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plumeria

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「てめぇ、俺の車になにしやがんだ?!」
「はっ・・・あっ!ご、ごめんなさ・・・うっ、ぐふっ・・・!」

その女に声を掛けたら、一瞬自分のした事が判ったのか驚いた表情になったが、その次には自分の口元を両手で塞いだ。

まさか・・・まさか、この女、ここで吐く気じゃねぇよな?!
急いでこいつを車から引き離そうとしたら・・・


「・・・ぐっ、うぷっ・・・」
「おい!待て、それ以上車に寄るな!」

「・・・ぐふっ、うっ・・・ごめ・・・っ!」

ああああぁーーーーっ・・・!!!

「・・・・・・うっ、はぁはぁ・・・うぐっ・・・!」

うわあああぁぁーーーっ・・・!!!


・・・・・・・・・この女っ💢💢
俺の愛車に2度までもっ!!

なんてヤツだと思ったが、こいつはそこで完全に気を失った。しかも俺は車を凹まされて汚されて身動きが取れないし、このまま許すなんて事は絶対にない!
路上で踞ってるこの女を無視してまずは弟子に電話を掛けた。


『・・・もしもし?若宗匠、どうされたんですか?こんな時間に・・・』
「今すぐそこら辺で寝ている奴等を2人ほど叩き起こせ!そしてうちの車を1台と俺のフェラーリ・ベルリネッタを持って来い!」

『は、はい?!私達がベルリネッタをですか?2台でお迎えですか?』
「そうだ!で、俺のヴァンキッシュを整備に出す!すぐにディーラーにも連絡しとけ!」

『総二郎様、そんな無茶な・・・!』
「喧しい!その代わり新車を買ってやるって言っとけ!」

『か、畏まりました!』
「あ、毛布1枚持って来い。場所は・・・」


弟子を呼びつける間もこいつは苦しそうにしてるけど、酔いすぎて訳が判ってねぇ。
吐いたもので汚れてるし、メイクはボロボロだし、しかもさっきなんて言った?あれは自分の名前なのか?
ま、ま・・・なんとかつくしの馬鹿野郎、そう聞こえたけど。

情けねぇこいつの姿を通り過ぎる奴等が哀れんで見てる。
中には大笑いして通り過ぎていくヤツもいて、俺はすげぇ腹が立っていたから余計にムカついた。


くそっ・・・!


仕方なく近くにあった自販機で水を買って、それと自分のハンカチを取り出した。
それを女の目の前に置いたら泣きながら見上げてる・・・まるで捨てられた犬みたいでこっちの方がイライラする。そんな顔になるほど飲むからみっともねぇ姿を晒すんだろうが!

こいつは啜り上げながらペットボトルを開けてハンカチを濡らし、自分の汚れた所を拭きだした。
「ごめんなさい・・・」ってな声も聞こえるがそれにイチイチ返事はしない。何度もハンカチで顔や手を拭き、立ち上がろうとするが腰を上げることも出来なかった。


ここまで醜態さらした女は初めて・・・・・・そして俺が放置しないのも初めてだ。


いや、それは車の事があるから。
自分にはそう言い聞かせながら、こいつが踞る姿を見ていた。



暫くしたら弟子が到着、俺の姿を見掛けたら慌てて近寄って来たが、すぐ傍でしゃがんでるこいつを見て唖然としていた。

「総二郎様、これは・・・?」
「何があったんですか?警察に届け出ますか?」

「そんな必要はねぇ。いいからすぐに動け!」
「「「は、はいっ」」」

1人にはヴァンキッシュを運転させディーラーのところに、2人にはこの女を毛布で包み屋敷に連れ帰って風呂に入れろと命じた。

そして俺は持って来させたベルリネッタで帰る。
悪いがゲロ女と同じ車に乗る気はねぇ!

弟子に指示だけしたら、俺は先に自分の車で本邸に戻った。




***********************




「あんた!何したんだい?若宗匠とどう言う関係?」
「・・・はぁはぁ、へ?若・・・うぷっ!」

「あぁ、こりゃダメだな。早く屋敷に連れて帰ろうぜ?」
「だな・・・ってか、このヴァンキッシュ、ホントに凹んでるんだけど?まさかこの人が?」
「総二郎様の車にか?しかも・・・嘔吐物掛かってるし」

「だから俺達が?・・・まったく迷惑な話だ!ほら、あんたもどうにかして立てよ!」

「・・・・・・本当に・・・ゲホ、ごめんなさい・・・」


気持ちが悪い・・・兎に角気持ちが悪くて何も考えられなかった。

さっき見たイケメンが誰かと話してるのは聞こえていたけど、目も開けることが出来ないし頭はグラングラン・・・真っ暗な夜空とイルミネーションとアスファルトが交互に見えて、世の中がクルクル回っていた。

そして急に差し出された水とハンカチ・・・受け取って自分の汚れてる所を拭いたつもりだけど、実は全く判ってない。
誰かに見られている気がしたけど、それを見返す力もなければ耳に入ってくる言葉が日本語じゃないみたい・・・こんなに酔っ払った事なんてなかったから、このまま死ぬんじゃないかと思った。


そのうち私は香りのいい毛布に包まれて、大きな黒い車に乗せられた。
それは判ったけど、今すぐ傍にいる人達が誰なのかはさっぱり・・・何処に連れて行かれるのかも当然さっぱり。

気が付いたら私が傷付けた赤い車は目の前から走り去り、あのイケメンも居なかった。



車に乗ったらそのままゴロンと倒れ込み、気持ち悪さに魘されていた。

「・・・こりゃ急性アルコール中毒じゃないか?医者の方がいいのかな・・・」
「でも誰だよ、こいつ・・・総二郎様のお相手じゃないだろ?この扱いだと」

「まぁ、そうだろうけどこれだけ酔ってたら風呂は1人じゃ無理だろ?」
「俺はこんな時間に志乃さんに頼めないぞ!」

「俺もだ・・・やっぱりここは不機嫌だったけど総二郎様に言ってもらうしか・・・」
「だな・・・」


・・・そうじろう?
そうじろうって名前があのイケメンなのかしら。

車が曲がる度に気持ち悪くて吐きそうになるけど・・・実はもう吐くものがない。
変な汗をかきながら、見ず知らずの人に助けられて、何処かに連れて行かれた。


それもこれも全部あの2人のせい・・・思い出したら悔しくて涙が溢れ出た。




**




・・・・・・・・・ズキッ!!

「・・・・・・いたぁ・・・」
「・・・目が覚めましたか?」

横から少し年配のおばさんの声・・・その声のする方に顔を向けたら、着物姿の上品な人が座って怖い顔をしていた。


まだ少し気分が悪い。
でも私の右側には点滴スタンド・・・もう終わってるのか腕には白いテープが貼られてた。そして寝間着のようなものに着替えてお布団の中に入っていた。

ズキズキする頭を動かせない。
目だけ動かして見たら凄く高い天井に綺麗な照明が見えた。静かに横を向いたら真っ白な障子・・・凄く整った和室なのはわかる。
でも、ここは何処だろう・・・昨日の事もあんまり思い出せなくて、もう1度おばさんの方を見た。


「何も判らないでしょうね。ここは茶道西門流宗家の母屋。あなたをお助けした若宗匠、総二郎様のご命令でお医者様をお呼びして、急性アルコール中毒の処置をしたのです。
私はこのお屋敷の使用人頭、志乃と申します。何も思い出せませんか?」

「・・・・・・茶道?」

「そうです。判りやすく言えば家元がお住まいのお屋敷で、あなたをお助けしたのは当家のご子息です」

「・・・ご子息・・・息子・・・さん?」


この怖いおばさんの話によると、私は昨日ここの息子さんに助けられてお屋敷に運ばれたけど、あまりに様子がおかしいので大至急主治医の先生を呼んで、身体を拭いて着替えたあとに点滴をされたらしい。
急性アルコール中毒は薬なんてないから兎に角早くアルコールを体内から出すこと・・・幸いにも胃の中の物は吐き出していたから、身体を温めて水分補給していたらしい。

「若いお嬢さんが何という事でしょう!恥ずかしいと思いなさい!」

お母さんにさえ言われたことがない言葉を知らないおばさんに言われてしまった・・・。


「申し訳ありません・・・ご迷惑お掛けしました」って言ったあとで時間を聞いたら、次の日の朝9時半だと言われた。


「・・・え?9時半?朝の・・・9時半ですか?!」
「そうですよ。大体あなたが運ばれて来たのは真夜中の2時半です!それから魘されて寝ていたのですから私は寝ることも出来ずにここに居たのですよ?眠たいのは私です!」

「・・・ご、ごめんなさい!でも会社に行かなきゃ・・・!もう始業時間過ぎて・・・うっ、痛ぁ・・・」

「馬鹿言いなさい!まだ立てないでしょう、あれだけ酔っ払っていたのだから!」


志乃さんはそう言うけど会社に連絡すら入れてない・・・このままだと無断欠勤になってしまうから、痛い頭を押さえながら立ち上がり、寝間着のまま訳も判らず障子を開けた!
そうしたら、こに立っていた人にぶつかって、蹌踉けそうになったのを抱き留められた!


「きゃっ・・・!」
「今度は体当たりか?俺には蹴りを入れるなよ?」

「・・・は?」


私がぶつかったのは昨日のイケメン・・・着物姿で印象が全然違う、怖いぐらい綺麗な人が私の身体を抱き締めていた。





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2019/09/05 (Thu) 10:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

ははは!私はロスに浸る暇も御座いませんでした💦
多分ね、書くのやめたら2度と書かないと思うんですよ。

だからどんな話でも取り合えず書いて、リハビリするしかないんです。

一緒にリハビリしましょうね♡


あぁ、タイトルね💦

「命短し恋せよ乙女」と「色は匂えど散りぬるを」の合体ですね(笑)ははは!ザ・テキトー!!

2019/09/05 (Thu) 18:27 | EDIT | REPLY |   

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