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類お兄様と一緒に美作のお屋敷に来た司おじ様・・・あの人も母様が好きなんだって事はなんとなく判った。
その時、やっぱり母様を抱き締めて辛そうな顔してたから。

『・・・クソ馬鹿野郎・・・!どれだけ心配したと・・・』
『・・・・・・うん、だよね・・・』

この会話の時、私は司おじ様にくっついていたけど、母様が泣いたのを覚えてる。
そして類お兄様を見たら・・・すごく悲しそうに笑ってた。


その顔には見覚えがあった。
母様がまだ「ちゅくちちゃん」だった時、何処か遠くを見ながら同じ顔して微笑んでいた・・・後になってあれは父様を想ってたんだって判ったけど。

同時に知ったのはあきらパパも母様が好きだったこと。
それは仁美ママと出会う前・・・あの人達は全員母様が好きだったんだ。


母様を射止めたのが父様。
そこにどんなドラマがあったのかなんて知らない。
ただ、今でも友達として会えるんだからみんなが納得してるんだって事は・・・漠然と判る。



その次に会ったのは父様と母様の結婚式の時だった。
私達の名前が美作から西門になった日・・・母様は凄く綺麗だった。

花嫁さんはドレスだと思っていたのに真っ白な着物で、父様も着物だった。
私は何度か着物を着たけどはっきり言って窮屈で大っ嫌いだった。だからその日は朝から憂鬱だったのに、紫音から「類お兄ちゃん達も来るって」って聞いたから気分がガラッと変わったの。

とにかく可愛く見せなくちゃ!ってそればっかり。
着物が辛いなんて言ってる場合じゃない。どれだけ辛くても類お兄様の前では笑わなくっちゃ!


それなのに類お兄様は母様しか見なかった。

お屋敷でやった披露宴の時もそう・・・私がどれだけ頑張ってお客さんに挨拶しても、お兄様は父様の隣で微笑む母様しか見ていなかった。
だから悔しくて、最後の方は類お兄様の膝の中に入ったのを覚えてる。

恥ずかしかったけど、何処かのお姉さん達が嫌そうな顔してたけど、そんなのどうでもいい。お兄様の気を惹こうと一生懸命だったなぁ・・・。

『るいお兄ちゃん、エビのから、とって~』
『はいはい。その代わり俺の言う事は聞くんだよ?』

うん!なんでも聞くよ?だからなんでも話して?
そう思ったけどお兄様は私に何も言ってくれたことが無い。「お水取って」みたいなお願い事でさえしてくれなかった。

『てめぇ・・・今から婚約しようとしてねぇか?』
『くすっ、花音は俺の事好きだよね?』

司おじ様がそう言った時、私が絵本で「婚約」の意味を知っていたからドキッとした。
だって婚約したら類お兄様のお嫁さんだもの・・・それに「好きだよね?」って微笑んでくれたからすっかりその気になってしまった。

今日の母様が嬉しそうに父様の横に座ってるみたいに、いつの日か私は類お兄様の横に・・・お兄様が抱き締めてくれる腕を持って、そんな未来を想い描いていた幼い日の私。




絢音が母様と退院してきた日も類お兄様はフランスから駆け付けてくれた。
それは母様に会いたかったからなのに、私はただ喜んでいた。

自分に会いに来てくれたんだって勝手に思い込んだりして・・・でも私の所には来なくて、門の前で車が着くのを待つってあきらパパたちと出ていった。


「・・・・・・紫音、どうしてママはパパ以外の男の人と仲がいいの?そういうの、ダメだよね?」
「えっ?1番仲がいいのはパパなんだからいいんじゃない?」

「でもさ、ママがみんなにニコニコし過ぎるからじゃない?よくないよね・・・パパだって嫌じゃない?」
「司お兄ちゃんもあきらパパも類お兄ちゃんもパパのお友達だよ?ママにって言うか、パパに会いに来たんじゃないの?」

「だから紫音はダメなのよ!なんにもわかってないんだから!」
「・・・えっ?花音は何を怒ってるの?」


「ふふふ、花音ったら本当に類さんが好きなのね・・・初恋かしら?」

そう言ったのは仁美ママ。あきらパパと赤ちゃんと一緒に帰国してて、部屋で私達と一緒に絢音を待っていた。

仁美ママは自分に本当の赤ちゃんが出来たから優しい顔になっていた。
昔は時々塞ぎこんでいたけど今は元気そう・・・腕の中でスヤスヤ寝てる赤ちゃんに微笑み掛けながら、私達の話も聞いていたみたい。


初恋・・・かぁ。
そう言えば同じクラスの美優ちゃんは健太君が初恋って言ってた。あんな暴れん坊なのに?って驚いた。
それに梨花ちゃんは外国人のエミリオ君だって。もう初めてのチュまでしたって言ってた・・・チュってどんな感じだろう?

紫音を見たけど「ん?」って顔してる。
確かに幼稚舎でもモテモテだけど、紫音とのチュは考えられないなぁって。


「仁美ママ、初恋ってどんな感じ?」
「え?うふふ・・・そうねぇ。その人を見ただけで顔が熱くなったりドキドキしたり。その人が居なくなっても頭にはずーっとその人の顔が浮かんだり・・・毎日考えちゃったりするの。花音にわかるかしら?」

「ふぅ~ん・・・うん!わかるよ!ねぇ、仁美ママの初恋は?」
「私?私は・・・そうねぇ、実は小さい頃にはそんな出会いがなかったから覚えてないの。でも・・・やっぱりあきらパパかなぁ?随分大人になってたけどね」

「そうなんだ!じゃあ仁美ママは初恋の人と結婚したのね?」
「え?うふ、そうなるのかしら・・・ね」

「花音、何言ってんの?」
「紫音にはわからないことよ!」

仁美ママにそんな結婚が出来たのなら私だって・・・って、この頃は単純に夢を見ることが出来た。


それなのに類お兄様、私じゃなくて絢音にチュ!をしたの。
それを見た瞬間、父様も怒ったけど私も怒った!そんなまだお猿さんみたいな絢音にチュってしなくてもいいのに!って。

だから急いでまた類お兄様の膝の中を奪った・・・そこは誰にも渡さないって、1人で腹を立てていたっけ。



それから先、類お兄様はあまり帰国しなくなった。
フランスでのお仕事が忙しいって父様は言ってたから「じゃあ電話する!」って言ったら日本とは時差があるからダメだって言われて出来なかった。
父様も母様も時々してるのに私には代わってくれなかったの、本当は知ってるけど。


メールが出来るようになったらそれにはお返事をくれた。

でもその内容はいつまで経っても子供っぽくて、私が『大好き❤』って書いてるのに『俺も好きだよ』って・・・でも❤はつかなかった。
『学校楽しい?』『お母さんの手伝いしてる?』『背は伸びた?』なんてつまらない質問ばかり。
最悪なのは『ボーイフレンド出来た?』・・・これを読んだ時は悲しくて泣いてしまった。

私にボーイフレンドが出来てもいいの?
そう言ったらお兄様は喜ぶの?淋しいって思ってくれるのかしら・・・そう思って『うん!いるよ』って嘘を書いたら・・・

『良かったね。仲良くしなよ』

類お兄様のバカ・・・!



でも毎年お誕生日とクリスマスにはプレゼントが届いた。

小さな時は縫いぐるみやお人形とかだったけど、少しずつ変わっていった。
素敵なドレスやバッグ、可愛い帽子やコート・・・それに中等部になったらアクセサリーも届いた。高等部になったらフレグランスや大人っぽいドレス、お洒落な腕時計に花束。
まるで恋人に贈るようなプレゼントが届くから、私の恋心はどんどん膨らんでいった。


何度か私の写真も送った。
そうしたら『お父さんに似てるね』って返事が来る・・・それが母様じゃなくて良かったって思う事もあった。


母様と比べられたくなかった。
父様が1番大事にしてて、みんなからも好かれて、色んな人が「つくしさんがいるからお屋敷が明るくて」って言ってるし。


母様は大好きだけど・・・一緒にいるのは苦しかった。




「類の今度の相手はフランス政府高官の娘だってさ」

高等部ももうすぐ卒業っていう頃、リビングに入ろうとしたら父様と母様の会話を聞いてしまった。

『今度の相手』・・・それは何度か聞いたお兄様のお見合い相手だとすぐに判った。花沢物産の後継者である類お兄様がこの歳まで独身だからご両親が凄く焦ってるって。
ご両親は現役だけどもうご高齢・・・その心配は無理ないってあきらパパも言っていた。

私は部屋のドアを開けようとして手が止まり、はしたないけど父様と母様の会話を立ち聞きしてしまった。


「そうなの?花沢類、会ったのかしら」

「いや、また会う前に断わったみたいだ」
「・・・そうなんだ。会うだけ会ってみれば・・・なんて言えないか」

「・・・まったく・・・いい加減諦めたらいいのに」
「総ったらそんな言い方しなくても・・・」

「今のままでも幸せそうだけど、やっぱりな・・・」
「・・・そうだよね。花沢類に任せるしかないんだけど・・・」


断わった・・・その言葉を聞いてホッとしたけど、それはすぐに苦しさに変わった。
お兄様が断わる理由はひとつだから。

ドアを挟んで父様と母様と私・・・遠く離れた場所に独りでいるお兄様の事を考えていた。




**




目を閉じて昔の事を思い出してたら本当に少しウトウトしてしまった。
だから目を開けた時はホントに真っ暗・・・丁度部屋をノックされて「花音、入るよ?」って紫音の声が聞こえた。


「・・・花音、食事だって」
「紫音、上手く誤魔化せなかったの?父様、怒ってるんでしょ?」

「ごめん・・・嘘をつきたくなかったから何も言わなかったらバレたみたいで」
「そこは嘘ついてよね~!疚しい事なんてないんだからそのぐらいいいじゃん」

「・・・・・・(嘘つくのって既に疚しいと思うんだけど)ちゃんと謝れば許してくれるよ」
「はぁ~!仕方ない・・・お腹は空いたしね!」


ベッドから起き上がって「着替えたらすぐ行くわ」って言うと紫音も苦笑いしながら出ていった。


うん、今から怒られるんだろうけど我慢するか。
日曜日には類お兄様とデートだし。


「よし!少しでも私の気持ちが伝わるように頑張ろうっと!」


母様に負けないのは明るさと根性・・・諦めるもんですか!





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Comments 4

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2019/10/03 (Thu) 11:48 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/03 (Thu) 11:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。
あはは!そうそう、男の子の方が鈍いんですよ、って言うか、可愛いですよね(笑)

女の子は幼稚園児から既に「女」ですから。

花音の応援してあげて下さい💦
でも類君を落とせるかどうかは疑問(笑)

案外すごい執念カップルになりそうですが💦

2019/10/03 (Thu) 21:46 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうなんですけどね~・・・。
実はここまで書いておきながら本編より悩むという(笑)

ほぼ結末は決めているんですが・・・切ないかなぁ、と思いつつ。

でも類つくの私にはキツいなぁと思いつつ・・・はぁ、悩むわぁ💦


なんでこの題材にしたんだろう(笑)
ちょっと久しぶりに後悔しています。

2019/10/03 (Thu) 21:50 | EDIT | REPLY |   

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