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類お兄様の車に乗ったのは初めてじゃないけど、こうやって遊びに行くために乗るのは初めて・・・。
だから凄く緊張した。

だって大学の帰りに寄る時にはどちらかというとスポーティーな格好の方が多いから、こんなスカートじゃないし。
靴だってこんなヒールじゃない・・・今日の私はお兄様にはどんな風に映ってるのかしら。
それが気になってチラチラ隣を見るけど、類お兄様は顔色も変えずにいつものように運転してる・・・もしかして全然気にされてないのかしら・・・。

それにガッカリして「はぁ・・・」って溜息ついたら「くすっ」って笑い声が聞こえた。


「どうした?なんでそんな大きな溜息?」
「・・・なんでもない。秋にしては暑いから、選んだ服が失敗だったかなって・・・そう思っただけ」

「そう?凄く可愛いから驚いたのに・・・でも、確かにまだ暑いよね」
「・・・・・・可愛い?可愛いって言った?類お兄様!」

「え?あ・・・あはは!もしかして、それを気にしてたの?」
「・・・うっ・・・そ、そんなんじゃ無いけど・・・」


今日のお兄様は白い薄手セーターに黒のチェスターコート。それにジーンズ・・・まるで少年みたいな格好で私に合わせてくれてるみたい。
とても父様と同じ歳とは思えない雰囲気は独身だからかな?


「・・・ホントに女の子は凄いよね。少しお化粧や服を変えると驚くほど変わるから」
「そう?いつもは大学だからさ、そんなに頑張らなくても良いのよ」

「今日は頑張ったの?」
「そりゃ・・・!!・・・・・・ううん、これぐらい普通よ?お出掛けだもん!」

「・・・今日は凄く女らしいからホントに驚いた。俺がこんな子供っぽい格好で恥ずかしいじゃん・・・ってさっきから思っててさ」
「えっ?あっははは!うん、お兄様、今日は可愛いわ!」

「・・・そお?もうそんな歳じゃないのにね」
「そんなの関係無いわよ!類お兄様は何歳になっても少年のままでいいの。私、今日のお兄様の服、大好き!」


本当は服が好きなんじゃないけど、服を理由にして「大好き」って言ってみた。
そうしたら少しだけ恥ずかしそうに笑って「ありがとう、花音」って・・・そこは『俺も大好きだよ、花音』にはならないのかな・・・。

って、頭で思った言葉はまだ封印・・・でも、今日類お兄様に話してみようかなって思っていた。


ーーーもし、お兄様の隣がまだ「空席」なら、そこに花音が座れますか?ーーー


その答えを想像したら凄く怖いんだけど・・・それでもその言葉を出せるタイミングを見付けようと今からドキドキしてる。

ハンドルを持ってるその手は、私の手を握ることはあるのかな・・・。
子供の時みたいに無邪気にお兄様の膝の上に座れたら良いのに・・・


「・・・いやいや、自分の歳を考えなさいよっ!」

「え?!なに?」
「・・・はっ!ごめんなさいっ、独り言!やだ、聞こえた?」

「くすっ・・・そういうところは母さん似なんだね、花音」

「・・・・・・母様に?」
「うん。牧野もよくそうやって大声で独り言言ってた・・・懐かしいな」

「・・・そうなんだ。そういえば父様がそんな事言ってたかも」


・・・類お兄様・・・花音は母様じゃないわ。




************************




助手席から来る視線にほんの少しドキドキする。
それが牧野じゃないって判ってるけど、凄くよく似てるから・・・その吸い込まれそうな黒い瞳が、本当によく似てるから。

それに花音の気持ちが痛いほど伝わる。
俺はそれをどう受け止めていいのか判らなくて、まるで学生の頃に戻ったかのような不安定な自分になる。いや、もしかしたら学生の時の方が大人だったかも・・・とにかく今の自分は凄く臆病な気がした。

この子の為を思ったら、相手は俺じゃない方がいい・・・そう思うのにこうやって連れ出すような真似して。


「お兄様、何処の水族館に行くの?」
「ん?八景島の水族館に行こうかと思って。あそこにイルカのドームがあるから」

「あっ!そこってアトラクションもあるんでしょ?お兄様、一緒に・・・」
「それは無理!俺がそんなのに乗るの?」

「えーーっ!せっかく行くのに?!乗りましょうよ~!」
「・・・・・・乗れそうなものがあればね。観覧車とかならゆっくりしてるからいいけど・・・」

「観覧車?・・・あっ!じゃあ夜にお台場の観覧車に乗らない?」
「夜?明るいうちに帰らなかったら総二郎に怒られない?」

「・・・お、怒るけど私だってもう21歳だもん、父様の干渉から逃げたいのよ・・・」


ぷっ!総二郎、そんな事ぐらいで怒るんだ?
自分は一晩中戻らなかったことが何度もあったのに・・・・・・牧野と結ばれる前の話だけど。


首都高速を利用して横浜方面に行き、そこで少し早めのランチ。
店は途中で適当に選んだトラットリアで、予約もせずにそこに向かった。突然決まった行き先だし、それよりも予約なんてしたら期待させる・・・そんな変な事まで考えてしまった。

あくまでも人生相談・・・になるのかどうかは判らないけど、相談役のおじさん・・・俺はそんな立場にならなきゃって思った。


その店に着いたら唖然・・・カラフルな花に囲まれたロマンティックな店だった。
如何にも恋人が選びそうな甘い感じが溢れてて、ネットではもう少し落ち着いた店だと思ったのに?って驚いた。俺達を追い抜かして入ったカップルも10代みたいだったし、窓からチラッと見えた店内にも若い子しか居ない・・・?

ヤバい・・・失敗したかも?


「うわぁ!可愛いお店ね、類お兄様!」
「ホント・・・俺、入っていいのかな・・・」

「何言ってるの?行くわよ、お兄様!花音、朝ご飯あんまり食べなかったからお腹空いてるの」
「そうなんだ?どうして食べられなかったの?」

「・・・・・・え?そりゃまぁ・・・色々ね」
「・・・じゃ、入ろうか」


入ったら店内の子達にチラッと見られて、ビビる訳じゃないけど少し違和感・・・思わず自分の姿を確認してしまった。
もしかしたら親子って思われた?いや、本当にそんな歳の差なんだけど。

「いらっしゃいませ。お好きなお席にどうぞ。海が見えるお席も奥の方ならありますよ?」
「はーい!お兄様、そこに行きましょ?」


「・・・お兄様?」って店員の声。くすっ、凄く歳の離れた兄妹だと思われかも?
俺は1人で気分が上がったり下がったりで、それでも花音は何にも気にせずに俺のコートの袖を掴んで奥の席に向かった。
そして席についたら今度はメニューをガン見・・・その目付きはホントに牧野によく似てた。

食べる時は素に戻るんだよね?
さっきまでの女の子っぽさは何処かに行って、今度は子供の時の花音がひょっこり顔を出してるみたいだった。


注文したのは本格的なイタリアンのコース。
アンティパストにはブッラータチーズとフルーツトマトのカプレーゼに季節の野菜サラダ。プリモ・ピアットには本日のシェフお薦めのパスタで高原レタスと海老のペペロンチーノ。

セコンド・ピアットは俺がサーロインのタリアータで花音は魚介のグリル。
ドルチェにマロンムース と洋梨のシャーベットで、花音はそれを美味しそうに頬張っていた。

美味しかったらほっぺたを手で押さえて喜ぶところ・・・・・・牧野にそっくり。
食後の珈琲を飲みながら、クルクル変わる花音の表情の中に牧野を思い出してた。


でも牧野じゃない・・・そんな事は判ってる。



「・・・類お兄様?」
「いや、美味しそうに食べるなぁって思ってさ」

「うふふ!だって嬉しいんだもん!」
「何が?」

「・・・内緒!あ~、楽しみだなぁ、水族館!イルカのショーとか見られるかしら」
「迷子にならないでよ?すぐにどっかに行きそうだから」


「・・・・・・それも母様に似てるの?」

「・・・え?」



花音が女の表情になった。

・・・・・・そんなつもりじゃなかったけど、俺の言葉は花音を振り回す・・・そう感じて胸が痛かった。





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Comments 6

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2019/10/07 (Mon) 13:08 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/07 (Mon) 13:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: イケナいおじさん?

ただの******様 こんにちは。

コメントありがとうございます。

まずはご指摘ありがとうございました(笑)
そうそう!それ毎回気を付けようと思うんですよ💦
なんたって私の住んでるところにはそんなものないですから、馴染みがないんですよね(笑)

で、使うとすれば仕事で福岡に行った時の福岡都市高速(笑)
ここですら満足に覚えられず、毎回必死に運転します。

マジ、恥ずかしい(笑)ホントにありがとうございました。
修正だけは早くにさせていただきました。


あっはは!類君の髪の毛がクルクルになって割烹着着るんですか?💦
やだぁ、想像出来ない~!!
でも、この場合23歳差なので、彼と同じようなものですね・・・。

いいのか?一緒にしても・・・。


そして、場所はベイクォーター・・・って場所?(笑)名前がお洒落だったから。
私が知ってる横浜は20年ぐらい前です💦ひえ~~~~!多分、全然今と違うと思う(笑)

いや、田舎大好きですから。
うん、都会はグーグルの中で充分です。ははは💦

2019/10/07 (Mon) 17:21 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

どんどん切なくなってきましたかね?💦
書いててどうしようかと思いましたよ(お前が言うな!)

ちょうど娘がこんな年頃で、素敵な人がいるとすぐに電話でキャアキャア言うんです。なんだか花音みたいなだって(笑)
全然一途な子じゃありませんけどね💦


類君はどうしたいのかしら・・・(だからお前が言うな!)
総ちゃんの番外編なのに総ちゃん出るのかしら(笑)←出ます!もうすぐ!

何とか幸せなラストに持って行こうと、現在頑張っております!
次回を・・・お待ち下さい(怖いけど)

2019/10/07 (Mon) 17:26 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/12 (Sat) 17:38 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

タルタータって、焼き方の名前?イタリアンであるんですけど、要するに焼いたもの(笑)
詳しい説明は出来ないけど💦

うん、きっと美味しいんですよ(笑)テキトー発言!


この2人、マジでどう料理しようかと悩んで、進みません!!(笑)
どう煮てやろうかしら💦

2019/10/12 (Sat) 22:11 | EDIT | REPLY |   

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