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西門さんに連れられて入った超高級ホテル・・・その目映さに驚いて足が竦んだ。
私みたいな安物のスーツの人なんて何処にも居ない。ここの従業員さんの制服の方が絶対に高級品だと思えてすごく恥ずかしかった。

どうしよう・・・合皮のパンプスなんて履いてくるんじゃなかったわ。
鞄だってもう少し良いものがあったと思うのに、こんなヨレヨレで・・・初日から出掛けるならそう言ってくれればいいのに、どうして何も言わなかったのよ!

・・・と、隣のイケメンを睨んだけどこの人は何とも思ってないみたい。

通り過ぎる女性の視線を浴びても涼しげな顔して、時々目があった人には優しい微笑みなんて浮かべて!
天性の女ったらし・・・ほぼ初対面の私にだってあんなキスが出来るんだもの、色んな場所で衝動的に襲ってるとかないよね?


それにしても秘書だって言うけどこの釣り合いの悪さ・・・。
廊下にあるガラスに映る自分を見てガッカリしながら歩いていた。さっきまで西門さんを見て真っ赤になってた人が、今度は「あの人彼女じゃないわよね?」・・・その決めつけは何なの?
確かに彼女じゃないけど、その言い方はないでしょう!って振り向いたら「睨んだわよ?!」だって。


そしてロビーの端、フロントの前に来ると彼は立ち止まって私に声を掛けた・・・って言うか、仕事らしい。

「今日は2階の中庭で撮影だから、そこの近くに部屋があるはずだ。フロントで確認してこい」

「はっ?!私が?」
「他に誰がいる?」

「・・・行ってきます」


すっごい美人とイケメンが並んでるフロントの前に行くと「ご用件をお伺致します」と丁寧に言われたけど、何をどう聞けばいいのかさっぱり・・・「まずはお名前を」と言われたので自分の名前を名乗ってしまった。

「牧野つくしと申します」
「牧野様・・・本日はお部屋のご予約を?」

「いえ!その部屋を聞きたくて・・・じゃなくて、使うのは私ではないのですが、西門総二郎さんの控え室は何処かな、と思いまして」
「西門様・・・失礼ですがあなた様は西門流の方ですか?」

「いえ!私は西門流ではないのですが、本日から働いてまして・・・」
「はぁ?」


これまでの社会経験は何処に消えた?ってぐらいテンパって話したから全然会話になってない。
それは自分でも判ったけど緊張で頭が真っ白になり、美人のお姉さんの視線も痛くて総てがこんがらがってしまった。こうなったら西門さんを呼ぶしかない、そう思って振り向いて両手を振って助けを求めた。

今度は背中から「警備員を呼びましょうか?」なんて聞こえる・・・早く来て!ってブンブン手を振ったら、西門さんは漸くこっちに向かって歩き出した。


もうっ!こんなの入社1日目からさせる?
ムカついて彼が来るのを持っていたら、すぐ側の階段を降りてきたビジネススーツの美人が西門さんに声を掛けた。


「総二郎君、今日は早かったのね・・・」


・・・総二郎君?

君付けで名前を呼んだ・・・それは凄く特別な関係を匂わせて、私は思わず出しかけた手を引っ込めた。
そうしたらその人はホテルのロビーなのに、まるで映画の再会シーンみたいに西門さんに抱きついてその腕を掴んだ?!


ロングの巻き毛が妖艶な美人・・・多分西門さんよりも年上だと思う、そんなオトナの色気が溢れまくった人。真っ赤なルージュと綺麗なネイルが少し離れてる私にも判った。
パンツスタイルのスーツだけど足元はエレガントなピンヒール。開け過ぎじゃないの?って思うブラウスから見えてる谷間・・・スタイルも抜群みたい。
キラッと光ったピアスとネックレスはダイヤモンドだろうか・・・。


雪乃さんと西門さんを見ても思ったけどこの2人も同じ・・・美男美女ってこう言う組み合わせなんだって。


「・・・響子さん、ここロビーだから。まだ仕事始まってねぇだろ?」
「あはは!気にするの?いつもこうしてるじゃない」

「今日からはダメ。ほら、うちの秘書が固まってるから」
「・・・秘書?」


西門さんが女性を離して私の方をチラッと見た。
その直後に彼女もまだ西門さんの腕を持ったまま私に視線を向けた・・・でも、少しだけ冷たい視線。

服の端を持ってる彼女の手も退かして西門さんはこっちに手招きをし、私はハッ!と我に返って2人の元に駆け寄った。
どんな紹介されるんだろう・・・それにドキドキしながら、握った手の平には汗までかいて。


「響子さん、こいつは俺の秘書になった牧野つくし。今度から仕事の連絡はこいつにしてくれる?」
「・・・・・・・・・この子に?」

「は、初めまして。牧野つくしと申します。まだ不慣れですが、どうぞ宜しくお願い致します!」


なんなの?この威圧的な態度・・・すっごく上から見下ろされてる感じ。
それに挨拶してるのに何も言われないんだけど、それってこの人も私の存在を拒否してるって事?

なんか気不味い雰囲気・・・私だって好きで秘書になったわけじゃないから!辞めていいなら今すぐにでも辞めたいから!
深くお辞儀をした後で、勇気を振り絞って響子さんって人の顔を正面からをた。


うわ・・・近くで見たらホントに美人。
何をしてる人だろう?何も言ってくれないから西門さんを見上げたら、彼は軽く溜息つきながら紹介してくれた。


「牧野、この人は立花出版専属のライターで工藤響子さん。今日の対談の相手だ。
立花は俺が毎月エッセイ載せてる雑誌の出版社で、今回は『日本文化の今後っ』て感じの特集組むからそれの対談だ。こう言う仕事も俺にはよく来るから覚えておけ」

「判りました。工藤響子さん・・・色々教えてくださいね」

「・・・・・・へぇ、この子が秘書?ふふっ、西門も人材不足なのねぇ?」


「・・・は?」

「こちらこそ宜しく。私の事は総二郎君から色々聞くといいわ。それが私の自己紹介・・・私の口からあなたに説明することは何もないわ」


綺麗な指先で髪を掻き上げ、1度は離した腕を絡ませようと西門さんに手を伸ばした。
でも彼はその手をスッと避けて私の前に出て「牧野、行くぞ」って階段を上がって行った。残されたのは私と、凄く怖い顔した響子さん・・・これって雪乃さんの時と同じじゃないのっ?!

思いっきり横目で睨まれた後、響子さんが西門さんを追って行き、私は呆然と2人の後ろ姿を見ていた。


そうしたら上がりきったところで「牧野!遅い!」と怒鳴られ、急いで駆け上がった。でもお約束のように途中で躓き、足を踏み外して・・・

「きゃあっ・・・!・・・・・・ったぁ・・・」
「牧野?!」

「・・・ふん、ドジな子ね」

「ご、ごめんなさい!ちょっと待って・・・痛っ・・・!」


慣れない材質の階段に滑って挫いたみたい・・・そこの手摺りを持って足首を押さえたけどズキズキして力が入らない・・・。
その時に私の目の前が暗くなり、見上げたら西門さんが降りて来てくれていた。


「・・・馬鹿!秘書が怪我してどーすんだよ」

「・・・ごめんなさい。この靴、履き慣れないのと足が滑って・・・」
「元々自分に合わせて無いからだろ?お前、歩く時にカパカパしてたぞ?」

「ホント?そう言えばそうかも・・・でも普段は走ったりしないから・・・」
「時間がない。行くぞ」


「えっ・・・うわぁっ!!」

行くぞと言われた瞬間に、所謂お姫さま抱っこってヤツで抱きかかえられて、私の目線が天井の煌びやかなシャンデリアに向かった。その時に私のパンプスが脱げて転がり、持っていたバッグも落としてしまった!


「お、降ろしてください!大丈夫だから!」
「暴れるな。動くと俺も巻き込んで階段を落ちるぞ?悪いが俺の身体は580万じゃねぇからな」

「そ、そんなっ!」
「落としゃしねぇからジッとしてろ」

「でも、靴と鞄・・・」


西門さんの肩越しに後ろを見ると階段の途中に転がる安物のパンプスと鞄・・・それが凄く惨めに見えて、でもロビーにいる人達が私を見てるから恥ずかしくて彼の肩に顔を埋めた。
この人の部屋と同じ匂い・・・それが鼻を擽って胸が熱くなる。落ちないように夢中でしがみついてる手が彼のスーツに皺を作ってるのが申し訳なかったけど、緩めることも出来なかった。


服を着てるのに伝わってくる西門さんの体温・・・特に足に直接触れてるから恥ずかしくて堪らなかった。

もう少し丈の長いスカートにすれば良かった・・・。


そして階段を上がりきったら、そこで待っていた響子さんに向かって恐ろしい事を言った。


「悪いんだけど牧野の靴と鞄、拾ってきてもらえる?」
「はっ?!私が?」

「勿論。俺、彼女を抱いてるから」

「・・・・・・・・・」

止めてくれないかな!
そんな事言うと、この後絶対に私が文句言われるんじゃ無いの?!

響子さんは真っ赤な顔して階段を降りて、私の靴と鞄をまるでゴミを持つみたいに持って来てくれた。
西門さんはスタスタと私を抱えたまま歩いて行く・・・どう見ても自分の控え室が判ってる感じだけど?


「あの、西門さん?」
「なんだ?」

「控え室、ちゃんと知ってるんじゃないの?」
「・・・実はいつも決まった控え室がある。さっきのはお前の研修だ」

「・・・・・・・・・💢💢」


新入社員研修ってのは体当たり方式じゃないのよ!まずは説明からスタートしてよ!

リズミカルな振動に身体を委ねながら、この男の底意地の悪さに呆れてしまった。





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Comments 4

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2019/09/14 (Sat) 13:43 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/14 (Sat) 21:35 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

そうそう、総ちゃん楽しんでるんですが、その裏には別の感情が生まれてるみたいですね❤
「Colorful」の類君のように、まだ自分の恋心に気が付いてないって感じかな?
向こうは鈍感、こっちは意地悪(笑)

どっちもどっちですよね💦

さて、響子さんはどんな人ですかね?
つくしちゃん、無事に帰れるといいけど・・・(笑)

2019/09/14 (Sat) 22:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。


そそそ!(笑)
まだ自覚してないけど、気になって仕方ないみたい(笑)
きっとこんなタイプが新鮮なんでしょうねぇ~。

自分に惚れてる女には気が付くけど、自分が惚れたことには疎い総ちゃん・・・笑える!
可愛いじゃないですかっ!


雪乃ちゃん同様、響子ちゃんもバッサリ・・・出来るのか?総ちゃん。

2019/09/14 (Sat) 22:38 | EDIT | REPLY |   

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