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plumeria

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16:00・・・予定通り成田に着いた。
田村には連絡していたから迎えの車は来ていたけど、それに乗り込んだ途端に2人とも爆睡・・・勿論飛行機でも寝ていたけどそれだけじゃ足りないってぐらい疲れ切っていたから。

それに俺は通常の半分以下の睡眠で1週間以上、しかもその間に発熱までしてる。
屋敷に着くまでシートに倒れ込み、その上に牧野が乗っかっていようが気にもせずに眠り込んでいた。



「類様、お屋敷に着きましたよ?類様・・・」

遠慮がちな声だな・・・って思ったのは牧野の身体で俺の耳が塞がれていたから。
その牧野を取り敢えず起こしてから俺も起き上がった。


目の前に見えるのは懐かしい我が家・・・?
これまでに何度も海外に行ったクセに、これほど屋敷が恋しくなったことはない・・・と思う。多分これまでは計画的移動しか体験したことがなく、今回みたいにゲリラ的行動なんてした事ないからだ。


「・・・花沢類、着いたの?」
「うん、そうみたい・・・あのドア、うちの家だよね・・・」

「ホントだ・・・ふぁ~~・・・やっと戻れたぁ~!」
「・・・・・・・・・(あんたがそれを言う?)」


出国の時には身軽だったのに何故か帰りは大荷物・・・その土産品が詰まったカバンを両手に抱えた。
運転手が「私が!」なんて言うけどそれを断わって、2人で玄関に向かってたら牧野の鞄から何かがポロッと落ちた。

何かと思えば懐かしい別府温泉の土産物袋・・・「何が入ってんの?」って聞いたら嬉しそうに取り出した。


「あはは!そうそうハワイに行く時一緒に持って行っちゃったのよ~!これね、花沢類へ地獄からのお土産!」
「なに、これっ!」

「見て判んない?キャップだよ?じゃーん!私のもあるんだぁ~」
「そうじゃないよ!この文字!!」

「へっ?あっはは!私達の1週間みたいだね!はい、被らせてあげる♡」
「いいって!」


やだって言うのに無理矢理被らされた地獄巡りのキャップ!真っ赤なキャップに書かれていた文字は・・・



「お帰りなさい、2人とも。玄関前で何やってるの?」

「お帰りなさいませ、類様」
「類様、お疲れ様でございました。牧野さん、初めての海外はどうでしたか?」

「ただいま戻りました!奥様、色々ご心配かけました!田村さん、加代さん、お土産買って来ました~!」
「・・・・・・・・・・・・」


俺が顔を向けたら3人共が黙った。そして視線は俺の頭・・・瞬間「プッ!」と田村が噴き出したのにはムッとした。
加代も顔は変わってないけど肩が揺れてる。

母さんは呆れた顔して口をひん曲げた。


だよね・・・俺が被ってるキャップの文字は「毎日が地獄」・・・・・・血の池地獄で買ったヤツだ。



**



「はい!これが奥様と旦那様にお土産です~」
「あら!可愛らしいムームーね♡有り難う、牧野さん。主人も喜ぶわ」

「そしてこれが田村さんと加代さんです~」

「これはこれは・・・爽やかなアロハシャツですな。有り難うございます」
「・・・・・・田村さんとお揃いなのですね?ほほほ・・・照れますわねぇ、田村さん」


素直に「どうしてお揃いなの?」って言えばいいじゃん・・・2人とも微妙な顔して。

帰った早々リビングに広げられたお土産の数々。
俺は牧野にネックレスを買いに行ってたからよく見てなかったけど、出てきたものの内容に・・・いや、もう驚かなかった。
それ以上に驚くことの連続だったから。


「奥様、見て下さい!カメハメハ大王と写真撮ったんです~♡それとこっちはフラダンス教えてもらってるところなんです~」
「あらぁ!可愛いじゃない♡類はしなかったの?」

「類様は両方逃げたんですよ~」
「そうなの?写真があるのなら広報部に頼んでホームページに載せたのに」

「・・・・・・・・・・・・(後継者の醜態特集?)」



2人がワイワイ話してる間中、俺の頭には地獄キャップがあって、何故か室内なのに黄色いフレームのサングラス。そして肩に掛けられたのはハイビスカス模様のスカイブルーのアロハシャツ・・・どんな巫山戯た格好だ?と思いながらソファーに胡座かいて暢気な4人を眺めていた。

リビングに入ってきた他の使用人が俺を見てビクッ!とする・・・そりゃそうだ。
そしてビクビクしながら牧野から菓子の土産を受け取って、もう1度俺を見て呆然としてる。


「あぁ、そうだわ、類。リゾートホテルの計画はちゃんと進めるから数年後は宜しくね」
「・・・・・・それ、俺が行かなくても決定事項だったよね。でも、判った・・・そのうちね」

「あなたが学生でもこの案件の進捗状況は教えるわ。関心だけは持っててちょうだい」
「・・・はいはい」

「・・・・・・・・・・・・」
「堪えてないで笑えばいいじゃん」


そう言ったら遠慮なく爆笑した母さんを見てムカついた💢


「おぉ、そう言えば類様、牧野さん。大分から何やら届いておりましたよ?」

急に田村がそんな事を言って、使用人に大きな段ボールを5個、持って来させた。
それを見て牧野が「あーっ!忘れてた」って・・・俺もすっかり忘れてた。中津の「壱万円お札せんべい」。

それを嬉しそうに箱から出して、覗き込んでる母さん達に配っていった。


「はい!奥様、いつもありがとうございます。10万円でーす!」
「えっ?!あ、あらら、これはどうもありがとう・・・」

「はい!田村さんと加代さんには5万円でーす!」
「ははは、こう言うお菓子でしたか。ありがとうございます、牧野さん」
「そう言えば大分の出身でしたかしら。面白いものがあるのねぇ~」

「・・・類様、食べる?」
「いらない」


田村に確認したら「壱万円お札せんべい」は1箱に10枚入ってて、それが段ボールひとつに10箱。5個の段ボールってことは合計で「500万円」・・・牧野はそれを屋敷中の使用人、調理師、庭師、運転手全員に配って回ると言ってリビングを飛び出した。


「・・・面白い子ねぇ」、と母さん。
「諭吉さんが好きですからね」、と田村。
「類様のお疲れの意味が判りますわ・・・」、と加代。


この後、俺はその格好のまま懐かしい自分の部屋に戻った。



部屋に入ったらキキの姿がなかった。
恐らく餌やりのために加代が何処かに連れて行ったんだろう。もうそのまま他の部屋で飼ってくれ、と思いながらアロハシャツを肩から外し、サングラスもキャップもソファーに投げてベッドにダイブした!


「・・・・・・はぁ、やっと帰って来た・・・」


ケインの言葉じゃないが「室内型」・・・こんなにも自分の部屋で寝られるのが嬉しいと思った事はない。それだけ精神的にハードな旅行だったんだ。今までだって長期の海外はあったけどこれほどまでに疲れなかった。

・・・・・・・・・今日はぐっすり寝られる。
そう思った時にはもう意識が無くなりかけていた。



「・・・・・・・・・くぅ」
コンコンコン!「花沢類~!キキちゃん、帰って来たよぉ!」

ピヨピヨピヨ~♪

「・・・・・・・・・・・・・・・💢」


せっかく寝かけていたのにノックと同時に入って来た牧野・・・その手には鳥籠。
そして俺の返事も聞かずに鳥籠をスタンドに取り付け、以前と変わらない光景になった。子宝弁慶草にも嬉しそうに水をやり、脱ぎ捨てていたアロハシャツはハンガーに掛けてクローゼットの1番前に・・・。
「毎日が地獄」のキャップは射的で勝ち取ったクマの縫いぐるみに被せ、ついでにサングラスもそいつに掛けていた。


「あっはは!可愛くなったねぇ。クマさん♡」
「・・・・・・あんたの部屋に置けば?男の部屋にはおかしいでしょ」

「え~!この部屋、広いんだもん!この子が居たって目立たないじゃん?」
「そう言う問題じゃないよね?」

「いいから、いいから!」



そう言ってすっごい笑顔で笑った牧野の首・・・プルメリアのネックレスが揺れていた。





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2019/09/16 (Mon) 07:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

ははは!田村さんと加代さん💦
さぁ、天然のつくしちゃんですから無意識で買って来たと思いますよ?(笑)
ただし、自分と類君のお土産はちゃんと意識してるんだと思われます♡

「毎日が地獄」のキャップ(笑)
実は我が家にあるんですよ~!
Tシャツは「血の池地獄」って書いてる白いものです。

子供にお強請りされて買ったのはいいけど、何処で着るの?って感じで・・・(笑)


あっ・・・(笑)
アレはたまたまですので・・・💦

でもありがとうございます💦恥ずかしいです・・・はい、とても💦

2019/09/16 (Mon) 10:26 | EDIT | REPLY |   

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