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「カンパーイ!!」「おめでとう!牧野、類!」
「もう俺達だけだ、気楽にやろうぜ!」

「ありがとう・・・ホントにありがと・・・」
「つくし、泣いたらメイクが落ちるって」


控え室で1度抱いて来たなんて誰も気付かない・・・と、思ったけどやっぱり総二郎とあきらはすぐに見抜いた。
それはつくしから溢れ出る色香で判るんだとか。

つくしが三条達と嬉しそうに会話している時に耳元でそんなことを囁かれた。


「意外だな、類・・・こんな時に襲うだなんて」
「・・・襲うだなんて失礼な。もう正式に妻だからね、2人きりになったから愛しただけ・・・悪い?」

「うわっ・・・その言い方、なんかムカつくなぁ・・・くそっ!」
「つくしにちょっかい出さないでよ?目の前で誓いのキスまでして見せたんだから」

「さぁ、どうだろうな~!夫婦喧嘩とかして泣き付いてきたら、そん時は判んねぇな」
「喧嘩はするかもだけど泣いて飛び出すようなことはさせない。仲直りの涙なら俺の前で・・・だよね」

「「アホらしい!」」

「くす・・・邪魔しなければいいんだよ」


つくしはウエディングドレスを脱いで、それでも今日は花嫁だから真っ白なカクテルドレスに着替えた。
フワフワの膝丈は人妻としてどうなの?って思うけど彼女が気に入ったんだから仕方ない。でも、その綺麗なレッグラインを見る幼馴染みの視線には正直ムカついていた。

つくしがシャンパングラスを持って口に寄せるのを司が苦笑いしながら見てる。
大河原に抱きついて笑ってるのを総二郎が切なそうに見てる。
三条にドレスの胸元を手直しされているのをあきらが面白そうに見てる・・・そんなつくしの総てが俺のものになった。

絶対幸せにしなきゃ・・・って、俺も自分の花嫁の笑顔を見ていた。


「先輩、子供って何人ぐらいのご予定?」
「は?そんなの判らないわよ!や、やだ・・・今日聞かなくてもいいじゃない!」

「ねぇねぇ、今日出来たらいつ生まれるの?来年の春?」
「ええっ!今日ってそんな馬鹿な・・・もうっ、滋さんまでそんな事言わないでよ!」

「あら、そんなの判りませんでしょ?勿論昨日も盛り上がったんでしょうけど、花沢さんに体力があれば今晩だって頑張れると思うし」
「さっ、桜子!!」

「大丈夫、覗きになんて行かないから!滋ちゃん、酔い潰れちゃおーっと!司-っ、お代わりーっ!」
「覗き?!ちょ、ちょっと!誰か助けてよ~!」


くすっ、馬鹿だよね。
今まで何回もからかわれてるのにまだ上手に逃げられない。

そうやってすぐに真っ赤になって反応するから2人が遊ぶのをやめないのに。
半分泣きそうになってるつくしに向かって手招きしたら、三条の腕をスルリと外して戻って来た。そして俺の前で恥ずかしそうに俯いて、左手薬指をさすってる。


大丈夫・・・その指輪があんたを守ってくれるから。

つくしの肩を抱き寄せてそっと瞼にキス・・・そうしたら三条と大河原はきゃあきゃあ言ってるけど男達はシラケてる。
だよね・・・もう見たくないって思ってるよね。


この日最後のパーティーはこんな調子で続き、日付が変わろうって時にそれぞれが部屋に戻った。

人生最高の1日・・・それが終わろうとしていた。




**




このお屋敷で暮らし始めて5年が過ぎた頃。
私が中学になった時、鈴音がお屋敷からいなくなった。

お爺様に聞くと体調が悪くなったから療養の為に遠くの街に行ったのだと・・・私にはひと言も言わずに姿を消した。


「お爺様、鈴音、何処が悪かったの?私、全然判らなかった・・・」

「生まれつき心臓が弱いのじゃよ。実はそんなに長くは・・・だから子供のうちは空気のいいのんびりした田舎に住まわせそうと思ったんだが、それも限界らしい。専門医が近くに居る場所で暮らした方がいいと思うてな・・・」

「でもお別れぐらい言いたかった!」

「鈴音が黙って行きたいと言ったのじゃよ。話をして別れるのは辛くなるからと言うてな・・・」


鈴音の部屋に急いで行ってみたら、その部屋には何もなかった。
元々ゴチャゴチャと飾り物を置いてなかった部屋だけど、本棚の本もクローゼットの服も何もなかった。
ベッドのシーツも外されている。
窓際にあった机の上にも何もないし、亡くなったと言うお母さんの写真もなかった。壁に掛けてあった鞄もコートも・・・何もかも。

真っ白なカーテンだけが開けられた窓から風を取り込んでいた。


鈴音・・・あなたのことをもう少し聞けば良かった。
そうしたら、その悲しそうな笑い顔が本当の笑顔になったかもしれないのに・・・。


パタンとドアを閉めた後、私の頬を一筋の涙が流れた・・・また自分の周りから人が消えた、そう思ったから。


チリン・・・チリン・・・
     チリン・・・・・・チリン・・・


その日も聞こえた鈴の音・・・まるで鈴音が泣いてるみたいに思えた。



それからは大きなお屋敷でお爺様と2人きり・・・淋しい毎日だった。
学校は随分離れていたから行きも帰りも迎えの車が来て、そんな通学だったから部活動もする事は出来ない。だけど我儘は言われない・・・私は有栖川のお爺様に養ってもらっているから。


この頃、少しはお爺様の事が理解出来てきた。

有栖川家は昔からこの辺りの土地を持ってる大地主で、お爺様は自分のお父様が始めたという会社を経営していた。その会社は10年ぐらい前に自主的に閉じてしまったけど、元々所有していた東京のビルや土地を売却し、今の暮らしがある。
今でも僅かながら不動産関係で収入があるんだと言ってたけど、確かな事は何も知らない。

ただ、生活には困っていない・・・とても裕福な暮らしぶりだった。


山桜の薄いピンク色を眺めたのも1人。
蝉の泣き声で目が覚めるのも1人。
紅く色付いたモミジを見ながら散歩するのも1人・・・真っ白な雪が漆黒の空から落ちてくるのを見るのも1人だった。


そんな毎日が2年半続いた時、お爺様が私に言った言葉・・・それに驚いた。


「つくし、お前は中学を卒業したら東京に戻りなさい」

「え?東京って・・・おじさんの家に?」
「いや、小さなマンションをひと部屋用意してあるからそこに住みなさい。生活費は困らないようにするから大丈夫・・・進君にも年に1度と言わず会うがいいよ」

「・・・でも来年の春は高校受験です。ここから1番近い学校を志望してるんだけど」


私から頼んだ訳じゃないけどお世話になってる身・・・だから高校はここから1人で通える公立高校を受験するつもりだった。そして高校からはバイトを始めて少しずつ自分のお金を貯めていこう。
そしてこのお屋敷を出て自分の力で暮らしていけるようにと考えていて、勿論大学にも行かないつもりだった。

それなのに、続いたお爺様の言葉は意外なものだった。


「高校はもう決まっておるのだよ。東京の英徳学園・・・知っておるだろう?」

「はっ?英徳って・・・あの英徳?セレブ校で有名な?」
「ふふふ、その英徳じゃ」


英徳学園は日本有数のセレブ校・・・通ってるのは殆どが大企業経営者や医者、学識者、政治家・・・そんな人達の子供なのよ?私のような親に捨てられた子供なんて入れる訳がないのに。
入学金、学費、寄付金だって相当な金額だと聞いた事がある・・・お爺様がそこまでする必要なんてない。

それにまだお父さん達と暮らしていた頃、1度だけ大企業のパーティーって言うのに連れ出されたことがある。

でも全然面白く無かった。
みんな綺麗だけどその笑顔は怖かったし、会場は華やかだけど大声で笑えない・・・窮屈で息苦しかったことしか覚えてない。英徳はそのジュニア達が居る場所でしょう?あれと同じ世界・・・なんだよね?


東京に戻れるのは嬉しい。
今より進に会えるのも嬉しい・・・でも、毎日が辛いと判っていてそんな学校には行きたくない。


「お爺様、私はこの土地でお爺様と暮らすからいいわ。そんな学校には行かなくても、普通の高校で充分です」
「もう受験の申し込みも済ませてある」

「えっ?!私に何も聞かずに?」
「・・・儂はお前さんをその学校に入れるとご両親に約束しておるのだよ」

「両親・・・うそ!お父さんとお母さんがそんな事を言うはずない・・・私達を置いて出ていったのよ?」

「頼まれたのではない。儂がそうしてやると言ったのだ。そうしたら嬉しそうに『ありがとうございます』、そう言っておった。自分達が置いて行ったせいで形見の狭い思いをしているだろうから、せめて高校は良い学校を卒業して大学にも行き、金に困らない暮らしをして欲しいと言うての・・・お母さんは毎日泣いておったなぁ」


今頃それを言われても、心には何も響かない。

私はお金なんてなくてもいいって思った。貧乏でもいいから家族で・・・4人で暮らしたいって思った。
それを壊したのは両親だ。私は今でもそれを許せなかったのに・・・。


その後も何度かお爺様と話し合ったけど、最終的に私の英徳受験が決まった。





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Comments 6

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2019/10/05 (Sat) 05:03 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/05 (Sat) 07:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ニーナ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

あはは!面白い(笑)
こんなに訳判らないことを書いてるのに、そんなに妄想していただいてありがとうございます💦

あ!訳判らないから妄想するのか・・・💦

でもこのコメントに半分正解が含まれていました(笑)あっはは!でもそれはラストまで謎かも?


言えるのは・・・初めの方は誰が本当の事を言ってるの判らないという事です。
どの部分が本当でどの部分が謎なのか・・・それが判るのは随分先だと思います。

そして・・・意外とショボいラストだったらごめんなさい💦
(最近頭を酷使してるので纏まらないかも💦)


どうぞ宜しくお願い致します♡

2019/10/05 (Sat) 10:56 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

あはは💦ビオラ様が怒るような出来事があるんですよ・・・あぁ、怖い💦

私も類君大好きなんだけど、どうしてかしら・・・苛めてしまうのですよね(笑)

これで出会って恋して結婚・・・までの流れは出来ましたね♡
あと3話でプロローグは終わるので、そこからが・・・

いや、こんなに煽ってるけど(笑)本当はそこまで大事件じゃないかも💦
自分でもどのレベルがヤバいのか、最近よく判ってないので。


類君に何かが起きたら見守ってあげて下さいね♡←どの口が言う?みたいな💦

2019/10/05 (Sat) 11:03 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/05 (Sat) 21:21 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは!

あっはは!ちょっとーーーーっ!!
シリアスだって言ってるのに、どうしてそんな話がでてくるのっ!

想像しちゃったじゃん!

実はね(笑)本日、衣装の小物でチョーカー作ったのよ(笑)
鈴はつけないけど💦

どーしよーーーーっ!
それを類君がつけてる想像しちゃったじゃんっ!!しかも○○で💦


うぎゃーーーーっ!!

2019/10/05 (Sat) 22:58 | EDIT | REPLY |   

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