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結婚式を挙げた古城を出てパリに戻ったら、真っ直ぐ花沢の両親に挨拶に行った。

凜々しいお義父様に美しいお義母様・・・まだ完全に私の事を受け入れてくれていないような気がして凄く緊張する。
本当なら由緒正しい家から然るべきお嬢様を迎え入れたかった、そう思ってるはず・・・。

でも類の事を本当に愛してるから、彼が選んだ私を拒むことはしない。
それも判ってるからこうしてお屋敷に入ることが出来る・・・ちょっとズルい気もするけど、そう言う感情がそのうち全部なくなって、この人達と本当の家族になりたい・・・そう思っていた。


自分にはもういない両親の代わりに、この2人を本当の親だと思えばいい。随分無理のある話だと思うけど、類の側に居るためにも頑張らなきゃ・・・!ギュッと拳を握る私の事を類は笑いながら支えてくれた。

「大丈夫、俺が居るから」、その言葉だけが私の原動力だった。




「お義父様、お義母様、素敵なお式をありがとうございました。これから宜しくお願い致します」

「はは、疲れただろう?初めて会う親族もいたし」
「・・・これからも時々ああ言うお付き合いがあると思うから、しっかり花沢の事を勉強してね?つくしさん」

「はい!頑張ります!」

「お返事は静かにね・・・大きな声はこの世界では嫌われてしまうわ」

「・・・申し訳ありません」
「つくし、怒ってるんじゃないよ。教えてるだけだから」


類の言う通り教えてもらってると思えばいい・・・でも、類が私の手を取るとお義母様は顔を背ける。それは紛れもない事実なんだけど、彼にはそんな事を言えなかった。


焦らずに焦らずに・・・私はゆっくり花沢の人間になろう。

小さい時から自分の居場所を見付けられなかったけど、これからは類の横が私の場所。これ以上安心な場所は他にはない・・・私は総てを彼に任せて、類が楽しく過ごせる空間を作ること、それが仕事だ。


そして彼の後継者を・・・それは私だけではどうにも出来ないし、授かり物だけど必ず天使は舞い降りるって信じてる。

早くそうなればご両親の前での息苦しさも少しは消えるだろうか・・・温かい類の手を持ってその日がくるのを願った。



「明日日本に帰るから今日は空港に近いホテルに泊まるからね」
「あら、自宅があるのに?」

「・・・野暮な事言わないでよ、新婚だよ?」
「類・・・!わ、私は別に構わないのよ?自宅でお義母様達とゆっくり・・・」

これ以上お義母様のご機嫌を損ねたくなくて、慌てて類の袖を引っ張った。それでも彼は平気な顔して私の手に自分の手を重ね、それをまたお母義様が見てる!
どうしてそう言う部分を判ってくれないかな?って睨んだけど全然理解してなかった・・・。


「俺がそうしたいんだって。じゃないと気分が乗らないでしょ?」
「きっ・・・!る、類ったら!」

「・・・ふふっ、それもそうね。好きになさい。日本に帰ったらすぐに仕事に戻るんでしょ?バカンスはそのうち・・・だったわね?」

「あぁ、片付けなきゃいけない仕事を残してきたからね。それが終わったらゆっくりするよ」


如何にも今から・・・みたいな言い方でお屋敷を出るからほんの少し怒った顔をしたけど、類はお構いなし。「どうしてそんなに怒るの?」なんて笑いながら抱き締めるから、呆れちゃって返事も出来ない。
確かにフランスの自宅で寝るのは・・・ちょっと怖かったから助かったけど。


その日の夜も類は凄く情熱的だった。
壊れるんじゃないかって思うぐらい愛されて、何度も意識を飛ばしちゃうほど・・・彼の熱を受け止めた後で深い眠りについたのはもう明け方だったような気がする。


その数時間後、私達はお互いの腕の中で目を覚ました。




**




花沢類との交際は何もかもがスムーズに進んだ訳じゃなかった。
道明寺は自分と別れた後に親友と付き合うことに腹を立て、何度も喧嘩になった。だから花沢類が彼等から離れることになった。
2人の仲を戻してくれたのは西門さんと美作さんで、何度も話し合ったり殴り合ったりして漸く道明寺も判ってくれた。


「こいつを泣かしたら承知しねぇぞ!」
「泣かせたクセによく言うよ」

「花沢だって同じだ。お前で守れるのか?」
「守ってみせるさ。たとえ花沢を捨てることになっても牧野を離さないって自信はある」

「そんな事が出来る立場じゃねぇぞ。それに牧野が苦しむのも許さねぇ・・・花沢で幸せにするって誓えないなら手を引け!」
「だから司が偉そうに言うなって!」


憎くて別れた訳じゃない道明寺の優しさは嬉しかった。
でも、どんな事があっても私を守ると言ってくれた花沢類の言葉はもっと嬉しかった。

悔しそうな笑顔で道明寺が私に残した言葉・・・


「絶対に泣くんじゃねぇぞ!お前は雑草の中の雑草だ。何があっても笑って上向いとけ。ただし、類の力でもどうにも出来ねぇ事が起きたら俺を思い出せ・・・ムカつくが助けてやるから」

「うん!ありがとう、道明寺。万が一そんな事が起きたら思い出してあげる!」
「あぁ?なんだ、その言い方!すげぇ腹立つ女だな!」

「あはは!私らしいでしょ?」
「・・・ふん!まぁな・・・」



そして花沢家に連れて行かれたのは私が高校を卒業する時・・・花沢類は英徳大学の経済学部に在学中だった。

花沢のご両親は当然いい顔はしなかった。
一人息子の彼には何処かの企業家のお嬢様をと望んでいたから・・・それなのに親もいない私を連れて来たのだから無理はない。初めから判っていたけど、現実に目の前で拒否されていると感じるのは辛かった。


「元々ご両親は会社経営されていて倒産・・・どう言う経緯なのかは知らないのね?」
「はい。私がまだ小さかったものですから原因は判りません。倒産の手続きも両親と親戚で行ったようですが」

「トラブルを起こした訳ではないのだね?子供なら判らなかっただろうが不正事件とか・・・」
「父さん、言い過ぎだろう!たとえそうでも彼女は何も関わってないし、もう13年も前のことなんだから」

「・・・事件性はなかったと思います。業績不振によるものだと・・・そう聞いた事はあります。具体的に知らないだけです」


だってそれは本当なんだもの。
判るわけがない・・・ほんの5歳だったのよ?やりくりに困ってるお母さんの横顔と、辛そうに何処かに電話を掛けるお父さんの声しか覚えていない。
すぐに親戚の家での苦しい毎日が始まったんだから・・・原因なんて考える暇はなかったもの。


「英徳に入ったのは何故?あの学校の事を知らなかった訳じゃないでしょう?」

「私も知らなかったんですが、両親が少しだけお金を残してくれていたそうです。それに英徳に入学させたかったと言い残していたそうなので、思い切って受験したら合格したんです。
確かに私のような境遇の人間が入る学校ではないと思ったんですが、両親の願いだったのならと・・・それだけです」


有栖川家の事は誰にも言わない約束だったから、半分本当で半分作り話の説明をした。
でもそれを調べることなんてもう出来ない・・・私の両親はいないんだから。

そんな話を信じてくれたのかどうか、類の想いが強かったからなのか、花沢のご両親は渋々交際を認めてくれた。

でも出された条件は大学卒業、しかもそれなりの成績を収め、外国語をマスターし、社交界デビュー出来るマナーを身に付けること。何処のパーティーに出席しても恥ずかしくないように自分を磨くこと。

何より類のため・・・花沢物産の為に最大の努力をするように言われた。



それから私は類に教えてもらいながら勉強にマナーにと忙しかった。
英語とフランス語の日常会話をマスターし、経済学も学んだ。ダンスもワルツぐらいは踊れるようにレッスンを受け、たまには本格的なホテルディナーで食事マナーも教えてもらった。

何もかもが堅苦しくて息が詰まる・・・時々辛くて逃げ出したくなったけど、私の苦しみは全部類が受け止めてくれた。



「・・・あっ」
「どうしたの?」

「思い出した・・・牧野と初めて会った時のこと」
「ん?高校の?えっと・・・何処だったっけ?学食のホール・・・」

「いや、そうじゃなくて小さい時のだよ。俺、言ってただろ?何処かであんたを見た記憶があるって」
「あぁ、そう言えば。何処でだった?」


この会話はホテルのテラスに居た時。
今日は息抜きって事でレストランのテーブル席じゃなく、庭園風に作られたテラスに席を用意してもらって気軽なランチをしていた。その途中で急に類が食事の手を止めた。


「牧野、まだ小学生になってない時にここのホテルでやったパーティーに来たんじゃない?それでさ、退屈だったからって俺とこのテラスで話さなかった?」

「・・・小学生の前?・・・はっ!そう言えば1度だけパーティーに連れて行かれた事があるわ。留守番させられないって理由だけで・・・あーっ!私も思いだした!そうそう、どうしていいのか判らなくてテラスに出たら男の子が居たの!あれ、類なの?」

「あー、すっきりした!会った時には悩んでたんだけど暫く忘れてた。ここに座ったら思い出したんだ」

「あはは!嘘みたい!面白くなかったのよ~、あのパーティー!」
「うん、うちの創立記念パーティーだったけどね」

「・・・・・・えっ?」


言われるまで思い出さなかったのに、思い出したらその時の記憶を2人で辿っていった。
でももう20年近くも前の事でさっぱり・・・特に私は何も覚えてなかったけど、類はもう1人子供が居たと言った。


「もう1人?居たっけ?全然覚えてないわ」
「俺も話してないから判らないけど、自分と年の近い子が居るって思ったんだよね」

「男の子?女の子?」
「男だった。スーツとは言わないけど子供なのにフォーマルな格好してたから、あきらが来たのかと思ったんだ」

「美作さんに似てたの?」
「う~ん・・・そう思ったから覚えてるだけで、その子の顔は忘れた」

「ふ~ん・・・でも流石類、よく思い出したね!」
「そうだよね、大抵の事は寝たら忘れるのに」


その話はそれで終わって、私達はまたこれからの話に戻った。



そんな時間が過ぎて私は大学を無事に卒業、その後もお母様の勧めで2年間語学学校に入った。
もしかしたら私が逃げ出すと思ったのかしら・・・少しだけそんな考えもあったけど、類も私も気持ちは変わらなかった。



そしてやっと決まった結婚・・・フランスでの式が行われたのは類が25歳、私が24歳の秋だった。




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ややこしいプロローグ、終了です。
次話からもっとややこしい本編に入ります。

以前からお話しした通りコメント欄をCLOSE致します。申し訳ありませんがご理解くださいませ。



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Comments 8

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2019/10/08 (Tue) 00:32 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/08 (Tue) 07:48 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/08 (Tue) 08:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

てるる様、おはようございます。

コメントありがとうございます。

うんうん、今回はそう言う類君なんです~♡
前作からガラッとキャラ替えして、強い口調の類君です~♡

・・・・・・って言う割りには爆弾落としますけど(笑)
ハピエンに向けてどん底まで落として、這い上がって来ます~!

待っててくださいね♡

2019/10/08 (Tue) 09:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ニーナ様、おはようございます。

コメントありがとうございます。

あら、そうなんですか?スマホもパソコンも機嫌の悪い時ってありますものね。

あっはは!同一説はなくなりましたか?でもいい線をご想像なんですよ(笑)
謎だらけの始まりですが、真実は相当先で判明の予定・・・ミステリーの多いお話しです。

少々現実離れした部分がありますので、判りにくいかもしれません。
ですが考えすぎずにサラリと猛愛類君を感じていただければ(笑)←既に判りにくい表現💦

どうぞ宜しくお願い致します。

2019/10/08 (Tue) 09:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様 おはようございます。

コメントありがとうございます。

あはは!謎が多いですね💦謎が多い=長期化の予感・・・いや、そんなに長いのはもういい💦

そうなんです~・・・コメント欄閉じると誤字のご指摘が(笑)
厚かましいのですが拍手コメで教えて下さい(笑)


う~~ん、本当はコメント欄閉じたくないんですよ。
読者様から聞く声で「成る程ね~」って事も多いので。
自分の書き足りない部分を直したり、判りにくい箇所を直したりって出来るので助かるんですが・・・。

それを上回るネガコメが来る事もあるんですよね。
これまでも何度も傷ついて書けなくなって、ストックがなくなるほど落ち込んだこともあります。
それでも気力があれば立ち直るんですが、最近は自分の中で満足した部分もあって、ここらでブログを止めてもいいかなって思うようになってるんです。

だからそんなコメントが来たらパッタリ止めるかも(笑)

でも書き始めたら中途半端は嫌なので終わらせたい・・・故に閉じさせていただきます。

総ちゃんの時みたいに、もう爆弾はないなって思えた時に再開します。
それがいつになるやらですが「私の帰る場所」ほどの長編にはなりません!(笑)


それまで気長に待ってて下さいね♡

シリアスの時には甘い臨時便が走る可能性もあります♡無責任発言ですけど(笑)ははは!

2019/10/08 (Tue) 10:03 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/08 (Tue) 11:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

麦猫様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

いや、そんなにドキドキしなくても💦サラリと読んでいただけたら嬉しいです。
そんな馬鹿な!って内容が多いので、真剣に読んだら頭がこんがらがります(笑)

うふふ、最終的にはね、幸せになれますようにって思いながら書いてますからね。
それは間違いないのですが・・・なんせ途中がね~💦

いや、この程度は問題ないのか、ヤバいのか自分でもよく判らないのですよ。
「やめてーーーっ!」ってなったらごめんなさいね♡


昨日ぐらいから涼しくなりましたね。
お風邪が酷くなりませんように、ご自愛くださいませ。
お気遣いいただきまして、ありがとうございます。

2019/10/08 (Tue) 17:57 | EDIT | REPLY |   

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