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「よしっ!がんばれ、あやちゃん!」
「もう少し・・・もう少しだよ?あやちゃん、あぁっ!」

「・・・ふぎゃあぁぁぁぁ~!!」
「「うわぁぁぁ~~~ん!」」

「どうしたの?何があったの?」


やれやれ・・・離れだと全然執筆が捗らねぇな、とリビングを覗き込んだら絢音を囲んで双子が大泣き。それをつくしがしゃがみ込んで説明を聞いていた。
どうやら絢音がお座りのポーズを見せたから双子が応援していたらしい。でももう少しで座れるって時に絢音が転んで、それで3人で仲良く泣いてるみたいだった。

つくしはすぐに絢音を抱っこして泣き止ませ、紫音と花音は「もうちょっとだったのに~!」を連発。「急かさなくていいのよ」と宥められていた。


「だってお爺ちゃまが早く座らないかなぁ~って言ったもん」
「そんなにあやちゃんの座ったところが見たいならさ・・・頑張れば出来ると思ったんだもん」

「転けて頭をぶつけたらいけないでしょう?いつかはちゃんと座れるようになるんだから心配しなくていいのよ?」

「でもさ、みーんなあやちゃんのことばっかり!」
「花音、けんばんハーモニカの練習しようか?」

「・・・つまんないの!」


花音のその言葉でつくしも絢音を抱きながら悲しそうな顔をした。

確かにそうだ・・・屋敷中が絢音に夢中だったがちゃんと紫音と花音のことも見てやらないといけない。
そう思って仕事の手を止め双子を呼んだ。


「紫音、花音、俺が聞いてやろうか?」

「えっ?パパが?」
「パパ、お仕事大丈夫なの?」

「仕事も大事だけどお前達のことはもっと大事だろ?そうか、もうすぐ学芸会か・・・何やるんだ?」

「あのね!音楽劇でね、桃太郎するの~!」
「ぼくも花音も楽器なの。みんなおしばいの方がいいって言うから」

「花音、犬になりたかったけどね、じゃんけんに負けたの」
「だって花音、パーしか出さないんだもん・・・」


つくしに「任せとけ」の合図を目で送ると、苦笑いしながら絢音を散歩に連れて行った。
そして俺の前では紫音と花音が鍵盤ハーモニカを持って来て準備に大慌て。「せーの!」の掛け声と同時に桃太郎を弾き始めたが・・・これがまた凄かった。

2人のテンポがまるで合ってなくて、せっかちな花音と丁寧な紫音は1曲終わるタイミングがすげぇズレててずっ転けた。ホントはどっちが正しい速さかと聞けばお互いに「自分だ」と言うし、もう1回させてもやっぱり同じ。
あまりに可笑しくて、俺がリズムを取ってやると何回目かで同じ速さで弾き終えた。


「ねぇ、パパは学芸会来られる?」
「花音は一番真ん中で弾くんだよ。ぼくは後ろの端っこだけど」

「そうか。見に行かなきゃな。スケジュール確認しておくな」
「うん!!絶対だよ?」
「花音、もっと練習しなきゃ!」


3人の子供に対して平等のつもりでも、子供にしてみればまだまだ「自分が一番」って年頃だと痛感。
元気で明るい花音でも、物わかりが良くてしっかりしている紫音でも淋しい時は淋しい・・・祥兄と黙って縁側に座り、笑ってる孝三郎を疎ましく思った昔を思い出した。

あの頃に比べたら、今の方が断然穏やかなんだけど。



12月、また俺の誕生日がやってきた。
とうとう来ちまった30歳・・・目の前の光景で何故かすげぇ老けた気がする。
ケーキに突き刺されたロウソクが3本・・・しかも太いヤツ。

このケーキを中央において親子5人で写真を撮り、つくしはそれを彼奴らに送信した。
これに反応するならあいつが1番だろうと思ったら、案の定・・・『おめでとう、30歳になったら病気の治りが遅いらしいよ』って類の返信にはムカついた。
「お前だって来年には30歳になるんだよっ!」と、スマホの中の「類」の文字に向かって怒鳴っただけで花音に怒られた。


「パパ、お誕生日おめでとう!これ、ぼくが描いたの。パパの似顔絵!」
「ホントか?・・・・・・あ、ありがとう、紫音」

これが俺?って思ったけどすげぇ嬉しかった。いや、ホントに嬉しかったが瞬間顔には出たのかもしれない。つくしが背中を小突いたから。
髪が殆どなかった上に目が吊り上がってる。俺、こんなに恐ろしい顔してんのか?
しかも実物より太ってねぇか?もう少し細いと思うんだけど。

「パパ、花音はね、これを作ったの。いつでも呼んでね!」
「おっ!ありがとう。なんだろうな・・・・・・えっ?」

花音がくれたのは「お手伝い券」・・・花音がお手伝い?なにを手伝ってくれるんだろう・・・むしろ、その後片付けが大変だと思うんだけど。
でも、その券の隅っこには「大好きなパパせんよう」って書いてあって、滅茶苦茶嬉しかった。

つくしからはお茶目なTシャツ。
「HAPPY BIRTHDAY DAD ★」とバックロゴに入れてあったが、その下に俺の名前と「Tsukushi・Shion・Kanon・Ayane」とみんなの名前も入ってた。
小っ恥ずかしいものを選びやがって・・・なんて思ったが、すぐにそれを着てパーティーを楽しんだ。



その月、絢音に歯が生えてきた。
下の前歯が2本・・・それを見付けた時は4人が何度も絢音の口を開けさせるから大泣き。
でもこれも俺達には初めての事で、絢音の順調な成長を嬉しく思った。

同時に生後半年経って、母親からもらった免疫が切れる頃。
だから親父とお袋は使用人や弟子達にも健康管理を厳しく言うようになり、人の出入りが激しい本邸にはなるべく子供達を連れていかないようにと言いだした。

それでも幼稚舎に通う双子は風邪をもらってきてしまう。
1番初めは紫音が風邪を引き、続いて花音、それを看病するつくしもダウンして、元気なのは絢音と俺だけ。
こうなったら西門の主治医がチームを引き連れて本邸に常駐し、絢音が風邪を引かないようにと隔離された。だから俺は発熱した紫音たちと絢音の間を行ったり来たり・・・年末行事も重なって1日中走りまくっていた。


みんなが風邪から復活したのはクリスマスイブ。
何とか家族5人でクリスマスパーティーをすることが出来た。

今年も双子はサンタコスプレで去年と同じように屋敷中にプレゼントを配って回り、親父の変装した可愛くもないサンタが離れに現れた。だが親父サンタは絢音の大泣きに撃沈・・・来年からはしないそうだ。

この日は絢音のベビー服も赤と白のサンタ仕様。
今年も風変わりな庭のツリーが輝いてる・・・俺はちいさなサンタを抱いて窓からその光りを見ていた。




つくしの誕生日も俺の時と同じように祝い、紫音はやっぱり似顔絵で、花音は「肩もみ券」だった。
俺からのプレゼントは・・・いつもと同じだ。


「えっ?!絢音が居るのに・・・大丈夫?」
「大丈夫だろ。泣いてもお袋だって志乃さんだって、双子だって居るんだから」

「お義母様はいいって?」
「あぁ、勿論!逆に喜んでたぞ?絢音とはまだ寝たことなかったからな」

「うん・・・それなら・・・」
「なんだよ、嬉しくねぇの?」

「・・・ううん、嬉しい・・・」


夕方早めのバースデーパーティーが終わったら久しぶりにドレスアップしたつくしを連れてホテルディナーを楽しんだ。
勿論その日はホテルで過ごす。つくしを育児から解放してゆっくり・・・って訳にはいかねぇだろうけど、2人だけの時間が欲しかった。


29歳になったつくしは以前よりもずっと艶のある仕草を見せるようになった。

キスの仕方、腕の絡ませ方・・・悩ましげな視線、僅かに開けてる唇。
俺を誘う目、俺に抱かれる身体のライン・・・重なり合う足、変わらずに熱い身体の奥。


「総・・・」と耳元で呼ぶ声は、媚薬のように俺の脳に入り込み、まるでガキの頃のように荒々しくつくしを求めた。


家族が1人増えた年が終わる・・・新しい年にもまた沢山の「初めて」がある。
疲れ切って寝てしまったつくしを抱きしめて、この1年間を思い出していた。





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2019/09/19 (Thu) 13:20 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

そうそう、子供ってこう言うの、ありますよね(笑)
でも小さい時のこう言う感情も大事って聞いた事があります。

紫音みたいにずっとお利口さんだと、大人になった時に上手く感情が出せないんだとか。
だからたまには紫音君にも・・・と思ったらやっぱり花音がお転婆になってしまうんですが(笑)

家元、調子に乗っちゃ嫌われると・・・嫌われちゃうぞ?(笑)

「お爺ちゃま、気持ちわるい~~~」って。ははは!

2019/09/19 (Thu) 19:30 | EDIT | REPLY |   

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