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つくしが絢音を抱いて本邸に戻ったのは1週間後・・・そこには狙ったかのように彼奴らが待っていた。
しかも今回は俺にも連絡は無く、退院してゆっくりさせようと思ったのに絢音を誰が先に抱くかで言い争いまで始まった。


「・・・・・・俺が1番初めに帰国したんだけど」
「喧しい!俺は今日しか時間がねぇんだ!」
「誰からでも良くないか?それよりも早く寝かせてやりたいから俺から・・・」

「あきら、そう言う経験者ぶるの止めてくれる?気分が悪いから」
「そうだ!てめぇは自分の子供を抱いてればいいだろう!」
「それとこれとは話が別だ!なんなら奥の部屋に居るからうちの子を抱いて来いよ」

「「牧野の子が先!!」」
「うちの子も可愛いぞ?」


「「・・・・・・・・・」」


どうでもいいが俺達を早く中に入れてくれ・・・玄関前でいつまでもガタガタと五月蠅いっての!
と、怒鳴りたかったが絢音の前で大きな声も出したくない。そうしたらつくしが絢音を俺に渡して3人の前に向かった。


「もうっ!💢うちの家の前でなに騒いでんの!いいから中に入りなさい!抱っこの順番は『あいうえお順』で、道明寺、花沢類、美作さんでいいでしょ?!それよりも入ったらすぐに手洗いしてちょうだい!判った?!返事はっ!」

「・・・はい」
「よし、俺からだなっ!」
「・・・仕方ないな」


「ほんぎゃあああぁ~~~~!」・・・母ちゃんの怒鳴り声で泣き出しやがった。

でも『うちの家の前』、だとよ。
つくしは気が付いてねぇかもしれないけど、その言葉がスムーズに出たことがすげぇ嬉しかった。




玄関を入ると予想外の人数に親父もお袋も驚いていたけど、真っ先に俺が抱いてる絢音に近寄って顔面を崩しまくって喜んでいた。
お袋は兎も角、親父は気持ち悪い・・・司達もドン引きしていたが、3人を俺達より先に双子と仁美さんが居る離れに向かわせた。


そして俺とつくしは先祖に絢音が無事に産まれた事を報告、その時に親父達と「お七夜」の打ち合わせをした。
俺はその場で絢音の「命名書」を書き、床の間に飾る・・・それも俺には初めての事であり、親父達にとっても初めての事。つくしもお袋も一緒に「命名書」を見て目を潤ませていた。



**



「あっ!あやちゃんが帰ってきたぁ!」
「ひとみママ、あやちゃんだよ!」

双子の声が離れの入り口から聞こえてきて、それと同時にドタバタと走り寄ってきた。
そんなに走るから案の定花音が転けて、紫音は俺達の所に来たいのに慌てて花音を助け起こしてた。

ただ、いつもならここで無駄に大泣きする花音が泣かなかった。
目には涙が浮かんでいたけど必死に堪え、手の甲で目を擦ったらまた笑顔に戻って紫音と一緒に走ってくる。それをつくしと見て「お姉ちゃんになったから?」って笑い合った。


「おかえり~!パパ、ママ!みんなが待ってるよ!」
「あやちゃん、おかえり~!ねぇ、起きてる?」

「えぇ、ちゃんと起きてるわよ。でも眠そうだから静かにね」
「紫音、花音。絢音の布団の準備、出来てるか?」

「うん!今日のあさ、志乃さんがしてくれたよ」


絢音は俺が抱いていたから紫音と花音はつくしの両手を引っ張って中に入った。
でもまだ傷口が痛むつくしは「急がないでぇ!」と、ここでも大声を出して・・・「ほんぎゃあああぁ~~!」が始まった。


離れのリビングには3人と仁美さん、そしてあきらの所の子供が彼女の腕の中にいた。
絢音のベッドはわざわざそこに持って来られていて、俺はそこに静かに寝かせた。

つくしは司や類、あきらに「身体が可愛くなった」とからかわれ、真っ赤になって顔を押さえていた。花音はあきらの子供をつついていたが、紫音に「てつだって~」と言われてキッチンに向かった。
何をしているのかと思えば、流石紫音・・・冷蔵庫から冷茶を出して盆に乗せ、椅子に登って食器棚からグラスを出していた。

多分あきらから言われたんだろうな・・・「ママは身体が痛いから手伝ってやれよ?」って。


危なっかしい手つきで盆を運ぶ花音に、心配そうに後ろから来る紫音。
2人がそれを俺の所に持って来たから礼を言って受け取り、司達に出してやった。
くくっ・・・普段こんなものを飲まないだろうに、子供が準備したら飲まなきゃいけねぇだろう。司は変な顔してたけど、類は天使のような笑顔で飲んでた。裏では何考えてるか判んねぇけど。


「るいお兄ちゃん、可愛いでしょう?あやちゃん、抱っこしてもいいよ?」
「・・・え?花音、俺が1番でいいの?」

「うん!いいよ。そぉーっとね?泣いちゃいけないから」

「おい!俺が1番って決まってんだぞ?」
「つかさお兄ちゃん、子供じゃないんだからそんなこと言わないの。だれが1番でもいいじゃん」

「ぷっ!紫音、正解だ・・・くくっ、司、我慢だな」
「・・・・・・くそっ、あきらの育て方が悪ぃんだ!」

「そんなこと言うならつかさお兄ちゃんには抱っこさせないよ?それでもいいの?」
「なんだと?!」

「司、相手は5歳児だ。みっともないから止めねぇか!」
「そうだよ、道明寺。うちの子はみんな優しい子に育ってます~!ね~、仁美さん!」
「くすっ、そうね」


司にこんな事が言えるのはつくしと紫苑だけじゃね?
それが可笑しくて司以外の全員で大笑いした。


この後類が絢音を抱っこして、何度も自分の頬に顔をくっつけるから気が気じゃない・・・まさか、と思ってたらやっぱりキスしたから驚いて取り上げた!
「いいじゃん、キスぐらい・・・」って言ったら類贔屓の花音がヤキモチ・・・絢音が居なくなった類の膝の中に自分から入って行った。

そのまま今度は花音を抱き締めて遊んでる・・・やっぱりその姿に不安を覚えた。


今度はあきらが絢音を抱っこしたが、こっちは慣れてるから絢音も安心してるようだった。あきらのすぐ横に紫音がくっついて色々とこれまでの事を説明して、久しぶりに昔の親子に戻ったみたいだった。
「妹が2人なんだからしっかりな」、そう言われると「はい!」と元気よく返事をした。

最後には司に絢音が渡されたけど、その抱き方がぎこちないのと司のビビり方が半端ない。それを絢音も感じ取るのか、司の腕の中に入って15秒で泣き出した。
それでも司も大泣きする絢音が可愛いのか離さない。

暫く泣き顔を見ていたが、「牧野に似てるな・・・」ってボソッと言った時に危険を感じて俺が奪い取った。


「牧野、ホントによく頑張ったね。遅れちゃったけどおめでと」
「花沢類、遠いのに帰って来てくれてありがとう。元気にしてる?ご飯食べてる?」

「てめぇがガキみたいなクセに3人の母ちゃんか・・・似合わねぇんだよ!」
「ははは!中身はあんたの方が子供だよ、道明寺。でも、来てくれてありがと・・・会えて嬉しいよ」

「今度は沢山の人に囲まれての出産だ。良かったな、牧野」
「・・・うん。でも紫音たちの時も嬉しかったよ?美作さんも夢子おば様も居てくれたもん」


誰か1人ぐらい俺にも祝いの言葉を出せよ!
そう思うのに3人共がつくしを囲んで離れない。


その上3人からの出産祝いが常識の範囲外でつくしが呆れていた。

類からはフランスの西部、バスク地方にあるラブールの高級避暑地に建てた花沢の別荘。
司からはニューヨークにあるマンションひと部屋。あきらからは子供が多くても乗れるようにとメルセデスベンツ Vクラスファミリーカーの特別仕様。

類と司は自分の近くにつくしを置きたいだけのような気もするが?

「あ、有り難いけどそんなに旅行なんて出来ないと思うんだけど・・・」
「総二郎に仕事させて牧野だけ子供連れて来たらいいじゃん。家元に交渉しようか?」
「あぁ、総二郎は要らねぇ。お前だけで来い」

「馬鹿言うな!そんな事させるかよ!」



そのうち大人達がワイワイやってる横で、絢音とあきらの子供を挟むようにして紫音と花音までも寝てしまった。小さな手を小さな手が握ってて、誰のなのか判らないぐらい幸せそうな寝息が聞こえていた。

それを全員がクスクス笑いながら眺めてる・・・穏やかな時間だった。



夕方になって仁美さんは子供を連れて美作に戻ったが、3人は残って本邸での「お七夜」に参加した。

「お七夜」は赤ん坊の健やかな成長を願うと同時に、社会の仲間になることを認めるための日本古来の儀式。
「命名書」の前に絢音の場所を作り、中央には親父とお袋、その横には俺とつくし。それ以外は鷹司会長を初めとして数人の幹部が来ただけのささやかな祝いの席だった。

司、類、あきらは後援会の連中の対面に座っていたが、何故かそこの間には紫音と花音も座っていた。


まだ体調が戻ってないつくしはここで少しだけ一緒に過ごしたら絢音と双子を連れて離れに戻る。
その時に鷹司会長の前にも絢音を連れていき、その寝顔を見せていた。

会長の嬉しそうな顔・・・目頭を手で押さえると、また紫音がティッシュを持って来たもんだから大笑いになった。



「・・・夢のようですねぇ。この西門に穏やかで優しい風が吹いているようです。
またここに来たいと思わせるような茶道宗家になられますよう、期待しておりますよ・・・若宗匠」

「ありがとうございます。これからも精進し、皆様に茶席で良い時間を過ごしたと感じていただけるよう努力致します」



こうしてこの屋敷での5人の生活が始まった。




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Comments 6

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2019/09/15 (Sun) 11:14 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/15 (Sun) 11:48 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

そうですね~、退院したらF4(笑)!
贅沢ですねぇ💦ってか、怖いですねぇ💦私ならその場で気絶しそうですが(笑)

あれ?何歳離れてましたっけ?心音ちゃん・・・花音は23歳差になりますが(笑)
でも大丈夫ですよね?って言うか、花音編は類君出てきます(笑)

楽しみにしてて下さいね~!

2019/09/15 (Sun) 18:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

あはは!
なーんか、この場面見たこと(書いた事)あるなぁって思ったら
「若宗匠総二郎の試練」の出産の時、この3人はじゃんけんだのあみだくじだのしていました(笑)

今回は「あいうえお順」・・・でも、あっさり変わる、みたいな(笑)


書きたかったのはあきら君の子供も含めて4人が寝てるところ~♡

いや、子供を書くと和みますね~♡
あんな恐ろしい話の番外編とは思えません💦

次話は少し遅れるかも・・・待ってて下さいね!

2019/09/15 (Sun) 21:54 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/15 (Sun) 22:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは!

きゃーっ!調べてくれたんですか?

ありがとうございます(笑)

でも40歳前後の類君の想像が出来ない💦
ふふふ、ちょっとした喧嘩もあるかも・・・です。

さて、誰と誰の喧嘩かな?(笑)

2019/09/16 (Mon) 00:07 | EDIT | REPLY |   

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