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小さい時から貧乏だったけど、両親と弟と仲良く暮らしてご飯も食べられて、それなりに幸せだった。

まわりの友達は季節毎に可愛い服を買ってもらっていたけど私は着られなくなるまで我慢。お尻が見えるんじゃないかってぐらいまでちんちくりんになったら新しいのを買ってた。
遊びに行く場所もテーマパークとか無理だから近くの公園だけ。

1度そこで小生意気な男の子と喧嘩したことがあるなぁ・・・でも、基本弟と2人で遊ぶことが多かった。


お買い物は私が行くことが多かった。
お母さんは早朝から仕事して夕方も仕事。毎日疲れて帰ってくるから私が出来ることはそのぐらいだった。
小学2年生にして「半額商品」を狙い「見切り品」に喜びを感じる・・・今となっては悲しい子供時代の思い出だけど、それを苦労だと思った事はない。

確かその時もタイムセールで買った玉子を落として割って、その原因だった男の子に喧嘩ふっかけた事がある。


その頃から男嫌いになったのよ。
お父さんは嫌いじゃないけど気が弱くて仕事が続かないから貧乏の原因だったし、弟の進は女々しい性格だったから喧嘩は弱いしすぐ泣くし。そのくせよく食べて無駄に寝てるような子だったから。

だから男のいない女子校に行くことが夢だった。


中学からは役所と学校に許可をもらって新聞配達のバイトをした。
高校になってからはお父さんの仕事の関係で隣町に引っ越したけど、そこでも早朝と夕方にバイトをして生活費を稼いだ。

私の青春はどこに行ったんだ?って悩む時間なんてない。
友達が彼氏やお洒落に夢中な時、私は明日のご飯の為に必死だった。



そして念願の女子校に通い、卒業したら村崎商事って言うわりと大きな会社に就職してやっとお給料を自分の為に使えるようになった。
洋服も化粧品も人の半分ぐらいだったけど買えるようになったし、近くなら温泉にも行けるようになった。
夢は関東から出て地方の温泉に入ること・・・それが乙女の夢でいいのかどうかと悩むけど、男に夢を持たない私にはそのぐらいが丁度いい。


そんな時に両親が東京を出て地方暮らしをすると言いだした。
理由はお父さんの同級生が青森で自分の仕事を手伝って欲しいって話が来たから。

今の会社の仕事はお父さんには荷が重たいらしく(その年で言うか?)、友達からの頼みだから断れないと言って(お人好しだから?)、「判った」って返事をしたらしい。
今のアパートの家賃を全額私が負担という事で家族会議は終わり、なんと進まで一緒に付いて行くと言った。


つまり・・・私だけ東京?
それでも3人はヤケに嬉しそうに荷造りしていた。

まぁ、いいんだけどさ。1人で気儘にやるから。



そんな事を言いながらも牧野つくし、23歳。
社会人5年目・・・男嫌いだったはずの私にも、ついに初めての彼氏が出来た♥



**



「どうしたの?牧野さん。凄くご機嫌ね」
「あっ!高田先輩、そう見えます?えへへ・・・」

「もしかして杉本さんとデート?今度こそ進展があるんじゃない?勝負下着・・・なんでしょ?」
「やだぁ!・・・でも、そうなんです♥この前買ったセットアップ!ピンクの可愛いヤツです♥」


会社でそんな話をしたのは同じ総務課の高田怜子先輩。私より4歳年上の27歳。
席が隣で入社した時からの憧れの人だった。美人で優しくて頭がいい・・・それなのに彼氏がいなくて、そこが私と同じだなんて信じられないような人だった。
何度か「告白されないんですか?」って聞いてみたけど「ぜ~んぜん!」ってあっけらかんと笑うような人。

私もこんなオトナの女性になりたいって思ってた。


それなのに取引先の営業マン、杉本隆史さんに私の方が告白されてしまった。

杉本さんは長身で細身、イケメンで爽やかな感じの28歳。
いつもうちの営業に商談に来ては最後に総務課に寄って行くから、絶対に高田先輩が好きなんだろうって思っていた。それなのにとある日、廊下に呼び出されたのは私で『一目惚れなんだよね』って・・・。
それに驚いてその場に倒れそうになった私を杉本さんと高田先輩が助けてくれたから、彼女だけがこの事を知っていた。


『あっ、高田さんに聞かれちゃった?不味いな・・・』
『ふふふ、誰にも言いませんわ。それより牧野さんは可愛い後輩です。泣かせないでくださいね?』

『た、高田先輩!私はまだ何も・・・!』

『あら、ダメなの?杉本さんなら私もお薦めよ?良い人ですもの』
『・・・・・・良い返事を待ってるよ、牧野さん』


男なんて嫌いだって言いながら初めての告白にあっさり陥落したのは私。
渡された携帯番号にその日のうちに電話してYESの返事をした。


でも不思議だった。

付き合い始めたらすぐにそういう関係になるんだろうと、無い知恵絞って色々下調べしていたのに一向にそうはならない。
初めてのデートは食事で終わってそのままタクシー乗り場で別れ、2度目のデートはドキドキの観覧車に乗ったのに何事も無く一周で降りて、3度目のデートはドライブだったのに日没までには部屋に戻っていた。

4回目のデートは花火大会。流石にここでは何かあるだろうと思って可愛く浴衣にしていたのに別れる時に触れるだけのキス1つ。
それでもファーストキスと言えばそうなんだけど、こんなものか?ってぐらいの秒数と触れた面積。

私が調べた甘いデートとは少し・・・いや、かなり違う。
でも始まりというものはこんなものなのか?って思っていた。



そして今日は5回目のデートで、とうとう「お泊まり」を匂わせる『飲みに行かない?』だったのだ!
だから朝からウキウキ、と言うかドキドキ。とうとうここまで来たんだって思うと、嬉しいやら怖いやら、でもやっぱりこれは1歩進むって事だよね?

もしかしたら結婚って言葉もでたりして!なーんて考えながら1日の業務を終わらせた。
そして杉本さんから聞いていたお店に向かった。




「えっと・・・この奥を左に・・・で、喫茶店の角を・・・・・・あれ?」

私は約束の時間よりも30分も早く着ていた。
お店の場所が判らないから迷子にならないようにと思って・・・それなのに、私の視界の中に杉本さんの姿があった。
斜め後ろ向きって言うか、誰かが彼の向こう側に居る?女性だろうか・・・しかもあの服、何処かで見たことあるような・・・・・・?

何故か彼に見付からないようにとコソコソ隠れて近づいて、ビルの影に隠れながらそっと覗き込んだら・・・杉本さんが壁ドンしていたのは高田先輩?!
しかも2人とも笑ってる・・・いつもの営業スマイルでも無く、業務用スマイルでも無く、少し妖しげなオトナの笑顔。
髪を掻き上げた高田先輩は信じられないほど綺麗だった。


「もうそろそろ来るんじゃないの、牧野さん」
「どうだろ?わざと判りにくい店にしたから迷子になってるかもな。あの子、こんな場所に来たことないだろうから」

「ふふふ、悪い人・・・あんな世間知らずで初心な子を騙すなんて」
「怜子さんが靡いてくれないからだろ?こうでもしないと危機感感じてくれなかったんだから」

「ホントにあんな子に告白するなんて思わなかったのよ。私は駆け引きを楽しんでただけよ?」
「その態度が判りにくかったから牧野君を利用したんだろ?その気があるなら早く言ってよ・・・そうしてくれたらこんな回りくどいことしなかったのに」



・・・・・・・・・・・・何ですって?

・・・・・・今のはなに?私・・・利用されていたの?

その言葉を聞いたら足は自然と向きを変えて今来た道を戻っていた。
そしてズンズン歩いて行ったら・・・本当に迷子になった。

でも頭の中では2人の会話が繰り返されて止まらない・・・だからそこら辺にあった飲み屋に1人で入って飲めないお酒を飲みまくった!!
「お嬢ちゃん、もう止めないと!」って誰かが言うけど「放っておいて!」って叫んで、肩に置かれた手を払い除け、何度も「お代わり!」って言ってたらそのうち「もうダメだ!」って言われて店を出された。


もうフラフラのヨレヨレ・・・どっちが前でどっちが後ろか、どっちが右でどっちが左なのかさっぱり。
上を見上げたと思ったら地面に顔が近かったり、誰かにぶつかったと思ったらガードレールだったり。


もうどうでもいいや・・・信じてた先輩と初めての彼氏に騙されたんだ。
2度と恋なんてするもんか・・・!「馬鹿にするんじゃ無いわよ!」って、初めてそんな言葉を吐き出した。


思いっきり飲んで思いっきり大声出したら、今度は帰らなきゃって冷静になる自分も居る。
だからヨロヨロしながら通りを進んで、何処かでタクシーを拾おうと考えていたら目の前に真っ赤な車があった。


ピカピカに光る派手な高級車・・・そこの窓ガラスに映った自分のみっともない顔にムカついた。


せっかく可愛くメイクしたつもりなのにこんなにぐしゃぐしゃ。
初めて男に見せると思ったから頑張って買ったブラとお揃いのパンツ・・・それに滅多に着ないワンピースなのに!

ええい・・・!!ムカつく!💢💢


「牧野つくしの大馬鹿野郎ーーーっ!!」


気が付いたらその赤い車のドアを足で思いっきり蹴っていた!
そこに出来た大きな傷・・・はぁはぁ、と息も荒く目眩もしたけど、何となくすっきりした。

その時に聞こえた閻魔大王みたいな声・・・


「てめぇ、俺の車になにしやがんだ?!」


ハッとして横を見たら・・・凄い美形が私の事を睨みつけていた。




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★ご指摘がありましたのでタイトルを変更しています。申し訳ございません。
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2019/09/01 (Sun) 12:10 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/01 (Sun) 15:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

Aria様、こんばんは。

お久しぶりです~!お忙しそうですねぇ~💦
忙しいのはいいことなんだけど、書くには・・・って感じですよね(笑)

こちらのお話し・・・💦

長編の後なのでどうしても感情移入出来ないんですよ。
まだ頭の中に前作の総ちゃんが住んでいるので・・・(番外編も書いてるし)
つくしちゃんは意外とキャラ替えしても平気なんですが、総ちゃんと類君はなかなか抜けないんですよね💦

だから在り来たりな感じになると思うのですが、頑張りたいと思います!
どうぞ宜しくお願い致します。

2019/09/01 (Sun) 20:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

タイフーン様、こんばんは。

初めまして、でしょうか?毎日お越しいただいてるのですね?ありがとうございます♡
凄く嬉しいです❤


ははは💦私は鈍感なので気にならなかったのですが、一瞬ドキッとするらしく・・・。
それならまだ1話目だったので変えようかな、と(笑)

「命短し」と「いろはにほへと」って、少し意味が似ているのでいいかな~なんて思ってこれにしました。
ちょっとね💦7文字にしたかったので。

今度は複雑じゃないお話しです。どうぞ宜しくお願い致します。

2019/09/01 (Sun) 21:04 | EDIT | REPLY |   

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