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plumeria

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ホテルを出たのは朝の10時・・・シャルル・ド・ゴール空港に行く前に時間があるからってパリの街を散歩していた。

類は何度も来てるから私の案内係。
私は初めて見る街並みに感動して、彼を置いて走り回っていた。


「きゃあーっ!可愛いアクセサリーのお店がある!」
「うわぁ、あのお爺さん、すごく絵が上手・・・!」

「美味しそうなケーキ・・・ねぇ、休憩しない?」
「エッフェル塔が見える~!次に来た時には近くまで行けるかしら・・・・・・あっ・・・」

「くすっ、俺達もする?」


私が叫んでた時に見たのは、セーヌ川に架かった橋の真ん中でキスしてるカップル。
その人達が視界に入って言葉が止まったら、類からそんなひと言が出て驚いた。だってお昼間の外・・・それなのに?

吃驚して類の顔を見上げたら、ホントに普通の歩道のド真ん中でキスされた。


「ひゃあぁっ!もうっ・・・人が見てるじゃん!」
「見られちゃ不味いの?俺達夫婦だろ?」

「そっ、そうだけど、私には照れってもんがあるのよ!類は平気でも私は恥ずかしいの!」
「そぉ?俺は全然。許可が出たら大統領の前でもしちゃうかも」

「はっ?!」
「あっはは!つくしのその顔好き・・・面白いよね!」

「面白い・・・可愛いじゃなくて面白いんだ・・・」
「うん!」


言われたあとで拗ねた顔したら今度は所構わず抱き締める。
出会った頃はこんなに笑ったりしない人だったから本当に不思議・・・類の笑顔は私の中から出ていかない醜い感情を浄化してくれる気がしてホッとする。
だから、恥ずかしいなんて言ったクセに、抱き締めてくれる類の身体を私もギュッと抱き締める・・・それを通り過ぎる人が「C’est bien !」(いいね♡)って囁いて行くのを彼の腕の中で聞いた。


「もっとゆっくりしていられたら良かったのにね」
「・・・仕方ないよ。類、忙しいんだもん」

「でもまだそんなに責任あるポジションじゃないのにな・・・」
「いいのいいの!フランスは逃げないし、私も何処にも行かないよ?いつかまた連れて来てね」

「ん、約束する・・・」


その後パリで人気のカフェ「カフェ・ドゥ・ラ・ペ」に行った。
オペラ座のすぐ隣にあって、ガルニエ宮を設計したガルニエ氏がデザインしたって言うお店。パリの名所100選にも選ばれてるだけあって沢山の人で賑わっていた。

そこはド派手な内装に目映い照明で、カフェって言うけど高級レストランみたい。その店のオープンテラスで軽めの食事のつもりがほとんどデザート♡
類は珈琲だけで私が食べるのを楽しそうに見てるだけだった。


「うわっ!この特製ミルフィーユ、美味しい~!」
「ここはお菓子の方が人気かも。俺は殆ど来たことないけどね。観光客相手の店だから進が寄ったかもしれないよ?」

「あぁ~真由美ちゃん、ケーキ好きだもんね~。それにしてもあの子ったら私達より長くパリに滞在するなんて許せないわ!いつからあんな遠慮のない子になったのかしら!」
「あはは!いいじゃん。彼女と仲良くしたいんだろ?素敵なホテルにしてあげたんだし、今夜も頑張るかもしれないよ?案外俺達よりはやくデキちゃったりして」

「うわ、やめてよ・・・弟のそんなの想像出来ない・・・」
「俺達も早く・・・ね?」

「・・・うん!」


私達がフランスで式をするって言った時、進と真由美ちゃんはお金が無いから行けないって断わってきた。
それを類が全部手配してくれて・・・そうしたらちゃっかり長期休暇なんて取って、自分の弟だけど呆れちゃう!私達より3日も前にフランスに入って、しかも帰りは私達の翌日・・・それを類が勧めるから調子に乗っちゃって!

・・・・・・でも本当言えば今の楽しそうな進のことは嬉しい。
辛すぎる子供時代だったから、自由に伸び伸び暮らしてるあの子の笑顔は私のお嫁入りを後押ししてくれたようなもの。
類の口利きで花沢の関連企業に入ることが出来たし、このまま真由美ちゃんと上手くいってくれれば・・・そう思っていた。


「心配しなくていいよ。もし進が結婚を考えるようになったら俺も義兄として出来るだけのことはするから」
「・・・ありがとう。でもきっとあの子は自分で頑張って家庭を持つと思うわ。類には本当に困った時だけ甘えるかも・・・でも、本当にそんな事したらお義父様達もいい顔しないだろうしね・・・」

「そんなの気にしないで。俺にとっても家族なんだから」

「うん・・・その言葉だけで嬉しい!」
「早く食べな。もうすぐ行かなきゃ」

「はーい!」



日本に飛び立つ飛行機はフランスを17時40分出発、羽田には12時45分に到着。実に12時間の長旅。
食べ終わった後、すぐに移動して少し早めに着いたから空港でも私はお土産屋さんで大はしゃぎだった。

でも実は欲しいものなんてない。

類のマンションには使えきれないだけの服やバッグ、靴や日用品がぎっしり・・・家具も家電も総て揃ってるんだもの、これ以上あったら困るってぐらい準備してくれていた。
だから買うものはフランスでしか手に入りそうにない食材だけ。

日本ではなかなか売ってないマロンクリーム。ボンヌママンのフィナンシェにパッケージが可愛いクスミティーはお屋敷のお手伝いさん達に・・・そして私専用、おにぎりを作る時に重宝するゲランドの塩。
お屋敷でも使ってるエレシバターは優紀へのお土産。きっとお土産も買う時間がなかっただろうから色んな小物を沢山買った。


「そんなに買うの?」
「うん!配って歩くのも楽しいのよ。滅多に旅行なんてしないから」

「そんなものなんだ」
「後はなんにしようかなぁ~・・・」

「でももうすぐ搭乗時間だよ?そろそろ行こうか」
「あっ!もうそんな時間?はーい!じゃあ・・・類、ごめんね?」

「はいはい」


お買い物の時のカードは類のもの・・・だから精算を頼んでお土産の袋まで持ってもらった。

私は荷物を持つ類の腕を持つ。
私まで腕を持ったら重いだろうけど、迷子になるからって類の方から頼んでくる・・・だからそっと彼の服を摘まんでると「しっかり持っとけよ?」って真面目な声で言われた。

また子供扱い?そう思うけどやっぱり嬉しい。遠慮なく類を引っ張ると、その方が嬉しそうに彼は笑ってた。


「そう言えば優紀ちゃんだっけ。あの子は何で早く帰ったの?」
「あぁ、優紀は保母さんでね、どうしても仕事を休めなかったの。まだ下っ端だし、先輩保母さんに無理は言えなかったんじゃないかな」

「ふ~ん。その子はつくしの幼馴染みだったよね?」
「うん、子供の時からのね。東京に戻って来てからまた会うようになったの」

「あんたが引き取られてたって親戚・・・新潟だったっけ?そこには来てくれなかったの?」
「う、うん・・・遠いしね。それに私が居候なんだから我儘言えないし」


入籍まで済ませても有栖川にいた時の事は話せなかった。
有栖川が絡むような企業間のいざこざがあったとして、それがもしも花沢の関連企業だったら・・・そう言う世界には全然詳しくない私だけど、お爺様に聞いた内容がそうだったから口に出さないって決めてた。

どんな些細な事でも私の存在が類の邪魔をしないように・・・自分でも少し卑屈だなって思ったけど、この幸せを壊したくなかった。



ファーストクラスのペアシート、そこに座って窓から外を見ていた。
数日前に来たばかりなのにもう帰国・・・やっぱり淋しいなぁって言うのが正直な気持ち。

そうしたら横から類がチョンチョンってつついて、私が振り向いたら小さな箱を目の前に出していた。

「・・・なあに?」
「開けてみて?」

「・・・え・・・指輪はもらったよ?」
「ううん、それじゃないよ」

「なんだろ・・・・・・えっ?」
「あれ?俺を見て気が付かなかった?」

その箱に入っていたのはアクアマリンのピアス。でもアクアマリンは類の誕生石・・・って類を見たら、彼の耳にはアクアマリンより濃いブルーのタンザナイトのピアスが光ってた。
タンザナイトは12月の誕生石・・・つまり私の?


「類が私の誕生石のピアスで私が類の誕生石のピアス?それって大丈夫なの?普通はその人のお守りじゃないの?」
「離れてる時もあるんだからお互いの分身として身に付けておけばいいかなって思っただけ・・・ダメかな」

「くすっ、そう言う意味?でも離れてる時ってないはずでしょ?」
「つくしが家で俺が会社は離れてるじゃん」

「え!それも離れてるって事なの?くすっ・・・じゃあ類、つけて?」
「ん、いいよ」

それまでつけていたものを外して類にピアスをつけてもらった。
そして窓硝子で確認・・・綺麗な水色の石が私の耳で光った。


「ありがとう・・・でも、いつの間に?」
「あんたがバターとか塩とか買ってる間に。今回の記念にね」


時間になって、飛行機は薄暗くなったパリの空を飛び立った。
そして日本に着くのは翌日のお昼・・・私達は手を繋いだまま機内でぐっすりだった。




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