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類の手を取って部屋を出て、このお城の中にあるチャペルに向かった。

花沢家の親族、友人、招待客には多くの控え室が割り当てられているけど、私の方はひと部屋だけ。
しかもそこには優紀と進と進の彼女の3人と桜子と滋さん・・・全員で5人。親戚は誰1人呼ばなかった・・・ううん、そんな人は居なかった。

私に残されたのは進だけ。
それともう1人・・・有栖川のお爺様はご病気だからって断わられたから。


礼拝堂の入り口まで行くとそこで類の腕を強く握り締めた。
そうしたら「緊張してる?」って彼が優しく微笑む・・・「少しだけね」って答えたら、ドアが開く少し前なのにもう1度キスしてくれた。

「ご準備宜しいですか?」

係の人に言われて赤面・・・軽く類を小突いたらクスクス笑うだけ。

「それでは先に新郎様だけお入り下さい」

その言葉で類は「待ってるね」ってウィンクして私の手を進に渡した。


「姉ちゃん・・・見てる方が恥ずかしいんだけど」
「し、知らないわよ!類にとっては大したことじゃ無いのよ、キスなんて!」

「・・・幸せそうだからいいけどさ」
「あんたの時もやればいいじゃん。見といてあげるから」


そう言いながら進も嬉しそうに笑ってる。
私はお父さんの代わりをしてくれる弟に感謝しながらその腕を取った。



パイプオルガンの音が鳴り響き、ドアがゆっくり開けられる。
長いバージンロードが私の前に広がり、その先に愛しい人が待ってる・・・まだ歩き始めてもいないのに、もう私の目から涙が溢れた。
そして華やかな音楽に合わせて1歩ずつ進み、彼の元に近づいた。

花沢家の列席者の表情はイマイチなのかもしれないけど、それは見ないようにして歩いた。
私の前方にはにこやかに手を振る優紀と進の彼女の真由美ちゃんがいる。桜子と滋さんもセレブなくせにブンブン手を振って、神父さんに怒られちゃうよ?なんて呟きながらゆっくり歩いた。


新郎側の前方には道明寺や西門さん、美作さんがいる。
道明寺は今日も怒ったような顔をしていたけど、西門さんと美作さんは相変わらず楽しそう・・・怖い顔した道明寺を宥めるように座ってた。

そこ、親族の席じゃないの?って思ったけど後ろ側なんてプライドが許さないんだろう。
花沢のご両親のすぐ後ろの席で腕組みしてる道明寺の長い脚が私からも丸見えだった。



類の近くまで行くと進の腕から彼の腕に、そこからは類の横を歩いて神父さんが待つ祭壇まで進んだ。

全員起立し讃美歌を歌い、神父さんが愛の教えについて読みあげる聖書の朗読・・・その後、神に祈りを捧げる。
それが終わると誓いの言葉、ここで私の心臓は爆発寸前だった。


これで私たちは夫婦になれる。
牧野から花沢に・・・新しい私になれるって思うとブーケを持つ手が震えるほどだった。


『花沢類さん、あなたは牧野つくしさんを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。
汝、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、これを愛し敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?』

『はい、誓います』

『牧野つくしさん、あなたは花沢類さんを夫とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。
汝、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、これを愛し敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?』

『はい・・・誓います』


指輪の交換・・・永遠の愛の印である指輪を互いの左手薬指へと贈る。
私の左手を優しく持ち上げて類が薬指に指輪をはめてくれた・・・その時には不思議と震えなかった。彼の体温が私に安心感をくれるから。そして私も類の左手薬指に指輪をはめた。


『誓いのキスを・・・』

その言葉で類の手が私のベールの裾に掛かった。そしてゆっくりとベールアップ。
私は練習したとおり、ベールが上がり始めると同時に視線が類の胸の高さにくるくらいまで腰を落とし、祈るように首を軽く曲げた。
類がベールを背中へ下ろすタイミングに合わせて、ゆっくり姿勢を元に戻す。

何とか綺麗に出来たかな?って思った時には彼の顔が目の前に来てて、そのまま唇にキスをくれた。



そんな夢のような時間はあっという間に終わってしまった。




**




親戚の家に引き取られて1年後、おじさんの所に警察から電話が入った。
日本海側のとある海岸で両親を見掛けたと言う連絡だった。急いで来て欲しいと言われ、おばさんは来なかったけど進と私はおじさんと一緒にその土地に向かった。

だけどその連絡は嬉しいものじゃ無かった。


目撃情報があった海岸の崖の上に、両親のものと思われる靴と上着があったって言う内容だったから。
それに置き手紙・・・「もう疲れました」って言うメモのような置き手紙があって、それをおじさんと一緒に見せられた。


「見覚えのある字ですか?」
「いや、そう言われても・・・兄の字なんて最近見たことも無いですし義姉の字なら尚更知りませんよ」

おじさんの答えは尤もだ。
警察は私達にも同じ質問をしたけれど、私達だって判らない。小学生になったばかりの私に親の字の記憶なんてなかった。


「あの付近の海中を探してるんですがお兄さん夫婦は発見されていません。ただ、目撃した人も身を投げそうだと思ったから警察に連絡してきたんですよ。それで年齢、背格好、ご夫婦っぽいって事から捜索願いが出ている牧野さんかと思って写真で確認したところ、よく似てると言われましてね」

「話し掛けてはいないのですか?」

「いえ、声を掛けたそうですが軽く笑って『ご心配ありがとう』って言ったそうです。残されたものから髪の毛でも出てきたらお子さんとDNA鑑定したいのですが、如何でしょう?それとも牧野さんご夫婦のものだと確信持てるものはありますか?」

「いえ、もう住んでいた家は売却しましたし、何も残ってはいません」


数日後・・・残されていたものはお父さんとお母さんのものだと確定。
そして両親はそこから身を投げたのだろうと言われたけど、やっぱり発見はされなかった。


もう1度その場所に向かったのは最初の連絡から1ヶ月経った頃。決まってもいないのに花束を崖の上から海に向かって投げろと言われ、私はその通りにした。
進も同じ・・・嫌々付いてきたおばさんも同じようにポイッ!と百合の花束を海に投げた。

その後おじさんとおばさんは手を合わせたけれど、私は何故かそれが出来ない・・・だってお父さんとお母さんの事は何も判っていないのだから。

簡単にこの世から消してしまおうとするおじさんの行動も、それを面倒臭そうに見るおばさんも許せなかった。


そんな私の前に突然現れた人・・・それが有栖川のお爺様だった。





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2019/10/02 (Wed) 08:30 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。
そうですね、歓迎されてないというか仕方ないって感じでしょうか。
嘘つきやカラフルのご両親とは全然違う様子ですね(笑)

ご両親のイメージももう少ししたら出てきます。非情な人ではありません💦念の為!


つくしちゃんの過去も少し複雑・・・このお爺さんの事は次話で判ります。
謎が多いので(笑)はじめの方でこんがらがるかもしれません。
頑張って解読して下さいませ💦ごめんなさ~~~いっ!!

2019/10/02 (Wed) 10:38 | EDIT | REPLY |   

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