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<sideつくし>

「よし・・・今度の茶会はこれにしましょ。紫音はこの色が似合うから・・・で、花音は・・・」

紅葉の大寄せの1週間前、私は総と紫音の着物を選んでいた。
花音には伽羅色(極薄いオレンジ系)の着物に紅葉の柄・・・でも、その着物を手に取ってから少し考え事をしてしまった。


今朝、花音は昨日の事が嘘みたいに元気よく大学に向かった。
総の方が不満気で、何か聞き出しそうだったけど年頃の女の子なんだからって私が止めたぐらいだ。
1人だけブスッとして朝食の場にいたけれど、花音はそんな父親のことを見もしないでまた颯音と喧嘩なんかして・・・。

本当はそんな気分じゃないだろうに無理しちゃって・・・。

そうは言ってもこればかりはねぇ・・・。
1番口出ししちゃ不味いのは私だろうし。


「そのうち母様なんか大っ嫌いって言って家を飛び出すんじゃないかしら・・・・・・はぁ、心配」

「何が心配なんだ?」

いつものように独り言が口から出ちゃって、慌てて振り向いたら総が真後ろに立ってた!
相変わらず足音たてずに来るのが上手いんだから・・・って、急いで着物を広げ「これを今度の大寄せで花音に着せようと思うの」って誤魔化ししてみた。


「いいんじゃないか?あいつの歳を考えたらそのぐらいの色で・・・で、何が心配なんだ?」
「・・・・・・・・・ははは、花音がお茶点てられるのかなって。そ、その心配よ」

「・・・ふぅ~ん。今まで『あの子はいざとなったら大丈夫よ』って言ってたのはお前じゃなかったか?」
「そう・・・だけど。今度の野点は規模が大きいから・・・緊張しないかなって」

「で、本当は何が心配なんだ?」


しつこい・・・って言うかほぼ見抜かれてる気がする。
総と向き合って、仕方ないから花音の事を話そうかと思っていたら、今度は廊下から紫音が声を掛けてきた。


「ただいま帰りました。母様、花音は?」
「お帰りなさい、紫音。花音?一緒じゃないの?講義の終わる時間、今日は違うの?」

「いや、一緒だったから待ってたけど車まで来なかったんだ。だから外国語学科まで迎えに行ったら、あいつ・・・今日は講義に出てないって言われて。具合悪そうには見えなかったけど早退したのかと思ったんだ。違うの?」

「講義に出てない?」
「あら・・・でも、朝は紫音と一緒に出ていったじゃない。大学には行ったんでしょ?」

「うん。大学までは一緒に行って、車を降りたら普通に『じゃあね』って手を振って西棟に向かったんだよね。でも1時間目の講義も欠課してるって聞いて驚いてさ。こっそり部屋に帰ってるのかな」

「私は気付かなかったわ。お昼には離れに誰も居なかったし・・・」



総の顔色が変わった。


花音は時々自分の感情のまま行動する時があって、その度に花音を見付けては叱ったり諭したりが総の役目だったから。
でも流石に高等部ぐらいから「父と娘」の微妙な部分があって少しだけ距離を置いていた。
花音の相談役は私か紫音・・・総はそれを少し遠目に見ながらヤキモキしてる感じだった。

でも花音が私に相談するのは学校の事だけ。
総を避けるのは・・・花沢類の親友だから。総も判っていたと思うけど・・・。


「じゃあ大学でお前と別れてから何処かに行ったのか?」
「もう夕方なのに・・・電話してみた?」

「うん、何度か掛けたけど出ないんだ」

「コールはするんだな?電源切ってるとかじゃ・・・」
「いや、電源切ってるんだと思う。アナウンスが流れるから」

「・・・・・・じゃあ繋がらないって事?」
「どうしたんだろ。実は父様にも母様にも言わなかったけど、たまに大学を友達と抜け出すことはあったんだ。でも講義終了までには戻って来て『父様には内緒よ』って。今日はその友達も花音を見てないって言うから」


急に総が部屋を飛び出して離れに向かった。
私も驚いて着物を放り投げて総の後を追い、紫音もそれに続いた。

そして離れに行ったら花音の部屋の中に総は居た。
はぁはぁと息を切らし、そこに花音の姿がないことに苛つき、そしてギュッと拳を握った。


「つくし、すぐに警察に連絡しろ!」
「えっ?警察って・・・何か事件に巻き込まれたって言うの?」

「判らないから探すんだろう!今頃誰かに連れ去られてたらどうする!姿が見えなくなってから8時間ぐらい経ってるってんだろうが!」
「総、落ち着いて!あの子は子供じゃないんだから!」

「馬鹿野郎!そんな悠長な事を言ってたらあの時のように・・・!」
「総、止めて!!」


私が総の着物を掴んだら、それにハッとして口を噤んだ。

私の後ろには紫音がいる。
あの時に連れ去られた事なんて覚えてないだろうけど、そんな過去を今更紫音に知られたくなかった。

総があの時の恐怖を思い出して焦るのは判る・・・それは私も同じだったから。
でもこの人は私と違って捕まってる2人の姿を見ている。だから余計に恐ろしいんだと思う。また同じような目に花音が遭ってると想像しただけで、いてもたってもいられないんだろう。

それに今は年頃の女の子・・・別の心配もあるはずだ。



その時、ふと思った。
もしかしたら・・・彼なら判るのかもしれない。


「総、ちょっと待って!電話してみる!」
「は?誰に・・・」


総の着物から手を離して、急いで自分のスマホで彼に電話をした。
まだ勤務時間なのに悪いと思ったけど、今は彼しか思い付かない・・・親なのに情けない、そう思うけど花音を探す方が先だ!


「・・・・・・もしもし、私!聞きたいことがあるの!」





*************************





「急な事でしたね。でもご無事で良かった・・・」

そう言って秘書が差し出した珈琲を受け取り、今日最後の決裁書類に目を通していた。


「あぁ、もう歳だからこういう事も想定はしてたけど。チケット、手配出来た?」
「はい。申し訳ありませんが諸々の片付けが必要なので明後日の便で」

「ん、いいよ。ありがとう」


昨日の母さんの電話は父さんがフランス本社の会長室で倒れたって話だった。
軽い心筋梗塞で、今はパリの病院に入院中。暫くは安静にしないといけないけど、容態は落ち着いたらしい。

だからおそらく今度は俺が・・・・・・


♪~♪~~


その時に鳴ったスマホ。相手は今でもそのままにしてる『牧野』だ。
瞬間、ドキッとする。まさかもう知られた?なんて思いながら通話をタップしたら、名乗る前に彼女の大きな声が聞こえて驚いた。


『もしもし、私!聞きたいことがあるの!』
「どうした?何を慌ててるの?」

『仕事中なのにごめんなさい!花音が居なくなったの。花沢類、何か知らない?』
「えっ、花音が?いつから・・・まさかあの後から?!」

『ううん、今日は紫音と大学までは行ったんだけど、全然講義を受けてないみたいなの。電話も通じないし、勿論私達には連絡も無いの。あの子、何か言わなかった?!あなたに電話はない?』
「いや、俺には何も・・・じゃあ居なくなってから結構時間が経ってるの?」

『そうなの。情けないけど私、あの子の行き先に心当たりがないの。仲の良い子には紫音が聞いたみたいだけどみんな知らないって言うし、何処を探していいのか全然・・・!』


花音が居なくなった、その言葉に驚いた。
まさか昨日の事が原因で・・・?

牧野が電話口で必死に叫んでるけど、俺は昨日の会話を思い出していた。
何かあったっけ・・・花音と何を話した?別れる寸前の出来事だけが思い出され、牧野の声と重なって考えが纏まらない!


『どうしよう・・・あの子が何処に誰と居るのか判らないなんて・・・!花沢類、もし何か連絡があったら教えて?』
「判った、俺も心当たりを・・・・・・」


その時に思い出した・・・まさか、あそこに居るとか?



『花沢類、どうしたの?何か思い出した?』
「牧野、また連絡する!総二郎にも待ってろって伝えて!」


牧野の叫び声を途中で切り、驚いてる秘書に「後で片付けるから!」とだけ伝えて社長室を飛び出した。


花音が行くとしたらそこしかない・・・何故かそれを確信していた。





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Comments 4

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2019/10/17 (Thu) 13:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうなんです~。こんな展開に💦
ここからがめっちゃ苦しい私(笑)

どうしようかなぁって思うのは・・・2人の会話です(笑)
色々考えてるけど、まだ纏まらないので明後日にはならないかも💦

ちょっと待ってて下さいね♡

2019/10/17 (Thu) 17:36 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/17 (Thu) 19:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: No title

アンちゃん様、こんばんは。

ご訪問&コメントありがとうございます。
初めまして、ですかね?♡お越しいただきましてありがとうございます。

えっ♡そうですか?
うふふ、嬉しいです。

なかなか受け入れられない部分なのでどうなるかは判りませんが、HAPPYに終わらせたいです。
紫音君もありますよ♡少し遅くなりますが、待ってて下さいね!

2019/10/17 (Thu) 19:52 | EDIT | REPLY |   

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