみなきゃいけないの?」
「そんな大声で話すな、つくし達に聞こえるだろう!」

「判るもんですか!まだ小さいんだから」


おばさんとおじさんがそんな会話をしているのを聞いたけど、確かに私には判らなかった。
判ったのはお父さんとお母さんに捨てられたって事だけ。

そして地獄の日々が始まった。


体罰は無かったけどおばさんはあからさまに自分の子供と私達を差別した。
ご飯も一緒には食べられず、進と私は当てられた部屋の小さなテーブルで食べた。おかずだって全然違う・・・服なんて新しいものは無くて全部誰かのお下がりだった。

私は男の子の服だろうがなんだろうが構わないけど、進に女の子の服をくれるおばさんを睨んだら「文句があるなら出て行くかい?」って蔑んだ目で見下ろされた。
従姉妹であるその家の子には「迷惑なのよね」って、歳も変わらないのに威張ってそんな言葉を出された。


邪魔ってこう言う事なんだ・・・6歳にして「自宅」の有り難さを知り、安心して寝られる場所が欲しいと思った。



おじさんはお父さんの弟だったから少しは優しかった。
だからたまにおばさんに内緒でくれるお小遣いで文房具を買い、2人でお菓子を買って公園で食べたりもした。


「お父さんとお母さん・・・何処に行ったの?」
「知らない。進、その話はしないって言ったでしょ?忘れなきゃ・・・私たちは捨てられたのよ」

「捨てたの?子供って捨てられるの?」
「・・・だってそうじゃない。迎えにも来ないんだから」


進の言葉を聞いて先に泣き出すのは私。

この先どうしたらいいのか・・・小さな弟の手を握って、なにも判らないまま未来に恐怖を感じていた。




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類君の新しいお話しです。
アナウンスした通り、8話までがプロローグです。
前半に現在の2人、後半につくしちゃんの不思議な過去について書いていきます。

非現実な部分があるお話しなので判りにくいかと思いますが、お暇な時にでもお付き合いいただければ嬉しいです。

尚、シリアスものです。
苦手な方はページを閉じていただきますよう、お願い致します。
ご案内したとおり、本編9話目からのコメントは閉じさせていただきます。
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Comments 8

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2019/10/01 (Tue) 00:24 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/01 (Tue) 07:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ミキッp様、おはようございます。

結婚式から始まるんですが・・・って感じですかね💦
少しつくしちゃんの過去に複雑な事があるお話しです。

でも最後はね・・・って、これは変わらないのですが・・・。


大変ですね💦私の知り合いにも2人ほど居ますけど、それぞれに程度が違うみたいで。
1人の人はそれでもバレーボールしてるんですよ。
もう1人も元気ですが仕事は辞めるしかなかったとか・・・。

ご無理なさらずにお過ごし下さいね。
これから冬に向かうので風邪なども引かれませんように、お大事になさって下さい。

大変なのにコメントして下さってありがとうございました。

2019/10/01 (Tue) 09:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

ははは・・・スタートしてしまったって感じで「どうしよう~💦」って思ってます。
こうなったら最後まで書き進めるしかないのですが・・・ヤバいなぁ(笑)

私、ドSですからね(笑)

総ちゃんとは違う意味で類君を苛めてしまいそうです💦

えぇ!コメント欄開けてたら類君ファンに総攻撃受けそうで怖いので(笑)
出来るだけ長編にならないように頑張ります(どういう頑張りだ?)

2019/10/01 (Tue) 09:39 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/01 (Tue) 11:09 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

コメントありがとうございます。
えっ・・・どうだろう、「おしん」のほうが辛いと思うけどな(笑)

えーと・・・・・・虐待とかって話は全然ないです。
精神的に辛いかもだけど・・・苦しいと言えば苦しいのかな?
子供時代の話はプロローグだけです。

ちょっと上手く書けないけど(笑)
結果、類に出会ってるのでそれなりに暮らして行くのだと思ってて下さい💦

ははは!1話目って何にも判らないですもんね!申し訳ないと思います。
オカルトよりは全然いいと・・・個人的には思っていますが・・・ダメかな?(笑)

2019/10/01 (Tue) 11:22 | EDIT | REPLY |   
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2019/11/09 (Sat) 09:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: うーん…なかなか…

まーこ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。


あっははは!そんなにですかね(笑)
いやいや、もっと激しい方もきっと何処かにいらっしゃるはず・・・でも、確かに苛めてますね💦

実は心を痛めて書いてるのですよ(笑)
ホントにホントです!

最後は・・・ほっこりしないとね~って思ってます(今のところ)

2019/11/09 (Sat) 22:41 | EDIT | REPLY |   

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