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plumeria

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日曜日になった。
いつもは寝坊助の私が朝ご飯に間に合うように起きたってだけで母様も父様も紫音も、妹に弟までが驚いてる。

「花音姉様、どうしたの?お熱でもあるの?」
「えっ?どうしてよ、絢音」

「だってお顔が赤いんだもん。大丈夫?」
「だ、大丈夫よ!やぁねぇ、いつもそんなに青白い?」

「じゃあいい事でもあるんだ?ひょっとして・・・」
「煩い!黙って食べなさい!」


今年から英徳高等部になった絢音・・・噂じゃ彼氏がいるらしいけど父様は知らないはず。
これ以上言うとバラすわよって睨んだら「ごめんなさーい・・・」って笑いながらトーストを口に入れた。そしてもう1人煩いヤツ・・・


「なに?ひょっとしてって。花音に男でも出来たっての?」
「だから煩いっての!颯音(はやと)もさっさと食べて稽古しなさいよ!あんた、もうすぐ弓道の試合なんでしょ?」

「心配いらねぇし。俺、個人戦にしか出ないから」
「ただ単に他の部員から敬遠されてんじゃないの?あんた、友達少ないでしょ?」

「うるせぇよ!花音だって男振ってばっかで女子から嫌われてるって・・・」
「いい加減にしないか!2人とも!」

「「・・・・・・・・・」」


ここで落ちてくる父様の雷・・・そして母様と紫音の溜息。
チラッと見たら父様が凄く怖い顔して腕組みしてた。

始まるのかしら、本日のお説教・・・そう思ったら案の定始まった。


「花音、お前はもう21歳の大学生だ。それなのに朝っぱらから妹と弟に突っかかってどうするんだ?イチイチ棘のある態度を取るからそうなるんだろう。花音がもう少し姉らしい対応をすればこの場は治まるというものだ。
いつまで経っても子供みたいに大声出して怒るんじゃない!息苦しくなるほど淑やかにしろとは言わないが、もう少し年相応に静かな立ち居振る舞いを心掛けなさい」

「・・・はい」

「それにもうすぐ紅葉の大寄せがあるが、それには花音も茶席を持つのだろう?少しは稽古をしているのか?」

「・・・はい、頑張ってます。私なりに(紫音のお稽古の5分の1ぐらいだけど)」


茶道は嗜み程度・・・本当にその通りで本格的にはしてこなかったけど、父様への憧れがあったからそれなりに続けている。
だけどそれはやっぱり紫音に比べたら笑いが出ちゃうほどお粗末なもの・・・西門流の作法は出来るし、亭主側の所作も出来るけれど、いざ点ててみると父様にもお爺様にも首を傾げられた。

まぁ、仕方ない・・・私の腕はその程度。
自分の順番が来たら走って逃げていた子供時代に比べたら、これでも成長した方だと思うけど。


「それから颯音。それが姉に向かって言う言葉か!いくらここが母屋だと言ってももう少し言葉遣いに気をつけるように。
言葉はその人を表すとも言うぞ。いつも攻撃的な言葉を出していたらそれが弓を射る時に邪魔をする。試合前なら尚更心を落ち着けなさい。いくら茶室で上品に振る舞ったとしても、お前の点てる茶には荒々しさがある、そう言う事だ」

「・・・・・・・・・」
「颯音、判ったの?」

「・・・はい・・・」


・・・でも父様だって私の歳には相当グレてたってお婆様からも志乃さんからも聞いてるわよ?
お茶の腕前は絶品だったけど、夜になったらお屋敷から姿を消してたって・・・それを止めさせたのが母様だって聞いたわ。

母様と知り合って、それまでの父様がガラッと変わったって・・・恋ってそう言う力があるのかしら。


今の父様のお説教をキッチンで母様が笑い、父様が「子供の前で笑うな!」って言ってる。
ホント、子供達から見ても腹が立つぐらい仲が良いんだから!



朝ご飯が終わったら急いで支度を始めた。
類お兄様との待ち合わせは10時・・・近くまで車で迎えに来てくれる事になっていた。
「本邸の前まで行こうか?」って言うんだけど、それは私が「嫌だ!」って断わった。

だって出掛ける時に母様に見付かったら、お兄様は絶対に話し掛ける・・・その時の笑顔なんて見たくないもん!
第一父様に見付かったら速効部屋に戻されるわ。昔から私と類お兄様の邪魔をしてるんだから。


類お兄様が好きそうな優しいクリーム色のニットにグレンチェック柄のロングスカート。
本当は脚線美で勝負って思うけど、そんな事したら1日中気になってしまうから。
靴はブラウンの5㎝ヒール。鞄はお兄様が去年のクリスマスにプレゼントしてくれたもの。ネックレスやピアスは秋だからゴールドで・・・派手なものは嫌いだろうからシンプルなもの。

メイクの時間はいつもより2倍時間を掛けた。うん・・・いい感じ♡


時計は9時45分。
私は裏口から類お兄様との待ち合わせ場所に向かって走って行った。




**********************




9時40分・・・約束より少し早いけど西門の近くで車を停めて花音を待っていた。

なんだか凄く変な気持ち。
牧野の娘と待ち合わせるのにコソコソしてるみたいで。

だからちゃんと本邸に迎えに行きたかったのに花音が嫌がるから・・・いや、嫌がってもここは年上の俺が仕切れば良かったんだけどね。
電話の向こうで『お願い~』って言われると、牧野が両手を顔の前で合わせて必死に頼んでる姿を想像して・・・『判った』って答えてしまう。我ながら情けないほど成長してない・・・なんて思う。



暫くしたら遠くから走ってくる花音を見付けた。

あんなに走ったら転けるんじゃないの?って思うぐらいの速さで、しかも足元を見たらヒールだし。
母親譲りの黒髪を左右に靡かせて、頬を赤くしてどんどん近づいてきた。

そしてもうすぐってところでニコッと笑ったその顔・・・・・・


『花沢類!!』・・・牧野が両手広げて向かって来るような錯覚を覚えた。


「類お兄様、待ったぁ?!」
「・・・・・・・・・・・・」

「あれ?お兄様、どうしたの?まさか寝てたの?」
「・・・・・・あ、いや、何でもない。ついさっき来たばかりだよ」

「そうなの?待たせたんじゃなかったら良かった!」
「ん、乗りな」


バカだよね・・・もう何年経ってると思うんだ?
牧野が西門になってもう16年だ・・・それなのにまだそんな夢を見るなんて。

花音が助手席に乗ってシートベルトを締めたのを確認したら、静かに車を発進させた。


「さて、お姫さま。今日は何処に行きたいわけ?」
「あのね、水族館に行きたいの!」

「くすっ・・・了解。じゃあ少し遠くに行こうか」
「ホント?!やったぁ!」


その喜び方もよく似てる・・・でも花音は牧野じゃない。

それも判ってる。
判ってるのに花音を2人から奪うように、少し離れた場所を選んだ。




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Comments 6

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2019/10/05 (Sat) 11:27 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/05 (Sat) 12:50 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/05 (Sat) 16:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

花音ちゃん、ハイテンションでございますが・・・大丈夫でしょうか(笑)
書いてる本人が言うのもなんですが、とんでもないデートになったらどうしよう💦
(臨時のお話しは都度なので、この続きはまだ書いてない💦)

うん、幸せにしてあげたいのですが・・・(笑)

今考えてるラストが本当に幸せなのか、まだ悩んでます(笑)

2019/10/05 (Sat) 22:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

そうそう!番外編の「新しい家族」のラストでつくしちゃんのお腹の子ね♡
男の子で颯音君です♡

設定は「小っちゃい総ちゃん」ですっ!!紫音が超優等生ですからね・・・やはりここは総ちゃんのエロ血を引く子がいないと・・・。

この時の総ちゃんの設定は44歳。
いいおっちゃんなので叱り方も爺臭いのです。

今回の総ちゃんの出番は比較的終わりのほうかな?
今は類君と花音ちゃんがメインですね。


牧野病(笑)病気だったんだ?!知らなかった!
どんな薬が効くんですかね?(笑)どんな症状やねん!

類「黒い髪は全員牧野に見えるんだ~」
あ「いい眼科紹介しようか?それ、手術で治るぞ」

こんな感じ?

2019/10/05 (Sat) 22:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

麦猫様、こんばんは。

あらら、花音ちゃんでは出来ませんか?
頑張ってしてみて下さい!

確かに読者様はよく「類君はずっと一途につくしちゃん」って言われますけど、中にはつくしちゃんじゃなくてもとにかく幸せになって欲しいって言う方もいます。
だから類つくのお話じゃない場合、他の人でも・・・って。

報われない片思いを続けるのを切なく感じる方もいるんですよね。

そういう部分は類君のお話しの難しいところかな?(笑)
総ちゃんは原作でもドラマでもつくしちゃんとの接点がないので、ある意味自由に妄想出来ますから。


ってことで・・・ラスト、どうしよう(笑)

2019/10/05 (Sat) 22:55 | EDIT | REPLY |   

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