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牧野の話を聞いてたら目眩がした。
そんなヤツに簡単に騙されて良いように扱われて・・・初めてのお泊まりだと思ったって、ただの飲みじゃねぇか!

飲んでホテルに誘うつもりだったかどうかは知らねぇが、あの場所にはそんな気の利いたホテルはない。
安っぽいラブホならあるのかもしれないけど、話を聞く限り昨日も1軒で終わってタクシーに放り込まれて1人で帰るってオチだったんじゃね?

ここまで来ると可哀想に思えてくる・・・チラッと見ると真っ赤になって「イヤ、ちゃんと恋人だったよね?」だなんて、自分の事なのに悩んでる。
だから杉本って男が考えていただろう事を説明してやると、今度はムカついたらしい。


「でも、杉本さんは私にキ、キスしてくれました!だから私達はちゃんと恋人だったんです!」

「キス?どんな?」
「どんなって・・・キスはキスでしょ!」

「本物のキスって経験あんの?」
「五月蠅いわね!それが初めてだったけど何か問題でも・・・・・・!」


どうせそんな男なら、適当に誤魔化すためにした形だけのキスだったんだろ?
触れたかどうかも判らない、気持ちなんて通じない、胸が高鳴ることもない・・・飼い主がペットにするみたいなヤツ。その前後の雰囲気なんて聞きたくもないが、義務的に行われたようなキス。


本物ってのはこうするんだよ・・・!って自分の中で呟いて牧野を抱き寄せ、その唇を塞いでやった。
身体が逃げないように背中を引き寄せ、無防備だった唇を割って舌をねじ込ませる・・・そして牧野の舌と絡ませながらわざと音を立てて聴覚も刺激してやる。

驚いて俺の腕を掴んでたけど、それもすぐに力を無くして俺を受け入れた。
・・・って言うか刺激が強すぎて頭が白くなったな?


何度か貪るようなキスをしてから唇をゆっくり離すと、その途端にガクン!と力が抜けてその場にしゃがみ込んだ!


「おい、大丈夫か?」
「・・・・・・・・・」

「くくっ、そいつのキスってこんな感じだった?それなら本物って認めてやるけど」
「・・・・・・・・・」

「・・・おい、ホントにそのキスが初めてだったのか?」
「・・・うっ・・・!ふぇっ・・・ううっ」

「は?」

しゃがみ込んだついでに両手を床についてそんな声をあげたから、まさか泣き出したのか?って驚いて肩に手を置いた。
そうしたら急にその手をパーン!と弾き飛ばされて、次の瞬間には牧野の平手がすげぇ速さで飛んできた!!


パシーーン!!


「・・・・・・ってぇ!何しやがんだ!!」
「何するって・・・そっちこそ何すんのよ!ばかぁ!」

「馬鹿?嘘っぱちなキスに騙されて逆上せ上がってた女に教えてやっただけだろうが!」
「余計なお世話よ!!私だって・・・私だって・・・ホントはおかしいなって思ってたんだからぁ!」


そう言ったら今度は拳で殴ろうとするからその手を交わして腕を押さえ、真っ赤な顔して泣きながら足で蹴ろうとするからそれも押さえ、それでも大暴れするから仕方なくすぐ傍のソファーに押し倒した!

そうしたら驚いて動きを止め、俺の真下でまん丸い目を余計デカくしていた。


「・・・アホか、落ち着け!本当の事を言われたからって暴れるな!」
「あんたには関係無いじゃない!」

「あぁ、関係無い。俺は自分の車が傷付けられた原因を知りたかっただけだから」
「・・・・・・そ、それは謝るけど・・」

「マジで痛ぇ・・・それにしても手も足も素早い女だな!」
「・・・ごめんなさい。でも、西門さんが・・・」


「・・・あぁ、俺も悪かった」


牧野が落ち着いたみたいだから組み敷いていた腕を外して立ち上がり、そのまま隅にあるミニキッチンに向かった。
そこで湯を沸かし珈琲を淹れ、その間に牧野も椅子に座り直して乱れた服や髪を整えていた。


その仕草を横目で見ながら・・・やっぱり不器用な女になったんだなって笑いが出た。




*********************




まだ身体が震えてる・・・まさかあんな事されるなんて思わなかったし、それに凄く・・・・・・ドキドキした。
初めて会う人なのに、この人の事なんて何も知らないのに・・・イヤじゃなかった。

瞬間、これがキスなんだって思ったけど私達はそんな関係じゃない。
それなのにキスできる西門さんの方がおかしいんじゃないの?って思ったら、杉本さんもこの人も変わらないじゃん!って・・・。

だから凄く腹が立って引っ叩たいてしまったけど、言われた事は多分当たってる。


私は杉本さんに恋なんてしてなかった。
だから悔しかったけど悲しくはなかった・・・腹が立ったけど涙は出なかった。
恋したと勘違いしていた自分のことも判っていたから大声で馬鹿野郎って叫んだ・・・全部西門さんの言う通りだ。

だから失恋なんてしていない。
うん、その通り。

少し暴れてしまった私を抱き締めてくれたのは何故か判らないけど、それで何となくすっきりした。



「・・・ほら、珈琲。少しだけブランデー垂らしてるけど」
「えっ!お酒入り?私は暫くお酒は・・・」

「ははっ!酔うほど入ってねぇって。こうすると香りが良くなるし精神安定剤代わりだ。飲んでみ?判んねぇから」
「・・・ホント、いい香り・・・」

「だろ?茶道家だから一応飲むものの研究はする訳よ」
「・・・関係あんの?」

「全然ない」
「・・・ぷっ!」


・・・ホッとする味。
西門さんの淹れてくれた珈琲を両手で抱えて少しずつ飲んで・・・そうしたらやっと少しだけ笑えた。
彼も私と反対側の椅子に座り片手で珈琲カップを持ってスマホを見ていた。


どうして自分の車に傷付けた女にここまで・・・そう思ったけど、こんなお屋敷に住むような人は変わってるのかもね、って考えることにした。
どうせ車の弁償が終わったら会う事はない。
まぁ、彼の言う「本当のキス」を初めてした相手って事で記憶には残るかもしれないけど、だからってこんな家の人と恋なんて始まらない。

彼の指の動きを見詰めながら最後のひと口を飲み干した。



「うわっ・・・思ったより高ぇな」
「どうかしたんですか?」

「ヴァンキッシュの修理、580万だってよ」
「へぇ・・・・・・はっ?!

「あいつ、特殊カラーなんだわ。で、あんたが蹴ったドア部分、そこのパーツをイギリスで塗装するのに時間も金も掛かるらしいぜ?」


何ですって?!
私のひと蹴りが580万円?!!



西門さんがサラッと言った言葉に、たった今リラックスしていた身体が硬直し、落ち着きを取り戻していた心臓がバクバク言い始めた!
580万円・・・そんなお金なんてないし!
でも蹴ったのは私・・・いや、でも流石にそれは1回じゃ払えない。

なんて答えたらいいのか口が金魚みたいにパクパクしてるのに、西門さんは誰かに「修理頼むわ~」ってお気楽に電話していた。
うん、それは・・・当然なんだけど。


「さて、どうするかな・・・」
「・・・・・・・・・」

「あんた、仕事変わる気ある?」
「・・・はい?仕事?」


今度は仕事?弁償の話から突然仕事の・・・しかも転職の話?
まさか、この私に身体で稼げって言うんじゃないでしょうね?!

思わず自分の身体を両手で抱え込んだら、意味が判ったのか「何勘違いしてんだ?」って眉を寄せられた。


「今働いてる会社を辞めてうちに来ないか?丁度1人募集してるから」
「・・・・・・へ?」

「多分給料はいいと思うぞ?その何とかって会社よりはな。それに戻りたくねぇんだろ?あんたを騙した先輩も居るし」
「そ、そうだけど」

「じゃ、決まりだな。うちで働いて修理費用稼いでくれ。手続きは事務長に言っておくから」
「ま、待って!そんな急に言われても困るし、辞める時には1ヶ月前に届け出するって規則があるのよ?!」

「・・・そうか、じゃあそっちも俺が手配しとくわ」


「・・・・・・・・・はい?」





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Comments 6

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2019/09/06 (Fri) 12:40 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/06 (Fri) 13:30 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/06 (Fri) 17:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

こちらの総ちゃんは随分速効でよ?(笑)何処かの類君に教えてあげたいぐらいです💦

「本気とはこう言う事を言うんだよ、類!」
「俺の話の牧野には通用しないよ、総二郎・・・」

こんな会話が聞こえてきそう~♡


あはは!すぐに磨かれるでしょうか?
向こうの類君はMですが、こっちの総ちゃんはSみたいですよ?(笑)
どんなお仕事をさせられるんでしょうねぇ~。


2019/09/06 (Fri) 18:19 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ゆきたろう様、こんばんは。

そうそう、赤い糸があるのですよ、きっと。
色っぽい総ちゃんを目指しているのですが、どうなることやら・・・(笑)

オトナのコメディに仕上げたい気持ちだけは・・・あります!!
でも、リハビリ作品なので期待薄でお願い致します~💦

2019/09/06 (Fri) 19:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

ど、どうも有り難う御座います💦
いやいや、ホントに今更なので恥ずかしいのですが・・・。

でも私はご訪問いただけるだけで嬉しいのですよ、ホントに。
へんてこりんな話が多いので、マジで心苦しいのです。

うんうん、自分のペースは変えられないので・・・いや、これ以上は増やさないので(笑)
のんびりマイペースでやっていきます♡有り難う御座います。


あぁ、お話しね!うんうん、西門職業安定所ですから。
いい所を紹介していただけたようで(笑)

2019/09/06 (Fri) 19:15 | EDIT | REPLY |   

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