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何となく気不味い日が続いていた。
あの夜、別に何かしようとした訳じゃないのに、あれ以来牧野が少しだけ遠離っている・・・ような気がする。

次の日は「自分で頑張る~!」なんて言って勉強しに来なかった。
それからは俺の部屋で勉強しているけど座る位置が微妙に50㎝ぐらい変わってる。「花沢類、ここが判んない」、そう言うから近寄ったら牧野がササッと逃げる・・・だから参考書がすごく遠くて見えない。

いや、このぐらい男に注意してくれるならその方が良いんだけどね・・・。



そんな日が過ぎていって今日は日曜日。近藤商事の創立記念パーティーの当日だ。

屋敷を出るのは夕方の5時、パーティー開始は6時で場所はMホテルの大広間。
母さんに聞いたら俺が思っているより大規模なパーティーのようだった。
もしかしたらあきらが来るかもしれないし、後援会の会員だったら総二郎も・・・それを考えたらゾッとした。2人とも東京には居ないことにしてたから。

万が一出会ったら・・・あきらはパーティーのための緊急帰国で総二郎は修行からの逃亡にしよう、なんて考えながら午前中を過ごした。



牧野は朝から1度も俺の部屋に来ない。
加代に聞いたら母さんとエステに行ったとか。そこまでする?って思ったけど、普段ネイルもしない牧野だから徹底的に綺麗にするんだと、母さんが張り切っていたそうだ。

「・・・随分牧野は特別なんだね。ハワイでもマッサージ受けさせてさ。他の使用人のこともあるし、そう言うのはあんまり良くないんじゃないの?」

「ほほほ、牧野さんは人懐っこい性格ですし、奥様とは波長が合うのでは?それに昔から娘が欲しかったって言われてましたから、あんな風にドレス選びをしたかったのですわ。類様にドレスを着せる訳にはいかないでしょう?」

「そりゃそうだけど・・・」


・・・娘が欲しかったと言われたら何故か湧いてくる罪悪感。
シーンとした屋敷の中で昼食もたった1人・・・どうして俺がこんなに物悲しくならないといけないんだろう?



午後になって牧野と母さんは戻ってきたけど、そのまま部屋に籠もって支度に取り掛かるらしい。
今日はまだ1度も牧野の顔を見てないから何故か落ち着かない。それを鳥籠の中からキキが笑ってるようだった。

ピヨピヨ~♪「・・・判ってるって。俺も支度しろって言うんでしょ」

ピピピピピピ♪「はいはい、準備するよ」

ヤバい・・・動物と会話してるなんて牧野に似てきたかも・・・。



そして屋敷を出る予定時間の少し前、牧野は何をしてるんだろうと靴下を履きながら考えていた。
でも今日は牧野もドタバタしてるから俺の迎えには来ない・・・少し不安になったから自分の支度を終えたら牧野の部屋に行ってみた。


コンコンコン・・・・・・ノックをしたけど返事はない。

何処か別の部屋で着替えてるのかも・・・そう思ったけど、わざわざその部屋を探しても着替えを覗く訳にはいかない。仕方なく階段を降りて玄関近くのフロアで母さんと牧野を待つことにした。



「あら、類はもう準備出来たの?」

階段上からそんな声が聞こえて顔を向けたら、黒のイブニングドレスを纏った母さんが、ド派手なアクセサリーを輝かせながら降りてきた。

自分の歳を考えなよ・・・って言ったら張り倒されそう。
その言葉をグッと飲み込んでそこの壁に縋っていたら、奥の間を指さして「迎えに行きなさい」、と。


「・・・牧野、あの部屋に居るの?」
「そうよ。あそこでスタイリストに着替えさせてもらってメイクもしてると思うわ」

「・・・子供じゃあるまいし、1人で出てくるだろ」
「いいから行きなさい。あんな格好は初めてだからきっと緊張してるわ」

「・・・・・・・・・」


その緊張を与えてるの、母さんだよね?

渋々言われた部屋に向かうと、丁度扉が開いてスタイリストが「その中から選んで下さいませ」なんて言いながら出てきた。そして俺に一礼して母さんの方に向かい、何かを話したらその後はさっさと玄関から出て行った。

選んどけって言ったクセに帰ったのか?それも然程気にせず、開いたままの扉の中に入った。


「・・・支度出来たの、まき・・・」




***************************




朝1番に奥様に呼び出されて向かったのは高級エステサロン。
目にも眩しいシャンデリアが輝く受け付けで、美人の店長さんに出迎えられ、1番奥の特別室に向かった。


「うふふ、今日はこのお嬢さんを念入りに頼むわ。こう言う場所が初めてなの。宜しくね♡」
「畏まりました。それでは本日はリンパマッサージで宜しかったですね?」

「えぇ、そうね。後でネイルもしてあげて?可愛い感じでね」
「はい。承知致しました。それでは始めましょう」

「・・・・・・・・・」


それはハワイでやってもらったロミロミとはひと味違う高級感・・・最初にウエルカムドリンクが出てきて気分はすっかりお嬢様。
そしてロミロミでは無理矢理脱がされたけど、ここでは上品に「お召し替え下さいませ」と着替えを手渡され部屋を案内された。

ただ、ここからが苦しかった。
クレンジングからのウォッシング、スチームによる毛穴の皮脂吸引。それが終わってからデコルテと顔のリンパマッサージ!その上、パックまでやって最後が整肌・・・そしてリラックスティータイム。

リラックス出来たのかと言えば・・・逆に少し疲れた。


『表情筋が凝って老廃物が溜まるとどんどんむくんで、今のようにぼんやりした輪郭になりますわ。ですからしっかりとほぐして老廃物を押し流し、今日の1回でも小顔効果・リフトアップ効果を実感されると思います。本日はお顔だけですが、全身マッサージを行うとメリハリボディに変身できますわよ!』

・・・・・・つまり、私は「ぼんやりした輪郭」「顔がでかい」「メリハリのないボディ」って言われたのね。



そしてお屋敷に戻ったら自分お部屋じゃなくてスタイリストさんが待機している部屋に向かった。
目の前にはこの前選んだドレス・・・それが私を待っていた。



「はい、いいですよ・・・目を開けて下さい」
「・・・・・・はい」


ゆっくり目を開けて鏡を見たら、そこに映ってるのは誰・・・ってぐらい自分の顔が変わっていた。

ゴールドが入ったピンクのアイメイクにほんのりチークもされていて、小顔効果のおかげで可愛いかも♡それにローズのルージュにもラメが入ってるし肌全体がキラキラしてる。
スタイリストさんが言うには「水の艶を纏った素肌に見せるファンデーション」なんだそうだ。

「こちらの奥様の愛用品ですわ」って言われると納得。


そして髪の毛はふわっふわに巻いてもらって、ドレスと同じ色の小さめの花飾りがつけられてる。少し頭を振るととクルンクルンと弾くように揺れて、そんなヘアスタイルが始めてだから嬉しくて堪らなかった。
何回も振ってたら「型崩れしますから!」って怒られたけど。


「それではケープを取りますね。ドレスを着ましょうか」
「は、はい!お願いします」


今度は奥様が用意してくれたドレスに着替えるために椅子から立ち上がって大きな鏡の前に向かった。

それは薄い水色のカクテルドレス。
夕方から夜にかけてのパーティーだからロングのイブニングドレスが正装だけど、私の場合はそれよりもカクテルドレスの方が似合うだろうという選択だったみたい。

ビスチェタイプのボディだけど同色のオーガンジーで肩を覆うようにデザインされたリボンが付いていて、スカートは膝丈で裾に豪華な銀糸の刺繍入り。
そしてスカートにもオーガンジーが1枚重ねられてるけどそ、れが羽みたいにふわふわ揺れて可愛かった。

靴はシルバーのハイヒールで、慣れないから歩きにくかったけど10センチ高い世界は私を大人にしてくれるような気がした。


「まぁ!本当に素敵なドレスですこと。流石花沢の奥様ですわ、カクテルドレスなのにこんなに豪華なものを選ばれて・・・お嬢様、お幸せですわね」

「え?!いえいえ、私はお嬢様なんかじゃないです!奥様のお供でついて行くだけですから・・・」

「あら、そうなんですか?でもこのドレスで奥様の横に立たれるのでしたら会場内でも目立ちますわよ?」
「・・・・・・ですよね」


うん、それは私が目立つんじゃなくて奥様がね・・・花沢類の誕生日も本人より奥様の方が目立ってたもの。

この後スタイリストさんは道具を片付け初めて、私はその間ずっと鏡に映る自分に見惚れていた。
多分こんなドレスは2度と着ないだろうから記念に写真に撮っておこう、なんて沢山自撮りもした。それをニコニコ笑いながら見ていたお姉さんは、片付けが終わったら大きな鞄を両手に持ってドアを開けた。

「それでは荷物を車に運びますから、お嬢様はお好きなアクセサリーを選んでて下さいね」
「アクセサリー?」

「えぇ、そのテーブルに幾つか置いてありますでしょう?その中から選んで下さいませ」
「はーい!」


言われたテーブルに向かったら、そこにはキラキラ光るアクセサリーが沢山!
ドレスに合わせて全部シルバーだったけど、その眩しさは半端なかった。もしかして本物のダイヤなのかしら・・・って手に取ってみたけど煌びやか過ぎて怖いぐらい。
それよりもこっちのパールの方が可愛いかも・・・なんて自分に当てて確認していた。


その時・・・

「・・・支度出来たの、まき・・・」
「あっ、花沢類~!うん、後はアクセサリー選ぶだけなんだって。どお?可愛いでしょ~」


あら?どうしてそんなに驚いた顔して止まってるの?




*********************




入ってすぐ目に飛び込んで来た牧野の姿・・・それに驚いて言葉が出なかった。

いつもTシャツにジーンズとか、セーターにデニムのスカートとか、そうじゃなかったらここの使用人の制服・・・それしか見たことが無かったから。
ハワイでも少しはドレスを着たけどあれはリゾートウェアだったし。

メイクもプロがしてるからいつもと全然違って華やかだった。もともと目がデッカいから印象的な顔立ちだったのに、今日は肌まで艶々で色気もある・・・ホントにすごく綺麗になってた。

それにカクテルドレスだけど綺麗な水色で、フワッとしたデザインは牧野によく似合ってる。
薄いオーガンジーで胸元が透けてる・・・それにハイヒールだから細い足がスラッと長く見えてスタイルカバーしてるし。

「可愛いでしょ?」なんて裾を摘まんだから膝上がチラッと見えて、バクン!と心臓が高鳴った。


「花沢類?どうかしたの?やっぱり似合わないかな・・・」
「・・・・・・・・・」

「ねぇ、そこまで黙らなくてもよくない?私だって自分の事ぐらい判ってるから気にしないわよ?」
「・・・・・・・・・」

「ちょっと!花沢類、寝てるの?」
「・・・いや、起きてる・・・」


・・・こんな姿、俺以外の男に見せるの?





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Comments 6

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2019/09/19 (Thu) 00:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、おはようございます。

ふふふ、類君、ずっとソワソワしてますよね~♡
気になって仕方ないのに何も進んでないから。

今回は高級エステでバッチリ磨きを掛けたつくしちゃん♡
パーティーで何が起きるのかなんて気にもせず、ウキウキでお出掛けですね~。

あっ!でも事件なんて起こりませんよ(笑)
そろそろHappyになっていただこうと思います。

最後まで宜しくお願い致します~。
いつもコメント、ありがとうございます。

2019/09/19 (Thu) 07:24 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/19 (Thu) 07:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

うんうん、楽しんでますよね~。
初めてのカクテルドレスに浮かれておりますが、それを見て近寄って来るのは・・・?

さて、どっちでしょうかね?(笑)
類ママの作戦は成功するんでしょうか。

ところで・・・今朝は寒くて目が覚めました。
気温が21度しかなくて、手足が冷たくなってました💦
でも日中は30度ぐらいあったので、この高低差に身体がおかしい💦

ビオラ様も季節の変わり目、気を付けて下さいませ~💦

2019/09/19 (Thu) 08:00 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/19 (Thu) 11:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 類大好き~

まのい様、こんばんは♡

うふふ、ご訪問&コメントありがとうございます♡
もうラストに近いのですが、頑張りますので応援宜しくお願い致します~!

こんな類君を気に入っていただけて嬉しいです(笑)

2019/09/19 (Thu) 19:26 | EDIT | REPLY |   

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