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茶室に入ってもだんまり・・・両手で帛紗を握り締めること10分経過。
そろそろ限界だな、と思い「お稽古は中止ですか?」と言えば・・・・・・泣く。

いい加減にしろよ💢と言いたいがそれも言えず、黙って付き合うこと15分経過。
ダメだ、こりゃと諦めて茶碗を片付けはじめたら,今度は嫌味が始まる。


「・・・どうしてですの?今まで秘書なんてお付けにならなかったのに。男性でも宜しいのではありませんか?」
「どうしてと言われましても、これは家元からも言われていたことですから。それに男性だろうが女性だろうが問題ないと思いますが?」

「大問題ですわ!私という者が居るのにあのような子供を・・・」
「見た目は子供のようですがあなたより1歳年上の23歳です。それに私と言う者、とは?成宮家とは何のお話しもしておりませんし、私のような軽い男はお嫌いでしょう?」

「・・・・・・私のお気持ちをご存知のクセに・・・」
「申し訳ありません。意外と鈍感でして」


・・・あぁ、気持ちは有り難迷惑なほど知ってる。
だが、問題なのはお前が俺の気持ちなんて判っちゃいないって事だ。

自分が選ばれて当然と思い込んでこの屋敷を我が物顔で歩く神経が理解出来ないし、見ているのが俺の中身じゃなく、容姿とこの西門って事が判りやすい女は願い下げだ。

雪乃は俺を「連れて歩くのに丁度いい男」だと思ってるだけ。
茶道に興味はないクセに家元夫人には憧れる、実に分かり易いヤツだ。


「雪乃さん、ここには稽古で来られているはずです。そのようなお話しでしたらお聞きすることは出来ません。今日はもう終わりましょう。次回も同じ時間が宜しければいらっしゃい。もし変更であれば牧野を通して連絡を・・・」

「嫌です!私は総二郎様に直接お話しをしたいのです」

「申し訳ないがそう決めたのです。雪乃さんだけではなく、総ての生徒さんにそのようにお願いするのですよ」

「私は特別のはずですわ!」

「・・・そのようなお話しはありません。どうか茶室で大きな声をお出しになりませんように」


もう1回何かを喚けば叩き出してやろうかと思ったが、ここで雪乃はスッと立ち上がり廊下に出た。
やれやれ、何もしてねぇとは言え終いの挨拶も飛ばすのかよ、と思ったが帰ってくれるのなら助かる・・・そんな気持ちで見送りだけはしてやるかと後をついて行った。

それなのにやっぱり言い足りないのか廊下を出てすぐに立ち止まり、恨みがましい目付きで俺を見上げた。


「あの人のどこが良いのです?私には理解が出来ません・・・私より勝ってるとは思えませんでした!」
「勝ち負けの話など御座いません。そもそも何を基準に勝ってると?」

「お好きでもない女性をお側に置くとは思えません・・・いつからですの?」
「いつから?それを言えば納得していただけるのですか?それなら出会った時の事を話しますよ?」

「出会った時から・・・・・・もう結構ですわ!総二郎様、酷いっ・・・!」
「だからそう言う意味ではありません。落ち着いてもらえませんか?」

「嫌です!私は総二郎様だけを見てきましたのに・・・!」


だから面倒臭いってんだ!!
そうやって駄々を捏ねれば何でも言うこと聞くと思ってるらしいが、そんなのガキだから可愛いんであって、ハタチ過ぎたヤツがやっても鬱陶しいだけ!
酷いとかイヤだとか、勝ち負けだとか特別だとか、悪いがあんたにそれは感じてねぇから!


もうこのまま知らん顔して逃げようかと思った時、俺の視線の先には牧野と西村さん・・・なんて良いタイミングだと、内心ニヤッとした。


「あぁ、牧野。丁度良かった。雪乃さんがお帰りだからお見送りを」
「はっ?!私がですか?」

「そうだ。俺は今から急ぎの打ち合わせがあるから着替える。牧野も見送りが済んだら事務所で待機しとけ」
「えっ?あの、ちょっと?!」

「判ったな、頼んだぞ」


恐らくすげぇ悪態つかれて怒鳴られるんだろうな・・・ま、それも秘書の仕事。
悪く思うなよ?と、自分の部屋に戻った。



**



部屋に戻って今度はカジュアルなスーツに着替えた。
これから行くのは先日打ち合わせた文芸雑誌の対談とその写真撮影。丁度いい機会だから牧野を同行させよう・・・それを考えたらいつもは気が乗らないこの仕事も何故かワクワクしていた。


事務所に戻ったら案の定、真っ赤な顔して俺を睨む牧野が居た。

「無事に帰ったか?」と聞けば、玄関に行くまでもなくあの場で雪乃に散々言われたらしい。
「どうして私が怒鳴られるんですか!」って拳を向けて怒鳴ってきたから真顔で答えてやった。


「言っただろ?お前は俺の秘書。俺が仕事しやすいように動くのがお前の仕事だ。
雪乃の見送りは毎回時間が掛かる、それを牧野がしてくれたから俺は早く支度が出来て次の仕事に向かえる、そういう事だ」

「でっ、でも、私の存在を全否定されるなんて!ここから出て行けとか西門さんに触るなとか、まるでバイ菌みたいに言われたんですよ?!冗談じゃないわ!」

「まぁ、それも慣れてくる。上手にあしらえるようになったら一人前だ」

「はぁ?!今日から働き始めた私に一人前って言葉を出すのは早過ぎませんか?!その前に適性検査をしてくださいよ、私には向いて無いんですって!」

「騒いでる時間は無い。牧野、車の運転は?」
「ペーパーです!」

「・・・・・・今日は俺が運転する。次からお前が運転しろ」
「はっ?!」


くくっ!マジで面白い・・・!
アタフタする牧野より先に事務所を出て、駐車場に向かっていたら後ろでドタン!と音がした。
今日も廊下に滑って尻餅ついてる・・・慣れる前に骨折する気かよ、と呆れながら車に向かった。

痛そうに腰を摩りながら裏口に来たら、俺が運転する車の助手席に乗ってきた。スーツだからスカートが少しだけ上がって膝が丸見え・・・足のラインはまぁまぁだ。
そいつを確認した表情はサングラスの下に隠した。


「・・・この車を今度から私が運転するんですか?」
「あぁ、そうだけど?」

「止めた方が良いですよ?ペーパー歴2年です。多分即日事故りますよ?」
「運転も秘書の仕事だと思ってくれ。俺が少しでも休めるようにな」

「・・・永久にお休みするかもしれないですけど?」
「・・・判った。練習しよう」


なんて恐ろしい事を言うんだ・・・運転だけは練習させないとマジで事故る、そう確信した。



車を向けたのはMホテル。
ここの中庭が対談の会場として使われ、同じ場所で撮影も行われる。
西門専用の駐車場に車を停めたら牧野を連れて控え室に向かった。

こいつはまだ通路なのに既に目がテン・・・こんなホテルに入ったのも初めてなのか、そのうちドデカいシャンデリアの煌びやかな光りが目に入ると、それに魅入って足が動かなかった。
その真下の巨大なフラワーアレンジメント、フロントの豪華な造りに洒落たロビーのソファー。
どれも牧野には強烈だったのか、ポカンと開けた口・・・それを見た周囲の人間がクスクス笑いながら通っても気が付きもしない。「口を閉じろ」と言うと両手で口を押さえたのには笑った。


「ここは俺の親友が経営してる企業の系列ホテルだ。西門が通年で部屋をリザーブしてるから取材なんかはよく使ってる。このホテルの中もよく覚えておけ」
「は?ここがお友達の・・・?」

「あぁ、道明寺ホールディングスだ。名前ぐらいは知ってるだろ?」
「えっ!あの道明寺グループですか?!」

「そうだ。そのうち会うこともあるだろうから粗相のないようにな、俺みたいに優しくねぇから。今日は2階の中庭で撮影だからそこの近くに部屋があるはずだ。フロントで確認してこい」

「はっ?!私が?」
「他に誰がいる?」


そう言うと牧野は嫌な顔をしながらフロントに向かって、そこで必死に訴えているが通じてないようだ。時々振り向いて俺を睨んでる・・・そのうち大きく手を回して「助けてくれ」のジェスチャーを送って来た。
まぁ、それも想定内だったから笑いを堪えてフロントに足を向けたら、すぐ側の階段から降りてきた女に声を掛けられた。


「総二郎君、今日は早かったのね・・・」


今日の対談の相手、ライターの工藤響子。
そいつが腰をくねらせながら近づいてきて、俺の腕に絡みついた。




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Comments 4

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2019/09/13 (Fri) 12:59 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

またやっちまいましたね・・・💦申し訳ありません。ご連絡、ありがとうございました。
仕事中だったので修正はすぐに出来たのですが、お返事が遅くなりました。すみません💦

そうですね~、今度のお姉さんも怖そうですね~。
つくしちゃん、無傷で帰れればいいですが(笑)

総ちゃん、面白がってる場合じゃないぞ?💦

2019/09/13 (Fri) 20:15 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/14 (Sat) 13:02 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。


あっはは!凄い渾名ですね💦怖いわ~!
でもそんな感じかな?(どんな感じよ?)

そうそう、運転の練習・・・車の中・・・密室❤

どうしましょ、ミッション車だったら(笑)
ギアの場所があんなところに・・・・・・ひえ~~~💦

場所は勿論・・・秘密の・・・ひえ~~~~💦

2019/09/14 (Sat) 22:06 | EDIT | REPLY |   

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