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「どうしたの?花沢類・・・汗かいてるの?この部屋暑い?」
「・・・・・・えっ?」

「なによ、さっきから。あっ!私がタメ語だから怒ってる?類様のほうがいい?」
「・・・・・・はっ?」

「やめてくれない?そのひと文字返事」
「・・・・・・だよね」


自分でもよく判らない動揺のせいで頭が真っ白。
牧野の言葉も真っ直ぐ頭に入って来なかった。それに少し動いたら広がるこのフレグランス・・・今まで石鹸の香りだったのに、少しだけ甘い香りが妙に色っぽかった。
そんな些細な変化に俺の中の「何か」が反応してドキドキする・・・牧野はいつもの怒った顔なのに、どうして今日は可愛く見えるんだろ?

なにか別の話をしないとこの動揺がバレてしまうかも・・・なんて思って部屋をキョロキョロした。
そして鏡に映った自分を発見。その何気に頬が赤くなってるのを見て驚いた。


「そう言えばさっきスタイリストが選んでてって言ってたのはなに?」
「え?あぁ、今日つけていくアクセサリーなの。でも全然判らないのよね・・・あっ、花沢類、選んでくれない?」

「・・・俺が?」
「うん!何でもいいと思うんだけど、あんまり派手なのは似合わないと思うの」


牧野が指さしたテーブルの上のアクセサリーは、ドレスに合わせてプラチナ製のものばかり。
ダイヤが五月蠅いほどついてるものやドレスと同色系のサファイヤ、アクアマリンがペンダントトップについてるもの。上品なパールのネックレスまでズラッと並んでいて、それをひとつひとつ手に取っては「綺麗~!」を連発していた。

やっぱり目が行くのは自分のピアスと同じアクアマリン・・・今度は俺がド真剣な顔して選び始めた。


「牧野ちょっと鏡の前に来て?」
「はーい!」

牧野を鏡の前に立たせてこれだと思ったネックレスを当ててみる・・・これは派手すぎ、これは地味すぎ、これは石がデカすぎ。
幾つか選んだ中で一番似合うと思ったのは、ダイヤとプラチナのテニスネックレス。全周にダイヤをつけてて、ペンダント部分には大粒のアクアマリンが光り輝くヤツ。

それを牧野の首に回してみると「うわぁ!綺麗な色♡」って嬉しそうに笑った。


「・・・うん、このぐらいでもいいんじゃない?」
「ホント?派手じゃない?」

「全周ダイヤだけど小さめだから。それにこのドレスには合ってると思うけど」
「うん!じゃあこれにする。ありがとう、花沢類」

「・・・つけてやるから前を向いてな」
「自分で出来るのに」

「いいから。こういう時は誰かに頼んだ方がいいんだよ。髪やメイクを崩すかもしれないから」
「・・・へぇ、そういうものなのね・・・」


牧野の首にそいつを掛けて、少しだけ項の髪を触っただけで心臓がバクバク言ってる・・・それを悟られないように息を止めてネックレスの金具を留めた。
すぐに回れ右して深呼吸、1度大きく息を吸ってからお揃いのピアスを・・・・・・


「あんたピアスホール、開けてなかったよね?」
「うん、あの時チャレンジしてないよ?」

「・・・誰も千枚通しで開けろって言わないし」
「あっはは!だよね~!」

「・・・・・・(人には開けようとしたクセに)」


仕方なくお揃いのピアスは断念して、よく似たデザインのイヤリングを手渡した。流石にこれ以上やると手が震えそう・・・だから「これは自分でつけな」って言うしかなかった。
だってイヤリングだと絶対に耳を触らないといけない・・・想像しただけで手の平に汗をかいた。


「じゃあ行こうか」
「もう行くの?ねぇ、ホントにこれで大丈夫?」

「・・・・・・うん、多分」
「多分?心配だなぁ、笑われない?」

「・・・・・・・・・」


パリのデザイナードレスと数千万のダイヤモンドアクセサリーで笑うヤツなんて居ないと思うけど。
牧野に「諭吉数千人分」って言ったら腰抜かすから言わないけどさ。


すっかりレディに仕上がった牧野と並んで玄関まで行ったら、母さんがニヤリと笑って待っていた。




***********************




「・・・・・・・・・」

「そこで止まるなって。後ろに迷惑だから」
「うふふ、こんな場所は初めてだものね、牧野さん」


Mホテルが日本有数の高級ホテルだって事ぐらいは私だって知ってる。
でもあまりにもゴージャスで煌びやかで、ロビーの天井にぶら下がってるシャンデリアが目に痛いほど・・・そして集まってるお客さんも、これから夜に向かう時間帯のパーティーだからロングドレスのおば様や上品な着物姿の人が多くて驚いた。

だからその会場入り口で既に足がフリーズ・・・固まった私の事を呆れて見ている花沢類に怒られてしまった。


奥様はシックな黒のロングドレス。シンプルなデザインだけど元々が美しいからかなり目立ってる。
それに身に付けてるアクセサリーもすごく派手でキラッキラなんだけど、本人が負けてないからよく似合ってる・・・みんなが振り返って見るぐらいホントに綺麗だった。

それにくっついてる花沢類も勿論文句なく格好いい。親子だって知ってるから違和感無いけど、若い恋人連れてると言ってもおかしくないぐらい・・・。
今日もバースデーパーティーの時みたいなブラックタイのタキシード。
すっかり見慣れたピアスが光ってるけど、残念なのは後ろ髪が少しだけ跳ねてる・・・寸前まで寝てたのね?って後ろから見て噴き出しそうになった。


そんな私達が会場に入ったら、どこからともなくザワザワとした声と小さな悲鳴みたいなのが聞こえた。そして集まる視線・・・私は怖くて回りなんて見られないのに、奥様は一段と笑顔になるし、花沢類は・・・全然変わんない。
羨ましいほどこの会場の熱気を無視していた。


「近藤様、お元気そうですわねぇ。本日は50周年、おめでとうございます」
「おぉ!花沢さん、お久しぶりですなぁ!相変わらずお美しい・・・おや、類君かな?春のパーティーは都合が悪くて行けなかったんだが、いい青年になったものだ。お幾つになられたのかな?」

「お久しぶりです。3月で19歳になりました」
「ほぅ!もうすぐお父上の片腕となられるのだね?楽しみにしているよ」

「ほほほ、まだまだ子供ですわ~(1人の女性も落とせないんですもの)」


奥様が主催者のお爺ちゃんとお話してる時も、私はする事がないから後ろでぼーっと立ってる。
ここで私の事を紹介するって間柄でもないし、むしろ『当家の使用人です』なんて言われたらお爺ちゃんがドン引きしちゃうもの。
だから取り敢えずニコニコして2人の背中を見ていた。


「あら、珍しいわ。花沢物産のご子息かしら?」
「本当にねぇ・・・こんな場所に来るのはお嫌いだと聞いてたけれど」

「それにしても花沢の奥様、前よりも若々しくない?ホント、羨ましいわぁ、スタイルも抜群ですものね」
「うふふ、自慢のご子息を同伴してるから余計に嬉しいんじゃなくて?」


そんな声が後ろから聞こえてくる。
確かにこんな場所に来るのは嫌いだと思うわ・・・自分の家のパーティーですら「帰りたい」って訳判らない事言ってたし。


「ねぇ、花沢の奥様のお側に居るのはどなたかしら?」
「見慣れないお嬢様ねぇ・・・でも類様は独りっ子のはずでしょう?」

突然聞こえたこの会話・・・私の事だと判ったけど、すぐに加代さんの言葉を思い出した。


『噂話を耳にしてもそれに反応してはいけません。話し掛けられていないのなら顔を向けたり耳を傾けたりしない事、宜しいですね?奥様の事は「おば様」とお呼びしなさい。会場内で奥様なんて呼んではいけませんよ?』


だから知らん顔、知らん顔!
何かあったら奥様が助けてくれるだろうから、私は黙って付き添ってればいいのよね?


それにしても美味しそうなお料理・・・丸テーブルの真ん中には薔薇の花がドーン!と生けてあって、その周りには色とりどりのオードブルが芸術品のように並べられていた。

花沢邸で見たことはあるけど食べた事はない。もしかしたら今日は食べられるのかも?なんて期待して花沢親子の後ろに立ってたら、こっちを見ている女の子と目があった。
誰だろう・・・勿論名前なんて知らない。だけどここは愛想良くしないといけないかと思ってニコッとしたら、逆にプイッと顔を背けられた。

感じわるっ!💢・・・瞬間ムッとしたけど、今度は右側から別の視線が・・・?
加代さんの言葉を忘れてそっちに顔を向けたら、やっぱり女の子が睨んでいて、私と目が合ったらフッと視線を逸らされた。


「・・・・・・はっ?!」
「どうした?」

「ねぇ、花沢類・・・ここに大学の誰かが来てるんじゃないの?」
「来てるかもね。それがどうした?」

「どうしたって!私たちが知り合いってバレたらダメなんじゃないの?!ヤバいわ、隠れなきゃ・・・」
「パーティー会場に隠れる場所なんてないし。それに普通にしてたらあんたが外国語学科の牧野だってバレないと思うよ」

「・・・どう言う意味?」
「そのままの意味」


・・・つまりそれほど普段の私と今の私には差があるって事?





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Comments 4

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2019/09/20 (Fri) 08:12 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます♡

ははは!急にそんな事が出来る類君ではないと思うのですが・・・でも、彼も限界のご様子(笑)
急に狼になるかもしれませんよ?

そしてつくしちゃん、見た目は変わっても中身が変わらないので、素行でバレるかもしれませんね♡
いやいや、もう事件は起こしませんので大丈夫です💦(何が?)

多分ね~、R無しの90話越えは初めてなんですよ(笑)いい加減怒られますよね~💦

2019/09/20 (Fri) 08:31 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/20 (Fri) 16:07 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは🎵

meimei様、こんばんは🎵

いつもお気遣いいただき、ありがとうございます。

そうなんですよね~💦
夏は本当に苦手で(笑)今年はそんなにバテてないつもりなのですが、急に冷えたり暑さが戻ったりで嫌なこんじです(笑)

ま、あんまり難しいお話は書かずに、地味に頑張ります🎵

どうぞ宜しくお願い致します♥️

2019/09/20 (Fri) 21:40 | EDIT | REPLY |   

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