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産まれたばかりの子供を抱いた後、そこにぐったりと横たわるつくしにもう1度キスをした。
看護師達は「後で病室でどうぞ」なんて笑ってたし、つくしも呆れていたようだけどしたかったんだから仕方ない。

赤ん坊は新生児ケアのために連れて行かれたし、つくしもこの後の処置があるからと俺は分娩室を出された。



「あっ!パパだ!」
「パパが出てきた!」、その言葉と同時にいきなり抱きついてきたのは双子だ。

どうやら俺が立ち会っていた時に茨城から帰って来たらしい。
そこには当然親父とお袋も居て、俺が出てくると椅子から立ち上がって心配そうな顔をした。


「パパ!赤ちゃん、うまれたの?どっち?」
「ねぇ、どっち?かのんのいもうと?おとうと?」

「どっちだと思う?当てた方に先に抱っこさせてやろうか?」

「えっとね!いもうと!」
「じゃあかのん、おとうと!ねぇ、どっち?」

「くくっ、じゃ紫音が先に抱っこだな」
「「いもうとなんだ!!」」


その言葉を聞いても親父は嬉しそうに笑い、お袋も「おめでとう!」なんて涙を流した。
そしてすぐに屋敷に電話を入れ、関係各所への連絡を志乃さんに頼んでいた。


今までの俺ならこんな事をしただろうか・・・。
双子と手を繋いで親父達の前に行き、病院に来てくれたことの礼を言った。そして今後の事について、協力を頼むと頭を下げた。


「もしかしたら親父達は男が良かったかもしれねぇけど、聞いての通り女だった。
でも、すげぇ可愛い女の子だ。後で会えると思うから見てやって欲しい。それとつくしをゆっくりさせたいから、退院しても少しの間仕事を休ませてやってくれ。あいつは自分から言わねぇだろうから。宜しく・・・お願いします」

「「よろしくおねがいします!」」


紫音と花音も俺と一緒に頭を下げた。
それを見て親父とお袋は顔を見合わせ、その後に「判りましたよ」と言われた。

「女の子であろうと西門の大事な子供であることに変わりはない。伸び伸びと育てたいのであろうからお前達の好きにしたら良い。だが、それなりの教育はせねばなるまい・・・そろそろ紫音と花音の事を考えねばな、総二郎」

「・・・あぁ、そうだな。小学部に上がる前にはな・・・」



暫くしたら処置が終わったつくしが分娩室から出てきた。
本当は出産後2時間は分娩台から動かさずに様子をみると聞いていたが、特別に許可が出たらしい。車椅子に座ってさっきよりはさっぱりした顔付きだった。

それを見た紫音と花音がつくしの膝に抱きつき「ママ!がんばったね!」と・・・それを聞いてまたポロポロと泣き出した。


「あれ?ママ、泣いちゃダメだよ?赤ちゃんにわらわれるよ?」
「ママ、いやなことあったの?」

「・・・ううん、ごめんね、泣いちゃダメだよね・・・違うのよ、2人がここに来てくれたんだと思うと嬉しかったのよ」

「そうなんだ!来るよ~!だって赤ちゃんに会えるもん!」
「ママ、赤ちゃんどこ?」


双子がそう言ったけどつくしは俺の横に居る両親が目に入り、慌てて頭を下げていた。
女だった事を少し気にしていたのか申し訳なさそうな顔で俯いたけど、親父達の「良かった、本当に無事に産まれて良かった!」の言葉を聞いて再び号泣・・・今度は紫音が親父に「泣かしちゃダメ!」と説教していたのをみんなで笑った。

その時に看護師が新生児室の窓ガラス越しに赤ん坊を見せてくれた。4人が我先にと窓ガラスに近づき、看護師が抱いている赤ん坊を見ていた。


「「・・・・・・・・・」」

「まぁ、可愛らしいわぁ!ふふふ、つくしさんの方に似てるのかもね」
「ははっ、口元が総二郎か?先が楽しみだなぁ」

「「・・・・・・・・・・・・」」


紫音と花音、すぐに「可愛い」って言葉が出ないところは正直だ。
産まれたばかりだから目も開けてないし「サル」っぽいからな。その様子を見てつくしとクスクス笑った。


「西門様は特別室ですから専任の看護師も付けますし、お子様は病室でお過ごしになっても構いませんよ。夜だけ新生児室でお預かりして、昼間はお母様の隣でも大丈夫です。もう少しケアしたらお連れしますからお部屋でお待ち下さい」

産科の看護師長からそう言われて、俺はつくしの車椅子を押して特別室に向かった。



病室に入ると俺に掴まりながら痛そうな顔でベッドに移り、そこで横になったら大きく息を吐いてにっこり笑った。
お袋は「お疲れ様・・・よく頑張ったわね!」とつくしの手を握り、親父は照れ臭いのか椅子に座ってニヤニヤしてやがった。

双子は赤ん坊が来るのを今か今かとドアを開けたまま待ち、やがて小さなベッドが運ばれて来たら「来た!」、と大声で叫んでいた。
そして待ちきれずに2人揃ってドタドタと走っていき、小さなベッドを覗き込むような姿勢で一緒に入って来た。



「お待たせしました。綺麗にして来ましたよ~」

「・・・・・・うわぁ」
「・・・・・・ちっちゃ・・・」
「・・・しわしわ・・・」
「めは見えないの?」

「2710グラム、48㎝です。女の子の平均体重は約2900グラム、平均身長は48cmですから、少し小さめでしたけど元気ですよ。うふふ、まだ目は見えてないのよ?」

「あのね!ぼく、だっこするの!」
「そうなの?でも立ったままだと危ないから座ってくれる?」

「しおんのあと、かのんもだっこする~」
「はいはい、じゃあ2人で座ってね」


この時はつくしと俺よりも親父とお袋が大慌てだった。
紫音を椅子に座らせて、看護師が抱き上げた赤ん坊をそっと紫音の腕の中に入れ、その腕を外から支える感じでフォロー。万が一落とさねぇようにと回りがビクビクしていたが、紫音はしっかりと抱いていた。

そして自分の額と赤ん坊の額にくっつけニコニコ・・・「お兄ちゃんだよ」って言いながら優しく顔を撫でていた。

問題は花音・・・この時は看護師だけじゃなくお袋が着物のまま床に跪き、両手でガード。
看護師が不思議そうな顔をしていたが、紫音と同じように抱かせたら、やっぱり縫いぐるみのようにギュッと抱き締めてお袋の悲鳴があがった。
「花音ちゃん!そんなに力を入れちゃダメ!」って言われたもんだから力を緩めたら赤ん坊がガクン!となって、花音の抱っこはここで終了。


「うわぁ~~~~ん!!あかちゃんがぁ!」
「ほんぎゃあああぁ~~~!」

「・・・・・・かのんがつよすぎるんだよ」


この先が思いやられると、つくしと顔を合わせて苦笑いだった。



**



「それじゃあ今日は双子を宜しく。明日の朝には戻って仕事に入るから」

「つくしさんは疲れてるんだからちゃんと寝かせないとダメなのよ?お話ばかりしてちゃダメよ?」
「・・・やれやれ、総二郎がそんなに心配性だったとはな。判ってるだろうが子供が増えたと言う事はお前の責任も重くなったのだからな?まずは仕事に打ち込んで・・・」

「判ってるって!説教はまた今度にしてくれ。紫音、花音、行儀良くするんだぞ?ちょっとの間パパもママも居ないけど、ちゃんと言う事聞いて待っとけよ」

「うん、わかった!」
「今日はおばあちゃまと寝て、あしたはゆめ子おばあちゃまと寝るの。さっき決めたんだぁ~!」

「そっか。久しぶりに遊んでもらえ」


夕方になって親父とお袋が双子を連れて帰ったが、俺はつくしの側に居ることにした。
つくしの体調を考えたらそっとしておいてやるのが1番だって事は判ってるが1人にしたくなかった・・・ただ、つくしの顔を見ていたかった。



誰も居なくなった病室には俺とつくしと赤ん坊だけ・・・。
俺はベッドで寝ているつくしの横で、ずっと赤ん坊を抱いていた。

まだ全然開けない目・・・時々薄ら開いたような気もするけどすぐに閉じてしまう。微かに動く唇・・・時々小さく漏らすのは、まだ声とは言えないものだ。
軽く握られた小さな手、丸まってる足の指、何とも言えない甘い匂い・・・少しでも俺が動くと一緒に動いてしまう頼りない身体。


「・・・・・・・・・」
「・・・くすっ」

「・・・・・・・・・何だよ」
「凄く優しい顔してる。ちょっと妬けちゃうぐらい・・・」

「ばーか、そんなんじゃねぇよ」
「・・・可愛いんでしょ?」

「・・・・・・あぁ、でもお前の次だ」

「・・・・・・・・・ばか」


自分から「妬けちゃう」なんて言ったクセに、俺がニヤリと笑えば真っ赤になるヤツ・・・。
慌てて身体の向きを変えようとして「痛たたたた!」と布団を握り締めていた。

その後でつくしの横に寝かせてやると、今度はつくしが指で赤ん坊のほっぺたをつついて笑ってる。紫音と花音の時はすぐに保育器に入れられたからこんな事は出来なかったと、すぐに一緒に過ごせる事を喜んでいた。


「総、名前は考えたの?」

「名前?あぁ、勿論。紫音と花音に怒られるかもしれねぇけど」


「どんな名前?」

「・・・絢音(あやね)。絢って字には『織物の美しい模様』って意味がある。旬って字にも意味があって、こいつは日・・・つまり太陽を包み込むってことだ。そんな風にみんなを温かくさせて、輝いた人生を送って欲しいって思ってさ」


「・・・絢音かぁ・・・良い名前だね」
「気に入った?」

「うん!良かったねぇ、絢音・・・パパが付けてくれたよ、良かったね・・・」



5月5日、子供の日。

俺達の3番目の子供の名前は絢音・・・西門絢音と決めた。





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Comments 4

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2019/09/13 (Fri) 12:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

そうなんです♡統一したかったのは「音」です。

でも「おん」と読まないものにしようと思っていたので「絢音」ちゃんです。
この絢って字が好きなんですよね~。

あはは!花音ちゃん、綾音ちゃんに怪我させそうですよね💦
そして一緒に泣いてそう(笑)それか一気にお姉ちゃんになってしっかりするかも?

総ちゃん、つくしちゃんの番外編はもうすぐ終わりです。


次は・・・誰の番外編かな?

2019/09/13 (Fri) 20:12 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/14 (Sat) 12:58 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

花音ちゃん(笑)
きっと頼れるお姉ちゃんになってくれるでしょうね♡
お勉強は紫音君、喧嘩の仕返しは花音ちゃんに頼めばいいかもしれません。

いやいや、西門のお嬢様は苛められないよね💦


絢、って字の意味を知ったときに「いいなぁ~」って思ったんですよ。
私もそう言う名前がよかったなぁ~♡

因みに浜栄丸には「司」の文字が入ってます(笑)
だからあんなに怖いのかしら・・・?

2019/09/14 (Sat) 18:34 | EDIT | REPLY |   

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